道彦の散歩道

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毎日の事件事故の記録

11/07 売れ筋最前線⑲

2014年11月07日 | 日記

【宮文刃物店】

「刃物専門 切れ味本位」
と書かれた看板をくぐって店内に入ると、ショーケースや壁に並んだ包丁に目を奪われる。出刃、柳刃、牛刀、麺切りー。よく見ると、その大半に「宮文」の銘が刻み込まれている。

札幌市中心部、狸小路2丁目にある「宮文刃物店」は、道内で知られる老舗のひとつ。3代目の宮本社長は「「お客様に『刃物のことなら宮文に行こう』と言われる店づくりを進めている」と力を込める。

包丁は売上の7割近くを占める主力製品で、店内に約千本を常備する。宮本社長のお勧めは、クロモリ鋼(クロモリブデン鋼)の「三徳包丁」。丈夫で錆びにくく、切れ味も鋭いことから、主婦を中心に高い人気があるという。

「宮文」はいわゆるプライベートブランドで、大阪や福井、新潟の提携先の工場で作られた包丁に銘を入れ販売している。「永年の付き合いで、品質の高さは折り紙付き」と、太鼓判を押す取引先ばかりだ。
さらに、販売時に店員が「切れ味がよくない」と判断すれば、店先で
研いでから客に渡すことにも拘っている。手間を惜しまずに、量販店などのライバルに差をつけている。

創業は1927年。宮本社長の祖父で、東京で腕のいいかみそり職人として評判だった文太郎さんが、大正期に札幌で開かれた北海道博覧会に出展したのがきっかりだ。

かみそりだけでなく、道内で流通する刃物類全般の品質が高くないと知り、「商機がある」と移住を決意した。東京に持っていた工場をたたみ、道外から仕入れた品物を小売りするため、狸小路4丁目に店を構えた。店名は自身の名前を縮めて「宮文」に決めた。

品揃えは、仕立て職人が使うハサミ、大工が使うノコギリやカンナなど幅広かった。ストーブのたき付けを作るマサカリや理髪店専用の椅子も扱い、昭和30年代には、包丁以外の売上が半分を占めた。

ところが、大工道具の電動化など時代の波が押し寄せ、それまで売れていた商品の人気が落ち始める。そんな中、家庭でも常に需要がある包丁の売上比率が高まって、同社の屋台骨を支えるようになっていく。

2代目の父・保次さんは販路開拓のために駆け回るだけでなく、知名度向上を生き残りのカギとみて、テレビやラジオのCMを始めた。保次さんが亡くなり、宮本社長が家業を継いだのは89年のことだ。

改装して一般客でも入りやすい店構えにしたりと工夫を重ねたが、徐々に店は手狭に。ちょうど手頃な物件が見つかったこともあって、思い切って狸小路2丁目に移転したのは2001年。販売スペースを広く取り、接客も強化した。

一度買った包丁は、手入れをすれば何十年も使える。そこで「販売と同じくらい大切だ」とみなすのが、刃物研ぎだ。料金は刃に欠けがない場合、1本当たり700円。ここ15年ほど据え置いており、他店で買った商品も同額。毎日50~150本程度持ち込まれる包丁を社員が手分けして研ぎ澄ます。

研ぎの名人も抱える。富田さん、宮本さんの2人はともに59年入社の間柄。熟練した手さばきで、1本研ぎ終えるのに5分もかからない。「本店に直接、持ち込んで頂ければ、普段なら1時間後に切れ味鋭い包丁をお返しできるように作業します」。
馴染み客から指名を受けることもあり、2人は「体が動く限り仕事を続ける」と声を揃える。

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