【ペコリーノ】
「ペコリーノ」とは、イタリア原産の羊の乳を原料としたチーズの総称。長時間の保存を目的とし、塩分が多めに使用されているので、塩気が強い。
『食べ方』
そのまま食べることもあるが塩分が特徴なので、パルミジャーノ・レッジャーノやグラナ・パダーノのように、摺り下ろすか細かく刻むかしてスパゲッティ・アッラ・カルボナーラやジェノヴェーゼ・ソースなどの材料としてイタリア料理に使うことが多い。
また、ローマなどで5月のメーデーの頃に、ファーベという収穫したばかりの生食用のソラマメが出回ると、ペコリーノとワインで、季節の到来を楽しむ習慣がある。生食な可能な新鮮なファーベの賞味期限は収穫後2~3日以内なので、その期間に、その場所に居ないと食べることが出来ない春の風物詩の一品である。
【カース・マルツゥ】
「スース・マルツゥ」は、イタリア・サンデーニャのチーズの一種。その特徴は生きた蛆(うじ)が入っていることである。
カース・マルツはサルディーニャ語で「腐ったチーズ」を意味する。日常会話では「うじ虫チーズ」、「虫入りチーズ」として知られている。
『概説』
元はペコリーノ・サルドというチーズである。チーズバエ(チーズバエ科のハエの代表種)の幼虫の摂食に伴う体外消化により通常の発酵を超え、知らない者が見れば腐敗と思う段階まで進む。製造段階で意図的に成虫に卵を産み付けさせるため、この幼虫が付く。
チーズバエの活動は、高いレベルの発酵とチーズの脂肪の分解を促進する。チーズは非常に柔らかくなり、サルデーニャ語で「涙」を意味するlagnimaと呼ばれる若干の液体がにじみ出す。幼虫それ自体は、長さ約8ミリ程度の半透明の白い虫である。虫に触ると最高で15センチほど飛び跳ねるため、チーズを食べる時は目を保護することが推奨される。食べる前にチーズの幼虫を取り除く人も、幼虫ごと食べる人もいる。
このチーズはサルデーニャのパン(パネ・カラサウ)と強い赤ワインであるカンノナウと一緒に食べるのが一般的である。
『危険性』
「カース・マルツゥ」についてはいくつかの食品安全問題が提起されている。
・アレルギー反応を起こすらしいという伝聞報告。
・有毒な状態まで進んでいる腐敗の危険。
・蛆の腸内寄生の危険。
これらの健康障害の恐れがあり、また、単に汚染された食品であると見なされているため、イタリアではカース・マルツゥを売るのは違法である。しかし、サルデーニャの中では禁止令はあまり守られておらず、ペコリーノのおよそ3倍の価格で闇市で取り引きされている。
【プロヴォローネ】
「プロヴォローネ」は、牛の乳を原料とする大型、硬質または超硬質チーズのひとつ。イタリアのナポリ原産とされる。
仔牛のレンネットを使用する柔らかい風味のドルチェと、子羊のレンネットを使用する強い風味のピッカンテがある。
そのまま、あるいはスライスしてパイナップルなどのフルーツとともに食べる。
古く、硬くなったものは粉末状に削って、肉料理に振りかけたりもする。