goo blog サービス終了のお知らせ 

about him

俳優・勝地涼くんのこと。

『四つの嘘』(2)-6(注・ネタバレしてます)

2012-09-09 00:32:24 | 四つの嘘
〈第六回〉

・詩文は満希子から電話を受ける。声をひそめ意味ありげに「相談したいことがあるの。どっかで会えないかしら」という満希子。「相談 ?あたしに ?」と詩文は心底意外そう。原に聞いてもらいたいのと言うのへ「幸せな主婦にも悩みなんてあるんだ」と呆れたような声を出す。きっと大森のことだと察しはついてるんだろうに。
それにしても満希子もなぜ美波と同じ轍を踏みたがるのか。「そうなのよー、自分でも驚いちゃってるんだ」と応じた満希子は「男 ?」と聞かれて長らく沈黙する。相談すればどうせバレるのに。そもそも何を相談しようとしてるんだろう?「夫と子供がいるのにどうしよう」とか言いながらかつての美波のような実質のろけ話をやらかしてる姿しか想像できませんが。
やはり男の話とわかって面白くなってきたのか「いつにするう ?」と甘え声で詩文が促すと「お宅の方まで行くわ」と満希子は勢いこみますが「あ、主人だ、また電話するわ」と早口に言って唐突に切ってしまう。相変わらず身勝手全開です。

・電話が切れたあと詩文は一人食卓でティッシュを手にとり、満希子の仕草を真似て匂い嗅いでみて笑い出す。そしてステーキを頬張る。これは英児と食べるはずだった最高級ステーキ肉ですね。さすがに置いてこないで持ち帰ったか。そして捨てたりせずに一人でしっかり食べるところがやっぱり詩文。
しかし英児との仲がいよいよ修復不能となり、その象徴というべきステーキを現在進行形で食べている詩文はまさに孤独感の絶頂のはず。今の詩文が満希子と若い男の恋愛沙汰に関わるとなると何をやらかすやら。「よりによってこの女に相談を持ちかけた満希子は相当な愚か者です」と経験者美波のナレーションが語ってますが、まったくもって同感です。

・店の扉のたてつけの悪さを従業員に指摘する武。しかしこの従業員は「そうなんですよー」というだけで直そうとはせず、ちょうど奥の電話が鳴ったのをこれ幸いといそいそと取りに行ってしまう。その姿に武は不満そう。
あとで武があっさり詩文を雇うことにしたのは現在の従業員に対する不満も根底にあったのかもですね。

・台所で満希子が漬物を切ってると楽しげな女の笑い声が近づいてきて、さらに「満希子、お客さんだよ」と夫の声。振り向いた満希子は夫とリビングに入ってきた詩文の明るい笑顔に目を見開く。小声でいたずらっぽく「きちゃった」という詩文に低い声で「え」。非常に困惑かつ迷惑してるのがよくわかるリアクションです。
こちらから詩文の家の方へ行くといい、夫が来たからと電話を切ったことで当然夫に知られたくない話だと詩文はわかってると思ったのに、それどころか自分から男の話かと聞いてきたくせに、まさかその夫のいる自宅に訪ねてくるなんて、どういう了見なんだ、と内心思ってるんでしょうね。もちろん詩文はその笑顔が示すように完全に確信犯的行動。この時点では相手の男が何者か知ってるわけじゃないので弱みを握ったとまではいきませんが、満希子に不利な自宅に乗り込むことでリードを取ったのは確かですね。

・満希子は詩文がお土産だと差し出した肉(要は残り物)を無造作にまな板脇に置き、詩文の手を引っ張って隅に連れていく。「今日はだめよ、息子の家庭教師の先生も見えてるし」。耳元でひそひそと強い口調でいう満希子は子供を叱るような口調。それに対して詩文は満希子の困惑を楽しむように「話があるっていわなかったけー ?」と軽く言い、直接こないでよ家族がいるしという訴えにも「家族に内緒の話なんだー」とひそひそ声でわざとらしく応じる。やっぱり確信犯。満希子もすでに詩文に相談しようとしたのを後悔してることでしょう。

・詩文が居間で武とビール飲んでる(満希子は隣りで憮然としてる)ところにゆかりが帰ってきて、詩文の姿に驚いたように固まる。冬子の母親と聞いて「ましょの、お母さん」と当初は固まったままだったがやがて何かを納得した様子。ゆかりは詩文つまり冬子の母親と自分の母が同窓生だと知ってたんでしょうか。知らなければなぜ冬子の親がいきなり家に来てるのか困惑しても無理からぬところですが。
詩文は美人ねーとかお勉強もよくできるんでしょとかゆかりを褒めますが、「私はましょの方がうらやましい。頭がいいし、他人に左右されない意志がありますから」とややたどたどしく、でも真面目な口調でゆかりは答える。ゆかりはそんなに他人に流されてるんだろうか。まあ生徒会長だというからには先生や生徒間でも人望が厚いわけで、それだけ優等生を演じざるをえない窮屈さがあるのかも。メイドバイトはその反動なのかもしれません。

