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about him

俳優・勝地涼くんのこと。

『SOUL TRAIN』(2)-1(注・ネタバレしてます)

2007-12-07 02:14:31 | SOUL TRAIN
第1章

・棒読みに近い淡々としたナレーションは、「白い女」(高橋真唯ちゃん)登場以降、急速にテンションが上がってゆく。このへんの緩急のつけ方はさすが。

・バックルームでゲームに興じる須藤と野木(掟ポルシェさん)の顔のドアップ。
この場面以外でも『ソウルトレイン』は超アップを多用している。第6章などとくに。
これだけ顔のドアップが連続する作品もなかなかないのでは?撮られる側も結構勇気を要しそうです。
ナレーション言うところの「むさくるしいバックルーム」感がよく出ています。

・須藤は自分ではゲームをやらない(やっている場面がない)のにやたら攻略法に詳しい。
家でやりこんでるってことなんでしょうが、ゲームにはまってるからというより、他にやること、やりたいことがないからだらだらゲームしてる感じなんだろうと想像されます。
須藤も野木も外見はオタク的(ビジュアルに無頓着)ですが、何かに一点集中しているオタク特有の熱さは感じられない。
ぬるーい日々を送っている彼らだからこそ、須藤が熱くなれる対象=「白い女」を見出したときに物語が動き出してゆく。

・大井町の姉妹店の「イケメン従業員がタラタラしてる」と文句を垂れる野木。バックルームでゲームを(現在進行形で)しているあなたが言えることでは・・・(笑)。

・「ここで時間をつぶせば1時間900円もらえるのだから」 東京・深夜のバイトなのに時給安っ!まあこれだけ仕事してなければ妥当な気はしますが。

・「SOUL TRAIN」と書かれたレコード盤が回転するタイトルバック。
「ソウルトレイン」というタイトル(店名)がおそらく70年代の音楽番組「ソウルトレイン」から取られている(もしくはジョン・コルトレーンのアルバム『ソウルトレーン(SOUL TRANE)』?)のをふまえたのでしょう。
ダルそうなコーラス+メロディラインのBGMも作品の雰囲気を象徴している。

・ホモカップル登場。「たまに客は来る」というそっけないナレーションが妙にツボ。
この二人、ペアルックと何かと見交わす視線だけでさりげなくアヤしい感じを醸しだしてるのがさすが。
画面からは見切れてますが、メイキングを見ると、カップルの一人(山崎樹範さん)がもう一人(家城啓之さん)のバッグから会員証を取り出すところが写っています。ますますアヤしい(笑)。

・「おまえここのバイトで殺したいやつとかいる?」 いきなりすぎる野木の言葉に笑う。
「あんな奴眼中にねえ」といったそばから川村(黄川田将也くん)の悪口をまくしたてるところや、「殺す」「ブッ殺す」の説明といい、野木キャラ全開。
このあたりの野木の台詞はポルシェさんのアドリブかと思ったんですが、原作見返すとほぼその通りの台詞なんですね。全身で野木を体現してるかのようなポルシェさんのはまりっぷりを実感。

・「川村は(中略)いわゆるイケメンだからだ。っていう僕もそうなのだが」のくだりで、一瞬「須藤は自分をイケメンだと思ってるのか?」と勘違いしてしまった。
須藤の容姿が原作通り(毒舌の野木に「不潔っつーか、ハックルベリーみたいな面構え」と言われてるくらいで具体的描写はないが、「我ながら目を背けたくなる・・・」ともあるので、どう考えてもハンサムではありえない)ならまず誤解しえないんですが、実写の須藤くんは「元」が良いのでつい(笑)。

・あまり人の悪口を表立っては言いたがらない(優しいからというより気弱さのゆえに)いい子ちゃんキャラの須藤と毒舌調の野木が仲が良いのは不思議みたいですが、ダメ同士でコンプレックスを刺激されないからでしょうね。
お互い内心では「こいつには勝ってる」と思ってそう。

