アメリカン・ロック史上に残る永遠の名盤です。
当時のロック好きな友達は、イーグルスのファンでなくとも、たいていこのアルバムを持っていたような気がします。
1976年12月にリリースされたこのアルバムはすぐチャートを上昇し、ビルボードのアルバム・チャートで8週連続1位を記録しました。アルバムの売り上げは現在までに全世界で2000万枚以上を数える、まさにモンスター・アルバムです。
タイトル・ナンバーももちろん大ヒットし、1978年度のグラミー賞最優秀レコード賞を受賞しました。
ちなみにこの曲は、日本では1996年にTBS系テレビドラマ「その気になるまで」の主題曲に起用され、リバイバル・ヒットしました。
イーグルスは、それまではカントリー・ミュージック系バンドというイメージが強かったのですが、ドン・フェルダーが参加したあたりから徐々にロック色が濃くなってゆきます。そしてこのアルバムからジョー・ウォルシュが参加したことによって、いっそうその傾向がが強まった感があります。
ドン・フェルダーとのツイン・リード・ギターが新たなセールス・ポイントとしてクローズ・アップされるようになりましたが、今までの特徴のひとつであるアコースティックな響きを生かしたウエスト・コースト・サウンドは健在です。
また4人のリード・ボーカリストを擁していることに加え、メンバー全員で取る美しいコーラスはイーグルス・サウンドに欠かすことができない強みです。
大ヒットした『ホテル・カリフォルニア』、さわやかなウエスト・コースト・サウンドの『ニュー・キッド・イン・タウン』、ファンキーでイカした『駆け足の人生』、胸を打つバラード『時は流れて』など、名曲のオン・パレード。
曲作りには、ドン・ヘンリーとグレン・フライというふたりの大きな柱に加え、旧友J.D.サウザーが加わっています。サウザーの参加は作曲面でのバンドの停滞を防ぎ、サウンドの活性化に繋がっているように思えますね。
そしてウォルシュの作曲面での貢献も見逃せないと思います。
伝統的なアメリカン・ロックの雰囲気を残しながらもロックやファンクの要素を大きく取り入れ、『駆け足の人生』『お前を夢みて』のふたつの佳曲を提供しています。
またランディ・マイズナーの優しいバラードがこのアルバムでも健在なのは嬉しいですね。『素晴らしい愛をもう一度』では優しい歌声と古き良きアメリカを思わせるどこかセンチメンタルな雰囲気のするサウンドを聴くことができます。
ぼくがとくに好きなのは、『時は流れて』以降の流れです。人影のない広野のはるか向こうにオレンジ色の夕陽を徐々に沈んでゆき、濃い夕闇が少しずつ迫ってくるような、そんなイメージが頭に広がるのです。
聴いているうちに、昔のことをいろいろ思い出すアルバムがありますが、これなんか、ぼくにとってはそんな作品です。
このアルバムを初めて手に取り、毎日のように聴いていた頃はどんな心境だったか、とか、どんなことを考えていたか、というようなことがはっきり思い出されるんです。いわばこの作品は、青春の悩みとともに味わった一枚である、というわけです。
コーラス・ワークの素晴らしさはもちろん、おもなリード・ボーカリストであるドン・ヘンリー、グレン・フレイ、ランディ・マイズナーが、それぞれの持ち味を出しきって歌っているところも大きな魅力でしょう。とくにドン・ヘンリーの色気たっぷりの歌声は、多くの女性ファンの胸をかきむしったに違いありません。
今日は夕方から宵にかけて、このアルバムをじっくり聴きました。やはりよい作品というものは、聴き手の気持ちを別の世界に連れて行くことのできるエネルギーに満ちているんですね。
◆ホテル・カリフォルニア/Hotel California
■歌・演奏
イーグルス/Eagles
■リリース
1976年12月8日
■プロデュース
ビル・シムジク/Bill Szymczyk
■収録曲
Side-A
① ホテル・カリフォルニア/Hotel California (Felder, Henley, Frey)
② ニュー・キッド・イン・タウン/New Kid in Town (Henley, Frey, J.D.Souther)
③ 駆け足の人生/Life in the Fast Lane (Henley, Frey, Walsh)
④ 時は流れて/Wasted Time (Henley, Frey)
Side-B
⑤ 時は流れて(リプライズ)/Wasted Time(Reprise) (Henley, Frey, Jim Ed Norman)
⑥ 暗黙の日々/Victim of Love (Henley, Frey, Felder, J.D.Souther)
⑦ お前を夢みて/Pretty Maids Aii in a Row (Walsh, Joe Vitale)
⑧ 素晴らしい愛をもう一度/Try and Love Again (Meisner)
⑨ ラスト・リゾート/The Last Resort (Henley, Frey)
■録音メンバー
☆イーグルス/Eagles
グレン・フライ/Glenn Frey (guitars, keyboards, vocals, lead-vocal②)
ジョー・ウォルシュ/Joe Walsh (guitars, keyboards, vocals, lead-vocal⑦)
ドン・フェルダー/Don Felder (guitars, vocals)
ランディ・マイズナー/Randy Meisner (bass, vocals, lead-vocal⑧)
ドン・ヘンリー/Don Henley (drums, vocalslead-vocals①③④⑥⑨)
■チャート最高位
1977年週間アルバム・チャート アメリカ(ビルボード)1位、イギリス2位、日本(オリコン)2位
1977年年間アルバム・チャート アメリカ(ビルボード)4位、イギリス9位、日本(オリコン洋楽アルバム)1位
深夜にはどうしてもジャズが聴きたくなってしまう。
周りの静けさと、アコースティックな楽器の響きが自然に溶け合っている気がして、気持ちがとても安らぐのだ。
そして、ジャズについて文章を書くのも、気分的にしっくりくる気がする。
そういうわけで、今夜もピアノ・トリオの演奏を聴いている。
金澤英明氏のリーダー作、「ハッピー・トーク」だ。
この拙いブログの中で、金澤氏の参加する「コジカナツル」のCDを取り上げているが、有難くもそこを訪ねてくれる月子さん、moonさんのお二方が、その記事を盛り上げて下さっている。お二人の、心で音楽を楽しんでいる様子に刺激されて、ぼくはこの「ハッピー・トーク」をCD棚から取り出して来たのだ。
これは金澤氏が、ジャズ・ピアノの重鎮、ハンク・ジョーンズ氏、日野元彦氏の愛弟子、力武誠氏と組んだ、珠玉の作品である。
ジョーンズ氏のピアノ、とにかく素晴らしい。お酒の飲めないぼくではあるが、『ホロ酔い加減』というのはきっとこんな感じなんだろう、と思えるような演奏だ。スウィング感といい、柔らかく転がるようなフレーズといい、心が安らぐような音色といい、どこを取っても気持ち良い。
そして、ジョーンズ氏のピアノをリラックスさせているのが、金澤氏のベースであるようにも聴こえるのだ。
太くて重量感がたっぷりな金澤氏のベースの音色を聴いていると、ジョーンズ氏でなくとも自然に体が揺さぶられるに違いない、と思う。こんなベースに支えて貰ったならば、どんなピアニストだって笑顔になるだろう。
4ビートでは力強いグルーヴでトリオをぐいぐいと引っ張り、バラードでは温かみのあるフレーズでサウンドを包み込んでいる。
ベーシストのリーダー作は、そのベーシストの「音楽」が感じられるなら、ベース・ソロがなくとも成立すると思う。
この作品は、「金澤氏の音楽観が表れている」という点で、見事なベーシストのリーダー・アルバムだと思う。