・ゆかりが着替えに行くのと入れ違いに明と大森が二階から降りてくる。満希子ははっと立ち上がり、詩文は大森の顔を見て思わず口をあけるがやがて納得という笑顔に。まわりには気付かれない程度のちょっとした変化ですが。
しかし満希子は詩文が自分と大森を目撃したことは知らないはずなのに、二人が顔を合わせることを明らかに警戒してる風があります。美波のときのように詩文がその魔性を発揮して大森を誘惑する心配をしてるのか、以前ゆかりと大森の間を気にして大森をクビにすべきかなんて相談を詩文とネリにしてしまったバツの悪さもあるのか。
逆に詩文の側は家庭教師と娘の仲が心配とかいって自分がその家庭教師とどうかなっちゃってるんじゃん、と冷笑したい気分でしょうね。

・大森や明と初対面の挨拶を交わした詩文は「じゃあ私はこれで」と意外にもあっさり笑顔で席を立とうとし、満希子もそうねとあからさまに安堵の顔を見せますが、武は「一緒にご飯どうですか」と詩文を引き止める。満希子は余計なことをと言いたげな憮然とした表情に。
「満希子となんかあるんでしょ」と武に聞かれた詩文は「そうなんですけど」とちょっと口ごもって「お忙しそうなんで改めて出直してきます」と笑顔で取り繕う。これ幸いと居座ってもっと満希子にプレッシャーかけるのかと思ってたんですが、満希子の年下の男が何者でどういう経緯で知り合ったかも察せられたことでひとまず満足し、あまりいじめても可哀想と思い直したんでしょうか。
結局武がさらに引きとめ、反対するのも不自然と思い返した満希子が「なにもないけどー」といやいや了承したためにご飯食べてくことになるんですが。

・勤務中のネリは産婦人科の女医からエストロゲンの数値がすごく上がってたと聞いて「へえすごいわね女性ホルモン補充療法って」と感心する。宮部も「それでこの頃お肌つるつるなんだ」と珍しく?ネリを褒める。そうかしら、と自分の頬を撫でながら照れたように笑うネリに「灰谷先生は負けなしですよ。美人だし。母校の教授になりそうだし。お肌つるつるだし」と福山。
この福山の太鼓持ち的発言に宮部は面白くなさそうな顔をする。まさか福山のせいでお肌つるつるになったと思ってるわけではないんでしょうが。一方のネリはホルモン療法のおかげとわかってはいても、英児との関係が作用してるような気分があって、それでどことなく浮かれてるんでしょうね。

・西尾家食卓。詩文に武が「ご主人と娘さん」の話を振り、夫はいないこと、娘も養女に出して今は一人暮らしなことを詩文が答えて、ちょっと同情顔の満希子は「それはおさびしいですねー」「たった一人のお嬢さんでしょ」などと言う武を「よそのお宅のこと口出すもんじゃないわ」と叱る。
武が素直に「失礼しました」と頭を下げるのへ詩文は笑顔で「いいえ、なんでも聞いてください。隠してること何にもありませんから」と答える。含みのある言い方に満希子はむっとした顔を向け、動揺のゆえかおかずの芋を取り落とす。
河野母とのやりとりでもそうですが、詩文は同情されたと感じると相手の善意に悪意で返しますね。

・「それで原さん、今日は何の御用だったんでしたっけ」とまた本題に戻ってしまう武。妙に詩文の用事が何なのかにこだわってる気がしますが、わざわざ家にアポなしで訪ねてきたことに何か不穏な気配を感じてるんでしょうか。
「あ、あのー」と詩文は口ごもり、満希子はさらに焦った様子で「大森先生、ビールは ?」と上ずった声で話をそらそうとする。いいと言われて今度はワイン勧めたりしてる狼狽ぶりが面白くなったのか、詩文は悪だくみするような笑顔で「じつは~」ともったいぶった調子で話しだそうとする。満希子はっと詩文を見てすがるような表情に。
まあ詩文も本気でいじめる気はなかったようで、「西尾仏具店さんで雇っていただけないかと思ってー」とまったく別の話を切り出す。これは武の追及をかわすためのとっさの方便だったのか、前に満希子にも同じ話してたくらいで実は本当にそれを頼みにきたのか。武がくりかえし水を向けなければ何も言わず帰ってたはずなのでここは前者ですかね。

・詩文の発言に驚いた顔の満希子は「だめよ」と憮然とした顔で速攻言い切る。仏壇屋は男の店員がいいって死んだ父が言ってたわ、なんて無理にこじつけてまで詩文を雇わせまいとする。
詩文に自分の相談(しようとしていた)内容について何も言わないでと仕草で懇願しておきながら、詩文が機転きかせてくれたことに何の感謝もなく無遠慮にシャットアウトしようとするとはなかなかの恩知らずぶりです。まあ一回家に来られただけでこうもびくびくしてるのに、このうえ勤めるなんてことになったらしょっちゅう家に出入りするわけですから、そりゃいやでしょうけど。

