ニットを被ってるときは、帽子で前髪が上がってる分きりっとした眉が際立って、男らしい、格好いい印象が強い。対して帽子を脱ぐと、(前年の舞台『カリギュラ』のシピオンを思わせる)緩くパーマのかかった茶髪と前髪で眉が適度に隠れるために一気に可愛さが増す。
そして当初は不安だったバイトスタイルの頭ですが、実際動くところを見てみると、あの一見素頓狂な髪型が彼の端整な顔立ちを引き立てていることに気づきました。
制服の明るい紺の上着と赤いシャツも彼の白い肌に映えるし、たいていローラースケートを履いているのも脚をさらに長く見せる。
また私服のときは、色のコントラストのはっきりした制服とは逆にピンクを主とするパステルカラーとチェック柄・星柄など可愛い系のアイテムで構成されていて、これまた色白の肌とふわふわ髪に実によく似合う。
格好よくて可愛くて綺麗で・・・1ドラマで3回美味しいとでもいいましょうか。
さらには第4回以降毎回のように披露してくれるギャル男風、幼稚園児、SPなどのコスプレといい、勝地くんの魅力をいろんな角度から見せまくってくれました。宮藤さん及びスタッフの皆様には1ファンとして本当に感謝しきりです。
勝地くんはこれまで『さとうきび畑の唄』や『亡国のイージス』などのイメージから、世間的には何かしら重いものを背負った真面目で影のある青年がはまる俳優さんと見なされてきた感がありました。
こうした役がはまっているのは確かなんですが、古くは『1980』、新しいところでは『SOUL TRAIN』『東京タワー』などコメディ芝居も演じているし、それらを実に上手くこなしている。彼のコメディ芝居の才能が一般にあまり知られてないのはもったいないなとつねづね感じていました。
なのでこの『めぐる』を見た方々が「あんな面白い演技もできる人だったんだ」といった評価を多く寄せていたのには内心快哉を叫んだものです。
深夜枠のドラマであり視聴率もそんなに高くなかったものの、何と言っても連続ドラマ、そして毎回メインどころで活躍してるわけですから、これまでにないほど広く彼のコメディ演技を視聴者に印象づける形になりました。
もともと宮藤さんは、これもコメディ芝居(というか全編しょーもないギャグ)の『犬顔家の一族の陰謀』で勝地くんに「目をつけた」だけに、『めぐる』以降も『少年メリケンサック』のマサル、『蜉蝣峠』の銀之助とコメディ演技が主の役に勝地くんを起用しつづけ、すっかり「クドカン作品の勝地涼はおバカキャラ」というのを定着させてしまいました。
同時に、端整な容姿にもかかわらず不思議と美形設定の役を演じることのなかった勝地くんをはっきりと「イケメンのモテキャラ」に設定している。
(といっても役柄がワンパターンなわけでもなく、「イケメン」「おバカ」以外はユーキもマサルも銀之助もまるで似通ったところはない)
しかしいわゆる「若手イケメン俳優」らしい扱いかと言えばそうではない。以前「「演技派俳優」という事」で勝地くんは(外見に反して)カテゴリー的には「非イケメン演技派」枠じゃないかと書きましたが、宮藤作品の勝地くんはさらに一歩進んで「綺麗な顔はネタのうち」な状態に至っている。
現時点での最新作『蜉蝣峠』など海千山千の「劇団☆新感線」の役者陣に見事に馴染んでしまって、ほとんど「怪優」ゾーンに入りかかってるんじゃないか。
勝地くんの新たな可能性を引き出し続けてくれている宮藤さん、次は勝地くんにどんな無茶振りをしてくれるのか、今から楽しみです。
(つづく)