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俳優・勝地涼くんのこと。

『阿波DANCE』(2)-1(注・ネタバレしてます)

2008-11-16 01:52:21 | 阿波DANCE
・クラブのステージでヒップホップを踊る四人の女の子たち。
『阿波DANCE』というタイトルからしてダサかっこよさげな作品をわかりやすく格好良いシーンから語り始める。定型だけに手堅い導入部。
ローマ字と漢字両方でキャストの名前を表示する手法とその出し方もヒップホップに似合いのクールさです。そして締めの「阿波DANCE」の文字はロゴがやはり微妙にダサい。このあたりのコントラストが上手い。

・「ニューヨークで踊らないか?」と誘いをかけられた直後のシーンで「徳島!?」と徳島への引越しが決まる(笑)。
この「ニューヨーク-徳島」の対比が「ヒップホップ-阿波踊り」の対比に繋がっていきます。

・いきなりの引越しはまだしもいきなりの両親の離婚を告げられる茜(榮倉奈々さん)。こりゃあんまりですが、徳島へ引っ越すことの方が動揺度合いが大きい。
ずっと別居中で離婚は時間の問題だったんでしょうから、茜にしてみれば当面の生活&ダンサーとしての将来設計が激変することの方が大問題なんですね。

・徳島のローカルな駅に下り立つ川村母子。看板の隣に立つお母さん(高樹沙耶さん)の「うずしおの鳴門へようこそ~♪」のおどけっぷりが可笑しい。
それを見つつ茜は一言「無理・・・」。彼女の口癖の記念すべき初登場シーン。
服装&メイクの周囲からの浮きっぷりが、観客にも茜がこの土地で生活することの「無理」さ加減を伝えてくれます。

・「大衆食堂 うずしお」登場。そのまんまな名前ですわ。
窓側の席から順にお客の男子高校生らをカメラが捉えてゆく。作品の核となる男子4人をごくスムーズに顔見せし、彼らの暑苦しさとか垢抜けなさとかアホらしさをもさらっと示しています。
よく見るとユッキー(北条隆博くん)は医学関係の本を読んでいる。すでに後の伏線が出てるんですね。

・「おまえら知ってるか?鳴門にはな300年に一度、めっっっちゃでっかい渦が現れるんや」と語るコージ(勝地くん)。
「めっっっちゃ」というタメの長さ、顔や手の力の入り方、手にした「祭」の字のうちわ、頭のほっかむりなど、全身で暑苦しさが体現されてます。

・上のセリフの直後、壁に貼られたポスターの「心、うずうず」の文字に笑う。これほんとにあるポスターなんでしょうか?

・300年前を戦国時代というコージに「300年前言うたら江戸時代やろ」とつっこむユッキー。
それを受けての「ユッキー頭ええわ、さすが医者の息子」というミノル(尾上寛之くん)の発言で、上述の本にプラスしてユッキーが医大を受ける伏線をはっています。

・コージの語る天女の伝説に対して「女か!?」と食いつくミノル。反応するポイントが違うだろう(笑)。どれだけ女に飢えてるんだ。

・天女伝説を語り続けるコージの声をバックに船に乗る茜の憮然とした姿。天女の持つ黄金の石の話と茜の下げる金メダルがリンクするあたりが実にベタで、後の展開を確実に予測させる。
この金メダル、少し後でコージが拾うことになりますが、そのコージだけが男子四人組の中で茜を天女扱いにしないのが面白い。

・新居にやってきた茜は窓から見える鄙びた海の風景に、「人生終わった・・・」と呟く。
東京で暮らしていたマンションを一コマだけだが遠景から捉えたショットがあったことで二つの家の立地条件の違いが明らかになっているので、茜の(コミカルな)絶望感が伝わってきやすい。
直後に食堂のカズ(橋本淳くん)が「人生これからやー!」と叫ぶあたりもナイスな対比効果を生む。
しかし阿波踊りバカで伝統を重んじる、ゆえに伝承の類も信じやすいらしいコージはともかく、他の三人まで天女伝説を素直に信じてるぽいのが不思議。単に女の話なら何でもいいだけ、という気がしないでもないが。

・運ばれてきたラーメン(しかし乱暴な運びっぷりだ)に入れる卵を頭で割る四人組。
一つだけ生卵が混じっていて、それを引いた(頭が卵まみれになった)不運なヤツが全員分をおごるという・・・。店の主人(CO-KEYさん)もグルになってのロシアンルーレット。
彼らの言動はいちいち男子高校生らしいバカさ加減が満載で微笑ましいです。しょっちゅうミノルに邪険に扱われてるカズがちと可哀想ですが。

・店の前を通りかかった茜を見て「天女だ!」と騒ぎ立てるカズとミノル。
楚々とした和風美人でなくキックボードにストリート系ファッションのモデル風美少女であるあたりのずらし方がツボ。彼らにとって「天女」は「美人」程度の意味しかないんでしょうね。
スケベ心丸出しで店の外へ飛び出していくカズ&ミノルとしばし物言いたげな顔で茜を見つめてから遅れて外へ出たユッキー、さらに遅れて外に出つつも茜に対してほとんど関心を示さない(金メダルを拾ってやっただけ)コージ、とこの先彼らが茜に接するスタンスがすでにここで暗示されています。

