ごまめ~の~いちょかみ・Ⅱ

趣味(落語と本)の話と大好きなうどんを中心に、ごまめになってもいちょかみで幅広くお届け

2021年・ごまめの本の少し・BEST20

2021-12-30 07:07:07 | 年間BEST・・・・
2021年・ごまめの本の少し・BEST10
今年は年間290冊の本を読了。隠居生活二年目、本代もバカにならないので、図書館を大いに利用、156冊もの本図書館で借りました。
また、図書館の利用が増えた分、買うのがもったいないのと文字の小さいのは疲れるので、漫画、絵本とか今迄とは違う分野にもどんどん広がりました。
今年は、あまりにも多いので、BEST10ではなく敢えてBEST20に拡大致しました。


1.毎日新聞~佐藤雅彦・(3.25)
実は二冊目、8年前に文庫本で読んでおり確かその年のBEST10入りの本だったと思います。でも古本屋でB5版の大きなのを見つけるとやはり新聞というだけ大きいので読みたくなって購入。
良かったですな、まずは内容的に八割忘れていることと、その時気になった箇所と今回の箇所が多少違っていること。それは仕事の面から見ているのと、日々の生活から見ているのとの違いか・・・昔の本も良いもんでおます。


2.働くことの人類学~松村圭一郎+コクヨ野外学習センター・編(12.29)
ジャンルの違う本でありながら、読み終えるのに年末ギリギリまでかかりましたが随分楽しませてもらいました。この本は、あの文具屋さんのコクヨが野外学習センターを設立、そこでのポッドキャスト「働くことの人類学」に新コンテンツを加えて書籍化したものです。
丁度、今年は在宅ワークとかがきっかけに、働き方改革で会社の職場からほりだされてしまうと、どうしたら良いのか。会社へ行っているだけで「働いてる」と安心していた者にとって、働くとは何。一人ひとりの働き方や生き方も見直しが迫られています。
パブアニューギニアの「貝殻の貨幣」であったり、ブッシュマンの「ジェンダーバランス」とか、ダサネッチの「胃が違う」という感覚、世界中で暮らすモンたちの「トランスボーダーの生き方」とか、今の私たちとはまるっきり違う価値観で暮らしている。「何のために働くの?」、「食べるため」「楽しいから」「やりたいから」、でも「何のために」とかなくても良いような。
そこに、いま私たちの「働く」ということへの新しいヒントがあるような気がします


3.ききがたり ときをためる暮らし~つばた英子・つばたしゅういち(9.5)
けっして老後の生き方ではなく、現役での生活、暮らし方をご披露。自分たちが食する野菜と果物はすべてキッチンガーデンで育てる。自然の恵みを享受し手間を惜しまず、日々の生活を夫婦で愛しむ。
「本当の豊かさというのは、自分の手足を動かす暮らしにあると思いますよ。」(英子)「世の中のしきたりに従って流されて生きていると、決して幸せなことにはならない。」(修一)
野菜をストックし、保存食を作り、食に関して保存しているが、それだけではなく、幸せ、おもいやり、そして自分流のこだわり、それらを大切に保存する生活。
「人生はまだまだ美しくなると」楽しく自分を信じて、これからも日々の生活を大切に暮らしたいもんです。


4.神さまたちの遊ぶ庭辛~宮下奈都・(8.19)
作家の宮下奈都さん一家が、十勝・大雪国立公園にあるトムラウシに移住。大自然の中で、家族それぞれがどう生きていくか一年かけて手探りでたぐりよせる。三人の子供たちはの学校は小中合併置校で生徒が15人、職員室には校長先生筆頭に事務員さんまでいれて15名。ここでは先生も生徒も皆が主役、大きな集団では脇役だったり、今回わたしはパスというのがありますが、ここでは自分の役目、役割を自覚、それが楽しくて大人も子供も本気で全力投球する。
わたしも就職するときに大企業ではなく、それなりに自分思いがが発揮でき「真ん中の歯車となれるところ」を選んで45年勤めてまいりましたが、早くから人とのコミュニケーション、それも年代を越えた、周りのすべての人と共に生きることを教えられるとは、真の教育、教育のあり方、しいては、どう生きるかを考えさせてくれる暮らしぶりでおました。


