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阪本順治監督『団地』その8

2018-03-02 13:55:00 | ノンジャンル
 また昨日の続きです。
 清治「君も彼に会ったんやな。どこの誰か知らない彼に」キタロー「うん。ここにいる時、声をかけられた」「彼に何を?」「自分たちは歌というものを知らないって」「そうか」「誰も殺したないから俺は遠いところに行く」「遠いとこ?」「ほんまのお父さんに会いに行く」「ほんまの?」「教えてもらった場所があるんや」「ほな、そうやったんか」ヒナ子、現れ「もう帰りはった。最初何を言うとるかさっぱり分からんかったけどなあ。真城さんとしゃべってたら頭痛い」「そやけど嘘は言いへんな、真城さん」「あたしおさらばする。こんな世の中と」「そうか」「あの子に会いたい」「明日からえらいこっちゃ。5000人分」「もうくよくよせんでええな」「そやな」「ええ方に考えよ」「僕もな」「せや、これから井戸端会議にも入れてもろたろうかな」「えー?」「ダジャレの一つも言いたろうかな」「えー?」「あたしのお母さんにも会えるかなあ」「えー?」「今のえー、ちゃうやろ」「お前鋭いな」「あんたはアホや」。笑い合う2人。「で、へその緒がどうやて?」「説明聞いたけど、さっぱり分からん。何たら星雲の何たらという惑星の軌道を回る何たら衛星のそばで、その重力を何たらし、ただ何たらしすぎると、へその緒がペチャンコになるので、何たらしすぎないように注意を払いつつ、その微妙なバランスが何たらしたときにナオヤは必ず何たらという方法を使おて声をかけてくると」「どこがとてつもなく簡単やねん」。笑い合う2人。見上げる2人。フェイドアウト。
 ヒナ子「あたし、憎しみを食べて生きてきたのかもしれません。けど、これからは大丈夫です。もう」君子「ごめんね。裏切り者やなんて。(中略)ここらへんウロコだらけで乳首がないのに、ほんまにビックリした」「男にはいらんようになったそうです。進化しすぎて退化したとか」「はあ、こうやって生きてる方が神秘なんやってねえ。あっちの世界の方が現実なんやってねえ。短い間だったけど、ヒナ子さんと知り合えてよかった」「どんくさいだけの女です」「どんくさいってことは強いってことやん」「強いんですか? わたし」「うん」。笑い合う2人。「ヒナ子さん」「はい」「ナオヤ君に会えるんね」「はい」「あんね」「はい」「あはっ、やめとく」「何で?」「明日言う」「何で?」「別れ際に言う」「何で?」「何でも」「何で?」「眠たい」「はい、寝ましょ」「うん」。
 警官「はい、確かに様子が変なんですけど、あっ、いえいえ、事件性は。ただここの住民大分変ってます。怖い怖い言いながら。はい、はい、了解」。吉住「おう、何や? キタローが? 知らんがな。お前の子やろ。今頃何心配しとんねん。考えすぎや。考えすぎや。俺のせい言うんか? ちゃうやろ?」。
 山下宅へ向かう鞄を持った真城、宅配便の青年、女性を見て、吉住「バラバラやん」「多すぎへん?」。
 「うちのキタロー見へんかった?」「見てないよ」「バッグの中身なんやねん?」キタローの母、鞄に向かい「キタロー、ご免やでえ」吉住「違うがな」清治「これは天に輝く星くずや。手土産に見えるかいな。星くずや」「何やあれ?」。皆、見上げる。巨大なUFO。「あの船が私たちの故郷です。5000人の同郷人が暮らす、私たちの」正三「そんなこと、ありえない。というのがありえるのは団地ってか?」「誰か付いてきたら、うまくしばいてください」「さばいてください」「さあ」。真城ら去る。山下夫婦、行徳夫婦も後を追う。
 3人は林の中へ。
 途中で出会った地元の農家の人に昌三「あっああ、すいません。すいません。私たち、文部科学省の者で、この先に古墳を発見したものですから、関係者以外は入れません。あの許可証をお持ちですか?」「あのこっから出ないでください」と足で地面に線を引く。
 木漏れ日。
 原っぱに囲まれた湖に出る。「こんな林あったん。あっ、キタロー君」「いらっしゃい」「ご免やで。おばちゃん、ずっと何もしてやれなかった。聞いてたのに」「あん時おばちゃんがおれへんやったら、俺、もっと殴られてたから」「もしかして、この子も?」「はい、ここはもう船の中です」。真城、地面に手を触れ「空を」。宇宙船の巨大な天井が現れる。「何で?」「もう地球を離れました」「えー?」宅配便の青年「キタロー君、行こう。トイレが限界」「うん」。
 大気圏外からぐるぐる回る地球の姿。(また明日へ続きます……)