日暮しの種 

経済やら芸能やらスポーツやら
お勉強いたします

中国の巨額支援 アフリカの今

2018-09-30 07:00:00 | 報道/ニュース

9月12日 キャッチ!ワールドEYES


アフリカ大陸の最も西に位置するセネガル。
首都ダカールでは
中国語が描かれた看板や中国企業が建設した建物など中国の存在が目に付く。
今年7月には習近平国家主席がセネガルを訪問。
サル大統領にさらなる支援を約束した。
大型のインフラ整備も始まっている。
中国が地元の政府に融資をし
中国企業が建設工事を請け負っている。
高速道路の建設現場。
セネガルの首都ダカールから第2都市ティエスまで来ている道路を
さらに内陸まで115km延伸する工事である。
費用は8億ドル以上。
その85%が中国から年利2%で借りたものである。
セネガル政府の当局者は
経済成長に欠かせない重要なインフラ整備のため
中国の資金と技術に期待している。
(セネガル政府道路整備担当者)
「細心のインフラ整備を建設できるのは中国の資金のおかげです。
 中国企業も工事を請け負い利益をあげています。」
中国が早くから進出してきたアフリカ東部のケニア。
首都ナイロビはいま空前の建設ラッシュが起きている。
ケニア政府は“2030年には中進国の仲間入りをする”という目標を掲げている。
その起爆剤として期待されているのが
インド洋に面しアフリカ有数の大型の港を抱えるモンバサと首都ナイロビの
全長470kkm余を結ぶ最新の長距離鉄道である。
去年 開通したばかりである。
中国が総工費の9割にあたる約3,000億円をケニア政府に融資した。
建設や運営も中国企業が中心になって担っている。
しかし開通から1年余。
現地では延伸工事も始まるなか
さまざまな問題が浮上している。
大都会に隣接しながらサイやライオンなど野生動物の貴重な宝庫として
ケニア国民が誇りにしているナイロビ国立公園。
そのまさに真ん中を線路が通り抜けることになったのである。
ケニア政府は
線路を支えることになる柱はキリンであっても移動できるだけの十分な高さがあり
動物たちに影響はないとして工事を進めている。
しかし自然保護団体を中心に激しい反発が起きている。
デモは中国大使館に向けても行われた。
自然保護団体活動家のレインハード・ボンケさん。
政府は保護団体との話し合いでは当初は講演を迂回するルートを提示していただけに
よりによって真ん中を通ることになったことに強い憤りを感じている。
(自然保護団体活動家 レインハード・ボンケさん)
「私たちは公園を守ろうとしました。
 政府は公園を横断する線路を考えています。
 政府が望んでいるのが問題です。
 経済界と一緒に建設を企てているのです。」
こうしたなか地元の有力紙が7月
すでに開通している路線で列車にひかれて死んだ雌のライオンの写真を掲載し
国民に衝撃が広がった。
さらに別の有力紙は
建設現場では中国人の管理者によって
ケニア人労働者が肩身の狭い思いをしたり差別を受けたりしていると大々的に報道し
ケニア国鉄が中国の建設会社に説明を求める事態になっている。
30代のエンジニアは
現場では中国人がバスに乗っているとケニア人は乗ることができず
次のバスを待たないといけないということが横行していると言う。
中国に6年間留学していた男性は
当初は中国の建設会社で働けることを喜んでいただけに
失望が大きいと言う。
男性は中国語で応えた。
(エンジニア)
「見るものすべて漢字で書かれています。
 仕事をするときが異国に来たのかと思いました。
 皆中国人だし
 書かれているのは中国語
 ケニアではないと感じました。」
ここにきて増え続ける対外債務への不安も強まっている。
記事で
延伸工事でさらなる借金が必要になることや
すでにケニアの対外債務が20年で10倍に膨らみ約500億ドルを突破したと報じている。
ケニアの経済に詳しい専門家は
インフラ整備の重要性は認めながらも
増えつ続ける債務に警鐘を鳴らしている。
(ケニア経済の専門家 アリカン・サチュ氏)
「これでは政務の罠であり  
 債務外交です。
 新たな形の植民地主義です。」




コメント

新女王誕生 

2018-09-29 07:00:00 | 編集手帳

9月11日 編集手帳

 

