ごまめ~の~いちょかみ・Ⅱ

趣味(落語と本)の話と大好きなうどんを中心に、ごまめになってもいちょかみで幅広くお届け

短歌ください~穂村弘

2011-06-08 05:45:53 | 本の少し
短歌ください (ダ・ヴィンチブックス)
クリエーター情報なし
メディアファクトリー

☆☆☆

この本は、「ダ・ヴィンチ」に2008年5月号から2010年10月号まで掲載された
「短歌ください」をまとめたものとか、読者の投稿による短歌に、穂村弘が選び、
多少の選評を加えたもの。
投稿作品でありながら、あまりの、読者の切り口の斬新さに驚く。

短歌を読み、穂村さんの選評を読み、最後に作者の性別と年齢を見る。
納得する時もあれば、えぇと想像していた人物との差異に、もう一度読み直すこともたびたび。
短歌の中に、含まれる情景、心情、を想像摺るのは、落語の世界に相通じるものがある。

気に入ったというか、解りやすかった、作品を紹介。(あえて、作者、性別、年齢も列挙)

[恋愛]
銀行で暗証番号入れるたびに隣の君にゴメンと思う (編集部S・女・30代)
ごめんなさい。絶対告白しないから、どうか近くに置いて下さい (百舌・男・18歳)
もし俺が宇宙人でもとりあえずいい人止まりで終わるだろうな (木下侑介・男・22歳)
[数]
「日本野鳥の会」にいたという人よ 私をかぞえたことありますか (やすたけまり・女・47歳)
四十肩 三段腹に 二十あご 一重まぶたで ツンツルあたま (水野川順平・男・32歳)
おにぎりを三個持たせる母が言う余れば誰かに差し上げなさい (ヒポユキ・男・44歳)
[音]
最後だし「う」まできちんと発音するね ありがとう さようなら (ゆず・女・18歳)
[眠り]
つむってもひかりが入ってくるのです。うすい瞼はお嫌いですか? (いさご・女・19歳)
[家族]
野菜ならどんな物でも漬け物にすると宣言父の信念 (晴家・男・26歳)
靴たちのそれはそれは美しく並ぶ玄関にいる (陣埼草子・女・31歳)
[機械]
ケータイの電池の値段ケータイで調べてるうちに電池が切れる (ヒポユキ・男・44歳)
考えることはあっても想うことのないロボットに僕はなりたい (まつもとよういち・男・33歳)
[匂い]
どの道を帰ってきたの全身に悲しみの匂いこびりついてる (西野明日香・女・47歳)
君は君の匂いをさせて眠ってる同じシャンプー使った夜も (ひろ・女・19歳)
[乗物]
午後28時の人と隣り合い電車に揺られている午前4時 (亜にま・女・20歳)
[時間]
奈良の鹿虚空を見つめ動かないそこだけ時間が止まっているのか (ゆり・女・18歳)
一秒でもいいから早く帰ってきて わかめがすごいことなの (伊藤真也・男・35歳)
[音]
CDを手にしただけで音楽を聴けたら良いな天使みたいに (麻花・女・26歳)
ヴォリームをゼロに落としたラジオから一番好きな歌が聴こえた (わだたかし・男)
[飲食]
もう二度と人の食べ物を笑わない一番低いところから落ちる (あんぷ・女・25歳)
白玉の歯にしみとおる秋の酒はしづかに飲むべかりけり (若山牧水)牧水でした。
ちょっとまてそのタイミングじゃないでしょう八宝菜のうずらのたまご (チヲ・女・25歳)
[お金]
百均でこれはいくらと訊いてしまう青空よあの街まで届け (虫武一俊・男・28歳)
[薬]
透明になれる薬を飲んだあと誰もわたしを探していない (岡本雅哉・男・36歳)
ねぇ、あしたふたりで下剤飲もうかと日射しのなかできみは笑った (イマイ・女・31歳)
[癖]
じゃんけんでいつも最初にパー出すの知っているからわたしもパーで (須田千秋・女・)
[日本]
“一日の翌日二日は日曜日”素人泣かせのしかくな記号 (やかず・男・23歳)
 (ついたちのよくじつふつかはにちようび)四角と四画。
手触りで自分国を知っている例えば蜜柑、お茶椀、たわし (鯨井五香・女・25歳)
[トイレ]
あと一歩前へ トイレの貼紙をホームの端で思い出してる (岡本雅哉・男・36歳)
[記憶]
「いつまでも変わらない味」と書かれているくせに僕には変わった気がする (カエル目隠し・男・22歳)
[虫]
大きければ縮小され小さければ拡大されて虫は図鑑に (古屋賢一・男・31歳)
[宝物]
のうみそのいちばんちかいところまでとどくきみのくれたみみかき (こゆり・女・26歳)


