佐世保便り

2008年7月に佐世保に移住。
海あり山あり基地あり。そしてダム問題あり。
感動や素朴な疑問など誰かに伝えたくて…

消えた水源を探して

2010-02-15 | 石木ダム

13日土曜日午後、KさんとYさんに誘われて、下の原貯水池に出かけました。

翌日の勉強会に備えて、やはり現場を見ておくべきだろう…というのは建前で、
水道局がその存在を否定する「下の原取水場」を探してみたいというのが本音でした。





正面に見える灰色の壁が「下の原ダム」のコンクリート堤です。
目の前の川が小森川。
予想以上の流量です。
橋の向こうはぐっと水嵩も多そうです。



近づいてみました。
やっぱり。水は満々と漲っていました。
大喜びのKさんは、「ここで泳ぎた~い!」と、寒さも忘れて叫んでいました。

小森川はこの先ほぼ90度の角度で右に湾曲し、
権常寺町を右手に見ながら下流に流れ、早岐瀬戸に出ます。

いわゆる安定水源「権常寺取水場」(現在の呼び名は「小森川取水場」)がこの辺りに有るはず。

それはすぐ見つかりました。
ダム堤の前に見える白い建物がポンプ棟ですが、そのすぐ近くに取水口らしいものがありました。

おそらく、そこからポンプアップして、小森川の水をいったん貯水池に入れ、
そこから広田浄水場へ送っているのでしょう。

この水量から見て、2100m3/日などということは有り得ないだろう、
もっとずっと多いはず・・・とは3人の一致した感想でした。

しかし、私たちは、ここが消えた水源「下の原取水場」ではないと思ってました。
なぜなら、水道局の「ダム管理規定」の中の「水利使用規則」の中に、
「取水口の位置」という資料を見ていたからです。

「下の原取水場」には3つの取水口があり、
A.本取水口、B.注水用取水口、C.集水用取水口と言い、
それぞれの所在地も取水量も異なっています。

住所から見て、AとCはダムのすぐそばです。
Aは貯水池本体からの取水量と一致します。

ということは、Aは、下の原貯水池から広田浄水場へ送る取水口で、
Cは、ダムのそばを流れる小森川から集水してポンプアップして貯水池に送る取水口と考えられます。

残るBは、ダムからかなり離れた吉福町にあります。
消えた取水場「下の原取水場」は、その吉福にあるのでは?と考えたのです。

そのとき、「下の原ダム」の案内板をカメラに収めていた私たちは「あー!」と声をあげました。



なんと、案内板の写真にはっきり明示されていたではありませんか!
「小森川上流(吉福)からの導水」と。

まちがいない!
吉福へ、いざ、出発!


住所と地図を頼りに、目星をつけて車から降りて少し歩くと、
橋のそばを走る導水管を発見!



かなり太いです。
これが下の原貯水池に送られる水の通り道に違いないでしょう。

ということは、この近くに取水場があるはず・・・。

しかし、なかなか見つかりません。
手分けをして、川の上流や下流を行ったり来たり・・。

堰は見つかるのですが、取水場らしき設備は見当たりません。
川のそばに灰色っぽい建物を発見すると期待して小走りになりますが、
公民館だったり、廃屋だったり・・

小森川の土手をうろつく中年男女三人組、きっと不審者みたいに見えたでしょうね。
しかし、当人たちは、「ぼ、ぼ、ぼくらは中年探偵団♪」と口ずさんだりしながら、
見つかると信じて歩きまわりました。

そして、ついに発見!!!



フェンスに囲まれた施設。
中には人工溜め池らしきものが見えます。







設備そのものはわりと新しく、今現在使われていることは間違いないようです。
このすぐ近くに取水口もあるはず。




ありました。
川のそばの小さなフェンスに近づいて下を見ると、
川の水がどんどん吸い込まれているのがはっきり確認できました。

これらの施設は、正式には「吉福導水施設」というものでした。
帰宅後、手持ちの資料を再びひも解いてわかったのです。

「吉福導水施設フロー」の図があり、
吉福取水口→吉福沈砂池→導水管→下の原ダム注水口(着水井)
と書かれていました。

私たちは数字にも騙されやすいのですが、言葉にも騙されます。

この写真に写っている取水口から、仮に毎日1万トンの水を取ることができたとして、
その施設を「取水場」と呼べば、その1万トンは水源のように感じるし、
「導水施設」と呼べば、それはただ1万トンの水を運ぶだけの設備のように感じます。

少なくともかつては、つまり平成18年までは、ここを「下の原取水場」と呼び、
不安定ながらも水源としてみなしていたのではないか、
しかし、その取水量15,000m3が存在すれば、ダム建設の邪魔になる、

19年度の再評価委員会に出した資料で、将来の水需要予測は117,000m3となっており、
18年度までの水源総量は、120,500m3で、「な~んだ、ほぼ足りてるじゃん」となりかねない。
安定水源と不安定水源の違いを重視しない市民にはダム建設の説得力に欠けるだろう。
そこで、15,000m3を消して、すべての水源量は105,500m3ですよ。
足りないでしょう?
しかも、そのうち安定水源は、たったの77,000m3ですよ。
心配ですねー、不安ですねー、ダムが早くできるといいですねー、
と誘導したのではないでしょうか?

私たちはそのように思えてなりません。

でも、もちろん、仮説です。

これから専門家のご意見を聞いたり、
情報公開請求でさらなる資料を集めて勉強していかなければ…と思っています。

なにしろ、私たちド素人にはチンプンカンプンの世界です。
資料を半日見ていると、頭がフラフラしそうです~ 

でも、あせらず、じっくり考えていきたいと思います。   

 

コメント (2)
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