貢蕉の瞑想

青梅庵に住む貢蕉の日々のつぶやきです。

特別な春の暮

2021-08-23 12:09:49 | 日記

特別な春の暮

令和3年8月23日(月)

入かゝる 

  日も程ゝに 

     春のくれ

  暮春に相応しく、日もよいほどに

ゆっくり沈んでいく、

の意。

 元禄二年(1689)の作。

「程ゝに」・・・ほどよい具合に。

「春のくれ」・・・暮春の夕暮れの意。

 ◎ 春の夕陽は沈む前に赤い靄で

彩られる。

 のんびりと暖かい一日を過ごした後に、

柔らかな赤い靄が美しく優しく

西の空を染めている。

 このような日没は、

夏の焼き付くような夕日、

秋の輪郭のはっきりした夕日、

冬の弱々しい雪に消えるような夕日

と違って、靄の力で輪郭が柔らかに

広がる、特別な春の暮れなのだ。