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子供たちに最高の夏休みを!

2018年07月24日 | 社会・経済

貧困家庭の子ども「魔の夏休み」

  みわよしこ - ダイヤモンド・オンライン - 2018年4月13日

 

夏休みは子どもにとってサバイバル?「子育ちサポーター講座」の挑戦

 2018年4月、3回連続の「子育ちサポーター講座」という新しい試みが始まる。主催するのは、大阪市生野区を中心に活動する民間研究会、「生野子育ち社会化研究会」(生野子育ち研究会)だ。

 背景には、大阪市の中でも生活保護の利用率が高く、貧困状態にある子どもたちも多いという生野区の事情がある。その事情に、民間の障害者支援・高齢者支援が長年にわたって続いてきた歴史や、空き家・空き室問題を都市農業と組み合わせて解決しようとする試みが重なっている。大阪には、「元・子ども」である青年の引きこもりとその後の生活支援に長年取り組んできた団体もある。また貧困の救済・支援、さらに貧困研究も盛んだ。

 様々な関心が、子どもたちに「も」向けられて重なり、「生野子育ち研究会」は2016年に発足した。共有している思いは「親だけに子どもを育てさせない。」だ。

 研究会の目的は、「子育ち」の「社会化」、子どもが育つこと・育てることを社会の共同事業とすることだ。メンバーはNPO、市民団体、「子ども食堂」関係者、研究者と幅広い。主に子どもの支援に取り組んできた「大阪子どもの貧困アクショングループ」(NPO法人・CPAO)代表の徳丸ゆき子さんも、2015年の設立準備段階からコアメンバーとして加わっている。私も、メンバーの末席にいる。

 もちろん、「親をラクにさせていいのか」という批判もある。また、「親だけに子どもを育てさせない」という思いを実現する方法として「保育園全入化が望ましい」というところで合意が見られたとしても、「どのような保育園がよいのか」というイメージまで一致させるのは簡単ではない。ともあれ、様々な立場や考え方の人々と共に行う公開研究会を含め、「生野子育ち研究会」は数多くの意見交換と方針決定を行ってきた。

 4月から始まる「子育ちサポーター講座」の目前のターゲットは、7月からの夏休みだ。

 4月からの「子育ちサポーター講座」は、まずはクローズドに、顔の見える関係の中で受講者を募り、6月までの3回の講習・ネットワーキング・マッチングを試行する。目標は、まずは「夏休み」。受講者たちが居住・活動している地域で、その地域の子どもたちの2018年の夏休みを支えることだ。

家庭がどのような状況にあっても、学校にいけば給食がある。家庭で暴力に遭っている子どもは、学校でしばしの休息と若干の安全が得られるかもしれない。子どものSOSをキャッチして支える、保健室などの枠組みもある。子どもの「食べられていない」「眠れていない」「負傷している」といった状況に学校の誰かが気づけば、ものごとは改善する方向に動くかもしれない。

 ちなみに2017年末、大阪府寝屋川市で33歳の女性が遺体で見つかった。女性は小学6年から学校に登校しておらず、少なくとも15年間、両親によって住まいの一室に閉じ込められていたことが判明している。女性の小学生時代のクラスメートたちは、女性が虐待に遭っていた可能性に気づいており、小中学生時代、学校に何回も働きかけたという。教員たちは家庭訪問を行ったものの家庭の中に踏み込むことはできず、児童相談所などの機関も結果として動いていなかった。当時の制度のもとでは限界だったかもしれない。

 学校が問題解決の鍵を握っており、厳しい状況にある子どもたちを最後に守れる砦の1つであることは、現在も間違いない。その「砦」をアテにできないのが、夏休みだ。

 まず、給食がない。夏休み期間に充分な食事が摂れずに痩せてしまう子どもは、貧困の深刻な地域では珍しくない存在だ。もちろん、十分な食事が摂れない夏休みは、子どもに必要なもの・こと・環境の多くが不足した夏休みでもあるはずだ。だから、「子育ちサポーター講座」の現在の目標は「夏休み」であり、地域の子どもたちの夏休みを社会で支えることである。

「社会で支える」という用語をバズワードからキーワードに

 では、「子どもたちを社会で支える」とは、何をどうすることなのだろうか。「空腹なら、ごはん」「入浴できていないのなら、お風呂」ということは、誰にでもイメージできるだろう。しかし、何をすれば「社会で支えた」ことになるのだろうか。「地域で子育て」することや「社会で子どもを見守る」ことが達成されたとき、どのような地域と子どもたちと大人の状況があるのだろうか。

 CPAOの徳丸ゆき子さんも、率直に「必要なのは、わかります。でも私自身、何をしたらそうしたことになるのか、わかりません。私自身が、まず知りたいです」と語る。子どもたちにとって有益で害の少ない「支援」は、簡単にできることではない。

たとえば、近所の子どもに「実は、親に虐待されている」と告げられたとき、大人であるあなたは、何をすればよいのだろうか。その子の家に乗り込んで親に説教するのが逆効果であることは、多くの方が想像できるだろう。

 子どもと家族の心身の安全とプライバシーを秤にかけるとき、どのような基準で、どのように判断すればよいのだろうか。プライバシーのために、子どもの生命が犠牲になってはならない。しかし「子どもの心身の安全のためなら、親の人権はどうでもいい」と言い切れるだろうか。

