佐世保便り

2008年7月に佐世保に移住。
海あり山あり基地あり。そしてダム問題あり。
感動や素朴な疑問など誰かに伝えたくて…

諫早湾 海上デモ

2010-09-11 | 有明海・諫早干拓
昨朝6:56発の電車に乗って向かった先は…ここ。



諫早湾潮受け堤防北部排水門前。

この日、福岡・佐賀・熊本・長崎4県の漁業者が早期開門を求めて海上デモをしました。
この情報を教えて下さったのは、「干潟の海の詩」の合唱指揮者のN先生。

10月15日の「日本のうたごえ祭典」でこの歌を歌う前に是非現地を訪ねたいと思っていた私は、
即座に「行きます!」と返事していました。

排水門のかなり手前で車を降り、歩いて現場に向かいながら、
「あれが多良のお山、あっちが雲仙の普賢岳」などと説明して下さったので、
歌詞のイメージが私の中で少し修正されて焼き付きました。

    諫早の海の ふところ深く
    多良のお山と雲仙の
    山の裾野に抱かれた
    母なる干潟 
    ああ 諫早の海

現場にはいろんな支援団体が集まっていて、スピーチが行われていました。
私たち「うたごえ」は、「干潟の海の詩」のCDを大きなスピーカーで海に向かって流したり、
また和太鼓を叩いたりして応援しました。



豆粒ほどに見えていた船団が、どんどん近付いてきました。



珍しそうに何枚も写真を撮っていたからでしょうか…
一人の年配の男性が双眼鏡を貸してくれました。

そして、いろんなことを話してくれました。

「今年のノリはひどかった…」



「黄色になってしもうてね」

えー!全滅ですか?

「いや、場所によって違うから。大丈夫なところもある」

そうですか。ノリがだめになったのはやはりこの門のせいですか?

「そう。 だけど、いま開門したらもっとダメになる」

え?! 皆さん、さっきから即時開門せよ!と訴えておられますよね。お仲間じゃないんですか?

「ああ。わしたちは佐賀の漁民やけん、いますぐ開門してほしかけど、この近くのノリ漁のこと考えたら…」

時期があるってことですか?いつならいいんですか?

「そう、4月か5月だな」

そうなんですか。待てますか?

「苦しいけどな。ま、待てんで止めていく者もおるやろな。ノリ漁は金がかかるから厳しいしなぁ」

お金がかかる?

「ああ、乾燥機なんか2000万円くらいするやろう、船もうちのは2500ぐらいやったしな」


知らないことばかりだった。
もっと聴きたかったけど、仲間と思しき人が呼びに来て、そのおじいさんは去って行った。









こちらは、佐賀県内の漁協の婦人部の人たちです。





皆さん大きな声を振り絞って、何度も何度もシュプレヒコールを続けます。

    宝の海を返せー!  返せー!
   
    開門調査を先送りするなー!  するなー!

    我々はもう待てないぞー!  待てないぞー!




そのうち、近づいてきた船団のシュプレヒコールとのコラボレーションが始まりました。

   「開門調査を実施せよー!」と漁船からの声。それを受けて「実施せよー!」と女たちが叫ぶ。

   「政治判断を果たせー!」とお父ちゃんたちが叫ぶ。それを受けて「果たせー!」とお母ちゃんたち。


空には何機もヘリコプターが旋回していました。 


抗議行動を終えて、船団が帰り始めました。





そのとき、さっきとは別のオジサンが、また「沖の方を見てごらん」と、双眼鏡を渡してくれました。



漁船たちは、右へ左へハイスピードでジグザグ行進をしています。
白い波頭がいっぱい立っていました。

この行動の意味はどういうことなのでしょう?
お聞きするのを忘れていました。。



しばらくして小長井漁協のMさんの船が近づいてきて、
「応援ありがとう~」と手を振りながら去って行きました。


応援行動も終わり陸のほうも解散。
昼食後、「日うた祭典」での「干潟の海の詩」のステージに関する漁民の方との打ち合わせを
Mさんのお宅で行いました。

「細かいことは俺よりお母ちゃんに言っといて。その方が確実だから」
と言われて、私たちはMさんの奥さんと電話番号を交換。
私は「石木川まもり隊」と印刷された連絡先を渡したら、
「あ~こうばるの方ですか~今年のほたる祭り行きましたよ!」とおっしゃってびっくり!

「また来年も来て下さいねー」と、主催者でもないのにかってに呼びかけていました。


そして、すべてが終わって帰る前に、疑問を率直にぶつけてみました。
今日佐賀の漁民の方から聞いたこと。
「開門は今ではなくて来年の4月か5月がいい。今やると却って被害がおきる」とおっしゃったこと。

松永さんはきっぱり言われました。
「俺たちは一日も早くと思っている。被害はおきない。
被害がおきると言ってる人たちは開門の意味を勘違いしている。
いっぺんに水門を全開すると思っている。そうではない。
少しずつ徐々に開けて開門調査をしようと言っているんだ。その方法でやれば被害は起きない」

なるほどと納得しました。

でも、同じ漁民で、同じ開門運動をやっている人たちで情報が共有されてないのは、
ちょっとまずいんじゃないかなぁ…と少し余計な心配をしてしまいました。


とにもかくにも初めての景色、光景に出会い、いろんなことをいっぱい教えて頂いた一日でした。


昨日の光景はこちらのユーチューブで見れますよ。ぜひ覗いてみて下さい。
転送、拡散、大歓迎だそうです。
http://www.youtube.com/watch?v=1zzkYl8reBQ
コメント (9)
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