・「実家の本屋はもう閉めようと思ってるんです。ただそのあとの仕事がほんと見つからなくって」と言う詩文に「大した時給は払えませんけどうちで働いてみますか」とあっさり武は提案し満希子は目を剥く。詩文も「ほんとですか」と目を見張る。苦し紛れで持ち出した話が見事な棚ボタに発展したわけですから。
そちらさえよければという夫を口だけ動かして満希子は止めようとしますが、「お世話になってもいいかしら」と詩文は野心的に笑う。こうなったらもう詩文は引き下がりませんね。結局満希子はしかるべき反対理由が見つからないまま、詩文雇用を黙認することになってしまう。大口開けて満面の勝利の笑みを満希子に向ける詩文と口元ひきつらせる満希子のコントラストが面白いです。

・デザートも食べ終わり、「じゃあ僕これで。ごちそうさまでした」と大森が挨拶すると。、私もそろそろと詩文も席を立ち、大森は駅までご一緒しますかと声をかける。ごく自然な流れですが満希子は心配そうな顔を隠せない。やっぱり詩文が大森まで圭史のごとく誘惑することを怖れてるわけですね。
ついには揃って出ていこうとする二人の姿に「大森先生はまだいて」と上ずった声で思わず言ってしまう。驚き振り向いた詩文はぷぷっと噴き出して顔そらし、大森はぽかんとした顔。夫や子供たちも同じく唖然とし、言ってしまった満希子自身も口を開けたまま固まってしまう。
詩文に焼きもち焼いてるとしか思えない、それも駅まで一緒に行くだけのことに明らかに過剰な反応を示してますからね。武にはあとで詩文の男ぐせの悪さを説明してましたが、子供たちはどう思ったことやら。

・結局連れ立って出て行く二人を見守るしかなくハラハラ顔の満希子は、ついに「駅まで送ってくるわ」と家族の困惑をよそにばたばた後を追う。
どうしたんですかという大森の問いを受けて、原とも久しぶりだからと笑ってごまかそうとするが「このあいだ会ったわよ」とまた詩文が意地悪を。満希子はむっと黙ったものの無理やり笑って「いいの」と明るく宣言する。結局もう開き直るしかないですからね。
やがて三人はこの間大森が満希子に告白?した橋の下を通る。大森は綺麗な月ですねと明るい声で言い、満希子も月に目をやってこないだのことを思い返す。ちょっとにやけて笑顔を見交わす二人を意味ありげに見た詩文は唐突に「大森さんてうそつきでしょ」と言い出し、満希子は大森の顔を見る。それから詩文に向き直って「何言うの。先生は正直よ、誠実な方なんだから!」とむきになって言う。
詩文が初めて会った晩のうちに、もう大森の本性を見透かしてるのは何だろう。魔性の女だけに、自分に対したときの男の反応で性格を見抜けるのか。それとも真面目で堅物の満希子がこれだけ熱を上げるには大森の周到な誘惑があったはず、なのに外面はいかにも行儀のよいお坊ちゃん然としてるところが食わせ者ぽいという判断なんでしょうか。

・詩文が帰宅すると居間で冬子が制服のまま寝転んで雑誌を読んでいる。その姿勢のままおかえりなさーいと横着に挨拶する。「どうしたの?」とたずねる詩文に「おばあちゃまんちちょっと飽きた」「喧嘩はしないけどなんとなくうっとうしいっていうか口うるさいっていうか」。
当初の贅沢な暮らしに舞い上がってた時期を過ぎたら、冬子可愛さと家名大事さで何かと過干渉になりがちな河野母が詩文同様のわが道をゆくタイプの冬子には重くなってくるだろうことは目に見えていたし、詩文もいずれそうなると思ってはいたでしょう。しかし「やっぱママのところに戻ろっかなー」などと言う冬子をそのまま手元に置こうと算段するかわりに、詩文は「大人をなめるのはよしなさい」「ママがどんな覚悟であなたを手放したと思ってるの」「河野さんだってあなたに生きる希望を託したのよ」と強く突き放す。先日訪ねてきたときにずいぶん不快にさせられたはずの河野母をかばすような言い方さえしている。
これは詩文の予想通り養子に行くという意味が分かっていない、原家もまだ自分の家のつもりでいる冬子の覚悟のなさ、覚悟する必要さえ感じていない心得違いを親としてビシッと諭したものでしょう。しかし「あーあ来なければよかったバカみたい」「ママはあたしなんかいないほうがいいんだよね」という冬子の反応は、もっぱら母親に拒絶された寂しさばかりがいっぱいで、詩文の意図を汲み取れたとは思えない。同じように魔性と呼ばれてはいても、詩文と(おそらくは高校時代の彼女とさえ)比べると、冬子の方がずっと子供ですね。

