about him

俳優・勝地涼くんのこと。

『阿波DANCE』(2)-2(注・ネタバレしてます)

2008-11-19 00:45:27 | 阿波DANCE
・一方的におじいちゃんの世話を任せて席を外す母親に「ほんと親って勝手だよね」とこぼす茜。これは自分に断らずいきなり離婚していきなり徳島へ越したことについての不満ですね。
一拍おいてから豪快に笑いとばすおじいちゃんもそのへんの機微を察しているんでしょう。

・一人屋上でラジカセ(「so cool」のデコレーションが可愛い)の音楽に合わせて踊る茜。しかしその表情には苛立ちがある。
すぐ後に「ダンス部」と書かれた張り紙を見てるところからすると、一緒に踊る仲間がほしかったんだろう。しかしその矢印の先にいたのは・・・。

・地下の「ダンス部」部室へ降りてゆく茜。最初はそろそろと、やがて早足に階段を降りる動作に彼女の緊張が表れています。
地下へ向かう暗い道のりで秘密クラブめいた緊迫感を漂わせておきながら、ドアを開ければ阿波踊りの軽快な音楽と窓から差し込む明るい日差し、というコントラストも可笑しいです。

・なかば強引に茜を部室に引っ張りこみ「連」について解説するミノルの後ろの黒板に「阿波踊り命」の文字が。誰が書いたんだこれ。やっぱりコージですかね。

・茜に阿波踊りを「ダサい」と言われたコージは、すぐに怒るのでなく呆然とした面持ちで「おまえ、何いっとるのや」と返す。
阿波踊りをダサいと感じる人間がいるなど全く考えも及ばないといった様子に、コージの阿波踊りへの一途な愛が滲み出ています。

・「俺を誰やと思うとるんや」と茜にすごむコージがカメラに向かって歩いてきて、思い切りカメラ目線でセリフを言う。舞台的な演出。たしかにコージ初の見せ場かもしれない。

・「踊りのことなーんも知らんくせに」と唇を尖らせ気味に言い放つコージ。コージは眉や唇の表情がとても豊かで、彼の熱いキャラクターがよく表れています。
そんなコージを睨みつけた茜は「じゃあ勝負する?」と挑むように言う。踊りを知らないと言われたことがヒップホップに青春をかける茜には腹に据えかねたんですね。
コージのことを暑苦しいといいつつ、茜も負けずに熱い女です。結局は似た者同士というか。
そして茜の発言にコージはややあって、「はっ?」と戸惑った顔を見せる。何かもう迫力負けしているぞ?

・コージの阿波踊りと茜のヒップホップダンスが対決。
むすっとしたしかめっ面で踊る茜に対し、笑顔で踊るコージは「踊る時笑わんかい」「そんなしかめっ面じゃ誰も寄って来うへんぞ」と野次るが、そういうコージも笑顔を作りつつ挑むような強い眼差しをしている(見るからに柔和そうな福福しい笑顔で踊るコージ父(高橋克実さん)と比べるとよくわかる)。
踊ることに懸命すぎて踊りを楽しむ余裕を失っているのは実はコージも一緒なんですよね。こんな二人だからこそ「阿波DANCE」を通して成長してゆく伸びしろがあるんですけど。

・二人の踊りに誘われて熱狂した生徒たちが校舎からわーっと走り寄ってくる。うわありえねー(笑)。剣道部が竹刀持ったままだったり水泳部が水着姿で飛び出してきたり・・・確信犯的ギャグ描写ですね。
コージを突きのけて全員が茜の周りに殺到するあたりがまた何とも。

・踊り終えた茜に向けて歓声をあげる生徒たちを見ながら「何でや」と呟くコージの顔がひどく寂しそう。初めて見せた弱気の顔に思わず切なくなります。
そんな彼の後ろで一人笑顔で茜の方を見つめているミノル。友達より女が優先ですか。

・去ってゆく茜の後姿を見つめつつデレデレのカズとミノルを「おまえらどっちの味方や」とコージが後ろから小突く。
そんな三人をよそにユッキーは真摯な眼差しで茜の去ったあとを見つめている。彼が一番茜に本気なのが改めて示されています。

・一人座って夕暮れの海を見つめる茜。コージとの勝負に勝った昂揚感が全く感じられない、どこか寂しげな表情。
ついで金メダルが外れたあとのバッグが映る。久々に本格的にダンスを踊ったことで、改めて踊れる環境から離れてしまった寂しさやるせなさがつのってきたのでしょうね。