このアルバムが録音されたのは1999年10月だが、その年5月に金澤氏とも深いつながりのある日野元彦(drums)氏が亡くなっている。
元彦氏と、元彦氏の実兄である日野皓正(trumpet)氏の曲が1曲ずつ収められていることや、元彦氏の愛弟子・力武誠氏がドラマーに起用されていることなど、きっとこのアルバムは元彦氏へのトリビュート的性格を持っているのだと思う。
このアルバムが録音される数ヶ月前、金澤氏にお目にかかる機会があった。その時に「今度はハンク(ジョーンズ)のピアノで録音するんだ」と教えて貰ったのだが、その口ぶりはとても楽しみにしている様子がありありとわかるものだった。その表情と口調だけで、ぼくは「必ずそのCDを買おう」と決めたのだ。
このアルバムは、その時の金澤氏の「プレイするのが楽しみで仕方がない」という表情そのものが詰まっているような気がしてならない。
◆Happy Talk
■演奏
金澤英明 with ハンク・ジョーンズ
■アルバム・リリース
2000年1月28日
■録音
1999年10月31日 キング・レコード#2スタジオ(東京)
■プロデュース
中尾洋一
■レコーディング・エンジニア
辻裕行
■収録曲
① ハッピー・トーク/Happy Talk (Richard Rodgers)
② ホワッツ・ニュー/What's New (Bob Haggart)
③ リル・ダーリン/Lil' Darlin (Neal Hefti)
④ カム・サンデイ/Come Sunday (Duke Ellington)
⑤ イッツ・ゼア/It's There (日野元彦)
⑥ ララバイ/Lullaby (Hank Jones)
⑦ ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラヴ・イズ/You Don't Know What Love Is (Gene DePaul, Don Raye)
⑧ オード・トゥ・ワークマン(日野元彦氏との想い出に捧ぐ)/Ode To Workman (日野皓正)
⑨ 夢はひそかに (ベース・ソロ)/A Dream Is A Wish Your Heart Makes (M. David, A.Hoffman, J.Livingston)
⑩ 夢はひそかに (トリオ・ヴァージョン)
⑪ ハッピー・トーク (リプリーズ)
■録音メンバー
金澤英明 (bass)
ハンク・ジョーンズ/Hank Jones (piano)①~⑦、⑩⑪
力武誠 (drums)①②③⑤⑧⑩⑪
♪自分的名盤名曲56(海外篇その40)
今夜は気のおけない友人にしてドラマーのH君と食事をしてきました。
超多忙なH君なので、二人連れ立って夜の巷を徘徊するのも久しぶりです。(仕事では先週の日曜日に会いましたけどね)
色気には欠ける男のふたり連れに似合うのは居酒屋か焼肉だ、ということで話が一致いたしました。そういうワケで、今夜は焼肉をおいしく頂いてまいりました。あ~、マンゾク
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焼肉~
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日頃人に言えないグチやたまっているウップンを互いに聞いてもらいつつ、「明日への希望を抱いて頑張ろう~ オ~!
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ま、それだけでも今夜の「焼肉大会」の意義があったってもんです。
今夜の会話、クダラナイ馬鹿話も入り混じってましたが、マジメに人生も語ってきましたよ。
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「誠実」、これが今夜のテーマでしたね。難しいことじゃないんです。言葉と行動の誤差が大きいほど誠実さは少ない、ってことです。飾り立てた言葉なんて無意味ですからね、『言行一致』、この精神でいかなくちゃ。
「その人を知るにはその人の言葉を聞くんじゃなくて、その人の行動を見ることだ」な~んてことをしみじみ話し合ううちに、お開きとなりました。
家に帰って夜空を見上げてみると、多少雲が出てはいるけれどきれいな星空で、真ん丸い月が光り輝いていました。
なんとなくホカホカとしみじみが混ざったような気分になって、CDトレイに載せたのが、ビル・エヴァンスの「ムーン・ビームス」です。
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■ムーン・ビームス (Moon Beams)
■1962年
■ビル・エヴァンス・トリオ
☆ビル・エヴァンス(pf)
☆チャック・イスラエル(b)
☆ポール・モチアン(drs)
バラード中心の選曲です。小気味よさと、清々しさと、繊細な美の世界が同居している、とでもいったらいいのかな。
ジャケットの美女のアンニュイな笑顔にも魅かれます。
今夜はこのアルバムに浸ってみようっと。
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やっと聴くことができました、上原ひろみのサード・アルバム。
すでに先月リリースされてたんですが、せっかくCDショップに行っても品切れ状態が続いていたりと、なにやかやで買いそびれていたんです。
一昨日、ようやく店頭で手に入れました~ そしてそして、昨夜じっくり堪能させて頂きました。
「上原色」の輝き、相変わらず素晴らしいですね。それだけでもう満足です。
「ピアノ・トリオでオーケストラ的サウンドに取り組む」というのがコンセプトのひとつだそうですが、たしかに3人のバンドとしてのまとまりの良さと広がりがはっきりと感じられます。グレイ&ヴァリホラのリズム・セクションは前作『ブレイン』から引き続いているだけあって、コンビネーションは抜群です。
ちなみにベーシストのトニー・グレイ、あのジョン・マクラフリン(guitar)の甥っ子なんだそうです。
仕掛けがたっぷりと用意されていて、場面展開が鮮やかなことが、ひろみ嬢の書く曲の特徴のひとつだと思うのですが、表現力は豊かだし、曲のひとつひとつがとてもよく練りあげられていて、とても濃密でスケールの大きな世界が広がっています。
ひろみ嬢のピアノは全力で疾走するかと思えば、時にはコミカルに踊り、時には幻想的に、そして時には優しい音色を奏で、さまざまな情景を目の前に浮かび上がらせてくれるのです。
上原ひろみは、「女性プレーヤー」だとか、「ジャズ・ミュージシャン」などといった既成概念を打ち破ってくれる、とっても爽快で素晴らしい音楽の提供者だと思います。
パッケージを開けて気づいたのですが、初回限定盤だけにDVDが付いていたのです。いや~ウレシイ!2004年12月の横浜ライブで演奏した「カンフー・ワールド・チャンピオン」という曲の映像です。これがまた凄かった!
演奏技術と曲の完成度の高さは言うまでもないのですが、ひろみ嬢の気合が半端じゃなく凄まじい。まさにぼくの目は「画面に釘付け」状態でした。5回も6回も繰り返して見てしまいました。
ああ、早く生で聴いてみたいぞ~!
◆スパイラル/Spairal
■演奏・プロデュース
上原ひろみ
■アルバム・リリース
2005年10月19日
■録音
ブラック・バード・スタジオ(テネシー州ナッシュビル) 2005年5月28日~31日
■レコーディング・エンジニア
マイケル・ビショップ/Michael Bishop
■収録曲
① スパイラル/Spiral
ミュージック・フォー・スリー・ピース・オーケストラ:/Music For Three-Piece-Orchestra:
② オープン・ドアーチューニングープロローグ/Open Door-Tuning-Prologue.