 先ごろ惜しまれながら亡くなった桂歌丸さんは、
じかに拝聴したにちがいない。
その師匠、
古今亭今輔に名言がある。
<迎えの拍手はきのうまでの人気、
 降りる時の拍手は今の人気>

大坂なおみ選手(20)に迎えの拍手はどう聞こえたろう。
テニスの全米オープン決勝はセリーナ・ウィリアムズ選手(36)の女王復帰を望む観衆で埋まった。
完全アウェーである。
そのうえ審判の判定を機にブーイングがわき起こった。

サービスエースを決めても、
ざわざわするだけ…。
よく踏ん張れたものである。
大坂選手が日本勢として初めて、
世界の四大大会を制した。

それにしても表彰式までブーイングとは大会の品位を貶(おとし)めるものだろう。
だがそこを2人が救った。
「もうブーイングはやめて」と元女王がいい、
大坂選手は
「みんながセリーナを応援していたのは知っています。
 こんな終わり方ですみません。
 試合を見に来てくれてありがとう」。
空気は一変して、
温かな拍手が会場をつつんだ。

テニスの強さばかりではない。
やさしさ、
素直さに心を動かされたのだろう。
新女王が初々しく誕生した。
おあとが大変よろしい。


コメント

インドネシア 横行する海外就労詐欺

2018-09-28 07:00:00 | 報道/ニュース

9月11日 キャッチ!ワールドEYES


去年 日本で難民認定申請数は19,000人余と過去最高となったが
その中で特に増えたのが東南アジアからの人たちである。
インドネシアからは2,000人余の人が申請し
そのほとんどが就労目的だとみられている。
こうした事情の裏にはそれを斡旋する業者がいると見られ
時には詐欺にあうケースもある。

インドネシアの首都ジャカルタから車で2時間ほどの町。
去年 働くために日本に渡り強制送還になったドゥクロンさんは
この町で塗装業を営んでいる。
夜には屋台も営んでいるが収入は月にわずか約1万円。
一緒に住んでいるのは娘と父親で
妻はより良い収入を求めて台湾に出稼ぎに出ている。
ドゥクロンさんも家族のために海外で働きたいと思っていた。
そうしたなか日本で働けるチャンスがあると聞き
一昨年 知り合いが運営する研修施設に通い始めた。
(ドゥクロンさん)
「私はここで3か月間一生懸命に勉強して
 結局だまされてしまいました。」
この施設は政府から認可を受け日本で働いた経験のある男性が運営。
ドゥクロンさんはここで日本語や日本の習慣を学んだ。
施設に通い始めて数か月後のある日
インドネシア人4人と“たけし”と名乗る日本人が訪ねてきた。
男たちは日本企業からの紹介状を見せながら
正規の就労ビザを取得して働ける仕事を紹介できると研修生たちに説明した。
ドゥクロンさんは簡単な面接を受け
数日後 日本で働けることになったと告げられたと言う。
(ドゥクロンさん)
「日本では月給38万円がもらえると言われたのです。
 日本人と会えたので将来は日本で働けると信じました。」
男たちはビザを取得するためだとして
ドゥクロンさんの中学校の卒業証明書や収入を証明するための書類を偽造。
観光ビザで日本に入国し正式な就労ビザが取得できると説明した。
ドゥクロンさんはこうした書類の手数料や渡航の費用など
約70万円を親類に借金をして支払い
去年2月 日本へ向かったのである。
しかし日本到着後の入国審査で
男たちから渡されたホテルの予約証明書が偽造されたものだったことが発覚し
強制送還されてしまったのである。
一緒に日本に渡った友人の中には入国できた人もいたが
入国後 説明にはなかった難民申請をさせられたと言う。
日本国内で難民の申請をすると
半年後に一律で就労可能な在留資格が与えられるという
去年までに制度を利用したものと考えられる。
正規の就労ビザを取得できるという話を信じたドゥクロンさんはだまされていたのである。
(ドゥクロンさん)
「難民ビザなんて全く望んでいませんでした。
 難民ビザは紛争中の国や迫害された人たちのものです。」
ドゥクロンさんは同じように強制送還された友人たちと共に
研修施設の代表や仕事を紹介すると話した男らを警察に訴え
このうち3人は詐欺の罪で起訴された。
3人は逃走している別の男が主犯格だとして
詳しいことは知らないとする一方
ドゥクロンさんたちに付き添って日本に渡航した男は
日本での難民申請の手続きには日本人が協力していたことを明らかにした。
(起訴された仲介業者)
「主犯格の男が電話で指示し
 弁護士がビザの手続きをすると言われました。
 その弁護士はビザの手続き費用のために20万円が必要だと言ったのです。」
判決当日
(裁判長)
「インドネシア人を日本に派遣する過程で
 被告は1人あたり約45万円を受け取った。」
今年5月 男3人に禁固3年半の実刑判決が言い渡された。
しかし主犯格の男やドゥクロンさんを面接した“たけし”という日本人の行方はいまだにわかっていない。
日本で働くことを夢見たドゥクロンさん。
後には借金だけが残った。
(ドゥクロンさん)
「とても失望しています。
 研修施設の人やビザの手続きをした人に私はだまされたのです。
 お金を返してほしいです。」




