貢蕉の瞑想

青梅庵に住む貢蕉の日々のつぶやきです。

春の夜 恋に馳せる寺

2021-08-25 10:54:51 | 日記

春の夜 恋に馳せる寺

令和3年8月25日(水)

 昨夜のパラリンピックの開会式、

大好きな辻井伸行さんの演奏にまた

魅了される。

 心の深層に染み渡るような演奏に、

ああ辻井さんの音色だ!!!!

 美しい旋律に聴き入ってしまった。

 平和の持続を切に願う感じにも・・・。

春の夜や 

  籠り人ゆかし 

     堂の隅

   春の夜、お堂の隅で一心に祈る

参(さん)籠(ろう)者に何か心が

惹かれる、

の意。

 貞享五年(1688)の作。

  「籠り人 」・・・祈願のために堂に

泊まり込む人。     

   源氏物語の玉(たま)鬘(かずら)等

初瀬(長谷寺)への参籠は古典作品

にも見られる。

 「ゆかし」・・・慕わしい。

◎ 「初瀬は恋を祈る所」(淀川)であり、

一月にはどことなく艶やかな気分が漂う。

 「人去って

    いまだ御坐(おまし) の

         匂ひける 越人」 

「初瀬に 籠る堂の 片隅 芭蕉」 

「春の夜は

   たれか初瀬の

        堂籠 曽良」

(猿蓑)を利用して、

紀行執筆時に加えた句かと推察される。

◎ 暖かな春の夜、桜井の長谷寺に

来て見ると、堂の隅に人の気配がした。

 さて、誰が誰に恋して、御堂の隅で

物思いをしているのかしら。

 ともかく恋の思いで昔から有名な寺

であるからには何となく気になってし

まう。

 長谷寺の朧月夜の恋の思いが

古人の昔から今に至るまで変わりも

せずに、春の夜を人恋に適当な処と

している。

 よきかな。春の夜。

 温かきかな。人の心。

 快きかな。冷やした春風。