③ デジャ・ヴ/DéJà Vu
④ リヴァース/Reverse
⑤ エッジ/Edge
⑥ 古城、川のほとり、深い森の中。/Old Castle, By The River, In The Middle Of A Forest
⑦ ラヴ・アンド・ラフター/Love And Laughter
⑧ リターン・オブ・カンフー・ワールド・チャンピオン/Return Of Kung-Fu World Champion
⑨ ビッグ・チル/Big Chill (Bonus Track)
※All songs written by Hiromi Uehara
■録音メンバー
上原ひろみ (piano, keyboards)
トニー・グレイ/Tony Grey (bass)
マーティン・ヴァリホラ/Martin Valihora (drums)
■レーベル
TELARC
秋の夜長にはなんてジャズが似合うんだろう、と思います。
(春の夜にも夏の夜にも冬の夜にも似合う、と思うんですけれどね)
空気が澄み切って、静けさが部屋の隅々までしみ渡っているような、そんな夜です。
今夜もステージがあったので、家へ帰ったのはもう真夜中過ぎ。
軽く夜食をとったあとで、コーヒーを飲みながら、ジョン・コルトレーンの「バラード」を聴いています。
年ごとに抽象的に、難解になってゆくコルトレーンですが、このアルバムでは、とても柔らかに、エモーショナルに、テナー・サックスを吹いています。まるで、耳元で優しく歌う子守唄のような、美しい音です。
激しいブロウで強烈な演奏を繰り広げるコルトレーンのイメージとは対照的に、この作品のコルトレーンは、淡々と、率直に吹いているので、とても身近に感じられるのです。そして、コルトレーンの「歌」がたっぷりと堪能できます。
夜の暗がりに一筋の光を投げかけるかのような、色気のある音色には惹きこまれてしまいます。
とくに、冒頭の「Say It」から2曲目の「You Don't Know What Love Is」(恋の味をごぞんじないのね)への流れは出色の出来ではないでしょうか。コルトレーンのテナーの音色が、彼の内面を映し出しているようで、聴いていると気持ちがほぐれるばかりは、ちょっとばかりせつなくなります。
「I Wish I Knew」や「Nancy」などもたいへん叙情的で、聴きほれてしまいますね。
ドラムスのエルヴィン・ジョーンズは、他のアルバムよりは控え目に聴こえますが、逆にいつにも増して豊潤に歌心が流れているような気がします。
ピアノのマッコイ・タイナーと、ベースのジミー・ギャリソンのプレイも、コルトレーンの音楽にさらなる深みを与えているように聴こえます。
深夜ひとり静かにコーヒーを飲みながら、コルトレーンの音楽に浸る。こういうのも小さな幸せ、って言うんでしょうね。
◆バラード/Ballads
■演奏
ジョン・コルトレーン・カルテット/John Coltrane Quartet
■録音
1962年11月13日①~⑤、1962年9月18日⑥, ⑧、1961年12月21日⑦ (いずれもヴァン・ゲルダー・スタジオ)
■リリース
1963年3月
■レーベル
インパルス!/Impulse!
■プロデュース
ボブ・シール/Bob Thiele
■エンジニア
ルディ・ヴァン・ゲルダー/Rudy Van Gelder
■収録曲
① セイ・イット/Say It (Over and Over Again) (Frank Loesser, Jimmy McHugh)
② ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラヴ・イズ/You Don't Know What Love Is (D. Raye, Gene DePaul)
③ トゥー・ヤング・トゥ・ゴー・ステディ/Too Young to Go Steady (Harold Adamson, Jimmy McHugh)
④ オール・オア・ナッシング・アット・オール/All or Nothing at All (J. Lawrence, Arthur Altman)
⑤ アイ・ウィッシュ・アイ・ニュー/I Wish I Knew (Harry Warren, M. Gordon)
⑥ ホワッツ・ニュー/What's New? (Bob Haggart, J. Burke)
⑦ イッツ・イージー・トゥ・リメンバー/It's Easy to Remember (L. Hart, Richard Rodgers)
⑧ ナンシー/Nancy (With the Laughing Face) (Jimmy Van Heusen, P. Silvers)
■録音メンバー
ジョン・コルトレーン/John Coltrane (tenor-sax)
マッコイ・タイナー/McCoy Tyner (piano)
ジミー・ギャリソン/Jimmy Garrison (bass)
レジー・ワークマン/Reggie Workman (bass⑦)
エルヴィン・ジョーンズ/Elvin Jones (drums)
女性ミュージシャンの活躍が目覚しい、最近の日本ジャズ界です。ピアニストでは、山中千尋、上原ひろみをはじめ、将来を期待される人が続々と現れていますね。この流れのきっかけを作ったひとりが、大西順子ではないでしょうか。
彼女に関する情報は長い間途絶えていましたが、今年になって大野俊三(trumpet)のツアーに同行するなど、活動を再開したというニュースを聞きました。これ、個人的にはちょっとうれしい知らせだったりします。
そういうわけで、このところCD棚から「WOW」や「ヴィレッジ・ヴァンガードの大西順子」を取り出して聴いています。とくに「ヴィレッジ・ヴァンガード~」は、ぼくがはじめて聴いた大西順子の作品でもあります。
このアルバムは、1994年5月に行われた、ニューヨークのライヴ・ハウス『ヴィレッジ・ヴァンガード』におけるライヴを収録したものです。
『ヴィレッジ・ヴァンガード』は「ジャズの聖域」ともいえるライヴ・ハウスで、そこで収録されたライヴ・アルバムの発表を、日本の、それも女性ミュージシャンが成し遂げたというのは、当時の日本ジャズ界ではセンセーショナルなできごとだったようです。
強力なスウィング感、ゴリゴリした疾走感、パワフルなタッチ。聴いているとなんとも言えない快感に襲われます。低音部の使い方や、ひたすらシングル・トーンで押しまくるソロが、いかにも「大西順子」らしいですね。
クラシックの端正な風情も時折伺わせますが、彼女のピアノは独特の陰影を持った個性の強いもので、聴いていると、たとえばエリック・ドルフィーとか、オーネット・コールマンとか、チャールズ・ミンガスなどの「濃い」ジャズを連想してしまいます。大西順子の持つ「濃さ」が、ぼくにはたまらなく心地よいのです。
彼女の新たなエネルギー、どんどん放出してもらいたいし、新しい作品をそろそろ聴いてみたいですね。
◆ヴィレッジ・ヴァンガードの大西順子/Junko Onishi Live At The Village Vanguard
■演 奏
大西順子トリオ
■アルバム・リリース
日 本 1994年9月21日
アメリカ 1995年5月2日
■録 音
1994年5月6~8日 ニューヨーク・ヴィレッジバンガード
■エグゼクティヴ・プロデューサー
行方均
■レコーディング・エンジニア
ジム・アンダーソン/Jim Anderson
■収録曲
①ソー・ロング・エリック/So Long Eric (Charles Mingus)
②ブルー・スカイ/Blue Sky (Irving Berlin)
③コンコルド/Concorde (John Lewis)
④ハウ・ロング・ハズ・ディス・ビーン・ゴーイン・オン/How Long Has This Been Goin' On (大西順子)
⑤ダーン・ザット・ドリーム/Darn That Dream (Eddie De Lange & Jimmy Van Heusen)
⑥コンジニアリティ/Congeniality (Ornette Coleman)
■録音メンバー
大西順子/Junko Onishi (piano)
レジナルド・ヴィール/Reginald Veal (bass)
ハーリン・ライリー/Herlin Reiley (drums)
■レーベル
日本 Somethin' Else
アメリカ Blue Note
■チャート最高位
1994年週間アルバム・チャート オリコン56位
外見は、繊細で、清楚な色気のある山中千尋です。
しかし彼女のピアノはどうしてどうしてそんな弱々しいものではなく、緊張感に満ちていて、時には豪快で、時にはリリカルなサウンドを奏でます。
「アウトサイド・バイ・ザ・スウィング」は、彼女の4枚目のアルバムになります。
タイトルには、「キーを替えて弾く」ことと「外のブランコの横で」のふたつの意味を持たせているそうです。
収められている作品には、スリリングな展開の曲、リリカルなバラード、ラグタイム風、ゴスペル風など、さまざまなタイプの曲がひしめき合っています。
これらの題材を料理せんとする山中千尋のピアノは、クールな中にもしなやかさがあり、コケティッシュでありながらも実に強靭です。
彼女自身のオリジナルは4曲。自身のカラーが一番濃く出ているのは、やっぱりオリジナル曲だと思います。
それに加えて取り上げているのは、ジャズのスタンダード・ナンバーはもちろんのこと、彼女の出身地の民謡である「八木節」や、中島みゆきの作品など、とても多彩です。
スタンダード・ナンバーも一貫して「千尋カラー」で再構築されています。なかでも、メロディカ・ピアノ(ピアニカに似た楽器)を使って小品風に演奏している「キャンディ」には、良い意味で意表をつかれましたね。
このアルバムで共演しているのは、百戦錬磨のロバート・ハーストとジェフ・"テイン"・ワッツです。