[自由]
総務課の田中は夢をつかみ次第戻る予定となっております(辻井竜一・男・29歳)
夕闇の光かすかに反射して老人が老人に譲る車内 (鳩山豆子・女・26歳)
「髪切った?}じゃなく「髪切ったんだね」と自信をもって言えばいいのに (はりぼ・男・19歳)
目の前を電車がとおりすぎる度泣き出しそうな顔をする、あなた (ちゃいろ・女・21歳)
四年間使い続けたケータイの機種変更はすぐに終わった (月下燕・男・37歳)
寝返りをうったら君も少し起き僕を見つけてまたねむる ゆめ (空山くも太郎・男・33歳)
するすると赤いリボンが落ちてゆくりんごの香り終わらない夜 (シラソ・女・24歳)


ヒポユキさんが、二度登場するなんて、私の好みにはやはり一定の基準がありそう。
でも、選んだ中に、牧水が入っていたなんて、結構、自己満足でおます。

今月号の「ダ・ヴィンチ」を買って、最新の「短歌」を読まなければ、
そして、一度投稿してみたくなった穂村弘さんの「短歌ください」でおました。


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こうしてみると個性派揃い~動楽亭・昼席

2011-06-08 01:38:21 | 動楽亭

久しぶりに動楽亭へ、

千朝さんの会もあったが、米朝一門の多彩な顔ぶれにひかれて、動楽亭へ。
一人で行くのはさみしいので、落語日記さんにお声掛けして、ご一緒に。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

久しぶりの動楽亭の舞台、いつのまにか提灯が無くなっている。


これが座り心地最高の、噂の座椅子。
結構足も伸ばせれる空間。


後ろから見ると、さながら、飛行機の座席のよう。
あまりの座り心地の良さに、すぐさま睡魔が襲ってくる。
寝てはいけない、寝さしてはならぬと、演者もお客さんも、真剣勝負ですな。

一、桂あおば・・・・・・・・・・・・・「桃太郎」

開演10分前に、修行の為の一席。
昔の親と、今の親とは違うと、でも声が通らない。
まずは、眠たそうにしている客を起こすぐらいの、声をださなければ。
ざこばの8番弟子とか、もう孫弟子ができているのに、今さらと思うが、
ざこば一門、皆年季明けで、身の周りの世話するものがいないのでの入門か。

二、桂優々・・・・・・・・・・・・・・・「運廻し」

師匠雀々さんの得意ネタ。
さすがに、あおばさんに比べると、声も大きく、張りもあり、安心の分、笑いがおきる。
顔の表情も豊かになり、たのしさが増していく。
トマトン、キュウリン、パセリン、セロリン、アスパラガスン、最高潮のあたりから笑いも大きくなる。
前回の出会いであった今年の1月パンジョ寄席から、はや5カ月、若い人の成長は早いですな。


三、桂ちょうば・・・・・・・・・・・「看板の一」

マクラは師匠ざこばのバクチ、バク才について。
動楽亭の後ろには、世界のカジノのチップが額に入れて飾ってあるし、
このまえ、友人の馬に、ちょうばさんの月収分、単勝1本買いで賭けると・・当てる。
配当金は、中穴で、凄いお金。馬券を買ったり、払い戻しへ行ったりしたのに、あれえ
こずかいは、一切無し・・・・・・。