コメント

タイで脚光 少年たちを救った“瞑想の力”

2018-09-27 07:00:00 | 報道/ニュース

9月10日 国際報道2018


洞窟に閉じ込められたサッカーチームの少年らの奇跡の救出から2か月。
暗闇の中で救出を待つ間
少年たちに声をかけ続けたコーチのエーカポン・チャンタウォンさん。
エーカポンさんは僧侶の経験から
少年たちが不安に陥らないようにめい想をさせていたと伝えられている。
仏教徒が大半を占めるタイで“瞑想の力”がいま改めて注目されている。

タイ北部ランプーン県。
ここに少年たちのコーチ エーカポンさんが僧侶として過ごした寺院がある。
当時をよく知るこの寺院の住職 ブンソンさんは
エーカポンさんは少年時代 見習い僧侶で
1日2度の瞑想にも真剣に取り組んでいたと振り返る。
(住職 ブンソンさん)
「真っ暗闇の洞窟で少年たちがパニックにならなかったのは
 彼がこの寺院で学んだことを全て行かせたからだと思います。」
敬虔な仏教徒が多いタイ。
首都バンコクの寺院で毎日開かれているのが“瞑想教室”である。
救出劇のあと訪れる生徒の数は約1,5倍に増えた。
この日も
姿勢を正して目を閉じ深い呼吸を繰り返す人や
ゆっくり歩きながら瞑想する人たちの姿が見られた。
(僧侶)
「遭難事故のあと瞑想を学びに来る人は増え始めています。
 瞑想をすれば 苦しみから解放され気持ちが楽になります。」
瞑想への関心の高まりでテレビ番組も脚光を浴びることに。
子どもたちが1か月の間“見習いの僧”として仏教を学ぶ様子を記録する“仏教リアリティー番組”である。
(僧侶)
「どんな状況でも落ち着いて対処できるよう
 瞑想を学びましょう。」
このなかで洞窟の事故と瞑想の効果について取り上げると
動画投稿サイトでわずか2か月の間に200万回も再生された。
もはや瞑想ブームといえるヒットぶりに
番組の制作会社では今年はじめて英語版を制作。
瞑想の魅力は世界の人々に受け入れられると意気込んでいる。
(制作会社 エグゼクティブプロデューサー)
「瞑想を学んで成長していく子どもたちの姿を見て
 海外の人たちにも“瞑想の力”を理解してほしいと思います。」





コメント

“日本産ブランド果実” 海外流出の実態

2018-09-26 07:00:00 | 報道/ニュース

9月4日 おはよう日本


シャインマスカットは茨城県にある国の研究機関が10年かけて開発した。
甘くて皮ごと食べられるため人気が高まっている。
このシャインマスカットはいま中国で急速に栽培・販売が広がっている。
さらに日本産を装ったブドウも出回り
中国などに輸出を進めようとしている国内の産地に脅威になっている。