臆するどころか、彼女の音楽観が色濃く出ているのは変わりません。
変わらないどころか、さらに「千尋節」が研ぎ澄まされ、洗練されているようです。
アルバムを通して流れてくるのは、一貫した「山中千尋の豊かな表情」のような気がしました。聴いていて楽しかったです。
次のアルバムではどんな表情を見せてくれるのかな。今から楽しみに待っていることにします。
◆アウトサイド・バイ・ザ・スウィング/Outside By The Swing
■リリース
2005年9月7日
■演奏
山中千尋
■プロデュース
山中千尋
■録音
アヴァター・スタジオ(ニューヨーク市) 2005年5月13日~5月15日
■収録曲
① Outside By The Swing (Chihiro Yamanaka)
② I Will Wait (Chihiro Yamanaka)
③ Impulsive (E. Elias)
④ He's Got The Whole World In His Hands (Traditional)
⑤Teared Diary (Attends Ou Va-T'en) (S. Gainsbourg)
⑥ Yagibushi~Revised Version (Traditional)
⑦ Cleopatra's Dream (B. Powell)
⑧ Matsuribayashi/Happy-Go-Lucky Local (M. Nakajima, D. Ellington, B. Strayhorn)
⑨ 2:30 Rag (Chihiro Yamanaka)
⑩ Living Without Friday (Chihiro Yamanaka)
⑪ Angel Eyes (E. Brent, M. Dennis)
⑫ All The Things You Are (O. HammersteimⅡ, J. Kern)
⑬ Candy (M. David, A. Kramer, J. Whitney)
※all songs arranged by Chihiro Yamanaka
■録音メンバー
山中千尋/Chihiro Yamanaka (piano)
ロバート・ハースト/Robert Hurst (bass)
ジェフ・"テイン"・ワッツ/Jeff "Tain" Watts (drums)
■レーベル
ヴァーヴ/Verve
今、クイーンが20年ぶりに来日公演を行っていますね。
といっても、ボーカルは、若くして亡くなったフレディ・マーキュリーの代わりとしてポール・ロジャース(元バッド・カンパニーetc)が参加しています。
このニュースを知ったあとで、ちょっと聴いてみたくなってCD棚から出してきたのが、「オペラ座の夜」です。
ぼくがクィーンをはじめて聴いたのは中学生の頃でした。友達が「キラー・クィーン」を聴かせてくれたのがそもそもの始まりだったんです。そして、その曲が入っているアルバム「シアー・ハート・アタック」を借りて聴きました。1曲目の「ブライトン・ロック」で繰り広げられるブライアン・メイのギター、ホレボレしてしまいました。
それで買いに行ったのが、「オペラ座の夜」です。
よく言われていることですが、「ボヘミアン・ラプソディ」などで聴かれるクラシカルで重厚なコーラスにはビックリしました。ロックを聴いていてそんな音に出会うとは思っていませんでしたから。もうこれですっかりクイーンにマイってしまったわけです。
「スウィート・レディ」などで聴くことのできるブライアン・メイのギター、ワイルドでありながら、ただ弾きまくるだけのものではなく、非常にメロディックです。いろんなロック・ギターを聴きましたが、今考えても、ブライアンのギターは非常に美しく、個性的だと思います。
曲調も多彩で、ヘヴィーな「デス・オン・トゥ・レッグス」「アイム・イン・ラヴ・ウィズ・マイ・カー」、ポップな「マイ・ベスト・フレンド」「'39」、美しいバラードの「ラヴ・オブ・マイ・ライフ」、ボードビル調の「うつろな日曜日」などなど、とてもバラエティに富んだラインナップになっています。
よく考えると、もう30年も前の作品なんですが、「クイーンのカラー」、しっかりと伝わってきますし、何よりいまだにみずみずしく聴こえてくるのです。
今さらながらですが、本当に素晴らしいグループだったんですね~。
◆オペラ座の夜/
■歌・演奏
クイーン/Queen
■リリース
イギリス1975年11月21日、アメリカ1975年12月2日
■プロデュース
ロイ・トーマス・ベーカー & クイーン/Roy Thomas Baker & Queen
■収録曲
Side-A
① デス・オン・トゥー・レッグス/Death On Two Legs (Dedicated To…) (composer:Mercury, vocal:Mercury)
② うつろな日曜日/Lazing On A Sunday Afternoon (composer:Mercury, vocal:Mercury)
③ アイム・イン・ラヴ・ウイズ・マイ・カー/I'm In Love With My Car (composer:Taylor, vocal:Taylor)
④ マイ・ベスト・フレンド/You're My Best Friend (composer:Deacon, vocal:Mercury)
⑤ '39/'39 (composer:May, vocal:May)
⑥ スウィート・レイディ/Sweet Lady (composer:May, vocal:Mercury)
⑦ シーサイド・ランデヴー/Seaside Rendezvous (composer:Mercury, vocal:Mercury)
Side-B
⑧ 予言者の歌/The Prophet's Song (composer:May, vocal:Mercury)
⑨ ラヴ・オブ・マイ・ライフ/Love Of My Life (composer:Mercury, vocal:Mercury)
⑩ グッド・カンパニー/Good Company (composer:May, vocal:May)
⑪ ボヘミアン・ラプソディ/Bohemian Rhapsody (composer:Mercury, vocal:Mercury)
⑫ ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン/God Save The Queen (Trad. Arr:May)
■録音メンバー
フレディ・マーキュリー/Freddie Mercury (piano, lead-vocal①②④⑥⑦⑧⑨⑪, backing-vocals, operatic-vocals⑪)
ブライアン・メイ/Brian May (electric-guitar, acoustic-guitar, koto⑧, harp⑨, ukelele⑩, lead-vocal⑤⑩, backing-vocals, operatic-vocals⑪)
ジョン・ディーコン/John Deacon (electric-bass, double-bass①⑤, electric-piano④)
ロジャー・テイラー/Roger Taylor (drums, percussion, electric-guitar③, lead-vocals③, backing-vocals, operatic-vocals⑪)
■チャート最高位
1976年週間チャート アメリカ(ビルボード)4位(1976年4月4日)、イギリス1位(9週連続1位)、日本(オリコン)9位
1976年年間チャート アメリカ(ビルボード)8位、イギリス12位、日本(オリコン)22位
ネットで注文しておいた「コジカナツル」のセカンド・アルバムが今日届きました。
こういう小さなことで嬉しくなれる単純な自分が、ちょっと好きです。
話はすこしそれますが、「指折り数えて待っている」時というのが実は一番楽しい時なのかもしれませんね。
「楽しいことが起こる日」というのは、ぼくは少し寂しいんです。だって「楽しいことの終わり」が近づいているんだもん。
注文したのが一昨日だったかな。
届くのを待つのも楽しかったけれど、包装を解くのも楽しいし、CDをトレイにのせるのも楽しいし、聴いてるのも楽しかったです。
いや~、ゆとりとヤンチャと豪快さと遊び心が一体になっているような雰囲気は相変わらずです。
それでいてバラードなんかは人間臭さと美しさが同居していて、とっても味わい深いのです。
とにかく、子供の心をそのまま持ち続けた大人が音で遊んでいるみたい。
三人の個性が際立っているサウンドがまた面白いんです。お互いがお互いのプレイを信頼したうえで三人とも必ず何事かを主張している。それがてんでバラバラなんじゃなくて、ある地点を同時に目指しながら、それぞれが「自分」というものを出しているように聴こえるんです。だからサウンドはスリリングかつエネルギッシュ。とにかく熱くて厚いんです(シャレてるわけじゃないんですけどね・・・)。
ぼくの好きなベーシスト・金澤英明氏のサウンド、相変わらず力強くてふくよかで温かくて、ベースだけを聴いていても飽きないなぁ。とくに4曲目の「Truth In Your Eyes」のベース・ソロ、しみじみと聴きました。泣けますね~
ピアノの小島氏、ドラムスの鶴谷氏のプレイももちろん大好きなんですけどね。
彼らは、「日本が世界に誇るピアノ・トリオ」と言ってもいいんじゃないかな~。
しかも、ボーダーレスというか、コジカナツルの音楽をジャンル分けしようと思ってもどれにも当てはまらない。
いや、どのジャンルからもはみ出す、と言ったほうがいいのかも。
ロックのワイルドさ、ジャズの深みと熱さ、クラシックの美しさ。これらが溶け合ったものが彼らの音楽からにじみ出てやまないのです。
こうなったら、最近出たばかりの、彼らのサード・アルバムも買わねば!