噺は「看板の一」博打打ちのおやっさんは、江戸帰りという設定で、大阪人の使う江戸言葉が
何か、たどたどしく、味になる。・・・師匠に似ずの、あっさり、すっきり味に好感。


四、桂よね吉・・・・・・・・・・・・・「稽古屋」

みるたびごとに、太り気味の、よね吉さん。
落語家として、他の芸事も身につけなければと、長唄、踊りなど通うが、
一般の人と違って、教え方も厳しく、長続きしない。

噺は「稽古屋」、稽古屋のお師匠さんの色っぽさ、軽さ、小粋さがなく、
日頃の師匠連への恨みがあるのか、ひつこく、こってり味で重たい。

「恋は指南の他でおます」と、ショートバージョンのサゲまでもいかず、途中で終わる。
・・・・・・・・・・・・・・・・残念。


五、桂雀々・・・・・・・・・・・・・・・「夢八」

でてくるなり、マクラ無しで、即「夢八」へ。たまにはこんな雀々さんも素敵。

汗ダクダクの熱演、「着物、洗濯せんといかんけど、これほど熱入れてやるほどの、
ギャラ、今日は貰うてないんですよ」と。

でもいつも通りに、主人公の夢八は、恐怖の中で床を叩く、御握りをほうばる
人間究極になれば、普段では想像できない様な行動にはしるんでしょうな。

仲入り

六、桂雀松・・・・・・・・・・・・・・・「磐若寺の陰謀」


小佐田定雄さんの作。
落ちぶれた寺の住職が寺が参詣客でに賑わうように興業師に相談。
裏のボウフラ池から龍がでると噂を流すと、実際に龍が立ち昇る。
天狗が登場し、阿弥陀さんがかっぽれを踊ると、住職が言えばすべて現実に。
言葉の言い違いで、興行師が消えてしまい。「私一人になったら、なんにもできへん
丘に上がった河童といっしょや。」というと、頭に皿が・・・・サゲ。

三つの願いが叶うと言われ無駄に使ったり、鼻が伸びたりこれはピノキオか
よくイソップ童話かなんかにありそうなハナシ。

新作でありながら、連れの落語日記さんによると、前にも聴いたことがあるそうで、
何度もかけられているネタらしい。(ちなみに、7月23日の繁昌亭で雀松さんで公演予定)
雀松さんならではの、運びで、楽しめる噺でっせ。


七、桂宗助・・・・・・・・・・・・・・・「蔵丁稚」

よく通る声、宗助さんの声が、大音量で響きわたる。

四段目の芝居の上手さは、ピカ一だが、逆に落語の枠を超えてしまったようで
「旦さん」・・・定吉の現実の声にも落語の世界に、戻りきれず、なぜか笑えない。
感心過ぎて、何か落語としての居心地の悪ささえ感じてしまう。
落語の中の芝居、劇中劇、・・・完成度が高すぎても、落語としての笑いは半減するようで、
難しおますな。

何か、宗助さんの濃い、こってり味に、少し飲み水が欲しくなった「蔵丁稚」でおました。

でも、端正な米朝一門の中でも、これだけの多種多様の色んな味があるんですな。
再認識した動楽亭・昼席でおました



動楽亭・昼席
2011年6月4日(土)午後2:00開演

一、桂あおば・・・・・・・・・・・・・「桃太郎」
二、桂優々・・・・・・・・・・・・・・・「運廻し」
三、桂ちょうば・・・・・・・・・・・「看板の一」
四、桂よね吉・・・・・・・・・・・・・「稽古屋」
五、桂雀々・・・・・・・・・・・・・・・「夢八」
仲入り
六、桂雀松・・・・・・・・・・・・・・・「磐若寺の陰謀」
七、桂宗助・・・・・・・・・・・・・・・「蔵丁稚」



帰りに寄った、天王寺のルシアス内の居酒屋「昼から飲める店」。
美味くて、安くて、気持ちが良くて、のんべえには最高のお店。


天井に張ってあった、川柳?。出どころはお客さんかはたまた、サラリーマン川柳なのか。


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