最近 出回っていることがわかった日本産を装ったシャインマスカット。
岡山県がブルンド化を進める“晴王”との表示があるが
中国で作られた偽物である。
香港にある日本産の果物を扱う貿易会社。
こうした中国産のブドウの中には日本産とそん色のないものも出始めていると言う。
「このレベルは言われなかったら中国産とわからない。」
「こんなに早く
 高いレベルの商品が市場に出回るのは驚き。」
「中国産のシャインマスカットでも商売 勝負ができると感じて
 中国産に代えている販売業者が増えているのかな。」
中国産のシャインマスカットが市場に出回ると
日本産の輸出にも影響を与えるのではないかと懸念されている。
その“晴王”を作っている岡山県倉敷の農家。
国内市場が年々縮小していくなかで“晴王”のブランド化を進め
輸出に活路を見い出そうとしていただけに憤りを感じていた。
(生産農家)
「海外の消費者が品質が同等と判断したら価格競争になる。
 価格低迷が起きるかな。
 脅威です。」
中国産のシャインマスカットはどれだけ生産と販売が広がっているのか。
上海の富裕層が利用するスーパーでは
中国で栽培されたシャインマスカットが山積みに。
1房68元(約1,000円)と日本産の3分の1ほどの値段で売られていた。
次々に売れていく。
(客)
「はい ずっと買います。」
「おいしいからいつも中国産を食べています。
 日本の果物は高いから。」
シャインマスカットの生産が盛んな河南省の農園。
この農園の栽培面積は4ヘクタールと 
日本の平均的な農園の8倍以上の広さがある。
年間50トン近く生産しているが
作れば作るほど売れることからさらに規模の拡大を考えていると言う。
(生産者)
「収入は増えたよ。
 うまくいけば5倍くらいになるかもね。」
シャインマスカットの栽培技術を普及する専門家までいることも分かった。
中国各地の生産者が集まって設立された団体の幹部の男性。
団体では最新の生産技術などを共有し
生産量と品質を向上させようとしている。
(生産者団体幹部)
「中国でのシャインマスカットの人気はますます高まると思います。
 栽培する人も増えています。
 私たちは団体を設立した去年を“シャインマスカット元年”としました。」
日本で開発されたシャインマスカットがなぜ中国に流出したのか。
(中国での栽培に詳しい専門家)
「直接 日本の種苗屋さんから購入することは難しい。
 大体は日本にいる人を通じて苗を購入したのではないかと思う。」
さらに中国の生産者が日本の武道農園を訪れ無断で苗を持ち帰るケースがあったことも分かった。
シャインマスカットの苗が最初に中国に渡ったとみられるのが11年前。
今では少なくとも24の省や自治区で栽培が広がっていた。

品種登録とは
果物などの開発者が種や苗の生産や販売などを独占できる権利を守る制度である。
品種登録は国ごとに行わなければならないが
シャインマスカットを開発した農研機構は
もともと国内での生産を想定していたため
海外での登録をしていなかった。
海外での品種登録は少なくとも100万円以上のコストがかかる上に
国内での出願から6年以内と期限が決められている。
シャインマスカットの国内の出願は15年前なので生産や販売を差し止めることはできない。
農産物を知的財産だということを忘れずに輸出を前提として品種登録を進める必要がある。
国は一昨年から品種登録にかかる費用を一部補助する制度を始めた。
政府は農産物などの輸出額を来年までに1兆円にする目標を掲げているが
日本の市場が縮小していくなかで
攻めの農業を進めるためには
権利を守る意識を高める必要がある。
















