<連続台風1年>短時間強雨、
道内で急増 30年前の3倍
道内で短時間に強い雨が降る頻度が30年前の3倍以上に増加し、全国平均の約3割増を大きく上回ることが札幌管区気象台への取材で分かった。主な要因は地球温暖化とみられ、冷涼で強雨が少なかった北海道は特に影響が大きい可能性が指摘されている。道内の堤防や道路などのインフラは本州に比べ少ない降水量を前提に設計されており、専門家は「今後も強雨が増えると予測され、災害対策がますます重要」と警鐘を鳴らす。
史上初めて四つの台風が相次いで道内に上陸・接近し、このうち最大の被害を出した台風10号の最接近から30日で1年。全国で毎年のように豪雨災害が起きる中、道内でも短時間強雨が頻発している現状が明らかになった。
札幌管区気象台によると道内の地域気象観測システム(アメダス)の本格運用が始まった1976年からの10年間で、1時間に50ミリ以上の強雨を記録した日数は計36日だったのに対し、2016年までの10年間は計117日と3・25倍に増えた。
1年当たりにすると11・7回で、この10年間は平均で月1回、道内のどこかの地点で強雨が観測された計算だ。死者・行方不明者6人を出した連続台風のあった昨年8月の後半は、伊達市大滝の1時間70ミリなど、同50ミリ以上の雨を記録した日が7日あった。
道内のアメダス地点数は76年は182地点、現在は225地点と30年間で多少の増減はあるが、1地点当たりの平均日数に換算しても、強雨の頻度の増加率は3・23倍。全国平均の1・34倍を大きく上回った。
札幌、旭川など道内主要7地点の平均気温はこの100年間で1・6度上昇した。気温が上がると大気が取り込める水蒸気の量は増える。大気中の水蒸気が冷えて雨になるため、気温上昇により降雨は強まる。
北大大学院の谷本陽一教授(気候力学)は「温暖化で1時間当たりの雨が強くなったと考えて矛盾はない」と指摘。「道内のインフラは強雨への耐性が低い。本州のような豪雨はないとの意識は変えなければ」と訴える。同気象台は、21世紀末には道内の平均気温はさらに3度程度上がり、短時間強雨の回数も全道で増加すると予測している。
<ことば>短時間の強雨 1時間50ミリ以上80ミリ未満は滝のように降る「非常に激しい雨」で、屋外は水しぶきで白っぽくなり、都市部ではマンホールから水があふれる強さとされる。