5.不倫と南米~吉本ばなな・(10.26)
積読本の山から三年越しに引っ張り出した本。
久しぶりに良い本に出合いましたな。
南米を舞台に、七人の狂おしい恋と家族の絆、吉本ばななさん、エッセイや絵本ばかりで、小説ってまともに読んだことはなかったかも。
なんとも、ブエノスアイレスのアルゼンチンの異国の熱気と混沌とした街中の適当さ、気が張ることもない居心地の良さ、その状況が沢山の山口昌弘さんの風景写真と原マスミさんの挿画によって大人の絵本に・・・。


6.四字熟語グラフティ~五味太郎・(3.5)
五味太郎さん、言葉道楽で四字熟語を詳細説明、自然些少、大人絵本、至福時間、生涯座右、・・・些少紹介。

生存競争・漁夫之利・我田引水・弱肉強食・画龍点晴・自由自在・一方通行・以心伝心・適材適所・一目瞭然・輪廻転生・公私混同・先憂後楽・責任転嫁・起承転結・栄枯盛衰・無理心中・馬耳東風・愚問愚答・悪事千里・孤立無援・支離滅裂・男女平等・烏合之衆・賛否両論・魑魅魍魎・天地無用・連鎖反応・自問自答・過大評価・四苦八苦・花鳥風月・家庭円満・前代未聞・一期一会
「ごまめの問題」・・・次の人物にふさわしい四字熟語を上から五つ選べ。
・菅義偉・・・(   )(   )(   )(   )(   )
・森喜朗・・・(   )(   )(   )(   )(   )
・安倍晋三・・(   )(   )(   )(   )(   )
・橋本聖子・・(   )(   )(   )(   )(   )
・山田真貴子・(   )(   )(   )(   )(   )
少し問題易し過ぎましたか・・・。
四字熟語って、格式ばって偉そうに使うとなかなか効果的です、そういう意味で政治家さんにはぴったりでおますな。


7.汽車に乗って 船に乗って~阿川弘之・(7.26)
阿川弘之さんの自選紀行集、この時代の方の本はよろしいな。わが青春と重なる部分も多く懐かしさがこみあげてくる。あのマンボウの北杜夫、狐狸庵の遠藤周作との三人旅は、気ままにそれでいて憎まれ口も交わしながら、うわべだけの気遣いで過ごす、高校生がほたえているような、なんとも愉しそう。こんな友人、またそのような友人と行く旅羨ましい限りでおます。


8.短歌ください・君の抜け殻~穂村弘・(10.4)
「ダ・ヴィンチ」の「短歌ください」に連載されている投稿作品から選者の穂村弘さんが選んだ歌をまとめたもの。
その中でも、私が気に入ったのが44短歌、でもその中でも波長の合う人は既に歌人としてデビューされている方がおられて、鈴木晴香さんと柳本々々さん
木下龍也さん、岡野大嗣さん、柳本々々、九螺ささらさんがおられてその中でも気にいったのを抜き出しておきます。

鈴木晴香さん
「本」・「喜びと怒りと悲しみと楽しみ」太ももに挟んだ広辞苑
木下龍也さん
「祭」・路地裏でわたがし味のきみの指をふくめばとぎれとぎれのひかり
岡野大嗣さん
「果物」・念のため林檎も鞄に入れている果物ナイフ持ち歩くとき
柳本々々さん
「酒」・すきなひとのすきなひとのはなしをきいている そのすきなひとにもすきなひとがいる
九螺ささらさん
「忍者」・ルーシーに「忍者って、いるの?」と聞かれ「少なくなった」と答えるわたし
でも一番のお気に入りは、
ウチヤマユウキさんの
「自由」・ごはん派とパン派の最終決戦にうどん参戦 カレー観戦
と、栗原夢子さんの
「自由」・生きていく理由はいくつおつけしますか?産まれた意味はあたためますか?


9.Lily.日々のカケラ~石田ゆり子・(10.2)
インスタグラムでちょくちょく見かけてファンになった石田ゆり子さんの本。単にタレント本と思いきや、石田さんの“すっぴん”が見れて素敵な本。プライベート写真のお顔だけではなく、普段の生活ぶりが“すっぴん”、生き様が“すっぴん”、身につけているものが“すっぴん”、身の周りに置いてあるものが“すっぴん”、毎日の食事が“すっぴん”、人とのお付き合いが“すっぴん”、書くことによって自分と向かい合える“すっぴん”、しなやかな頑固者と言える“すっぴん”さん・・・・日々の暮らしがすべて“すっぴん”です。
“すっぴん”生活って、自然で素敵です。