コメント

中国 パンダの保護 最新事情

2018-09-25 07:00:00 | 報道/ニュース

9月4日 キャッチ!ワールドEYES


8月半ば 中国南部広州市の動物園に大勢の報道陣が詰めかけた。
お披露目されたのは生まれて1か月になる赤ちゃんパンダ。
体重は1キロを超え
白黒の模様がはっきりしてきた。
さらに登場したもう1頭は生後2週間の小さな赤ちゃん。
この夏2頭のパンダが立て続けに生まれたのである。
この動物園で赤ちゃんが誕生したのは4年連続。
国の研究機関から人工繁殖のノウハウを学び成功につなげてきた。
ここ以外の施設でも今年に入って合わせて10頭以上が生まれている。
飼育されているパンダの総数は15年前の3倍以上に増え
520頭を超えた。
(来場者)
「かわいいパンダに感動しました。」
「パンダ大好き。
 竹を食べてた。」
(保護研究センター 担当者)
「パンダは中国にとって自然保護のシンボルです。
 みんなの努力の結果です。」
動物園でパンダが増える背景にあるのが中国の経済成長による観光需要の高まりである。
この動物園でも近年 入場者数が順調に伸び
売り上げは年々増加。
人気のあるパンダを増やしてさらに客を呼び込もうと
5年前から資金をつぎ込み本格的に繁殖を始めたのである。
展示スペースの拡大に加え
スタッフをそれまでの4倍以上に増やし
飼育の充実を図った。
(パンダ飼育員)
「これは“黄金竹”という特別な竹で
 赤ちゃんを産んだばかりの母親に与えます。」
猛暑日が続いたこの夏
母親のパンダには特別な食事を与えるなどきめ細やかな飼育ができるようになった。
新たな世代の誕生へ
いま期待をかけているのが4年前に生まれたパンダたち。
実はめずらしい3つ子である。
世界で初めて3頭そろって順調に成長し
まもなく子どもを生める年齢に達する。
(パンダ飼育員)
「成功には多くの苦労がありました。
 育ての母のような気持ちです。
 この子たちも多くの赤ちゃんを産んでくれたらうれしいです。」
成果をあげてきたパンダの保護。
中国政府は今その動きを加速しようとしている。
8月下旬
“パンダ国際文化ウィーク”と題して各地で展示会や上映会などを開催。
開会式では「保護対策をさらに推し進める」と宣言した。
(国家林業草原局 副局長)
「中国のパンダ保護は新たな1ページを開きます。」
入り口には習近平国家主席の「自然と共生する」という言葉が掲げられ
国をあげてパンダの保護に取り組む姿勢を強調している。
これまで成果をあげてきた人工繁殖だが
実は課題がある。
飼育されているパンダだけでは遺伝子の多様性が限られるため
将来繁殖が続けられなくなってしまうおそれがある。
今年7月
この問題を解決するための大きな成果があった。
国の施設で飼育されていた雌と野生の雄による繁殖に成功。
赤ちゃんが誕生したのである。
長年国の研究機関をリードし“パンダの父”と称される 張和民さん。
野生の雄との繁殖が軌道に乗れば将来の個体数を増やしていけると期待している。
(保護研究センター 張和民さん)
「生まれたパンダは健康です。
 これで新たな遺伝子が飼育のパンダに広がるでしょう。」
さらにもう1つ 国が進めているのが
野生パンダの保護知育の拡大である。
各地に60か所近く点在している保護区をつなげる“パンダ国家公園”を
2020年までに完成することにした。
実現すればパンダ保護区が四国の1,5倍にもなる壮大な計画である。
(保護研究センター 張和民さん)
「パンダ国家公園や保護のシステムが整えば
 野生の個体は2,000頭を超えるでしょう。
 パンダの未来は明るいと信じています。」
中国のパンダは開発や森林伐採などによって住む場所が奪われ
1980年代には野生で暮らす数が1,000頭近くまで落ち込み
まさに絶滅の危機だった。
この事態に中国政府は1983年から生息地の保護や人工繁殖などを本格的に進めた。
その対策が実を結び
最新の調査では1,800頭まで回復したと見られ
絶滅寸前という危機からはひとまず脱出した。
ただ危機がなくなったわけではない。
エサとなる竹の不足や
保護区が分断されているので繁殖のために出会える個体が少ないといった大きな問題がある。
政府が計画している“パンダ国家公園”の構想はこの課題を解決する1歩になるのではと
日本の動物園の関係者も話している。
可愛いパンダだけに保護が手厚いのではないかという批判は中国国内にもあるが
政府関係者は
パンダを保護することはほかの動物たちや人間にとっても暮らしやすい環境を作ることになると
理解を求めている。
自然環境悪化が大きな社会問題になっている中国だから
パンダをシンボルに掲げることで環境保護をスムーズに進めたい狙いがある。
また外交のカードとしての立場も見逃せない。
習近平国家主席は各国にパンダを貸し出すいわゆる“パンダ外交”を積極的に進めていて
去年ドイツに贈った際にはメルケル首相とともに式典に出席した。
ドイツは中国が提唱する巨大経済圏構想「一帯一路」に協力していて
深まる両国の関係を象徴したものと受け止められている。
また今年中には北極圏の開発をめぐって協力を深めるデンマークにも2頭貸し出すことになっていて
パンダはこうした外交戦略にも一役かっている。
パンダ保護研究センターの張さんも
数が回復すればぜひもっと海外に届けたいと話していて
数が増えることは中国にとっていろいろな価値があると言えそうである。 