◆Live!
■演奏・プロデュース
コジカナツル
■リリース
2004年9月15日
■録音
目黒ブルース・アレイ・ジャパン (2004年4月2日)、京都RAG (2004年4月7日~8日)
■収録曲
① Blues Everywhere (Shirley Scott)
② "U" (小島良喜)
③ Resurrection (鶴谷智生)
④ Truth In Your Eyes (小島良喜)
⑤ In A Mellow Tone (Duke Ellington)
⑥ Let's Meet Again (金澤英明)
■録音メンバー
小島良喜 (piano)
金澤英明 (bass)
鶴谷智生 (drums)
■レーベル
RAGMANIA
ディープ・パープルというロック・グループは、いまではレッド・ツェッペリンと並ぶハード・ロックの代名詞的存在です。
とくに、プロ、アマを問わず、ロックをプレイするギタリストの中には、リッチー・ブラックモア(g)を崇めている人も少なくないようですね。
ぼくも時々、ディープ・パープルを聴いていますが、このところよく棚から取り出すCDは、「紫の軌跡」なんです。
タイトルから推測できる通り、これはディープ・パープルのベスト・アルバムです。
いわゆる「第1期(1968年~1969年)」と言い慣わされている期間に発表された3枚のアルバムの中から選び抜かれたものですが、実はこの頃のディープ・パープルは、「ハード・ロック・グループ」とは呼ばれていません。
ジョン・ロードの弾くオルガンを中心としたクラシカルな香りのするサウンドは、今で言う「プログレッシヴ・ロック」的な香りを漂わせていて、当時は「アート・ロック」などと呼ばれていたようです。
「ハッシュ~ディープ・パープル Ⅰ」
「詩人タリエシンの世界」
「ディープ・パープル Ⅲ」
実際、この頃のディープ・パープルはクラシックへの接近を試みていて、このアルバムにも収録されている「四月の協奏曲」では、文字通り弦楽器とロック・ミュージックとのアンサンブルを聴くことができます。
また、1969年9月にはロイヤル・フィルハーモニック・オーケストラと共演、その模様をライブ・レコーディングしたアルバムを同年12月に発表したりしています。
とはいえ、その後ハード・ロック・サウンドに変貌を遂げる下地は充分あって、ドラム、ギター、オルガンの演奏はパワーとエネルギーを充分秘めています。
このアルバムの中でとくにぼくが好きなのは、元々はトラディショナルで、ジミ・ヘンドリックスの演奏によって有名になった「ヘイ・ジョー」です。ボレロのリズムを効果的に使ったディープ・パープル独特のアレンジは、前面に押し出されたオルガンの暗く重い音とよくマッチしているんです。
「アンド・ジ・アドレス」「ハード・ロード」「何故ローズマリーは」といったインストゥルメンタル・ナンバーや、「ケンタッキー・ウーマン」「エマレッタ」などのパワーのあるポップ・ナンバーなども大好きです。
ややハードなサウンドのウラにはクラシックやブリティッシュ・フォークのエッセンスなども感じられ、独特のエキゾチックで重い雰囲気を持っています。
先日、やや長い時間を運転することがあったのですが、なんとなくこのアルバムをBGMにしたくなって、久しぶりにずっと聴いてました。1960年代後半の、熱気とエネルギーに満ちた演奏は、聴き応えが充分にありました。
このアルバムの3曲目に収められている「ハッシュ」、最近カヴァーされて車のCFで使われていますね。
◆紫の軌跡/Purple Passages
■歌・演奏
ディープ・パープル/Deep Purple
■リリース
1972年11月
■録音
1968年~1969年
■プロデュース
デレク・ローレンス/Derek Lawrence
■収録曲
[side A]
① アンド・ジ・アドレス/And The Address (Blackmore, Lord)
② ヘイ・ジョー/Hey Joe (trad., arr. Lord, Evans, Simper, Paice, Blackmore)
③ ハッシュ/Hush (Joe South)
④ エマレッタ/Emmeretta (Lord, Blackmore, Evans)
[side B]
⑤ 影を追って/Chasing Shadows (Lord, Paice)
⑥ 小鳥は去った/The Bird Has Flown (Evans, Blackmore, Lord)
⑦ 何故ローズマリーは/Why Didn't Rosemary? (Blackmore, Lord, Evans, Simper, Paice)
[side C]
⑧ ハード・ロード/Hard Road (Wring That Neck) (Blackmore, Lord, Simper, Paice)
⑨ シールド/The Shield (Blackmore, Evans, Lord)
⑩ マンドレイク・ルート/Mandrake Root (Blackmore, Evans, Lord)
[side D]
⑪ ケンタッキー・ウーマン/Kentucky Woman (Neil Diamond)
⑫ 4月の協奏曲/April (Blackmore, Lord)
■録音メンバー
ロッド・エヴァンス/Rod Evans (lead-vocals)
ジョン・ロード/Jon Lord (organ)
リッチー・ブラックモア/Ritchie Blackmore (guitar)
ニック・シンパー/Nick Simper (bass)
イアン・ペイス/Ian Paice (drums)
■チャート最高位
週間アルバム・チャート アメリカ(ビルボード)57位
今夜はなにも予定がなかったので、夜は家にこもるつもりで、午後は買い物に行き、早めに夕食をとった。
食後に、暇な時に見るつもりだった映画をゆっくりと楽しんだ。その後、借りていたCDを録音しつつ、たまっていたMDを整理。それから、マジメに練習する。汗ばむくらいベースを弾いたところで、のんびりコーヒーを飲む。ジャズを聴きながら。
もう夜中といっていい時間から聴き始めたのが、このビル・エヴァンスの「パリ・コンサート」だ。"エディション2"は持っていたが、ついこの間、ようやく"エディション1"を買ったので、2枚続けて聴いている。
あたりは虫の鳴き声がするばかり。
もうみんな寝静まっている時刻だ。
ぼくの部屋からは
エヴァンスの弾くピアノがただ聴こえるのみ。
ジャズと、一杯のコーヒーがぼくを寛がせてくれる。
至福のひととき、ってこういう時間のことなんだろう。
「Bill Evans The Paris Concert Edition 1」
「Bill Evans The Paris Concert Edition 2」
この2枚のCDには、1979年11月26日にパリのエスパース・カルダンで行われたライヴの模様が収められている。
エヴァンスの弾くピアノは、まさに「語っている」。
ピアノは流麗だが、語っていることはどこか訥々としたところも伺えるのが面白い。
脇を固めるマーク・ジョンソンのベースと、ジョー・ラバーベラのドラムスは、エヴァンスのピアノに触発されて自由度を増しているような感じだ。
ふたりの演奏に触発されたエヴァンスは、彼らとの楽器を通じての会話を、さらに発展させようとしているようだ。反面、自分の語りたいことを懸命に語ろうとしているようにも感じられる。
例えば、見事な絵を見た時や、素晴らしい文章に接した時に湧いてくるさまざまな情景や感情、こういうものを感じられるのが、ジャズの楽しいところでもあるのだ。
言葉にすると難しくなるけれど、ほんとうは、三人の奏でる音にただ身を委ねるだけで良いのかもしれない。
彼らもただ一心に音楽を生み出しているだけなのだから。
ビル・エヴァンス(piano 上)、マーク・ジョンソン(bass 右下)、ジョー・ラバーベラ(drums 左下)
◆ザ・パリ・コンサート/The Paris Concert
■録音
1979年11月26日(パリ、エスパース・カルダン)
■レーベル
Elektra/Musician
■演奏
[ビル・エヴァンス・トリオ/Bill Evans Trio]
ビル・エヴァンス/Bill Evans (piano)
マーク・ジョンソン/Marc Johnson (bass)
ジョー・ラバーベラ/Joe LaBarbera (drums)
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◇エディション1/Edition One
■リリース
1983年
■プロデュース
ヘレン・キーン/Helen Keane
■収録曲
① I Do It for Your Love (Paul Simon)
② Quiet Now (Denny Zeitlin)
③ Noelle's Theme (Michel Legrand)
④ My Romance (Lorenz Hart, Richard Rodgers)
⑤ I Loves You Porgy (Ira Gershwin, DuBose Heyward, George Gershwin)
⑥ Up With the Lark (Jerome Kern, Leo Robin)
⑦ All Mine(Minha) (Francis Hime, Ruy Guerra)
⑧ Beautiful Love (Victor Young, Wayne King, Haven Gillespie, Egbert Van Alstyne)
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◇エディション2/Edition Two
■リリース
1984年
■プロデュース
ヘレン・キーン/Helen Keane & Yves Abiteboul
■収録曲
① Re: Person I Knew (Bill Evans)
② Gary's Theme (Gary McFarland)
③ Letter to Evan (Bill Evans)
④ 34 Skido (Bill Evans)
⑤ Laurie (Bill Evans)
⑥ Nardis (Miles Davis)
⑦ Interview
一昨年(2003年)の秋だったと思う。
TBS系のテレビ番組「情熱大陸」に、「上原ひろみ」という見慣れない名前のミュージシャンが取り上げられることを、新聞のテレビ欄で知った。ジャズ・ピアニストだという肩書きに興味をそそられてテレビをTBSに合わせたのだが、その夜、その番組が終わるのがなんと早く感じられたことか。
すごい!
