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ごまめ~の~いちょかみ・Ⅱ

趣味(落語と本)の話と大好きなうどんを中心に、ごまめになってもいちょかみで幅広くお届け

硝子のボレット~田丸まひる

2019-06-27 05:05:05 | 本の少し
 ☆☆☆

“短歌タイムカプセル”で好きな歌が多くあった歌人が七名。
田丸まひるさん、そのなかのお一人。

このまえ、“葉ね文庫”へ行った際、購入した本の中の一冊。
なぜか、大事に、大事に読みましたよ・・・・。

気になった歌は、

美しい傘をいっぽん抜き取って空とふたりを遮断する夏
こいびとはひとりでもいい傾いた電信柱にもたれるように
ひとりしか抱けないひとのゆるやかな眠気を今は受け入れている
きんいろのバターナイフをすべらせて始めるなにも選ばない朝
こいびとの膝の裏から亜熱帯めいたにおいがこぼれたら夏
こなぐすり飲むときだけは少年の時代の顔を見せるのですね
やわらかな炎に水をこぼすときあなたの淡い悲鳴 ちがうの
父親になってくれないひとなんか捨ててしまえと書く診断書
こいびとが三人いれば三倍のしあわせかしら に答えられない
くちびるの感触はなぜひとりひとり違うのですか に答えられない
おとうとのカルピスは濃くこいびとのカルピスはやや甘くする朝
くるぶしは男の肩に載せるためにこんなかたちになったのですね
お互いのうろこを外し合うときに目からこぼれるひかりが好きよ
透きとおる部屋、透きとおるわたしたち眠れる眠れないどちらかが
そんな軽いかばんひとつで会いに来てわたしを入れますか入れませんか
下着入れに忍ばせている石鹸のような感情ひとつ渡せない
ソープ皿購うときは匂い立つふたり暮らしをやさしくはらう
ドーナツがぐしゃぐしゃなのも性愛の思い出にしてよいのでしょうか
体ではないものばかりなじむからあなたのものは返さないから
さびしさをめくってほしいかなしみをはがしてみたい上澄みだけ、 でも
しますか。しないのですか。今もまだ日暮れのようなわたしの体
ブルーベリージャムをチョコレートに載せてもっと汚れたこと言っていい?
愛してるどんな明日でも生き残るために硝子の弾丸を撃つ
(弾丸=ボレット)

コメント
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