コメント

インドネシア伝統武術 日本人が挑むアジア大会

2018-09-24 07:00:00 | 報道/ニュース

9月3日 国際報道2018


アジア大会で初めて採用されたインドネシア伝統武術 プンチャック・シラット。
護身術としてここ数年人気が高まっていて
競技人口はインドネシアを中心に世界で10万人と言われている。

千年の歴史を持つ プンチャック・シラット。
競技の前には必ず独特の型の演技が求められ
伝統や礼儀が重んじられている。
今大会では16カ国から約170人の選手が参加。
競技は
有効な打撃において獲得ポイントを競う 試合部門。
そして
突きや蹴りと小刀や棒を使う型の正確さと力強さを競う 演武部門がある。
そんなかで日本から唯一 演武部門に出場したのが大学4年生の麻生大輔選手(24)である。
(麻生大輔選手)
「メダルを目指して頑張りたい。」
3年前 インドネシアに留学した時にプンチャック・シラットを知った麻生選手。
その後 日本で師範のユリ・プルワントさん(57)と出会い
本格時に取り組み始めた。
試合では
目上の人に対する敬いの気持ちを込めた作法も重要視される。
さまざまな流派に共通するのが
“稲穂が実るほどにこうべを垂れるように”。
“強くなるほど謙虚になれ”という意味である。
体だけではなく精神面を鍛えることが求められている。
(麻生大輔選手)
「奥が深いものだと思っていて
 僕もまだ全部つかめていない。
 浅いところだと思う。
 もっと先があると思い やってきたらここまで来たという感じ。」
麻生選手は大会直前に約1か月間ジャカルタ郊外で合宿を行った。
指導にあたったのは地元インドネシアのコーチ。
約20人にわたり多くの選手を育ててきた国際経験の豊富な人物である。
合宿開始早々コーチから厳しい言葉が投げかけられる。
(コーチ)
「体のバランスが問題だ。
 蹴りのあとにいつもぐらぐら揺れている。」
指摘された演武は
襲い掛かってくる敵を蹴りで倒す動作。
蹴りを決めたとき
少しでも足がぐらつくと減点の対象となる。
(コーチ)
「蹴ったあと動くな!
 揺れている。」
麻生選手は蹴りを力強くしようと練習を繰り返した。
(麻生大輔選手)
「来る前と比べると自分の動きが成長していると感じるので
 今までの中では最高の状態なのかなと思っている。」
8月25日 本番。
日本からは家族や友人も応援に駆け付けた。
タイなどアジア各国の強豪選手が正確で力強い演技を披露する。
麻生選手はインドネシア伝統の道着に身を包んで登場。
3分間の演武が始まった。
そして練習を重ねた蹴り。
しかし蹴る瞬間わずかに足がぐらついた。
結果は
予選を通過できなかった。
(麻生大輔選手)
「悔しいです。
 ちょっと緊張して動きが急いで正確さにかけたと思う。
 コーチも育ててくれると言っているので
 リベンジして次の大会を目指していきたい。」
(日本プンチャック・シラット協会 ユリ・プルワントさん)
「麻生選手がこの大会に参加したことで
 日本の多くの若者にも広まるだろう。」
麻生選手は技と心に磨きをかけ
4年後中国広州で行われるアジア大会を目指す。



コメント

被災地ロンボク島の陸上選手 “元気を届けたい”