とにかく、尽きることを知らない泉のような、とてつもない勢いのある、感動的な演奏だったなぁ~。
翌日、すぐに何軒かのCD店をまわってみたのだが、
・・・ない!
品切れ状態は何日も続いた。
ようやくCDを手に入れた日、大急ぎで家に帰り、大急ぎで着替え、大急ぎで風呂に入り、大急ぎでコーヒーを入れ(期待しているCDは落ち着いた状態でゆっくり聴きたいんだもーん)、ほんとにドキドキしながらトレイにディスクをのせた。
いや、満足いたしました。素晴らしかったです。
1曲目から猛烈にエネルギッシュな演奏が押し寄せて来た。
それも、単にテクニカルに弾きまくる冷たいものではない。彼女の体全体がピアノを弾く喜び、自身の音楽を表現できる喜びで満たされているような、エモーショナルな演奏だった。
収められている「曲」は、すべて彼女が書いたものだ。いや、クレジットには「All songs written by ~」とある。そう、彼女の書いたものは、「歌」なのだ。彼女の弾くピアノは歌っているのだ。
このアルバムは、彼女の脳裏に湧き出てきたものをピアノによって具現しようとした、独創性のかたまり、つまり「上原ワールド」だと思う。
このCDの中では、個人的には7曲目の「ダンサンド・ノ・パライーゾ(Dancando No Paraiso)」が一番好きです。
上原ひろみの音楽は、「ジャズ」だとか「ジャズではない」だとかいう論争もあるようだが、ぼくには、それはあまり彼女の音楽には関係がないことのように思える。
確かに曲によってはファンク調のものや、ロック調のものもあるが、あくまで「~調」というだけで、それらの垣根にとらわれない、上原独自の世界を聴くことができるのは楽しい。
きっと彼女は表現したいものを表現しているだけの、素晴らしいミュージシャンなのだ。
そんな気がしてならない。
◆アナザー・マインド/Another Mind
■ピアノ
上原ひろみ
■リリース
2003年4月22日(アメリカ盤)、2003年6月25日(日本盤)
■録音
2002年9月16日~18日 アバター・スタジオ(ニューヨーク)
■プロデュース
リチャード・エヴァンス、アーマッド・ジャマル/Richard Evans, Ahmad Jamal
■エンジニア
マイケル・ビショップ、アーマッド・ジャマル/Michael Bishop, Ahmad Jamal
■レーベル
テラーク/TELARC
■収録曲
① XYZ/XYZ
② ダブル・パーソナリティ/Double Personality
③ サマー・レイン/Summer Rain
④ ジョイ/Joy
⑤ 010101(バイナリー・システム)/010101 (Binary System)
⑥ トゥルース・アンド・ライズ/Truth and Lies
⑦ アナザー・マインド/Another Mind
⑧ トムとジェリー/The Tom and Jerry Show
※all music composed by Hiromi Uehara
■録音メンバー
上原ひろみ (piano, keyboard)
ミッチ・コーン/Mitch Cohn (bass①②③⑥⑧)
デイヴ・ディセンゾ/Dave DiCenso (drums)
[guest musicians]
アンソニー・ジャクソン/Anthony Jackson (bass④⑤⑦)
ジム・アドグレン/Jim Odgren (alto-sax②③)
デイヴ・フュージンスキー/Dave Fiuczynski (guitar②)
ぼくはビートルズが大好きだし、「サージェント・ペパー」も大好きです。
このアルバム、ビートルズの最高傑作、というより、ポピュラー音楽史上でも有数の名作と言われていますね。
すでにいろんな方によって批評しつくされていると思うので、ぼくは、「サージェント・ペパーのあれこれ」について書いてみようと思います。といっても、よく知られた話ばかりだと思いますけれど。
★このアルバム、「ペパー軍曹のバンドのショウ」というコンセプトを持っています。これは、ポピュラー音楽史上、初めてのトータル・アルバム(ひとつの主題のもとに統一された内容を持つアルバム)だと言われています。
★このアルバムは、1967年度のグラミー賞で、「最優秀アルバム」「最優秀コンテンポラリー・アルバム」「最優秀エンジニア」「最優秀ジャケット・デザイン」の四つの賞を受賞しました。
★このアルバムを聴いたレナード・バーンスタイン(NYフィル常任指揮者)の評。
「ビートルズのサウンドはバッハのフーガにも匹敵する美しさを持っている。彼らは今世紀最高の作曲家だろう。いや、今世紀ならずとも、シューベルトやヘンデルなどより素晴らしい」
・・・最大級の賛辞ですね。
★サイケデリックなジャケットはポールのアイデアで、以前のビートルズを葬って新しく出発する、という意味が込められているそうです。
ジャケットに登場しているのは、ビートルズのメンバーそれぞれが好きな人物ばかりです。それら著名人の肖像権を得るため、EMIは問題が発生した時の用意として1000万ドルのロイヤリティを確保していましたが、今のところトラブルは発生していないようですね。
おもな登場人物は
◎メイ・ウエスト(女優)
◎アルバート・アインシュタイン(物理学者)
◎ボブ・ディラン(ミュージシャン)
◎マレーネ・ディートリッヒ(女優)
◎ルイス・キャロル(作家)
◎カール・ユング(心理学者)
◎白雪姫
◎エドガー・アラン・ポー(作家)
◎シャーリー・テンプル(女優)
◎カール・マルクス(社会学者)
◎ソニー・リストン(ボクサー)
◎トーマス・E・ローレンス(軍人=アラビアのロレンス)
◎H・G・ウェルズ(作家)
◎アレイスター・クロウリー(20世紀の有名な黒魔術師)
◎スチュアート・サトクリフ(元ビートルズのメンバー)
◎マーロン・ブランド(俳優)
◎オスカー・ワイルド(作家)
◎ジョニー・ワイズミュラー(水泳選手・俳優)
◎ジョージ・バーナード・ショウ(作家)
といったところで、総勢では62人を数えます。日本代表としては、「福助」が出場していますね。
★アルバムの発表とほぼ同時期に、ポールの「LSD体験発言」があったりしたので、アルバム自体も、「ドラッグとの深い関わり」を指摘されました。
♪ジャケットにマリファナが描かれている。
♪「ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンズ」の歌詞に「…ハイになる」という部分があるためドラッグ・ソングだと言われた。また、タイトルの「ちょっとした助け」が文字通り、「ドラッグに助けられる」という意味に解釈された。
♪「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ」という曲のタイトルの頭文字が「LSD」となるほか、サイケデリックな歌詞の内容もドラッグによる幻想を連想させるため、ドラッグ・ソングだと言われた。
♪歌詞の内容から「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」をドラッグ・ソングと解釈して放送禁止とした放送局もあった。
♪同じく歌詞の内容から「フィクシング・ア・ホール」もドラッグ・ソングだと解釈された。
・・・以上の「ドラッグとの関わり」は、今ではほとんどがこじつけだったとされています。「ルーシー・イン・ザ・スカイ~」などは、ただ単にジョンの息子(ジュリアン・レノン)が描いた絵がヒントになっているだけだそうだし、「フィクシング~」はポールが別荘の屋根を修繕したことを元に作った歌なんだそうですね。だいたい、イマジネーション豊かなビートルズの面々が、ドラッグによる幻想からしか曲を作ることができないなんて、とても思えないですよね。
★ポールはLSD発言直後にテレビ出演しています。
「あなたは若者のアイドルなのだから、彼らに与える影響を考えるとLSD発言は公表しないほうが良かったのではないですか?」
「ぼくは真実を言ったまでだ。もし誰かかマネすることを心配するなら、あんたたちマスコミこそ報道を控えるべきだったんじゃないかい?」
・・・ある意味もっともだと思うなぁ。
