佐世保便り

2008年7月に佐世保に移住。
海あり山あり基地あり。そしてダム問題あり。
感動や素朴な疑問など誰かに伝えたくて…

成分献血の副作用

2010-07-12 | 佐世保・長崎

10日以上・・正確には12日ぶりのブログアップです。

何の予告もなく、長期間のお休みごめんなさい。 もっと早く、6日には帰るつもりでした。

帰れなくなった理由も、家族などごく一部の人以外は伝えていませんでした。

その必要はないと思ったし、余計な心配をかけたくないと思ったから。

 

でも、今日ネット上で出会ったある研究論文を見て、私の体験も公表すべきかも…

という気がしてきたので、これからありのままにお伝えします。

 

その日、7月4日夕方、私は生まれて初めて献血をしました。

学生時代に採血寸前のところで、「あら?あと半月足りませんね」と誕生日を見て言われ、

牛乳だけ飲んで帰った記憶があり、

社会人のころは、比重が足りないとか言われて断られ、

その後なぜか機会がないままこの歳になってしまいました。

最近、佐世保のアーケード街を歩いていると献血センターの看板に時々出会います。

そして、そこには「AB型の血液が足りません」と書かれていました。

これは行かねば…と受付まで行ったら、けっこうたくさんの人がいて、

時間がかかりますよと言われました。

主婦としてはそろそろ夕食の準備に取り掛かる時間だったので、諦めて帰りました。

 

そんなこんなの思い出が頭をかすめ、新宿で献血の呼びかけを耳にした時は、

気持ちがすぐに動いてしまい、迷わず献血ルームへ向かいました。

 

エレベーターを降りると、広いスペースにたくさんの人!(ほとんど若者)

受付を済ませ、問診票に書きこみ、ドクターの問診、血液検査。

その結果、やや血液が薄いとのことで、全血ではなく成分献血を勧められました。

成分献血・・・採血後成分分離機にかけて血液を分離し、その一部分(血小板とか血漿とか)だけを抜き取り、残りは再び体内に戻すというもの

「ただし、少し時間がかかるのですが…」とのこと。

訊けば、1時間~1時間半と言われ、そのくらいなら大丈夫。

今日は全然急いでないし、こんな時こそやっておかなくちゃ・・。

ベッドが空き次第、採血に入りました。

 

思ったより早く終わり、終了後は休憩コーナーでジュースを飲んだりお菓子をつまんだり。

(献血後は、十分に水分と休息を取るよう言われました)

でも、なんとなく落ち着かず、ふと思いついて、以前よく行ってた喫茶店へ。

そこで1時間ほど時間を潰してから新宿駅へ。

 

山手線で池袋に向かったのは覚えています。

前の座席の女性が席を立って譲ってくださったのも覚えています。

でも、その後の記憶が全くないのです。

気が付いたら病院のベッドの上。

娘と息子がいました。

彼らが聞いた話によると、私は池袋駅のホームで倒れたらしく、

駅職員の通報で救急隊が駆け付け、病院に搬送されたようです。

倒れた時に頭を打って、一時的な意識障害と嘔吐に見舞われたらしい。

9時少し前、娘が駆け付けた時は、まだ意識が朦朧としていて、

ここがどこか、今日は何日かもわからないという状況だったとのこと。

 

後で娘から聞いて可笑しかったのは・・

「今は何月?」との問いに

「さあ…4月?5月かな?」と答える私に娘は次のような質問をしたそうです。

「もうすぐ参院選挙だよね。投票日は何日?」

「…11日?」

「そうだよね。何月の11日なの?」

「7月。ああ…7月か

かくしてやっと今月が7月だと思い出したそうです。

 

こどもたちは朝まで居てくれて、まず早朝に息子が帰り、

10時頃娘が帰る頃には、一仕事終えた息子が再び来てくれて、

午後息子が帰ってすぐ娘が来る・・・というように連携してやってくれていたのですが、

そのようなことも私はよく覚えていませんでした。

 

覚えていたのは、約束について。

5日の朝の友人と、昼の姉と、この2つの約束を破ることは気がかりだったようで、

4日のうちに娘に頼んで、二人に電話をかけてもらっていたそうです。

そして、5日の午後、自分からお詫びの電話を入れているのですが、

いつ電話したのかまるきり覚えていないのです。

携帯の履歴をみて、「ああ、そうか・・」と納得するだけ。

ほんの2,3時間前に電話で話したことも覚えていない。

いえ、話した事実と内容は覚えているのだけれど、いつ話したかという時間的な記憶がない。

きっと、脳の打ちどころの問題なのでしょう。

もちろん、今はそんなことありませんよ。大丈夫!

