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about him

俳優・勝地涼くんのこと。

『SOUL TRAIN』(1)-2

2007-12-04 01:30:14 | SOUL TRAIN
勝地くん以外のキャスティングも実に秀逸。まず須藤の先輩・野木を演じた掟ポルシェさん。
この作品で初めて知った方だったのでいっさい先入観がなかったせいもあるのかもしれませんが、それにしてもビジュアルも雰囲気も話し方も、全てが原作の野木そのままだった。というよりポルシェさんの野木の印象が強すぎて、原作を読んださいの野木イメージがすっかり「ポルシェ色」に塗り替えられてしまった感じです。
なもんで、素のポルシェさんもああいう人のような気になってしまってるんですが、実際どうなんでしょうね。
『ソウルトレイン』がらみの一連のインタビューを読むかぎりでは、大枠では野木のイメージを裏切られませんでした(そう言われてご本人が喜ぶかは微妙ですが)。
ただ『ピクトアップ』でのインタビューには芯に一本筋の通った人柄を感じて、以来密かに尊敬の念を覚えたりしています。 

「白い女」を演じた高橋真唯さん。
「白い女」はコンビニの店員たちに「マジエロイ」と言われるだけのコケティッシュな色香と須藤の白い幻想の対象足りうるだけの清純さを合わせ持たねばならない、なかなか難易度の高い役柄。それを真唯ちゃんはしっかり自分のものにしていました。
ラスト付近の「黒い女」への変貌シーンもお見事でした。 

川村役の黄川田将也くん。勝地くんも出演していた『バトルロワイアルⅡ』で名前を知った俳優さん。
黄川田くん自身もメイキングで語っていたように、川村という役は「クールで嫌味なイケメン」という表層しか描かれていない。
実際の川村がどんな男なのかほとんど手掛かりがなく、須藤目線のストーリー展開上細かい役作りはかえって邪魔になってしまう。
これまた難しい役柄だったことと思いますが、さらっとごく自然に演じていたのはさすがでした。
メイキングで、単に仲が良いというだけでなく、何かと勝地くんを主役として立ててくれているのにも人柄を感じたものです。 

その他の脇のキャラクターも田中要次さん、田口トモロヲさん、蛭子能収さんなどなど、見事に癖者揃いのキャスティング。短い出演時間の中で実に濃い存在感を作品に焼き付けていました。
しかし実はこの作品一番の「癖者」は勝地くんだったんじゃないだろうか。これだけの個性派キャストの中で、正統派俳優である彼が主役を張っていることがある意味最大の見所というか。
勝地くんも『ピクトアップ』のインタビューで言って(答えて)ましたが、須藤は主役でありながら、そして彼の妄想を機軸に物語が展開してゆくにもかかわらず、受けの芝居が中心なのですよね。
野木のまくしたてる暴論&突発的怪行動に翻弄され、店にやってくるヘンな客たちに振り回され・・・。自身は強い個性を示すことなく、周囲の個性を受けて月のように静かに輝く、そんな感じでしょうか。 

そして最後に監督の三浦大輔さん。「劇団ポツドール」を主宰されている、本来演劇界の方であり、『ソウルトレイン』は初めて手がけた映像作品だったそう。
須藤の家庭関連のエピソードを全部切ったり川村の家に殴り込ませたり、原作の改変具合が実に絶妙でした。
とくにこけしに代表されるエロ要素を多分に追加しつつも、淫靡にならずシュールなポップ感覚に結び付けているあたり。
メイキングで勝地くんが「(監督は)天才ですね。」と言っていたのが頷けます。 

この作品、DVDレンタル開始に先がけ、10月~11月にかけて「yahoo!動画」で全11話が数話ずつ配信されましたが、そのうちテレビ地上派の深夜枠なんかで1話ずつ放送したりすると面白いんじゃないかな。
個性派揃いのキャストと妄想まみれのゆるいストーリーでマニアックに受けそうな気が。
1話ごとの長さがバラバラなのがネックですが、それもまた『ソウルトレイン』らしいゆるさってことで。


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