・その頃に西尾家では、よりにもよって原を雇うなんて、あの人がどんな女がさんざん話したじゃないよ、と満希子が夫に怒りまくっている。さんざん話したというわりには武は詩文が離婚してることを知らなかった。美波から圭史を奪った話は聞いていても、それと結婚したとは思ってなかったんでしょうか。満希子の話を大して本気で聞いてないことの表れのようでもあります。
「うちは仏壇屋だぞ、人助けをして徳を積むことも必要だぞ」という武の言い訳が何だかユーモラス。

・「昔友だちのボーイフレンドを奪ったくらいでそんなに言うかー?」と呆れたように言う武。確かにいい加減時効というか圭史の方も好きで詩文になびいたんだから詩文だけが責められるのはフェアじゃないというか。しかし満希子にそんな理屈は通らず「パパだって誘惑するわよあの女はー」「私はこの西尾仏具店と家族を守りたいだけ、私たちの幸せをあの女に壊されたくないだけー」とついには泣き崩れる。
まあおかげで大森と詩文が二人で帰るのを異常に嫌がったのが“満希子が詩文の魔性を過剰評価した”せいということで武にも得心できたでしょうが。なんだって満希子はここまで色情狂扱いしてる女に恋愛相談しようなんて思ったんでしょう?

・英児のアパート。布団にうつぶせで眠ってる英児と窓際にシャツ一枚で生足組んで腰掛けてるネリをカメラが映し出す。慈母的笑顔とも切なげとも取れる表情でネリは英児を見つめる。
こないだ詩文に目撃されたこと、詩文の乾いた笑顔を思い返して、物思わしげな視線を宙に投げるネリのしっとりした色香が何とも美しいシーンです。

・詩文の家を訪ね、お父さんの半年後の老人保健施設確保したわというネリ。さっき詩文に目撃されたときのことを思い返したりしてたのでてっきり何らかの釈明にきたのかと思ったんですが、しばらく父親の話をしたあとで詩文の方から「英児・・・よかった?」と切り出す。
ネリは伏せた目をあげてすまなそうな顔で詩文を見る。しばらく沈黙のまま見つめあい、またちょっとうつむいてから「立ち直ってもらいたかったのよ」とネリは語りだす。英児とのことをちゃんと説明したいと思いながらなかなか言いにくくて、父親の施設の話にかこつけてやっと詩文に会いにこられた、施設が見つかる―詩文を訪ねる口実を手に入れる―まで時間がかかったせいで、見られてから会いにくるまで間が空いたのでしょう。

・外来にも来ないからアパートで倒れてるんじゃないかと思って訪ねてみた、というところから話しはじめ、そのうちにあんなことになっちゃってと自嘲気味に語るネリに「説明しなくていいよ、あたしには何もいう権利はないし言う気もないから」と詩文はすっぱり言う。
確かにネリが英児と接近したのは詩文が英児を“捨てた”あとなのだから今さら詩文は文句をいえる立場ではないですが、それでもヒステリックになる女性が多いだろう中、きっぱりした態度を取れる詩文はやはり潔い女ですね。

・「ひとつだけ。英児の復帰はありえるの?」と質問する詩文。英児がまたボクサーに戻れるのか、それが詩文にとって一番のポイントなのが「ひとつだけ」という聞き方に表れています。
英児復帰説がスポーツ新聞に書いてあったという詩文に、ネリは日本ボクシング連盟の規定では無理だからありえないと以前と同じ言い方で否定しますが、この時詩文はなぜか「海外に行ってでも」と書いてあったことには触れない。
ネリの説明は海外での復活ならありうると言ってるのに等しく、英児ならボクサーでいつづけるためにきっとそうするだろうと確信し、知りたいことはもうわかったから余計なことは言わないという方針なんでしょうか。明らかに英児にのめりこんでるネリに英児が外国へ行ってしまうかもしれないなんて話したら悲しませる、話がはっきりしないうちに言うべきじゃないという思いやりだったんでしょうか。存外優しく義理堅い詩文の性格からして後者のような気がします。

・「死んでもやりたいのよ、ボクシング。あいつはそういうやつよ」という詩文に「そんなこと考えてたら大変だわ」と本気で焦るネリ。詩文は微笑んで「ネリと英児はいいカップルね。お互いに足りないとこを補ってる。あたしと英児はお互いに奪い合ってただけだけど」と言い、やや自嘲気味の笑顔を浮かべる。そして「まだ半分治療してる気分だけど」と言うネリに「直してやってよ。普通の人として生きられるように」とも話す。
以前にも導くなんてできない、一緒に落ちていくなら付き合えるけどと詩文はネリに話していた。そして英児が最終的に一緒にパナマにきて欲しい、そばにいて欲しい相手として選んだのは詩文の方だった。英児もまた導かれるより一緒に落ちてくれる相手を望んでいた。どこまでもボクサーであることにこだわり続ける彼には、「普通の人」としての人生に「導いて」くれようとするネリは結局違う世界の人間だったんでしょう。最後までネリを「先生」と呼んでいたことにもそれが表れています。

