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いっきに読んだと言いながら、読み終えるのに4日間も費やしました。読み応えのある沢木耕太郎さんの「天路の旅人」。
第二次世界大戦の末期、敵国のその大陸の奥深くまで潜入したスパイ、しかしその行動は随時日本に報告するというのではなく、ラマ教の蒙古巡礼僧に成りすまして、中国の寧夏省、青海省を突破してチベットからインドまで足を伸ばす。
それは、日本人というのは隠しているが密偵というよりは巡礼としての旅、そのものを新しい土地に人に接したいというだけで奥深く「托鉢」、僧としての修行に励む。僧として一生を過ごせば、立派な高僧になっていたのに、自分はあくまで日本人「密偵」であるという当初の使命感は最後まで揺るがなかった。
人間の生き様、人生は長いようで短い、短いようで長い。いかに生き続けるか、そこにおもしろみがある。

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