暑さ倍増 殺生石!
令和3年7月22日(木)
石の番や
夏草赤く
露あつし
前書き「殺生石]。
石から漂う異様な臭気に、
見れば夏草は赤く焼け、
露までが熱い、
の意。
元禄二年(1689)の作。
「石の番」・・・殺生石一帯に発する
有毒ガスの匂い。
那須温泉に近い殺生石一帯の
荒涼とした景色を捉えたもので、
4月19日の吟。
紀行では、採用されず、本文に
「蜂、蝶のたぐひ、真砂の色の見え
ぬほどかさなり死す」
と石の毒気のことが記される。
◎ 栃木県の温泉明神の裏手の山腹に
殺生石というのがあり、絶えず有毒ガス
を噴き出し、夏草は赤く焼けて、
この辺りの露は熱いという。
浅間山近くに、石(せき)尊(そん)山(さん)
という山があり、泉が噴き出すと直ぐに
真っ赤になる。
学者の説明では赤くなる泉は
鉄分が多いからだという
石尊山では、血の滝、血の川と呼んで
いるが、確かに夏になると、異臭を
発している。
それと同じような赤いガスを出すところ
があるのだろう。
自然には、そういった不思議な泉や
ガスの噴出がある。
夏に見たなおさら暑い景色を詠んでいる
芭蕉は、自然の神秘な営みを畏れ敬う
境地であったろうか。