月も虫も糸のよう・・・!
令和3年8月12日(木)
冬庭や
月もいとなる
むしの吟
冬の庭を照らす月は糸のように細く、
生き残った虫もか細い声で鳴いている、
の意。
元禄二年(1689)の作。
「いとなる」・・・「糸なる」ないし
「網と成る」で、糸のような状態であ
ること。
一入(いちにゆう) という想の庵で
巻かれた連句の立句。
◎ 上に見えるのは、細い糸のよう
な月で、まさに冬の庭の上に寒そう
な姿を見せている。
同時に庭の草むらの虫の鳴き声も
糸のようにか細い歌を聞かせている。
「いとなる」を月と虫の両方の形容
した句。
上の月も下の虫もともに冬の寒々
とした庭の添え物として相応しい。