★インド音楽の影響を深く受けている8曲目の「ウィズイン・ユー、ウィズアウト・ユー」には、ビートルズからはジョージしか参加していません。
★9曲目の「ホエン・アイム・シックスティーフォー」は、デビュー間もない頃に、ポールが父のジム・マッカートニーのために作った曲だそうです。
★13曲目の「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」終了後、約8秒間、犬にしか聴こえない2万ヘルツの信号が録音されています。「まだ動物がビートルズのファンになったという話は聞いてないから、犬にしか聴こえない音を入れよう(ポール)」という理由からだそうです。そしてその後には、ビートルズによる意味不明の挨拶が約22秒間録音されています。
★「サージェント・ペパー」の発売披露パーティで、リンダ・イーストマンという女性がカメラマンとして出席していました。リンダとポールは、そのパーティの数日前に初めて出会っており、この日「再会」したわけです。ご存知の通り、彼女はのちにポールと結婚、リンダ・マッカートニーとなりました。
それにしても、実に創造的で素晴らしいアルバムですね。今聴いても、しみじみそう思います。
◆サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド/Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band
■歌・演奏
ビートルズ/Beatles
■リリース
イギリス1967年6月1日、アメリカ1967年6月2日、日本1967年7月5日、
■レコーディング
1966年12月6日~1967年4月1日
■プロデューサー
ジョージ・マーティン/George Martin
■収録曲
A① サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド/Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band
② ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンズ/With a Little Help from My Friends
③ ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ/Lucy in the Sky with Diamonds
④ ゲッティング・ベター/Getting Better
⑤ フィクシング・ア・ホール/Fixing a Hole
⑥ シーズ・リーヴィング・ホーム/She's Leaving Home
⑦ ビーイング・フォー・ザ・ベネフィット・オブ・ミスター・カイト/Being for the Benefit of Mr. Kite!
B⑧ ウィズイン・ユー・ウィズアウト・ユー/Within You Without You
⑨ ホエン・アイム・シックスティーフォー/When I'm Sixty-Four
⑩ ラヴリー・リタ/Lovely Rita
⑪ グッド・モーニング・グッド・モーニング/Good Morning Good Morning
⑫ サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(リプライズ)/Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band(Reprise)
⑬ ア・デイ・イン・ザ・ライフ/A Day in the Life
※composed by Lennon & McCartney①~⑦、⑨~⑬ George Harrison⑧
■録音メンバー
【Beatles】
ポール・マッカートニー/ (lead-vocals, harmony-vocals, background-vocals, bass, electric-guitars, acoustic-piano, electric-piano, organ)
ジョン・レノン/John Lennon (lead-vocals, harmony-vocals, background-vocals, acoustic-guitars, electric-guitars, organ, percussions, final piano E chord)
ジョージ・ハリスン/ (lead-vocals⑧, harmony-vocals, background-vocals, acoustic-guitars, electric-guitars, sitar, tambura, harmonica, percussions)
リンゴ・スター/Ringo Starr (drums, percussions, harmonica, lead-vocals②, final piano E chord)
【Additional Musicians】
ニール・アスピノール/Neil Aspinall (tambura, harmonica)
マルコム・エヴァンス/Malcolm Evans (harmonica, alarm-clock, final piano E chord)
ジョージ・マーティン/George Martin (harpsichord⑤, harmonium⑦, organ②⑦, glockenspiel⑦, piano④⑩, final harmonium chord)
サウンド・インコーポレイテッド/Sounds Incorporated (the saxophone sextet⑥)
ニール・サンダース/Neil Sanders (french-horn①)
ジェームス・W. バック/James W. Buck (french-horn①)
ジョン・バーデン/John Burden (french-horn①)
トニー・ランドール/Tony Randall (french-horn①)
■チャート最高位
1967年週間チャート アメリカ(ビルボード)1位(7/1~10/7 15週連続)、イギリス(メロディ・メーカー)1位(6/3~10/28 22週連続)
1967年年間チャート アメリカ(ビルボード)10位、イギリス1位
1968年年間チャート アメリカ(ビルボード)6位
1960年代ディケイドチャート アメリカ(ビリボード)1位
1987年週間チャート イギリス3位、日本(オリコン)3位
2009年週間チャート イギリス5位、日本(オリコン)20位
2017年週間チャート アメリカ(ビルボード)3位、イギリス1位、日本(オリコン)5位
ヒッピー文化などの1960年代カウンター・カルチャーの象徴、「ウッドストック・ミュージック&アート・フェスティヴァル」は、1969年8月15日(金)から18日(月)午前までの4日間、ニューヨーク州郊外のサリバン郡ベセルにある小高い丘で開催された。もともとは、ボブ・ディランなど多くの芸術家が住んでいた同州ウッドストックで行われる計画だったという。現在このコンサートが「ウッドストック」と呼称されているのはそのためである。
『Woodstock』 『Woodstock 2』
今では半ば伝説と化しているこのロック・フェスティヴァルの概要を少し記しておきます。
☆出演者は合計32組。
☆観衆は約30万人とも、40万人とも言われている。
☆料金は、3日間通しで18ドル。ただし聴衆の半数以上は入場料を払わなかった。フェスティヴァルが始まると金網を破壊して不法に入場する者が続出し、途中から事実上の無料コンサートになったためである。
☆会場は、マックス・ヤスガー氏所有の、600エーカーもある広大な農場。
☆期間中、死者3名、出産2件。病人は5000人。
☆暴力事件は報告されていないという。
『Woodstock』(DVD)
当時はベトナム戦争の真っ只中であり、反戦平和運動もまた激しさを増していた。また黒人の公民権運動や女性解放の機運も高まっていた。日本では学生運動や、赤軍派の活動が激しさを極めていた頃である。
ちなみに、アポロ11号が月面着陸に成功したのはこの年の7月であった。