・大森と二度目のデートに臨む満希子。今度は高級ぽいレストランとあって前回よりさらにドレスアップ。豪華な、珍しい料理をご馳走してもらった満希子は実に幸せそうですが、大森に一口貰ったハトの料理は口に合わず、遠慮がちながら「あんまり好きじゃないかも」と言う。
以前プレゼントされたマカロンが思いのほか硬くて苦手そうな顔したのもそうですが、結局大森が与えるものは満希子には合わない、満希子は好奇心で自分の本来の世界にないものに手を出すべきではないことが示唆されてるように思います。詩文のバイタリティを物を食べるシーンで表してるのもそうですが、食べ物の使い方が秀逸な作品です。

・高級バーのカウンターで「わたしね、ニュースキャスターになりたかったの」と思い出語りを始める満希子。「だけど大学三年のときに父の体調が悪くなってね。、どうしても私に家を継いでほしいっていうの」「それで主人とお見合いしてあーっと言う間にニュースキャスターの夢はどっかいっちゃったの」。
原作ではアナウンサー試験に全部落ちて衝動的に婿をとって家を継いだ設定ですが、ドラマでは挑戦自体していない分、試験を受けてさえいれば夢は叶ったはずという自己過信が心の底に根付いているように思えます。むしろ原作に比べ満希子が明るく、より図々しいのも、何でもできた高校時代の高い鼻をへし折られてないことに由来してる設定なのかもしれません。

・詩文堂。傘を小脇に詩文が出かけようとすると、こんばんはーと男性の声がして澤田先生が現れる。「ちょっとお時間いただけませんか」と切り出すのを「あのー、私これから仕事行かないといけないですから」と断ろうとする語尾にかぶせるように「ラブホテルですか?」。そうです、とうなずくと笑顔で「お送りします」。陰りのない笑顔で言われて「え?」となる詩文。
本当にホテル前まで車で送ってくれるが「助かりました。ありがとうございました」と詩文はお礼は言っても打ち解けない感じ。降りようとするとき澤田が「ぼくと付き合ってくれませんか」といきなり切り出す。美波のナレーションが言う通り本当に詩文に落ちちゃったんですね。明らかに詩文は終始気のなさそうな態度なのに。それがかえって男心に響くんでしょうか。圭史の時みたいに手管としてやってるのでなくまったくの本音ぽいのになあ。

・「あなたも僕も、独身ですし」「いかがですか」と続ける澤田に、ちょっと沈黙の後「先生面白い方ですねー」といつものいたずらぽい笑顔と抑揚で詩文が答えると、あなたも面白い女性です、と澤田は真面目に返してくる。
「ほんとに私でいいんですか?」「あなたが、いいんです」。そして「よかったら明日の朝も迎えに来ますので、お電話ください」とメモに電話番号を書いて渡す。会釈しつつ受け取り目を通した詩文は「いってきまーす」とチャーミングな笑顔で軽く頭さげて車降りる。ちょっとだけその気になったか?とも見えますが、車降りたあとはもう振り向かずに裏口に直行。やっぱり興味なさそうなんだよなあ。満希子やネリに勧められた金のある男を手に入れる絶好のチャンスというのに。

・英児の部屋。もはや日課らしい公園でのボクシング練習直後。先生勘がいいな驚いたよ、という英児に「教え方がいいのよ、英児はトレーナーとしての才能もあるわ」とネリが返すと英児の横顔が少し曇る。ネリがトレーナーとしての第二の人生を自分に望んでることはわかっていて、でも自分は現役をあきらめられない。ネリの期待に応えられないとわかっているからですね。
詩文から英児復帰の噂が出てることを聞いてるネリも当然、英児の反応を見たさでトレーナーという語を口にしたはず。お互い胸の内を言葉に出さないのが切ないです。

・真顔で黙っている英児の表情を見て、「ボクサー復帰するって新聞に出てたけど」とネリはストレートに切り出す。「わかってるよ日本で無理なことぐらい」「じゃ外国でやる気なの?」「おれはリングに立たなければ死んだも同然だから」。言いながら真剣な、しかし穏やかな顔でネリを見る。
「生きてるじゃない。こうやって私のためにボクシング教えてくれてるし」と力を入れて言うネリ。その声に必死な感じがあります。詩文に言った、言われた通り、英児にリスキーでない、地に足のついた普通の生き方をしてほしいという思いが篭っています。ただ英児を心配だからというだけでなく、そうでなければ、たとえば外国に行ってしまえば、英児と一緒にいることはできなくなってしまうからですね。

