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サラリーマン漁師

2011-07-31 09:34:47 | 報道/ニュース



  7月24日 サンデーモーニング


  震災後、宮城県の村井知事が復興策として打ち出した『生産業復興特区』構想。
  従来漁業協同組合に優先的に与えられてきた「漁業権」の仕組みを緩和し
  民間資金を導入しようというもの。
  さらに、漁港を3分の1程度に集約し効率を高めて復興を進めるという構想もある。
  
  政策研究大学院(海洋政策) 小松正之教授
  「日本の漁業は衰退の一方で後継者が居ない。
   漁場が荒廃する。
   外から金・資本・産業・技術を持ってこなければならない。」

  知事の提案を支持する声がある一方で、漁業関係者からは強い反発の声がある。
  そこには1970年代起きたある出来事が反映されている。
  宮城県南三陸街志津川で民間機牛が漁協と共同で銀ザケ養殖を開始し、
  この地域が活気づいた時期があった。
  しかし数年後、安価なチリ産銀ザケの輸入で経営は悪化、企業は撤退し、
  漁業者の中には重い負債を抱えた人もいた。
  
  東京大学社会科学研究所 加瀬和俊教授
  「小さな漁業者が頑張ってやっていたものが大きな企業におきかわることで、
   生産は同じように、あるいはより多くできるかもしれない。
   しかしそれは漁業の再建にはなるかもしれないが、
   漁村という地域の存続・再建にはならない。」

  利益優先という企業の論理が、
  地元漁民の生活や地域のコミュニティーまでも崩してしまうのではないかという不安。
  
  ここ10年ほどの行政を振り返ると、
  従来の規制を取り払い多くの企業がさまざまな業種に参加できるよう促すことで
  経済を活性化させるという大きな流れがあった。
  その背景にあるのはアメリカ発のグローバリズム市場原理主義。
  し烈な競争社会は勝者と敗者を際立たせさまざまな痛みをもたらした。
  
  大型ショッピングセンターの郊外への進出でシャッター通りと化した地元商店街。
  そのきっかけは大規模小売店法の廃止だった。
  2008年、世界経済を揺るがしたリーマンショック。
  このとき大量リストラされたのが派遣社員などの非正規労働者。
  労働者派遣法の規制緩和によって、
  ついには製造業務にまで派遣労働が拡大されたことがその背景にあった。
  2000年にスタートした介護保険制度では、
  民間企業に介護サービス提供の門戸が開かれたが、
  利潤追求が介護報酬の不正請求事件まで引き起こした。

  経済を優先するあまりに金銭に置き換えることの出来ない、
  共同体のつながり、
  生きがい、
  働きがい、
  人間としての誇りなど大切な価値や意味を軽視しがちになったこの国の姿。
  そして今、民間資金導入が大きなテーマとされる三陸漁業の復興策。
  地元の人々の思いをくみとったものとなればいいのだが・・・。







  




  

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