旅芸い者放浪記

前沢政次 ブログ

なぜ医師を志したのかなあ

2012-04-08 00:00:32 | 読書

今回記者さんには「シュバイツァーの『わが生活と思想より』を読んで」と説明しました。

その理由は鈴木さんも書いてくれた通りです。この本にガーンと一発くらったのでした。

高校2年の夏です。確か夏休みが始まる前の日曜日、幼馴染の寺田肇君とクラスメートの曳野哲郎君と3人で神保町に出かけたのでした。そのとき買った本の1冊がこの本でした。

・・・なんて自分は自分のことしか考えてなかったのか。境遇を呪ってみたり、ただ学校の試験の結果に一喜一憂したり、将来に大した夢もなく・・・

この本は今、手元にありませんが、たとえ職業が何であっても直接人間に仕えることの意義を語っていました。シュバイツァーはこの本で「生命への畏敬」という思想を最も強く訴えているのですが・・・。

 

もはや時代は過ぎゆき、医療の仕事についている人もシュバイツァーを知る人は少なく、話が通じません。

シュバイツァーはドイツに生まれ、恵まれた環境の中で神学、哲学、音楽を学び、この分野でたくさんの著作をあらわしています。ある日、人間への直接の奉仕すべきであるという啓示を受け、30歳を過ぎてから医師を志します。医学部を卒業してすぐアフリカに行きます。ランバレネに診療をつくり、原住民の方々の健康を守る仕事に一生をささげたのでした。

日本人の何人かの医師もシュバイツァーのもとで働きました。野村実先生や高橋功先生の講演はぼくの医学部学生時代に直接聞くことができました。

シュバイツァーは戦争や原子力に強く反対し、ノーベル平和賞も受けています。

帰りの汽車の中、曳野君はぼくが買った本を見て「前沢も医者になるのか?」と聞いてきましたが、ぼくはまだ本を読んでなかったその日、「全然(医者なんかなる気ない)」と答えました。嘘でなく。

曳野君は医学部進学をがんばり続けましたが残念な結果で、ふるさと行方市麻生で「一葉亭」を経営していると聞きました。一度訪ねてみたいと思いつつ、何十年も過ぎてしまいました。

 



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