 

さて、CTなどの検査も異常無しとのことで、6日午後退院することができました。

その際ドクターからは、「長距離移動はあと数日控えた方がいいでしょう。

まだ1週間ほどはふらつきも残っているでしょうが、自然とよくなりますので心配はいりませんよ」

と言われました。

 

まさしくその言葉通り、ふらつきは目に見えて改善。

10日に自宅に戻りましたが、今は全く日常生活に支障はなく、

起床時と就寝時に軽い目まいのような症状が出るだけ、

そして頭部打撲の腫れと痛みが多少残っている程度です。

 

そこで、頂いた資料(診療明細書など)に目を通して不要なものは処分しようと考えました。

そのとき、病名欄を初めて見ると、

中等症頭部外傷、びまん性脳損傷、献血後迷走神経反射疑い」と書かれてました。

「びまん性」と「迷走神経反射」という言葉の意味がわからず、ネットで検索しました。

前者についてはすぐに解決、後者について調べるうちに、

献血との因果関係に大きな問題があることがわかってきました。

そして辿り着いたのが、埼玉県赤十字血液センターの6人のチームによる研究論文でした。

http://www.wam.go.jp/wamappl/bb11GS20.nsf/0/1c4792a4dc03e7994925757b0007f7d7/$FILE/20090316_1shiryou4-3_8.pdf

「成分献血における血管迷走神経反応―性別、年齢、体重、および献血回数の影響」

というタイトルが付けられていました。

 

それによると、献血における副作用は通常約1%ほどであり、

その副作用として最も顕著なのが、血管迷走神経反応(VVR)と呼ばれるもので、

全体の0.76%(副作用発生者のうちの72%)ほど。

献血が引き金となって、自律神経のバランスがくずれ、血圧低下、脳血流低下で、

気分が悪くなったり、時には意識がなくなって倒れたりするそうです。

 

が、そのVVR発症率が、いろんな条件によって大きく異なっていることを彼らは発見、

その結果をまとめ、警鐘を鳴らしています。

 

献血するのが初めてかそうでないかで比較すると、

再来者の場合0.8%の発症なのに対し、初回者は2.0%にも上るのです。

 

また、全血献血の場合は0.6%なのに、成分献血では1.1%となっています。

しかも、成分献血で初回者となると、男性4,7%、女性はなんと7.4%という高確率です!

 

つまり、まさに私のようなケース、初めてで、女性で、成分献血をすると、

100人中7人が血管迷走神経反応をおこすという可能性が考えられるわけです。

 

これは、とても重大なことではないでしょうか。

 

さらにレポートを読み進むと、年齢との関係もでてきました。

このケースは事例が少なくて断定はできないのでしょうが、

60歳以上の女性で、初回で、成分献血を行った9人中4人がVVRを発症したとのこと。

実に44%の確率です。ほぼ2人に1人です。

では50代はどうなのか?3割くらいいくのかもしれない・・などと予想したりもします。

 

この結果を、献血事業関係者の方々は十分に留意し検討して頂きたいです。

埼玉県赤十字血液センターの研究者の皆さんは、成分献血についてさらに研究を進め、

より安全な献血を目指して頂きたいです。

 

そして、このブログを読んで下さった方で、これから献血にトライしようとお考えの貴女、

成分献血には十分注意してくださいね。

ご自身の年齢や体重、血圧、体調等々としっかり相談なさってから…がいいと思いますよ。

 

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11 コメント

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Unknown (bonchan)
2010-07-13 04:26:36
先ず献血の件ですが、私は幼時に輸血を受けた事があるので、献血は断られてしまいます。
次に石木ダムの件です。今実行されている早朝の座り込みも立派な実力阻止行動ですが、つまるところ、権利をまもるためには、実力阻止しかないと声を大にして訴えたいと思います。
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線路は続くよどこまでも (多良見の竜神さん)
2010-07-15 10:38:15
お手紙届きました。有り難うございました。
このたびは本当に災難でしたね。駅のホームで倒れるなどと,危険きわまりないことです。それでも大事に至らなくて不幸中の幸いでした。骨髄移植には,それなりのリスクがあることは聞いていましたが,日常普段に行われている献血も軽々しく扱ってはいけないのですね。
献血の危険性を世の中に周知させるべきです。
参議院選は残念な結果となりましたが,まだまだこれからですよ。落胆している暇などありません。
国土交通省の有識者会議は,ダム事業についてコストを最重要視する案をまとめました。
石木ダムと諫早の本明川ダムも,もちろん例外ではありません。
金子参議院議員と中村知事がタッグを組んだからと言って,政権与党の民主党にどれほどの影響を及ぼすことができるのやら,私は疑問視しています。
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お粗末な検証基準案 (cosmos)
2010-07-15 23:17:47
有識者会議が示した案は本当にお粗末ですね。
ダムに代わる代替案を作成して、それをコストや安全度、実現性などの8項目で比較評価するというものですが、それをやるのが事業者本人(石木ダムの場合は県)では、答えは決まってますよね。比較した結果、ダムがコスト的にも…にも…にも最も最適な対策である、などと結論付けるでしょう。