10.文豪春秋~いしいひさいち・(4.16)
よろしいな、こんな息抜き、漫画の醍醐味。登場人物が野球選手を彷彿させる名前と顔のキャラ、それだけでもたのしくなる。主人公の作家広岡達三、推理作家の田淵コースケ、川上哲学先生、藤田元先生、鶴岡先生、西本先生、金田先生、長嶋茂吉先生、森祗明先生、関根潤三郎先生、あと、江本、青田、豊田、牧野、秋山、王、吉田、など往年の野球の名選手が登場、懐かしさと濃いキャラでニヤリ。抱腹絶倒の四コマ漫画。還暦過ぎた方必読でおます


11.黄色いマンション黒い猫~小泉今日子・(1.18)
美人に目を見て話されるとメロメロになりますな、それもあのキュンキョンこと小泉今日子さん。50歳の独身女性の本音が、小さな声で呟かれる。
インスタの本紹介であちらこちらで見受けますが、単なるタレント本ではなくひとりの女性の生きる覚悟みたいなものがひしひしと伝わってきます。
是非本屋であとがきとでもいうべき、最後の章「逃避行、そして半世紀」を立ち読みしてください・・・必ずレジへ持っていきたくなるでしょう。


12.文学はおいしい・小山鉄郎・(6.24)
一粒で二度美味し、いや三度美味しい本でおます。
日ごろ馴染みのある百種類の食べもの、飲み物を取り上げいるが、単に食べ物の紹介だけではなく、その食材が出てくる文学作品の紹介、それ以上に興味が湧いたのはそれらの食べものの食文化史の紹介である。明治5年(1872)に政府は千二百年間の肉食の禁をとき、天皇が肉食をする。肉食は日本人の体位を向上させる富国強兵策だったと。今、ステーキや焼き肉とか当たり前に食べてますが、まだ食べ始めて150年しか経ってないんですよ。


13.ことばのいたずら~五味太郎
このまえNHKで五味さんの世界を紹介、独特の感性で作品を生みだしておられる、そこで早速図書館で選んで二冊借りる。五味さんの「わざわざことわざ」は大昔に読んで手元に置いてあるんですが、五味さんの良さは絵だけではなく言葉にもユーモアが溢れていることです。
表現の手段に絵があるだけで、ことばの楽しさは、、井上ひさしさんや落語にまで通じるもの、私にとっては大好きな大人の絵本作家のお一人でおます


14.新しい分かり方~佐藤雅彦・(5.2)
あの佐藤雅彦さんの代表作でもある「新しい分かり方」をようやく読む。物事を知るにはあらゆる角度からの認知の仕方がある。「人間ってこんなわかり方をしてしまうのか」、錯覚というか思い込みというか、日常においては目のあたりにした情報だけを頼りに、独りよがりに判断していることがいかに多いか。
NHKのアナウンサーが天気予報のコーナー言ってはいけない言葉を例に挙げていってましたが、「明日はいい天気になります」とはNG。「一般的には晴れはいい天気かもしれませんが、雨を望んでいる、農業をやっている方たちには、一概に、晴れはいい天気とは言えないんです」と、すべてに裏と表、逆の方向からの視点が必要ということです。そういう新しい分かり方をみせてくれる一冊でおます。


15.旅の断片~若菜晃子・(11.25)
とっても楽しい旅の本。それも有名な街、有名な旧跡でもなく、普段着の人たちと触れ合う。好きなTV番組に「迷宮グルメ異郷の駅前食堂」がありますが、まさにその女性版(ご夫婦で移動してますが)。
全編、自分の好きなことしようじゃないかの精神が満ち溢れている。
出会ったある画家は沢山ある自分のコレクションを前にして「ものが増えるのはよくないという意見もあるけれど、生きているうちは好きなものに囲まれて生活する方がいい」と。あの梅原猛さんは、「自分がしている仕事だの研究だのは、他人のためではなく、自分がしたいからしているだけ。すべて自分の満足、自分の欲求、自分の納得のためでしかない。自分にできることなんて、たかが知れているのだ。だからこそ、自分のために生きればいいのだ。」と、
いいですな・・・自分のために生きる。