・「先生は医者でいろんな人の命助けてるけど、それって人のためじゃねえだろ」「人のためであることが自分のためなの」「おれは人のためには生きられねえよ。だからどこにでもいく、リングに立てるチャンスがあるなら」。
ネリだって他人のためには生きられないだろう(だから自分のためにしか生きられないおれの気持ちもわかるはず)という英児の言葉を、ネリは人のため=自分のため(だから私は人のために生きていることになる)と否定する。つまりネリが人のために生きられるように英児だって人のために生きられる、ネリのために生きることを自分の幸せにもできると言ってるんですよね?しかし英児の答えは“自分は人のためには生きられない=ネリのためにも生きられない”だった。いわばここで完全にネリは振られた格好になります。

・座ったまま寂しげに英児を見上げたネリは、「いかないで」と立ち上がって後ろから彼の体にすがりつく。駆け引きも何も捨てたストレートな懇願ですね。英児は首を少しだけネリのほうに向けて、「先生は、捨て猫をほっとけないんだよな。だからおれのこともほっとけねえんだろ。けど、おれなんかいなくなっても、先生は先生だ」と告げる。
実際ネリは英児にいかないでと言うものの、自分の方が英治について外国へ行くという選択肢は念頭にも置いていない。脳外科医としてのキャリアも教授選も投げうって身一つで英児についていくことは彼女はできない。英児も空き巣事件を通してネリの医者としての職業意識、誇り高さを知っている、自分もボクシングに全身全霊を注いでいるからこそネリが仕事を捨てられないことをよくよく理解しているからこそ、ネリと一緒に外国へ行くという選択肢は最初から考えにいれない。
英児がネリでなく詩文を選んだのは、詩文はネリと違って身軽、父や娘とも離れてもはや捨てられないものなどない立場だからというのも大きかったでしょう。

・ネリは無言のまま顔を英児の肩口に押し付けて両手を彼の胸に回す。英児はふいに向き直って正面からネリを抱きしめる。情欲とは違う穏やかな表情。目を開けたネリの顔にも別れを受け止めたような諦念が浮かぶ。哀しいからこそ美しい抱擁シーン。
しかしネリとは生きる世界が違うと思いながら、彼女にすがられるとそれにできる範囲(抱きしめたり家に泊まったりボクシング教えたり)で応えようとする英児も、ネリ同様「捨て猫をほっとけない」性質のように思えます。

・手をつないで夜の路上を歩く満希子と大森。「このあとどうします?もうすこし飲みますか?」と問われて「どうしよっかなー」とちょっとうつむいたりしてはにかんだ笑顔を見せていた満希子は、前方の壁ぎわでキスしてるカップルについ目がいく。気をとられてたせいかヒールの足を踏み外し転びそうになる満希子を大森が支える。最初に告白?された時といい、狙ったかのようなタイミングで転びかけますね。
不安定な姿勢のまま大森を見上げると、真剣なちょっと切ない表情で彼は満希子を見つめ、満希子も釣り込まれるように見つめてからちょっと目を伏せる。取られたままの手を外そうとするのを大森は逆の手でつかみなおして引っ張るように歩き出す。
戸惑いながら数歩先の柱の影に引っ張りこまれた満希子。建物の電気が煌煌と照って逆行気味に二人の姿浮かび上がる。そして満希子の両肩をつかんで柱へ押し付けてキスする大森。目を見張ったまま硬直してた満希子はやがてゆっくり目を閉じ、バッグ持った左手をぎこちなく彼の背に回す。バックの街並みも含めてまさしく絵に描いたようなロマンティックなラブシーン。
実体験できる人間もそうそういない、まして平凡な主婦には本来夢のまた夢なシチュエーションであるだけに、結局詐欺だったとはいっても大森とのことはトータルで見ると満希子には貴重な、幸せな経験だったのかもしれません。

・ホテルの控え室で上っ張りきたまま菓子をつまみファッション誌広げてる詩文。なんか気楽な職場ですねえ。だからこそ給料安いのだろうし忙しいときは忙しいんだろうけど。
モニターときどき見ながら麦茶を飲んでると先輩のおばさんが入ってきて、見たよーいい車だったねえーと気の良い声で話かけてくる。はあ、おかげさまでと如才ない笑顔で詩文も応じる。それからしばらく澤田の話や死生観の話などに興じる二人。男にもてまくる分詩文は同性に嫌われるタイプに思えますが、この気のいいおばちゃんとは結構馬が合うようです。

・おばちゃんが椅子に腰かけながら「おばはんが若いのくわえこんできたよ、ほら」とモニターを指さす。詩文はいつもの笑顔で何気なくモニターに目をやって目を見張る。なんと満希子と大森。場所もあろうに詩文の勤め先のホテルに入ってしまうとは。電車のときといいつくづく詩文に見られてしまう運命なんですねえ。
驚きに目と口を開けたまま詩文がモニターに顔を近づけると、やがて満希子が走って引き返していく後ろ姿が映る。「あ、逃げた」。この詩文の反応がなんか面白いです。モニター見上げたままだんだん嬉しそうな顔になっていきますし。