 子どもの安全を一時的に守るために強引に親から引き離すと、子どもが親のもとに戻った後、さらに深刻な問題が引き起こされるかもしれない。「ちょうどよい」「これでよい」と言えるバランスは、容易に見出せるものではないし、原則や計算式のようなものに頼って維持できるものでもない。

 プライバシーなどを「守る」ことに対して厳しすぎると、子どもを「守る」という目的は果たせない。しかし緩すぎると、洩れた情報が誰をいつまで傷つけることになるかわからない。兼ね合いはどこに置けばいいのか。何か問題が起こったときの責任は、誰にどう求めればよいのか。「おおむね、こんな感じ」ということさえわかっていないのが、現在、大人である私たちが動かしている社会の現状なのだ。

 

社会の死角から子どもを救え「みんなで育てるから、いいやん!」へ

 

 徳丸ゆき子さんがCPAOを立ち上げ、子どもの貧困問題に取り組み始めたきっかけは、2010年と2013年に大阪で起こった2つの事件だ。母親に置き去りにされた2人の幼児が放置死させられた2010年の事件と、母親と幼児が「お腹いっぱい食べさせてあげられなくてごめんね」というメモとともに変死体で発見された2013年の事件は、いずれも現在ほとんど思い出されなくなりつつある。

 いずれの事件でも、報道は母親に対する「子どもを責任もって育てていない」という批判、あるいは母親の選択に対する「あらゆる手段が尽くされているわけではない」という批判につながった。

 徳丸さんは自分の思いを、「『あの親、子ども育てられないねん』から『みんなで育てるから、いいやん!』へ」と表現する。しかし「みんなで育てる」には、誰が何をどうすればよいのだろうか。どのように発見し、どのように情報を共有し、誰をメンバーとして、どのように意思決定を行うべきなのか。具体的な方法・手法・技術は、あまりにも不足している。それでも、「やってみる」を積み重ねれば、見つけることができるだろう。

 さらに、公的機関との連携も重要だ。しかしながら、圧倒的な資源不足は否めない。

大阪市には現在、児童相談所(こども相談センター)が2つしかなく、ニーズに対して圧倒的にキャパシティが不足している。もう1つ新設する計画はあったのだが、2016年に住民の反対で頓挫したままだ。児童相談所に対する、「深刻な状況なのに対応してもらえなかった」「通報しても動いてくれなかった」という不満は、数多く聞かれる。とはいえ、子どもを保護するための大きな権限を持っている児童相談所は、重要な存在だ。

 厳しい状況にある子どもを保護するにあたって、「施設よりは里親のもとで、家庭的な環境であることが望ましい」という認識は、ここ数年で広まってきた。しかし、里親が万能の解決とはならないことも、少しずつ明らかになってきている。人である以上は「相性」の問題も限界もある。そういった問題や課題があっても子どもが幸せになれるためには、誰が何をすればよいのだろうか。

 子どもに関して連携すべき機関は、公的機関に限定しても数多い。学校と児童相談所に加え、要対協(要保護児童対策地域協議会)、区役所や市役所、区や市の社会福祉協議会は外せない。さらに状況によっては、医師会・弁護士会・市議会などとの連携も必要だ。「直接支援を行っている民間団体を前にすると、行政は『責められる』と構えて牽制ばかりになる」という、笑えない笑い話もある。ともに「子どもたち、どうしましょうか?」と考えて連携するためには、超えなくてはならないハードルが、官民どちらの側にも多そうだ。

口で言うほど簡単ではない「ほどよい子ども支援」の道のり

「生野子育ち研究会」の「養育サポーター講座」の参加者は、7月までの3回の講座の中で、元児童相談所職員、子どもの権利と育ちの研究者、ベテラン里親や子ども支援のベテランから知識と考え方とノウハウを学ぶことになる。そして7月までに、各地で「子どもの食事会」を開始するためのマッチングとチームづくりが行われる。

「ちょうどよい」「ほどよい」にたどりつく道筋は、平坦な一本道ではないはずだ。試行錯誤を繰り返す必要はあるだろう。しかし、子どもに害をもたらさず益をもたらすための方法が共有された上で試行錯誤が積み重ねられれば、ある日の親の「ちょっと心がしんどい、子どもを殴りそう」「今日は子どもの食事のことを考えられない」という思いが、決定的な悲劇にエスカレートすることが避けられるようになるのは確かだろう。

ともあれ、地域の心ある大人たちが数十人、「子育ちサポーター講座」で学び、交流する。そしてこの夏、夏休みの子どもたちを支え、経験とノウハウを蓄積し、共有する。

 船出を、まずは期待して見守りたい。

(フリーランス・ライター みわよしこ)


 酷暑だ続き、2年後の東京オリンピックが危ぶまれています。

こちらはいたって快適です。
明日からは25度を超える暑さになるようですが、でもまだ30度越えの予報はありません。
夜は寒いくらいで、車のガラスが曇ります。
農作業の一服。

炎天下
熱いコーヒー
涼む息  (おそまつ)

納屋の周りを草刈していると、壁に伝う葡萄を見つけ

トマトの葉に産み付けられたタマゴ。

なんの卵かわからない。