2018-09-23 07:00:00 | 報道/ニュース

9月3日 国際報道2018


8月にインドネシアで開催されたアジア大会。
陸上男子100m。
地元インドネシア代表のラル・ムハマド・ゾーリ選手(18)。
7月に行われたジュニアの世界大会で金メダルをとり
いまインドネシアで最も注目されている。
今回のアジア大会を特別な思いで迎えていた。
ジャカルタから1,000km以上離れたロンボク島。
7月から9月にかけてマグニチュード6を超える大きな地震が相次ぎ
死者は500人以上に及んだ。
ゾーリ選手の故郷の村も大きな被害を受け
親戚も地震の犠牲となり亡くなった。
(インドネシア代表 ゾーリ選手)
「建物は90%くらいつぶれてしまっています。
 景色が一変してとても悲しいです。」
大会直前に故郷を襲った大地震。
アジア大会という大舞台で
最後まで走りぬく姿をロンボク島の人たちに届けたいと考えていた。
(インドネシア代表 ゾーリ選手)
「みんなに勇気を持ってもらいたいし
 ロンボク島の人たちのために
 元気や勇気が出る走りをしたいと思います。」
迎えたゾーリ選手の100mの決勝レース。
スタートで出遅れたが最後まであきらめなかった。
最年少ながら7位入賞を果たし
観客を沸かせる。
(インドネシア代表 ゾーリ選手)
「会場にはロンボク島の人たちもいて
 インドネシアのみんなが応援してくれて力になったので
 とても感謝しています。
 自信を持って走ることができました。」
さらに島民を勇気づけたのは400mリレー。
第2走者のゾーリ選手が強豪中国を抜き去り2位に順位を上げる。
そしてそのままゴール。
インドネシアチームは銀メダルという初の快挙を成し遂げた。
レース翌日
島に戻ったゾーリ選手を多くの人たちが出迎えてくれた。
ゾーリ選手の走りは島の人たちに元気を与えていた。
(島民)
「ロンボク島の人たちはゾーリ選手から元気をもらいました。」
「ゾーリ選手が良いレースをすることを
 祈りながら
 携帯で大会を見ていました。
 ここから立ち上がっていこうという気持ちになりました。」
(インドネシア代表 ゾーリ選手)
「僕の走りでこんなに元気になってくれる人たちがいて
 災害を少しでも忘れることができるんだとしたら
 2020年のオリンピックに向けて
 インドネシアそしてロンボク島のために全力を尽くします。」



コメント

N.Y イベント盛りだくさん グリーンウッド墓地

2018-09-22 07:00:00 | 報道/ニュース

9月1日 キャッチ!


マンハッタンを望む高台にある グリーンウッド・セメタリ―。
200年近い歴史があり
数々の有名人が眠る墓地として知られている。
ニューヨークの有名宝飾店 ティファニーの創業者家族が眠るお墓。
ルーズベルト大統領の一家が眠るお墓。
墓地ではこうした有名人のお墓を訪ねるバスツアーも行なっている。
今年で生誕100年を迎えたレナード・バーンスタインのお墓。
ニューヨークフィルの指揮者として
また
ミュージカル「ウエストサイド・ストーリー」を生み出したことでも知られるバーンスタインを偲ぶ。
(ツアー参加者)
「こんなに美しい墓地はほかにはないと思うわ。」
多くの観光客が訪れる墓地。
しかしその経営は年々厳しくなっている。
新しいお墓を作るスペースがだんだん減ってきているからである。
広々としているようには見えるが
土葬が多いためお墓を作るには広いスペースが必要である。
残りはあとわずか。
そこで墓地ではさまざまなイベントを行なうことで収益をあげようとしている。
イベント担当として採用された ハリー・ウェイルさん。
この墓地ならではの企画を次々打ち出している。
いまは洞窟のようなスペースを利用したイベントを準備中。
ここは家族ごとに棺が収められている建物で
音響がいいのでクラッシック音楽のコンサートを企画した。
(ハリー・ウェイルさん)
「企画の可能性は無限です。
 まだ誰もやったことがないし
 決まり事もない。
 試行錯誤しながら進めています。」
ウェイルさんは墓地を利用して様々なイベントを行なっている。
墓地ができた当時 200年前をイメージしたサーカスのショー。
森の中で行う映画の上映会も人気である。
いまでは年間200以上のイベントを開いている。
そしてコンサート当日。
まずはレセプション・パーティーで観客をもてなす。
今夜の演目はオペラ。
墓地の中で観るオペラは劇場とひと味違う趣である。
(観客)
「日が暮れるところを眺められてステキだった。
 最高の環境の中で楽しめたわ。」
「想像以上にドラマチックで
 すばらしい場所だった。」