・小走りにホテルを出た満希子はそのまま夜道を走りながら「ゆかり、明、パパ、今帰るから」と口に出して語りかける。「ママ、愛する家族を裏切らなかったから!」「今すぐ帰るからー」。最後はかすれ声で絶叫気味に。やはりホテルまではまだ敷居が高すぎたか。ここであっさり大森と結ばれてたらもっと早く700万円詐欺られたのでしょうか。

・さっきのキスシーンがフラッシュバックして足を止める満希子。振り向くが大森はいない。真顔でしばし立っていた満希子は寂しげにとぼとぼと歩き出す。逃げたこと、家族を優先させたことを後悔はしてないんでしょうが、楽しい夢を自分の手で終わらせてしまった、そんな気分なんでしょうね。

・西尾家。暗い家の中に入り表情も暗い満希子。そのころ武は一人寝室で両手使ってスピーディーに携帯メールを打っている。気配感じたか慌てて携帯を閉じて掛け布団の中に入れて横になると、まさにそのタイミングで満希子が階段をあがってくる。ごめんなさいパパ、とドアの前で手を合わせてからそっと開けて入ると夫はいびきかいて寝ている。「愛してるわ」と真顔で小さく呟くとスタンドの電気を消してそっと出て行く。
扉が閉まるのを確認してから武は起き上がるとランプをつけて携帯を取り出し画面を見てわずかににやつく。画面は見せませんがどう考えても女の匂いがします。満希子がロマンスを捨てても家族を(かろうじて)裏切らなかった同じ晩に、武はしっかり裏切り行為を働いている。何とも皮肉な場面です。
ところで満希子がいつになく「愛してるわ」なんて呟いていったことを武はなんだと思ってるんでしょう。浮気に忙しくてまるで考えてもないですかね。

・リビングのソファにぐったりと体を横たえた満希子は、携帯のバイブ音にすぐに体を起こしてバッグから携帯取り出す。大森からだと思ったんでしょうね。しかし受信メールには夫の名前。「パパ ?」 戸惑ったように二階を見上げるのは、寝てるのを確認したばかりの人がメールを送信してる不自然さゆえですね。
そしていざメールをチェックすると「キミちゃん 明日は渋谷で寿司を食おう」などという内容。しかも「お寿司の後は、いっぱいエッチしようね。チュッ」。なぜ送信先間違えるかなあ。しかも一番間違えちゃいけない相手に送ってしまうとは。「君子」と「満希子」じゃ間違いようないと思うんですが。
「キミちゃん」「エッチ」と画面を見ながら呟いた満希子の顔に少しずつショックが現れていく。大森を振り切って帰ってきたあとだけに腹立たしさもひとしおですね。ここから表面は幸せ家族だった西尾家は急速にガタガタになってゆきます。

・院長に呼ばれて会議室?にやってきたネリは「これを見たまえ」と何かの書類を提示される。「705号室の患者とは誰のことだね?」 書面はメールを印刷したもの。タイトルは「灰谷ネリは最悪の医者だ」。「705号室の患者と」「肉体関係を持ち」などの文章がアップになる。「これは何ですか」と冷静に問いただすネリ。意外と動揺してないのはある程度想定内の事態だったということでしょうか。
ネリは「なんのことかわかりません」と迷いない口調で押し通し、院長も「そうかー」と納得したようにいうものの安堵半ばといった声。「教授選の前だからこの手の噂はまずいなあー」「君は潔癖な医者だから言いがかりだとは思うが、普段から行動には気をつけるように」。
要は事実がどうかではなく噂が出る自体がもうまずいということですね。初の女教授が誕生するかも、というだけでやっかみから火のないところに煙が立つ可能性は大いにあったわけで、そんなことはネリを推薦した時点で折り込みずみでしかるべきだと思うのですが、そうならないのが男社会ですね。穏やかだが困ったような、責めるような態度の院長をネリも憂い顔で見て黙って一礼する。

・西尾仏具店。武が中年の男性店員に詩文を金土日に来てもらうことになったと紹介。詩文も笑顔でよろしくお願いいたしますと頭を下げる。何だかんだもめたものの、満希子の横槍も通らず無事雇ってもらえたようです。
その頃キッチンの調理台に両手付いた状態でじっと考えこんでいる満希子。やがて思いつめた様子で水たらいに漬けた皿の中から泡にまみれた包丁が出ているのを見つめる。すごく不穏な感じです。
しかしもともとが愛のない結婚で今も若い男に心を奪われてる満希子が、このさい子供のためにも気付かないふりで平穏な生活を維持しようとか、あるいは夫に浮気に気付いてることをほのめかして自分の浮気も公認させるとかの方向に行かず夫を殺す勢いで思いつめてるのは、男としてはともかく共に西尾家を担うパートナーとしての夫を確かに愛しているからこそですね?