そうした空気の中、「愛と平和と音楽の3日間」と銘打たれて行われたこのフェスティヴァルには、理想郷の形成を目指していた若者たちも多く集まっており、出演者と観衆が平和への願いを音楽に託して、ひとつになった3日間でもあった。
ジミ・ヘンドリックス
このフェスティヴァル、当初の予想をはるかに超える大観衆が集まったために、食料、医薬品、トイレなどが不足して、州知事から非常事態宣言が出されたり、また二日目の夜には激しい雨が降り続くなど、環境は劣悪だった。
しかしトラブルによる警察の介入などはついに一件も起こらず、参加した人々は互いに助け合ってフェスティヴァルを無事に終了させたのだった。(ただしバック・ステージでは様々なトラブルがあったようだ)
ぼくは中学生の頃、音楽的にとても早熟だった友人の家で「ウッドストック」のレコードに出会った。3枚組だった。その頃のぼくはサンタナとフーをほんの少し知っているくらいで、出演者の大半を知らなかった。ベトナム戦争の本質や、当時のムーヴメントの政治的な側面など、何をかいわんや、である。
音楽的にも、技術的にも成熟していなかった頃の演奏で、非常にプリミティヴな部分もあったが、たしかに演奏は熱く、それは映像を見ても一種の感動を覚えるくらいだ。現在ではCDが2種類(ウッドストック パート1&2)と、DVDで、このフェスティヴァルの一部を堪能できる。
まず素晴らしい、と感じたのはサンタナだった。とくにカルロス・サンタナのギター・ソロと、弱冠17歳のマイケル・シュリーヴのドラム・ソロには釘付けにさせられてしまった。(この時のサンタナはまだレコードも出していない無名の存在だったが、この時の熱演で一挙に名をあげた)
サンタナ
ザ・フーの演奏も印象に残っている。ピート・タウンゼントの、よくドライブするギターと暴力的なパフォーマンス、カリスマ的雰囲気を漂わせたロジャー・ダルトリーの熱唱には圧倒されたものだ。
ザ・フー
クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤングの演奏する「木の舟」もよく聴いた。
テン・イヤーズ・アフターを率いるアルヴィン・リーの早弾きも忘れ難い。彼の演奏を見て、「ギターを買う時はギブソンのセミアコ!」と決心したものだ。
アルヴィン・リー(テン・イヤーズ・アフター)
年を重ねるにつれ、無謀ではあったが理想に燃えていた熱い頃を思い返すと、えも言われぬ懐かしさがこみあげてくる。
このCDやDVDからも似たような何かが感じ取れるのである。
ジェファーソン・エアプレイン
【出演者】
<8月15日(金)>
リッチー・ヘヴンス/Richie Havens
スウィートウォーター/Sweetwater
バート・ソマー/Bert Sommer
ラヴィ・シャンカール/Ravi Shankar
メラニー/Melanie
アーロ・ガスリー/Arlo Guthrie
ジョーン・バエズ/Joan Baez
<8月16日(土)>
ザ・クイル/The Quill
カントリー・ジョー・マクドナルド/Country Joe McDonald
ジョン・セバスチャン/John Sebastian
サンタナ/Santana
キーフ・ハートリー・バンド/Keef Hartley Band
インクレディブル・ストリング・バンド/The Incredible String Band
キャンド・ヒート/Canned Heat
マウンテン/Mountain
グレイトフル・デッド/Grateful Dead
クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル/Creedence Clearwater Revival
ジャニス・ジョプリン/Janis Joplin
スライ&ザ・ファミリー・ストーン/Sly & The Family Stone
ザ・フー/The Who
ジェファーソン・エアプレイン/Jefferson Airplane
<8月17日(日)~8月18日(月)午前>
グリース・バンド/The Grease Band
ジョー・コッカー/Joe Cocker
カントリー・ジョー & ザ・フィッシュ/Country Joe & The Fish
テン・イヤーズ・アフター/Ten Years After
ザ・バンド/The Band
ブラッド・スウェット & ティアーズ/Blood Sweat & Tears
ジョニー・ウィンター feat. エドガー・ウィンター/Johnny Winter feat. Edgar Winter
クロスビー、スティルス & ナッシュ/Crosby,Stills,Nash & Young
ポール・バターフィールド・ブルース・バンド/Paul Butterfield Blues Band
シャ・ナ・ナ/Sha-Na-Na
ジミ・ヘンドリックス/Jimi Hendrix
おまけ
「コジカナツル」、、、
kojikanatsuru?
こじか なつ る ?
何かのマジナイ?
いえいえ、コジ=小島良喜(piano)、カナ=金澤英明(bass)、ツル=鶴谷智生(drums),つまりメンバー三人の姓をつなぎ合わせた、ピアノ・トリオの名前です。
左から 小島良喜(piano)、金澤英明(bass)、鶴谷智生(drums)
このブログ、最初は「ロックとジャズの割合を半々くらいにして、あれ書いてこれ書いて…」などと、展望らしきものを持っていたんですが、気がつくと今のところジャズの話が一番少ない。
ヘタなことを書くと、ジャズ通の方々に突っ込まれるかもしれない、という恐怖感(笑)があるのも理由のひとつかもしれません。
とはいえ、好んで聴いているCDにジャズが多く含まれているのも事実です。
そして、最近のお気に入りの中に、この「コジカナツル」があるわけです。
ジャズには夜が、それも夜中が、不思議とよく似合うものです。このグループのファースト・アルバム、「コジカナツル」を聴いていると、ぼくには、「夜の猥雑な繁華街の隙間にある、束の間の静寂」みたいな雰囲気が感じられるのです。
ピアノの小島良喜を生で初めて聴いたのは、「Four Hands」という、佐山雅弘(piano)とのピアノ2台によるデュオでした。生々しくて、遊び心がたっぷりで、とても人間味豊かなピアノだと思いました。
金澤英明のベースは、楽器(ウッドベース)の木のきしみみたいなものまで一緒に聴こえて来るような、骨太でどっしりした素敵な音を奏でます。
鶴谷智生は、スタジオ等で大活躍しているドラマーです。テクニックもさることながら、楽器を素晴らしく歌わせられる方だと思います。
夜中にこのアルバムを聴いていると、「タバコの煙とウィスキーの香り、男くささ、地下の薄暗いジャズバー、真剣に楽器で遊んでいるヤンチャな大人」なんていう情景がきれぎれに浮かんで来るのです。
三人が一丸となって熱く渡り合う16ビートの「"F"」と、3連の濃いグルーヴ感がたまらないスタンダード・ナンバーの「Teach Me Tonight」、この2曲がとくにぼくのお気に入りです。
そして今夜も「ヤンチャな大人の遊びっぷり」を耳にしながら、いつの間にかニヤッとしている自分がいるのです。
◆コジカナツル/Kojikanatsuru
■演奏
コジカナツル
■リリース
2003年
■プロデュース
須田晃夫
■録音
スタジオRAG河原町(京都市) 2003年4月1~2日 ②~⑨
ライブ・スポットRAG(京都市) 2003年3月31日 ①
■収録曲
① Yossy's delight (金澤英明)
② "F" (小島良喜)
③ take a nap (on the Oak street)(小島良喜)
④ Alternative blue (塩次伸二)
⑤ Whoop it up! (小島良喜)
⑥ So Nice (Marcos Valle, Paulo Valle)
⑦ Colour Me (鶴谷智生)
⑧ Dog(小島良喜)
⑨ Teach Me Tonight (Gene de Paul)
■録音メンバー
小島良喜(piano)
金澤英明(bass、piccolo-bass⑦)
鶴谷智生(drums)
■レーベル
RAGMANIA