ごまめ~の~いちょかみ・Ⅱ

趣味(落語と本)の話と大好きなうどんを中心に、ごまめになってもいちょかみで幅広くお届け

珍品でわかる実力~文我・宗助・二人会

2009-07-12 00:47:49 | 太融寺


・・・・・本堂横の13重の塔・・お寺さんの数字はいつも素数ですな・・・

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普段聴けないネタばかり、上演されない理由は、
単におもしろくないのか、難しくてウケナイのか。

チラシにもあるように、吉と出るか、凶と出るか、
まあ、最初に口にする料理のように、
一流を食さなければ、あとで後悔します。

そういう意味でシェフとしては、今日のお二人は最適でおますな。

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いつもの太融寺の落語会より、ゆったり目のほぼ90名。

冷房が効いて寒いぐらい、
係りの人がエアコンの温度設定今24℃ですがどうしましょうかと
客席のお婆さん「私の年の26度位では」。と
そのあと、「実際の86度にしたら、皆煮えくりかえりますな。」
落語会に来るおばあさん、やはり粋ですな。



一、桂二乗・・・・・・・・・・・・・「牛ほめ」

いつものごとく、牛ほめの場面は一切なし。
普請誉め、どまり。・・・・でも、上手い。

前座時代の、宗助さん、さぞこんな風だったのではと思わすぐらい
華美でなく、それでいて端正、まさに端麗な落語。

サゲは、「これだけの口上、よう頭にいれてきたな」
「いや、フトコロにいれてきました。」でおました。

米朝一門の本道を進む二乗さん、新ネタへの挑戦楽しみですな。


二、桂文我・・・・・・・・・・・・・「鉄拐」

「拐」の字、これを見たら誘拐しか思い出しまへんな。
漢和辞典を引くと(久しぶりですが)、かどわかす、
人を騙して金品をうばうの意。

中国の噺なので、マクラで、20年ほど前に上海ヘ行った時の話
10年後、中国が日本を潰すのには容易い事だと、
どうするかと聞けば・・・・
今自転車が氾濫しているが、そのうちすべてが自動車に替わった時
排気ガスが黄砂のように流れて、日本を襲う。

もう、ひとつに、国民全員が海岸線に手をつないでづらっと並んで
いっせいにジャンプして、着地すれば、理論的には、大津波が発生、
日本は沈没すると・・・。ただ問題は、国民性も含めて、
息をあわせて、ジャンプするのが、難しい・・と。

これまた、さすが枝雀師匠の弟子、理屈っぽいマクラ。

噺は、中国が舞台のはなし、地噺で語る。
山里離れた、千人が、街中で芸を披露。

談志と、三代目三木助さんが演じたらしいが、
東京でも、演じる方は少ないらしい。

でも、この噺のおもしろさ、ようわかりまへんな。
今日の目的は、けったいなもん見たさに来ているので、
まぁ、文句は言えまへんけど。


三、桂宗助・・・・・・・・・・・・・「三年酒」

このあとの、「ネタあれこれ」で、
宗助さん、この噺次ごう10回演じているとか、
師匠の米朝に、お寺で二回ほど演じたと報告すると
「ええ、度胸しているな」と感心されたと。

まあ、神道の講釈に凝っていて、
寺ではなく、神社で葬儀をするというはなし。
その菩提寺のお寺にその旨を言いに行くのに、
「オネオネの佐助」、「傲慢の幸助」、「コツキの源太」の
三者三様のキャラがおもしろい。・・この噺の山場。

三年酒という、酔い潰れると、三年意識がなくなるという酒
死んだもんと思っていたが、幸い神道で火葬ではなく土葬にして
助かる。・・・生き返ったおやっさん、「のどが渇いたので、冷で一杯」
「ああ、焼かな、直らん」というのがオチ。

でも、人が生きかえるだけでも、このはなしよろしいな。


五、桂宗助・・・・・・・・・・・・・「近眼のニ売屋」

飛び込んできた友に、一杯の酒も、アテも食べさすことなく
一人で呑み、食す。

このきずし、このわた、さわらの焼いたん、焼き豆腐と一口ずつ
口へ運びながら、酒を呑む。・・・・・この場面、宗助さん秀逸。
ほんま、糖尿の気がある私ですが、
今日は冷やが呑みたくなりましたな。

そのアテ、すべてを煮売屋を騙してとってきたと言うのを聞いて
盗りにいくが、サゲは愛宕山のごとく、注文の品忘れてくる。

でも、他の盗人の噺は、泥棒が間抜けで頭から失敗するので
憎めん笑いがあるのですが、、
これは、強盗まじきで実行、やはり道徳上、問題を感じますな。

呑みたい友を前に、わかっていながら焦らして呑む酒。
おもしろさもこの場面、まさに「一人酒盛」のショート版。


六、桂文我・・・・・・・・・・・・・「佐野山」

負け続けの相撲取りが、大関谷風との、情け相撲で結びの一番。

「でるとまけ」というあざなまでついて、大関の体に触れば一両、
前褌をとれば三両、土俵際まで押し込めば十両と、口々に
勝つ見込みがないと、てんでに、応援する。
大関の油断もあって勝負は、意外や意外、「でるとまけ」の勝ち。

よくタレントが、キャラがかぶる芸人さんは要注意。
坐れる椅子は、ひとつなので、同じ芸風はいらないと言いますが。

同じ様な噺で、「花筏」が内容たっぷりで軍配があがったようで。

でも、今日の珍品シリーズ、どれも楽しませてもらいました。
噺家としての、技量、あからさまにこういう噺分かりますな。

また、普段よく高座にかけられる噺は、
残るべくして残った噺なんですな。

中堅落語家さん、この様な埋もれている噺を復活させるのも、
うでを磨く、良い修行のひとつでおますな。





裏手にある、不動明の像、奥には水が流れている。
大阪、梅田のど真ん中にこの様な処があるなんて・・・。



第十一回・文我・宗助・二人会
2009年7月12日(日)午後1:30開演
太融寺

一、桂二乗・・・・・・・・・・・・・「牛ほめ」
二、桂文我・・・・・・・・・・・・・「鉄拐」
三、桂宗助・・・・・・・・・・・・・「三年酒」
仲入り
四、文我&宗助・・・・・・・・・・「ネタあれこれ」
五、桂宗助・・・・・・・・・・・・・「近眼のニ売屋」
六、桂文我・・・・・・・・・・・・・「佐野山」



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