・「でも川村くんの彼女って管野美穂そっくりらしいっすよ」 まったく意味をなさない反論が可笑しい(須藤自身もツッこんでるし)。実際それで野木も黙るし。
こういうしょうもない会話の流れがリアルで、ダメーな感じの若者たちのダメーな青春を生々しく伝えてくる。

 

第2章

・店長=グッチョ(田中要次さん)に新作をもっと入れるよう進言する時の、須藤の不安げな視線の揺れとおどおどした笑顔がナイス。須藤のキャラがわかりやすく出ている。

・「君たちさあ、ホモなの?」 グッチョの凶悪な笑顔がコワイ。
そして「えっ?」って顔になってる須藤の目がキラキラしてて綺麗。須藤は基本的に光のない黒ベタな目の印象が強いのですが、時に見せる澄んだ目の色はやっぱり勝地くんだなあ、とちょっとホッとしたり。

・グッチョが帰ったことを確認した野木が須藤の後ろでドアを閉め電気を消す。「ホモなの?」会話の直後だけに、一瞬ヤバいものを感じてしまった(笑)。
それを狙った演出ですよね。

・「AV観るとき電気消すだろ」の発言からすると、二人一緒にAVを観るのは初めてのよう。確かにいつもゲームばかりだもんなあ。
この日に限りゲームをしないのはプレステが持ち出されたからだと後で明かされますが、「ゲームがなきゃAV」というのが・・・。他にすることないのかと。

・須藤、野木の間をカメラが行き来するときにしばしば(特に須藤寄りに)おっぱいおもちゃがたびたび写りこむ。
こういう小道具も「いかにもありそうな感じの部屋」を演出している。

・「40つったら貯金億は欲しいよな」。 
これ原作では40歳ではなく29歳(原作でのグッチョの年齢)、しかも野木は28歳設定なので一年で億貯められる気でいるわけだ(具体的な当ては皆無)。
映画では現在29歳だから一応11年の猶予があるわけで、ちょっとは数字にリアリティが出たようでもある。ちょっとだけだけど。

・オレンジのピンポン玉を転がす野木の手のアップ。
原作では「へこましたり、戻したり」してるものを「転がす」に変えただけで妙にエロに。AVから流れる嬌声とおっぱいおもちゃも相乗効果。

・「白い女」登場。真唯ちゃんは本当にちょっと管野美穂さんに似ている。
それもあってのキャスティングでしょうが、雰囲気や細かな媚態に溢れた挙措もまさに「白い女」でした。ハマリ役だなあ。この作品本当にキャストにハズレがない。

・「そして白い」→「彼女は白い女」というナレーション=思考の流れが意味不明(笑)。「白い女」というネーミングもセンスもあるんだかないんだか。

・「管野美穂とか加藤あいとかそっち系」。 この数ヶ月後にリアル加藤あいさんと『ハケンの品格』で共演(しかも彼女に片思いする役で)してるのを思うと、何か感慨深いなあ・・・。
『POTATO』2007年3月号によると、久々の連ドラの現場で上がりまくってた勝地くんが周囲に馴染むきっかけを作ってくれたのも加藤さんだったらしいですしね。

・須藤の妄想ビジョン発動。「おしゃれな紙袋」というボキャブラリー、「何かおしゃれなやつ」と続けるあたりのダサさがいかにも須藤らしい。

・「白い女」が紙袋の中から取り出したのはこけし。AV見てるときは特に鼻の下伸ばす風でもなかった(でも静かにガン見)須藤ですが、内心は結構なムッツリスケベのようで。
妄想ワールドに繰り返し登場するこのこけし、原作を読み返したら出てなかったのに驚いた。インパクト強すぎてつい原作から存在してたような気になっていた。
ちなみに後にこのこけしは希望者に抽選でプレゼントされました(笑)。

・「白い女」は川村の彼女と知った男二人は、「ていうか、ブスじゃね?」「まあ、大したこと、ないよね」。いじましいよ君たち。

(つづく)


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