「なまはげ」とは、大晦日に秋田県の男鹿市と三種町、潟上市の一部の各家々で行われる伝統的な民俗行事。本来は小正月の行事であった。
「男鹿のなまはげ」として、国の重要無形文化財に指定されている。
『概要』
冬に囲炉裏にあたっていると手足に「ナモミ」「アマ」と呼ばれる低温火傷が出来ることがある。「それを剥いで」怠け者を懲らしめ、災いを祓い祝福を与えるという意味での「ナモミ剥ぎ」から「なまはげ」「アマミハギ」「ナモミハギ」などと呼ばれるようになった。一般的に、赤面がジジナマハゲ、青面がババナマハゲとされている。
鬼の面、ケラミノ、ハバキを身に付け、大きな出刃包丁を持ったなまはげが家々を訪れ、「悪い子はいねがー」「泣く子はいねがー」という荒々しい声を発しながら怠け者、子供や初嫁を探して暴れる。主人はなまはげをなだめながら丁重にもてなす。
同様の行事は同じ秋田県秋田市の「やまはげ」、秋田県能代市の「ナゴメハギ」、山形県遊左市の「アマハゲ」など、主に本州北部の日本海沿岸各地に存在し、新潟県村上市や石川県能登地方には「あまめはぎ」が伝えられ、福井県には語源は異なるが「あっぽっしゃ」等の呼び名でも分布する。太平洋側の数カ所にも同様の行事が存在している。
『ルーツ』
妖怪などと同様に民間伝承であるため、正確な発祥などは分かっていない。異形の神が脅して教訓を与える祭りとして、鹿児島県薩摩川内市の飯島列島に「トシドン」という類似の行事があり、トカラ列島にはボゼ神の祭りがある。これらとなまはげを関連づける意見もある。
また、「なまはげ」のモデルは、漂流してきたものの、異形で異なる言葉から住民と交われず、人里離れた場所にひっそりと住み着いた外国人(白人)ではないかというような説もある。
「農閑期の終わりを前に、農民を管理していた当時の役人が農民達の怠情を戒める為に鬼のような形相で各戸を訪問してきたことがルーツである」などとも言われている。
『現代』
大晦日のほかに「なまはげ紫灯(せど)まつり」が2月にあり、これは主に観光向け行事として親しまれている。こちらは、なまはげの着ているケラから落ちた藁を頭などに巻き付けると無病息災のご利益があると言われている。