・茜を追いかけるようとするカズとミノル、彼らを振り向く茜をスローモーションで見せる。
バックのかすかなBGMも含め「ボーイ・ミーツ・ガール」の瞬間、という感じなのに、へらへら笑顔で手足を振り回すようなカズとミノルの動きはひたすら滑稽で(しかもカズは顔面に卵つき)、振り向く茜の表情も「げっ」と言いたげな嫌悪感があらわなのが可笑しい。
さらに自転車で「天女さーん」「愛してるでー」とか言いながら茜を追いかけるにいたっては。茜にしてみればほとんど嫌がらせです(笑)。

・ほか三人が自転車でこけた後も、一人茜を追いかけるコージ。「待て言うてるやろ!」とか怒ってますが、いやあれじゃ逃げるでしょうよ。
いきなり知らない街に連れてこられて、ヘンな男たちに追いかけられて、あげくレンコン畑に落ちて泥まみれになったところを元凶の一人に笑い飛ばされる。そのうえ大事なメダルはなくなるし・・・。茜が当初この町を嫌ってた原因の多くは実はこの四人組にあるんじゃないだろか。

・「おまえ、それレンコン畑やぞ」と笑いをこらえるような声で告げるコージ。声のトーンの加減が絶妙。
そしてレンコンを持って笑顔で並ぶ畑のご主人と奥さんのショット。そのままレンコンのパッケージ写真に使えそうです。こういうしょーもなくベタな演出、個人的には大好きだ。笑ってないで助けてやんなさいよ。

・「レンコン女や」と笑うコージたち。コージはともかくカズとミノルは「天女」から「レンコン女」とは格下げしすぎでしょう。
そしてユッキーだけは笑わず真剣な顔で茜を見つめている。鼻の下を伸ばさず喧嘩腰でもなく、最初からずっと茜に真面目に好意を示してきたのはユッキー一人だった(最初は馴れ馴れしく名前呼びにせず「川村さん」と呼びかけていたし)。
中盤で茜がユッキーに一番打ち解けた態度を見せていたのは、彼のそうした生真面目な性格を買っていたからなのでしょう。

・さんざんな思いをした茜が家に帰ると、そこには「鳴門名物レンコン料理」が。すがすがしいばかりのベタさ加減です。しかもすべての皿がレンコン料理ってなあ。

・オタクっぽい白衣の教師・湯川(岡田義徳さん)の制止を堂々無視して、というかはね飛ばすようにしてキックボードで校門を通る茜。
物珍しさに生徒たちが茜の後姿に注目するのはわかるとしても、「生意気な転校生」と反発するのでなく写真まで撮ってしまうアイドル扱いなのがすごい。
コージたち四人組といい、鳴門の高校生はこんなにも純朴なんでしょうか。

・「みんなー、授業始まりますよー」とキュートなぶりっ子声と仕草から「こらぁ、いいかげんにしろ!」といきなり豹変するさやか先生(星野亜希さん)。
本職の女優さんじゃないというのに、この声の代わりっぷりは見事です。

・「教師は生徒になめられたらおしまいですからね」とさやか先生に言われてしまう湯川先生。
「だいじょうぶや、今年は絶対(渦潮の)奇跡がおとずれるんや!」と自分に言い聞かせたそばからまた生徒に突き当たられる。カズに次ぐ悲惨なポジションかも。

・黒板に「黒澤」と旧姓を書きかけて「川村茜」と書き直す茜。ハイテンポのコメディ展開ですっかり忘れてましたが、茜は両親が離婚した直後なのだった。
彼女の新生活への不安と戸惑い、寂しさがこのちょっとしたシーンに凝縮されています。

・茜が自己紹介の名前を書き終えたのも気づかず、渦の写真に見入ってタクトをくるくる回す湯川。目は宙をさまよい口はポカンと開け・・・ダメだこの教師(笑)。

・ノートに絵と文字で茜へのメッセージを書いて掲げてみせる四人組。その文面がまた・・・。君らは小学生か。
真面目なユッキーの「天女さん」メッセージと茜に特別興味なさげだったコージのイラスト付き「レンコン女」呼ばわりがちょっと意外。
後に阿波DANCE用の衣装デザインで絵のセンスを見せたユッキーが、この時点ではただ一人字のみのメッセージを書いてその画才を発揮していませんね。

・廊下で「おい、レンコン女」と茜を呼び止めるコージ。
たぶんコージはずっと茜を「レンコン女」とか「おまえ」とだけ呼び続けて、最後の最後で「茜」って呼ぶんだろうなーとこの時点から予想がつきますね(笑)。
コージ-勝地くんの髪型は『亡国のイージス』の行を思わせる短髪ですが、顔もまんま行なのに驚きます。『イージス』の撮影から丸2年経っているというのに。
でも顔は一緒でもクールでシャープな行と喜怒哀楽がはっきりしていて暑苦しいほどに熱い性格のコージでは表情が全然違っているのはさすがです。

(つづく)

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