里の家ファーム

無農薬・無化学肥料・不耕起の甘いミニトマトがメインです。
園地を開放しております。
自然の中に身を置いてみませんか?

共同親権 その前に 公認心理師臨床心理士 信田さよ子さん

2024年04月28日 | 生活

「しんぶん赤旗」2024年4月27日・28日

DV加害規制は急務

 両親の真摯(しんし)な合意がなくても裁判所が離婚後の「共同親権」を命令できる民法改定

案―。政府・与党は22万筆を超える反対署名や「DV(配偶者らの暴力)から逃げられなくなる」との被害者の訴えを無視して法案の衆院採決を強行しました。DV被害者のカウンセリングに長年取り組んできた公認心理師・臨床心理士の信田さよ子さんは「共同親権の前にすべきことがある」と法案に反対を表明し、DV対策の抜本的見直しを求めています。(日隈広志)

 ―支援の側から見た法案の問題点は何でしょう?

 法案では「共同親権」を申請しても「急迫な場合」は裁判所が認めないとしています。政府は「急迫」にDVや虐待を含むとし、裁判所が適切に判断するといいますが、暴力の実態を理解したものとは思えません。

家庭内支配が本質

 DVの本質は家庭内の支配です。DVには犯罪行為もあり、▽「殴る、蹴る」の身体的DV▽子どもを傷つけるぞと脅す、人間関係を孤立させる精神的DV▽生活費を渡さず、経済的自立を阻む経済的DV▽性行為を強要する、避妊に協力しない性的DV―などの種類があります。加害者は外部に気づかれないようDVを巧みに使い分け、被害者を従属させていきます。

 子どもの前でふるう面前DVは虐待でもあります。強い従属のもとでDV被害者が子どもを虐待する加害者になる危険もあります。

 しかし政府のDV対策は被害者の「避難」と、学校などへの「啓蒙(けいもう)」にとどまります。DVの相談件数は2002年以来、右肩上がりで現行の対策だけで状況は改善しません。「共同親権」導入の前に、大幅な予算増額などDV対策を根本的に改めるべきです。加害に対する抑止・規制を導入することが不可欠です。

「プログラム」必要

 ―加害を抑止・規制すべき理由は?

 暴力をエスカレートさせないためです。

 カウンセリングを受けに来る被害者の多くは女性です。一般的には、妻が反抗、逃亡して夫が「夫婦間の問題」に気付くケースが多い。しかし自らの加害を認識しない夫が、妻の反抗を「非がないのに攻撃された」と捉えて被害者意識から妻を攻撃したり、子連れで逃げた(子連れ別居の)妻を「実子誘拐」のように捉えるケースがあります。離婚になれば「妻が家庭を壊した」という考えから復讐(ふくしゅう)心も生まれます。離婚後に元妻や子どもを殺害した事件も起きています。

 カナダや欧州など加害者規制が進む国では、「加害者プログラム」を徹底しています。カウンセリングを通じて自身の支配性に向き合わせ、暴力に至る習慣を改め更生させるのです。そこに共通しているのは「女性や子どもを守る」という姿勢です。裁判所が夫にプログラム参加を命じて中断や拒絶には罰則を科しています。実際に成果を上げており、適切な強制力は暴力の歯止めになっています。日本でもこうした加害者プログラムの導入が急がれています。

国家の“DV”やめよ

 ―離婚後の「共同親権」を導入する前に取り組むべき課題は他に何がありますか?

 離婚した元親が子どもを監護する親に養育費を支払わない問題です。政府の2021年度の調査によれば、養育費を受け取った親は28・1%。支払った場合も2~3年の短期間で終わるなど、非常に少額です。離婚後の親権者の9割は女性です。社会問題になっているシングルマザーの経済的困窮は、養育費の不払いが一因です。今回の民法改定法案では養育のための必要最低限の金額などを定めますが、支払い義務はありません。法律で義務化すべきです。

ジェンダーの問題

 また、政府は「高校授業料無償化」などの支援制度で判定基準になる親の所得について、「共同親権」になった場合には元親の所得も合算して判定するとしました。ひとり親の収入が支援基準を満たしても、元親の収入次第で切られる危険があります。法案は、シングルマザーをさらに追い込む、国家による“DV”のようです。

 ―DVはジェンダーの問題でもあります。

 「男らしさ」の分析から男性のDV被害に焦点が当てられるなど、ジェンダーの視点を抜きにDVを考えることはできません。

 そもそも「DV」という言葉が日本で広がったのは1990年代。それ以前も多くの女性がカウンセリングで夫の加害を訴えていました。支援側では、妻の被害をケアする一方、夫の加害については「アルコール依存症」の症状や人格の問題とみなして治療に任せる傾向がありました。社会的に、夫婦間の暴力は国や社会が積極的に介入する問題とみなされていなかった影響もあります。

「家父長制」の名残

 95年の第4回世界女性会議(北京会議)が転換点です。参加した女性たちは夫の加害に「DV」という名が付いたことを歓迎しました。支援者が見聞きしてきた夫の加害は、女性の人権を侵害する「女性に対する暴力」であり、「やはり規制が必要だった」と。「DV」という言葉は、瞬く間に全国の支援現場に広がりました。

 ―北京会議から超党派によるDV防止法の制定(2001年)につながりました。

 私たちは当時から加害の抑止・規制を求めました。拒んだのは自民党の男性議員です。「『暴力』とは大げさだ」「妻をたたくなんて男じゃない」としてDVを「特殊な家庭」の問題に矮小(わいしょう)化するか、否認しました。DV対策は被害者保護の対策に限定されてきました。

 DVが示す家庭内の支配関係は、明治憲法由来の家父長制を体現しています。夫の力と支配を肯定する家族の価値観はそれほど変わっていませんし、その人たちは、その家族観のどこが悪いのかと思うでしょう。その人たちには支配をなくし、対等・平等の実現を目指すDVの議論は邪魔なだけです。

 DV対策が進まない背景には、ジェンダー差別を利用する日本の政治のゆがみがあります。このゆがみを正さずに「共同親権」を導入すれば、女性や子ども、弱い立場への暴力は強まるばかりです。ジェンダー平等を求める政治の姿勢は不可欠です。


寒いです。
ニュースでは北海道だけ寒く、他の地域は一段と暑さが進んでいるようです。
寒いのでハウス内の2重のトンネルをしっかり閉めて帰ってきました。
しかも夜中から晴れる予報で、朝は寝坊できません。

園のようす。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。