日暮しの種 

経済やら芸能やらスポーツやら
お勉強いたします

「粗」「野」「卑」の人

2011-07-13 07:50:33 | 編集手帳



  7月6日付 読売新聞編集手帳


  「粗にして野だが卑ではない」
  は第5代の国鉄総裁、石田礼助氏の言葉である。
  総裁に就任して初めて国会に出たとき、
  自己紹介で語った。
  のちに城山三郎さんが、
  石田氏の生涯を描いた評伝の表題にそのまま用いている。

  「粗」はあらく、こまやかでないこと、
  「野」は単純で洗練されていないこと、
  「卑」は言うまでもない。
  小欄流のおおざっぱな解釈をするならば、
  「粗」と「野」は品行の問題であり、
  「卑」は品性の問題になろう。

  主人が奉公人をいびるように、
  あるいは古参兵が新兵をいじめるように、
  被災県の知事に向けて連発したその人の放言には「卑」の臭気が充満していて、
  映像を見るたびに胸が悪くなる。

  相手が誰でも、こういう言葉遣いをする大人になってはいけませんよ…
  という教訓を世の子供たちに残し、
  本龍復興相が就任から9日目で引責辞任した。

  菅政権はどこまで堕(お)ちていくのだろう。
  お粗末な人選という「粗」と、
  延命の野心という「野」はすでに持ち合わせている首相である。
  例によって、任命責任には頬かむりを決め込むつもりだろうか。
  粗にして野にして「卑」でもある。
コメント