”ばっきん”のブログ

日常生活中心のブログです。
平成28年9月から妻と息子、母の4人で暮らしています。

生活保護受給者は自動車を運転できない。(後編)

2011年06月19日 08時42分55秒 | 生活保護
生活保護受給者には、なぜ自動車の利用が認められないのか?
そこには、「単に贅沢だ」、「受けたきゃ車は諦めろ」という感情的なものにとどまらない理由がある。

まず、保護の要件として、資産の活用が保護に優先されるからだ。
仮に、年式の古い車だから資産価値はないと主張する人もいるが、
車には、損害保険や税金、車検などの維持費がかかるのも事実。
十分な保障内容を備えていない状況が予想される受給者の運転は、社会的にも影響が大きいのである。

生活保護受給者の物的資産は、生活用品としての資産と事業用品としての資産に分けることができるのだが、
保有が認められていないことと、運転が認められていないのは、生活用品としての車である。
事業用品としての車はどんなものかという疑問については、ごく限られた条件のもとでしか想定できないし、
第一、事業がうまくいかないから生活保護申請となるケースが多いこともあって、ここでは取り上げない。

生活用品としての自動車は、単に日常生活の便利に用いられるのみであるならば、地域の普及率の如何にかかわらず、保有を認める段階ではない・・・というのが厚生労働省の見解である。

生活保護における資産の保有とは、最低生活の内容として、その保有または利用をいうもの。
したがって、他人名義の自動車の使用は、その資産を現に占有し、利用することによって、それによる利益を享受する場合も含まれるものもあるので、所有および借用を問わず原則として認められないのである。

したがって、北海道新聞の記事にあるように、自動車を使用している受給者がいたら、やはり管轄の福祉事務所に通報すべきであるといえる。
その際は、登録ナンバー、車種、どんな状況下で利用しているかを詳しく説明するといいのではないか?

ただし、例外として通勤用自動車を認められている人もいるので注意が必要。
その条件とは
1 障害者が自動車により通勤する場合。
  (ここでいう障害者は、下肢・体幹の機能障害者又は内部障害者で
   身体障害者手帳を所持し、自動車税等が減免されている人)
2 公共交通機関の利用が著しく困難な地域に居住している
3 公共交通機関の利用が著しく困難な地域の勤務先にいく
4 深夜勤務等の業務に従事していて、交通機関の利用や徒歩での通勤が困難な場合。
  (2~4の条件には、さらに次の条件が付される)
・当該勤務が当該世帯の自立の助長に役立っていると認められること。
・当該地域の自動車の普及率を勘案して、自動車を保有しない低所得世帯との均衡を失しないこと。
・自動車の処分価値が小さく、通勤に必要な範囲の自動車と認められること。
・当該勤務に伴う収入が自動車の維持費を大きく上回ること。

限定された人であっても、さらに上記の付帯条件を加えたら、現実に通勤用自動車を認められる人はほとんどいないはずだ。
特に、自立の助長に役立って、維持費を大きく上まわる収入があったら、そもそも保護は必要としないだろう。

「通える職場が制限される」というなら、職場の近くに引っ越しをしてもよいように願い出るべきではないか。
しかし、そういう人は、「子どもの学校が変わってかわいそうだ。」、「行きつけの病院が遠くなる。」などの理由を付けて引っ越そうとしないかもしれない。

こと、保護受給者と車に関しては、「自立の妨げ」だけの問題にとどまらない可能性があるといえよう。
それは、中心市街地の空洞化によるものも一因であるが、何よりも、他人と同じ価値観で、同じ楽しみを享受したいという欲求とそれを増長させる社会状況にある。

コメントを投稿