・横断歩道を渡る夫を間を空けて小走りにつける満希子(変装済)。店の電話が鳴って詩文が出るとさっき店を出ていった満希子から。いきなり「夫を殺す!」という満希子の声に詩文絶句。
「ブッキ?まさかバレちゃったの男のこと?」と詩文は正反対の誤解をする。まあ大森とのホテル行きを知ってるだけに当然の反応ですが。逆に大森とのことがバレてるとは知らない(男がらみで何かあるのは勘づかれてるが具体的な話はまだ何もしていない)満希子がこの台詞に何も反応しないのが不思議。逆上のあまり何も考えてないというのが正解ですかね。高校時代は近視眼的なところはあっても、もう少し冷静な性格だった気がするんですが。
しかし「すぐ来て!来なかったら一人で殺す」とか言ってますが、詩文がくれば二人で殺すってことですか?それにしてもなぜまた詩文を頼るのか。例によって「一人で抱えきれない」というやつなんでしょうね。

・すっかり暗くなった頃、整骨院の前へ歩いてきた詩文に後ろから満希子が急ぎ足に近寄り「ちょっとちょっと、原」と引っ張る。物陰に引っ張り込んで「遅いじゃない!」とひそめ声で叱る。
仕事中の詩文を訳分からないことで、しかもろくろく説明もせずに呼び出しておいてこの言い草。来てくれただけでも感謝すべきところだろうに。詩文も先輩店員になんて言って出てきたんでしょうね。やむなく就業時間終わるまで待ってから来たからこの時間なんでしょうか。

・高級そうな寿司屋から武が出てきて、一足先に出た若い女がその腕を取る。満希子がバッグの中の何か(包丁ぽい)を握り締めて決意の顔で後を追おうとするのを詩文あわてて止める。「よしなさいよ、お寿司食べてただけかもしれないじゃない」とたしなめるのへ「エッチするっていってたもん」と子供のような口調で力強く言う満希子。
ここで詩文が「じゃあそこ襲わなきゃ」と先に進み、「え?」と満希子のほうが戸惑うという力関係の逆転が。やはり男女の修羅場には詩文の方が一枚も二枚も上手ですね。彼女を無理矢理呼びつけた満希子の人選の勝利でしょうか。

・武と女を尾行する二人。詩文はやばい、電話しなきゃ、とラブホテルにちょっと遅れる旨を連絡。そんな詩文に一人置いてかないでよと早口に言う満希子。昼も夜も働かなきゃ食っていけない詩文に仕事をサボらせてるのにもっと他にいうことないんですかね。

・夫と女はどこかのマンションへ入っていく。二人も後を追って404号室桑野というドアの名前を確認。詩文は開けるよう目で促すが満希子は今さら臆したかあわてて首を横に振る。あたしが?という顔になりつつもしょうがないわねと言いたげに詩文が進み出る。表情と仕草だけでの会話が二人とも秀逸です。
それにしても本当に詩文は面倒見がいいですねえ。もちろん夫婦の修羅場を面白がってる部分も大いにあるんでしょうけど。

・チャイムを素早く鳴らす詩文。当然スムーズに出てはこない。それは詩文も予期してたんでしょう、すみません隣のものなんですけど、火事、なんです、と言いながら繰り返しピンポンを鳴らす。話が大きくなりそうな気配に満希子はあわてて詩文の両肩を後ろからつかみますが、詩文は小声ながら「火事だ、きゃー」とか騒いでみせる。ここまでくるともはや楽しんでますね。きゃーという声の緊迫感なさにそれが現れてるような。

・ご近所に迷惑だと満希子が止めるのにも構わず楽しげに目を大きく見開いた顔で「火事だ!」と繰り返す詩文。満希子の心配どおりご近所のほうが先に飛び出してくる始末に満希子はあせる。詩文はかまわず404をノック。
なおもバタバタ騒いでるとYシャツ着てかばんを持った夫がついに飛び出してくる。出て来るのにずいぶん時間がかかったのは、出られないような姿だったってことですね。火事だと言って一軒だけしつこくノックし続ける不自然さに気付かないのはやはりパニックになってるのか。

・武は詩文と満希子の顔を見て絶句する。そして満希子と目を合わせ二人とも真顔の無言。視線を下に落とした満希子は夫が下はトランクス姿なのを見てしまう。詩文もそんな満希子を見て、それから顔ちょっとそむけて含み笑いする。
そこへ奥からケースを抱えた女が出てくる。満希子に睨まれて遅まきながら事情を飲み込んだ様子。奥に引き返していく女を武は「キミちゃん」と後を追う。無言のままの満希子を詩文は振り向き「刺さないの?」と面白そうに言うが、満希子は悲しげな顔で硬直したまま。
我がまま放題に詩文を振り回してる満希子ですが、逆上して暴れ出さない分何だか気の毒になってきました。
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『四つの嘘』(2)-5(注... | トップ | 『四つの嘘』(2)-7-1... »

四つの嘘」カテゴリの最新記事