かつて、川棚川水系河川整備計画検討委員会などを立ち上げて、同様の視点ですでに検討していますし、その時の委員の方の話では、「初めから結論ありきの委員会だった。自分たちの意見は全く取り上げてもらえなかった」とおっしゃってました。
佐世保でも再評価委員会が数回開かれましたが、当局のシナリオ通りに進行し、異議を挟む委員は皆無という状況でした。

とは言え、おっしゃる通り落胆していても始まりませんね。元気を出して、また私にできることを続けていかなくては…

ところで、こちらこそお手紙ありがとうございました。低線量被爆に関する文献が、被爆者救済の一助になれば幸いです。
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ああ,勘違い! (多良見の竜神さん)
2010-07-16 14:25:46
私は,とんでもない勘違いをしておりました。
見直しを誰がするのかがポイントなのですね。
事業主体に見直しをさせるのは,盗人に留守番をさせるようなものです。 
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ズバリ! (cosmos)
2010-07-17 21:46:01
盗人に留守番をさせるようなもの・・
まさにその通りですね。
ズバリ言い得た表現で、もうちょっと早く頂いていたら、今日の記事に使いたかった…残念!
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Unknown (医学部3年生)
2013-10-19 12:52:32
初めまして

私は20歳の医学生ですが、これまで200mlと400mlの全血を合わせて20回近くもしてきました

成分献血は父がした後にとても気分が悪くなって、それで私はしないように言われています

私は身長180cmを超えてバスケをしており、父は80kg近い自衛官なので病弱とは程遠いです(笑)

成分献血では血液凝固を抑えるためにクエン酸を使っています
一部の人は血中クエン酸濃度の上昇で気分が悪くなったりするらしいのでその関係かもしれませんね
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Unknown (cosmos)
2013-10-20 01:00:57
医学部3年生さま

成分献血についての情報、ありがとうございます。

80kg近い自衛官のお父様でも成分献血後に気分が悪くなられたとか…。
クエン酸濃度の上昇がどのように体に作用するのかなど、一般市民には全くわかりませんが、リスクの高い献血方法は見直すべきかもしれませんね。
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Unknown (医学部3年生)
2013-10-20 18:38:18
成分献血が全血よりもいくぶんリスキーなのは確かです
また、全血献血もいわば臓器移植と似たようなものという認識も必要ですが、全血は使い捨て器具を用いることでリスクは限りなく0に近づきます
貧血気味の人は事前検査で分かりますからね

献血可能年齢の人が全員全血献血をすれば、リスキーな成分献血は必要なくなるので、そんな世界になればいいですね

献血のメリットが少なすぎるので、協力者が不足しているのだと私は思っています
私自身も人助けたいなどの高尚な目的でしているわけではなく、血液検査と血液の入れ替えを目的としてしています
男性は生理がないですから献血をした方がいいと思っています

献血をしている度合いに応じて、医療費の割引というのはいかがでしょうか

例えば全血400、成分を2点、全血200を1点として年間2点以上は翌年度に2000円クーポン(笑)4点以上は5000円クーポンなど(笑)

赤十字負担で行っても赤字にはならないはずです

誰しも年間通じて何回かは病院に行きますし、その内半分を予防医療(例えばインフルエンザワクチン接種、麻疹抗体検査など)に限定すれば、公衆衛生の増進にも役立ちます

問題は赤十字病院と国のどちらが金を出すかということになりますね(笑)

私自身厚労省の医系技官を目指しているので、長く書きすぎました
失礼します
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Unknown (cosmos)
2013-10-21 03:41:39
いろいろと興味深い情報ありがとうございます。

クーポン制…いいかも…ですね。

いずれにしても献血者を増やすことは大事ですね。
それによって救われる人がたくさんいるのですから。

誰でも輸血のお世話になる可能性はあるのですから、お互い様だと思います。
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Unknown (りんごとみかん)
2013-12-05 19:58:27
はじめまして。

2歳の息子が先日、小児脳腫瘍で開頭手術をしました。
出血が多量だったため輸血され、命を救うことが出来ました。
献血して下さった方に心から御礼の気持を伝えたく思っております。
小児病棟に長期入院しているのは小児がんの子が多いです。
白血病、色々な臓器のがん、脳腫瘍・・・
抗がん剤治療をしている子は頻繁に輸血を受けるのですが
本当に皆さんの善意のおかげで命をつないでいます。

私も恩返しに献血しなければ、と色々調べているうち
こちらのページに行きあたりました。

副作用が出てお体にご負担があったとのこと。
そのような思いをしてまで献血なさった想いに
ただただ感激するばかりです。
私なぞは息子が輸血されて初めて、私も輸血しなければ、
と思ったような人間で情けないです。

だんだん寒くなってまいりましたのでご自愛下さいませ。
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