「初の字」を賞美!
令和3年7月18日(日)
初時雨
初の字を我
時雨哉
折からの初時雨。
この初の字が付く時雨こそ、
私が愛してやまないものだ、
の意。
元禄六年以前の作。
「初の字」・・・この字に、賞美の心を
込めて詠むのが、芭蕉たちの通例。
◎ 「初時雨」は、冬の季語。
従って、蕉門の人々が連句の集まりを
する時に、初対面の人にこの句を贈り、
挨拶代わりにしたという。
この句を見て、先ず気がつくのは、
漢字が多く、黒々としている。
つまり、四角張った挨拶と見えることだ。
と同時に、挨拶の度が過ぎて、
滑稽にも思えることだ。
そこに、初見の人とも笑い合える余裕も
ほの見える。
芭蕉の俳句に見える状況の多重化が
面白い。
この句は、いつ生まれたかは、不明。
元禄の間、つまり芭蕉晩年の作だとされた。
私も「初」の字,好んで使っている。