春の夜 恋に馳せる寺
令和3年8月25日(水)
昨夜のパラリンピックの開会式、
大好きな辻井伸行さんの演奏にまた
魅了される。
心の深層に染み渡るような演奏に、
ああ辻井さんの音色だ!!!!
美しい旋律に聴き入ってしまった。
平和の持続を切に願う感じにも・・・。
春の夜や
籠り人ゆかし
堂の隅
春の夜、お堂の隅で一心に祈る
参(さん)籠(ろう)者に何か心が
惹かれる、
の意。
貞享五年(1688)の作。
「籠り人 」・・・祈願のために堂に
泊まり込む人。
源氏物語の玉(たま)鬘(かずら)等
初瀬(長谷寺)への参籠は古典作品
にも見られる。
「ゆかし」・・・慕わしい。
◎ 「初瀬は恋を祈る所」(淀川)であり、
一月にはどことなく艶やかな気分が漂う。
「人去って
いまだ御坐(おまし) の
匂ひける 越人」
「初瀬に 籠る堂の 片隅 芭蕉」
や
「春の夜は
たれか初瀬の
堂籠 曽良」
(猿蓑)を利用して、
紀行執筆時に加えた句かと推察される。
◎ 暖かな春の夜、桜井の長谷寺に
来て見ると、堂の隅に人の気配がした。
さて、誰が誰に恋して、御堂の隅で
物思いをしているのかしら。
ともかく恋の思いで昔から有名な寺
であるからには何となく気になってし
まう。
長谷寺の朧月夜の恋の思いが
古人の昔から今に至るまで変わりも
せずに、春の夜を人恋に適当な処と
している。
よきかな。春の夜。
温かきかな。人の心。
快きかな。冷やした春風。