16.欲が出ました・ヨシタケシンスケ・(3.1)
『欲が出ました』。ほっこりしたいときすぐに手にしたい欲が出ました。くやんだ時にもう一度読みたい欲が出ました。気軽になんどでも読み返したい欲が出ました。気兼ねなく手元にずっと置いときたい欲が出ました。図書館に返したくない欲が出ました。・・・裏を見ると定価1000円、安いです。小さな欲が「所有欲」塊になって『物欲』に変化してしまいました。
九つの付箋の箇所があるんですが、買わなければ書き留めて置くんですが、買うと決めたのでなし。・・堂々の五つ星でおます。


17.たちどまって考える~ヤマザキマリ・(3.11)
なかなか骨のある本でおます。ヤマザキマリさん、漫画家、文筆家の肩書だけではなく世相評論家とでもいうべき今のパンデミックで動きを止めた社会に、自ら「考える」ことの重要性を説く。

こんな時こそ、たちどまって考える、社会や自分に向き合うことのできる。
・自分を知るには映画や本や音楽は自分で自分を知る鏡としては最高の素材になります。(本はほんと、たちどまって考えるきっかけと時をくれます)
「人々が社会生活を維持するうえで、必要不可欠な仕事に従事する人」と。そういわれると改めてアパレルに従事した自分の仕事、社会における必要性、重要性、など改めて考えさせられますな。・・もちろん裸で暮らすわけではないですし、終始単なる衣料ではなくファッションを提案してきたのですが、そこには着る喜び、着れば身も心も晴れやかになって元気になると、優先順位ではどこにくるかわかりませんが携わってきました。まあそんな、ゆとりの感じる世の中に早くなって欲しいですな)
まあ、いろんな意味で「たちどまって考える」、そんな本でおます。


18.きんぴらふねふね・石田千・(7.1)
食材に関してこれだけのエッセイが書けるなんてすごい。
別に高級レストランでの話ではなく、日頃誰もが口にしている食べ物ばかり、でも日に三度は食事をとらなければならないだけにおろそかではなく、大事に食と向き合っている。

もう、冷やし中華食べましたか。
このように、季節感のある言葉、大切にしたいですね。


19.作家と楽しむ古典 平家物語・能、狂言・説教節・義経千本桜・(5.9)
古典の文学を楽しむのではなく、芸能論である。文学、文芸は、文字である前はもともと語り、声であった。「平家物語」、「能、狂言」、「説教節」、「義経千本桜」、どれもまずは声にのせて伝えられる芸能だった。能や狂言、特にあの文楽における浄瑠璃の心を揺さぶる感激、効果はまさにそれである。
「平家物語」では死、「能、狂言」では幽霊、「説教節」の涙、「義経千本桜」の死と、すべてのことが死をもってにつながる当時の人の死生感がうかがえる。

あの浄瑠璃を聴いて涙がにじんでくるのは、どこか私たちのこころの奥と共鳴してるんでしょうか。涙ぐむのも決して恥ずかしいことではないとこれからは居直って堂々と聴けます、コロナも落ち着いて早く文楽劇場へ行きたいもんですな。


20.正しい暮し読本~五味太郎・(2.22)
またもや、五味太郎さんの絵本、思わず楽しくてすぐに読み返しました。
おとなが見ても、楽しく、ほんわかとさせてくれる本。
「正しい買物のしかた」は、そのまま70歳前の老人にあてはまりそうだし、「正しい犬のかい方」「正しい猫のかい方」は自分の都合でペット化してはならないと、「正しいテレビの見方」は人間らしく見る方も対応、対応に値しない番組はすぐ消すこと。「正しい本の読み方」では、①よくわからない本をずっと読んではいけません。本はがばって読むものではありません。②おもしろくない本をずっと読んでいてはいけません。本は無理して読むものではありません。③無理して、がんばって読んだほうがいい本は一生のうちに150冊ぐらいしかありません。・・えぇ、150冊もあるんですか・・辛いですな。あと「正しいだまし方、だまされ方」とか、「正しいしかられ方」とか、幾つ何十になっても役立ちそうなことが書かれています。

よく見ると【ただしい くらしかた どくほん】と、これは【絵本】ではなく【読本】、かみしめて読んでください。

今年も、一年間、「ごまめのいちょかみ・ほんの少し」をご贔屓いただきありがとうございました。来年は、積んである本の山を平たくしたいと思っております。皆様、良いお年をお迎えください。・・・・ごまめ。





コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ごまめ自家製パスタ・501~20... | トップ | 2021年・ごまめの落語・BEST2... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

年間BEST・・・・」カテゴリの最新記事