・「伝説の天水」である父親に教えてもらってるから上手く踊れるんだろう、という友人たちの言葉に、コージは「え?お、おう、まあな」と明るい笑顔で答えるものの再び正面に向いた時には彼らしくない力の抜けた笑顔になっている。
さっきまで父の踊りを誇らしげに評していた時とは全く異なる表情。父親を尊敬しつつも父子関係に問題を抱えていることがすぐ後で明かされますが、ここですでにその予兆が見られます。

・酒蔵で一人踊りの練習をするコージは帰ってきた父親に「ちょっと見てくれへん?」と言う。
その踊り方にダメだしする父に「え?どこが?」と問う声が、友達と話すときに比べて響きが幼い。父の前では子供になってしまうんですね。微妙な声の違いが上手いなあ。

・踊りをまともに教えてくれようとしない父に「何か言ってくれや」と言うコージ。
正面から不満をぶつけるのでなく父の機嫌を伺うような遠慮と寂しさを滲ませた口調で話す。父が去った後も「またそれかい」と呟くだけでストレートな怒りは出さない。
本来単純直情型であろうコージだけに、いずれ爆発する時がくるのだろうなと予感させます。

・講堂で今年の阿波踊り大会への期待を述べる校長先生に、快活な笑顔で抱負を述べるコージ。
やたらにコージのアップばかりが続くなと思えば、湯川が力強く今年の展望を述べたあとに「ところで部員は彼だけか?」→がらんとした講堂に一人立つコージの姿、という流れに笑った。
コージも一人しかいないんだからもう少し前に出りゃいいのに、半端な位置にいるからスカスカ感が増すんじゃないか。

・コージ抜きでラーメンをすするユッキーたち。カズとミノルは「茜と踊りたい」「だから茜入れて~」。早くもひそかに呼び捨てですか。
そしてユッキーがいつにない熱い口調で阿波踊りとヒップホップの融合を提案する。この映画のキモであるはずの「異文化融合」シーンは終盤でドンと出てくると思ってたので、計画自体は早くから語られてたのに驚いた。まあ「阿波ダンス」の登場が後半になってからだと完成までの紆余曲折がはしょり気味になりますもんね。
そしてまたカズが顔に卵くっつけてる(笑)。ジャンケン最弱すぎです。

・コージが変わり果てた部室に驚き、奥で倒れこんでるカズを助け起こすシーン。
この場面、勝地くんは「イージスの行っぽい目つきで演じてくれ」と言われたんだとか。監督はコージに行の面影を欲していたってことですかね(髪型も一緒だし)。性格真逆なのになあ。
そしてカズの「オヨヨヨヨ」という嘘泣きがツボです。コージを発奮させるためとは言え、これだけ部室に落書きするのも(それを掃除するのも)大変だろうな。

・その頃茜の方はミノルが嘘話でコージとの対立を煽っている。「俺参っちゃってさ」というセリフの発音の仕方がちょい英語っぽいヒップホップかぶれっぷりがナイス。
男連中が(付き合いの長いコージのことはともかく)茜を怒らせるには何が効果的か読みきってるのがすごい。結局コージと似た者同士だと早くも見抜いてたわけですね。
茜に嘘を吹き込むミノルがずっと茜に背を向けて踊ってるのは心にやましさがあるからか。

・校庭で距離を置いて睨み合う茜とコージ。強風に砂が舞い紙が転がってゆく。わかりやすく西部劇もどきなカット。今から決闘ですか。
このときミノルが茜の後ろで茜と同じように腕組みポーズをしてる(笑)。首を傾ける角度や表情まで真似してるのが笑えます。
ついでにラジカセ持ってコージの後ろに控えてるカズが何か内股なのも笑えます。カズがいじられキャラな理由が分かったような気がする。

・いきなりカズの策略でヒップホップダンスを踊るよう仕向けられたコージがつい見栄をはって「お、おう」と頷いてしまうのがいかにもな展開。まあコージらしいっちゃらしい。
「そんなん目ぇつぶってて踊れるで」と言いつつ踊ってみせるそのポージング・・・『サタデー・ナイト・フィーバー』か?
ミノルはどさくさまぎれに?「うちの茜」とか言ってるし。

・二人からそれぞれ「ヒップホップを踊る」「阿波踊りを踊る」言質を取ったところでユッキー登場。「AWA DANCE」の旗をすでに製作済みなのが手回し良いというか。
そして後ろで一緒に歓声をあげている生徒たち。あんたら何なのよ(笑)。
ついでに「踊ったるわいヒップホップなんて!」とすごむコージの顔がヤンキー漫画っぽいです。

(つづく)

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『阿波DANCE』(2)-... | トップ | 『阿波DANCE』(2)-... »

阿波DANCE」カテゴリの最新記事