![]() | うまや怪談 (神田紅梅亭寄席物帳) (ミステリー・リーグ) |
クリエーター情報なし | |
原書房 |
☆☆
愛川晶さんの落語シリーズ、第三弾。
噺は「ねずみ」と「厩火事」と「宮戸川」が下地になって噺がすすむ。
でも、謎解きはあるが、犯罪とか死人とは縁のないところで、難題だけが解きあかされていく。
この本のおもしろさは、落語を「どう演じるかのところである。
例えば、「厩火事」であのお埼の相談にのる「にいさん」てのは・・・あれ、何者なんでしょうかねえ」と
主人公の落語家の福の助が疑問に思う。
噺の中の登場人物は、侍なら侍らしく、職人なら職人らしく、商人なら商人らしく、見えなくちゃならない
そのためには、言葉遣いはもちろん、仕草や表情まで変える。・・・でも、言うことは年寄りじみているが、年は若そう。
「にいさん」というが、まさかお埼の実の兄貴ではじゃあるまい。義兄でもない。二人の仲人したのは確かだが、
もし、商人だったら、お埼が「旦那」と呼ぶだろうし、鳶の頭や職人の棟梁にしては、妙に学がありすぎる。
志ん生師匠は、お埼がにいさんの女房の髪を結いに来た時、二階に居候している半公に惚れたと・・。
息子の、志ん朝師匠だと、もっと具体的に「死んだ親方ところで、俺と一緒になって修行した弟弟子だ」と。
ひょっとしたら、お埼の亭主とおなじ、髪結の亭主だったりして・・・と、へんなところでひっかり、
日頃聴いているいる落語の世界が更に深みを増す。
「宮戸川」では、宮戸川の云われとは・・・相撲取の名前では「千早振る」だし、
実は、宮戸川は「隅田川」の別名と。駒川あたりから上流を隅田川、下流を宮戸川と呼んだらしい・・と。
で、この噺には後半があって、ちゃんと川が出てくるらしい。
(語れば、長いので、割愛、興味ある方は・・調べるか、この本を読まれるか・・・)
結構、各噺の演じられ方など、噺のウンチクが方々で語られ、飽きない。
はまってしまいましたな、愛川晶さんの落語シリーズ・・・・、あとの「三題噺・示現流幽霊」も読まなくては。
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