悲しいライオン

　職員室机お隣のRu子先生。普段は赤いレクサスISにお乗りです。今回そのレクサスが修理するので代車に赤いプジョー307が来たそうです。事件はここから。いつものように出勤して来たRu子先生はかなりおかんむり。なんでもプジョーが壊れているらしいのです。「70km/hしかスピード出ないし、ジェット機みたいにうおーンって音がする。おまけに焦げ臭いしドアもギーギー。これって如何なものか？」まじっすか？　プジョー307といえばフランスの中堅所。いかにラテン系とはいえそこまで酷いはずはあるまい？
　ところが二日目に入っても事態は好転しないらしいのです。おもしろ半分に試乗させてもらいました。確かにドアはギーギーいうなと乗り込んでエンジン始動。オートマにはスノーとスポーツのモードがあります。両方解除を確認してDレンジへ。走り出したら…普通やん？　町中で4速になかなか入らないのはブサイクだけど、70km/h以上は余裕のはず。ジェット機って何？
　ふとシフトゲートを確認。Dレンジの左側にマニュアルで変速できる＋、－の文字。ひょっとして…？　どうやらRu子先生はマニュアルモードの１速でエンジンブン回してご出勤だった様子。レッドゾーンまで行くと自動で２速にシフトアップするとはいえ、そら70km/hでエンジン全開近くになるでしょう。オマケに焦げ臭いとか壊れてるとか壊れてるとか因縁つけられて。
　試乗を終えた307をふと振り返ると、夏休みの犬みたいに舌を出してはぁはぁ言ってるブルーライオンが悲しげであった。

お前、悪く無いからな。