ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

スタンダーズ・ライヴ!!/星影のステラ (Standards Live)

2008年01月19日 | 名盤

 
 ジャズの魅力。
 いろんな魅力を自由に感じることができるのが"魅力"だと思います。
 心地よいスウィング感。創造性。演奏技術の素晴らしさ。即興演奏。ほかにもいろんな要素はあると思います。


 「スタンダーズ」と呼ばれるキース・ジャレットのトリオは、文字通りスタンダード・ナンバーを、彼らならではの斬新な解釈で聴かせてくれます。
 より自由度の増した展開の面白さ、とでも言ったらいいのでしょうか。


     
     キース・ジャレット・トリオ "スタンダーズ"  左からK・ジャレット、G・ピーコック、J・ディジョネット


  目の前で繰り広げられるスリリングな即興演奏、緊張感のある音の構築、そして演奏が行われている場所を支配している熱気などが、生で演奏を聴くことの楽しみではないか、と思うのですが、このアルバムを聴いていると、部屋がまるでライヴ・ハウスのような空気に変わっていくのが感じられて、とても面白い。


 仲の良い友人同士で交わされる話は、互いの言葉が互いを刺激して、どんどん会話が発展してゆくものですが、このトリオの演奏もそれに似たものを感じます。メンバー三人による、会話にも似た音のやりとりがとても新鮮で、見事に調和しているんですよね。
 
 
     


  『星影のステラ』『ロング・ブルース』『恋に恋して』『トゥー・ヤング・トゥ・ゴー・ステディ』『今宵の君は』『オールド・カントリー』の6曲が収められていますが、どれも美しくて質の高い名演奏と言えるのではないでしょうか。  
 中でもに『星影のステラ』のスピリチュアルなまでの美しさは「素晴らしい」の一語に尽きると思います。  
 そして、6曲目の『オールド・カントリー』が終わったあとに聴かれる熱のこもった拍手と歓声、それがこのアルバムの本質を端的に伝えているような気がします。


 三人の創造力と演奏技術の高さは言うまでもありません。そしてそれぞれが互いに影響を及ぼし合い、研ぎ澄まされた音を生み出してゆきます。
 聴いているぼくは陶酔感に満たされます。
 そう、「ジャズの楽しさ」を充分に味わうことができるんです。


     



◆"スタンダーズ"ライヴ!/星影のステラ (Standards Live)
  ■演奏
    キース・ジャレット・トリオ
    キース・ジャレット/Keith Jarrett (piano)
    ゲイリー・ピーコック/Gary Peacock (bass)
    ジャック・ディジョネット/Jack DeJohnette (drums)
  ■録音
    1985年7月2日 パリ、パリ・デ・コングレ
  ■リリース
    1986年
  ■レーベル
    ECM
  ■プロデュース
    マンフレート・アイヒャー/Manfred Eicher
  ■収録曲
    ① 星影のステラ/Stella by Starlight (Ned Washington, Victor Young)
    ② ザ・ロング・ブルース/The Wrong Blues (William Engvick, Alec Wilder)
    ③ 恋に恋して/Falling in Love with Love (Lorenz Hart, Richard Rodgers)
    ④ トゥー・ヤング・トゥ・ゴー・ステディ/Too Young to Go Steady (Harold Adamson, Jimmy McHugh)
    ⑤ 今宵の君は/The Way You Look Tonight (Dorothy Fields, Jerome Kern)
    ⑥ オールド・カントリー/The Old Country (Nat Adderley, Curtis Lewis)



 

コメント (14)
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