アメリカでは墓地はスペースを購入してお墓を立てたら
後はもうお金がかからない。
グリーンウッド・セメタリ―ではお墓1つで約200万円からである。



コメント

“独創的なゲームを” 中国 理系エリート日本へ

2018-09-21 07:00:00 | 報道/ニュース

8月28日 国際報道2018


東京新宿にあるゲーム開発などを教える専門学校。
8月 中国の理系大学トップの精華大学から学生15人が1週間の短期留学にやって来た。
学生の1人 呂松澤さん(19)。
大学卒業後はゲームクリエイターになりたいという呂さん。
同級生たちとのサークル活動で独学でゲーム開発に取り組んできた。
今年6月 呂さんたちはゲームのアイデアを競う中国国内のコンテストで優勝した。
しかし中国では欧米などで開発された既存のソフトウェアによるゲーム開発が主流なため
独創性にかけ似通ったゲームが多いという指摘もある。
そこで呂さんたちはゲームをゼロから開発する技術がある日本に学びに来たと言う。
(呂さん)
「中国の大学では総合的な教育が優先されています。
 ゲーム開発のような専門的な教育を受けるのはとても難しいんです。」
日本ではこれまで30年以上にわたってゲームメーカー各社が激しい開発競争を繰り広げてきた。
その結果
独自のストーリー展開やち密な映像表現などで
世界を席巻するゲームが生まれてきた。
(呂さん)
「日本の技術や伝統には本当にいいものがあります。
 中国は比べものになりません。」
呂さんたちは滞在中
かつて日本のゲームメーカーでプログラマーとして活躍していた講師から
既存のソフトウェアを使わずオリジナルのゲームを作るノウハウを学んだ。
そして最後に与えられた課題が
“何かをおとす”という要素を含むゲームを2日間で作り上げることだった。
呂さんたちにとって最大の難関となったのが
どのようなゲームを作るか
その方向性を決めること。
「お椀を頭に乗せておとさないようにするのはどう?」
「それは難しいぞ。」
議論の末
キャラクター同士が押し相撲をする対戦ゲームを作ることになった。
「鬼のキャラクターは必要か?」
「必要だ。
 書いてくれ。」
さっそくキャラクターを描きだし
動きをつけるプログラムを組み上げていく。
ゼロから2日間でゲームを完成させるのは難しいと思われたが
「こうするとキャラクターが傾いたり戻ったりする。」
日本人の学生たちも呂さんたちの理解力の高さに驚いていた。
(日本の学生)
「地頭力がすごく高いですね。
 プログラムを自分のものにするのが早かった。」
呂さんたちには日本のゲーム会社も熱い視線を送っている。
中国市場への参入を目指し
有能な人材を求めて視察に訪れた。
(日本のゲーム会社幹部)
「中国人クリエイターの需要は増える一方で
 実際に取り合いになっている。」
全くのゼロからひとつのゲームを作り上げた呂さんたち。
独創性あるゲームの開発に取り組みたいと意欲を高めていた。
(呂さん)
「ゲーム制作全体の流れも学べたし
 具体的な制作の過程も知ることができて良かった。」




コメント

プロ野球 集客アップ作戦

2018-09-20 07:00:00 | 報道/ニュース

8月28日 おはよう日本


東京の神宮球場を本拠地にするヤクルト・スワローズ。
昨季 首位と44ゲーム差の最下位に沈みながら入場者の数の伸び率はセリーグ トップだった。
どういう戦略だったのか。
ターゲットは“サラリーマン”。
神宮球場の周りはオフィス街。
ヤクルトはサラリーマン向けの企画を次々と打ち出している。
たとえば8月24日金曜日に球場にやって来たサラリーマンのお目当ては
「生ビール半額ということで。」
「ビール半額。
 美味しいビールを飲みに来ました。」
この日は“生ビール半額ナイター”。
通常1杯750円のところ350円で売り出した。
この日はいつもの倍以上の57,000杯が売れた。
球団は今シーズン“生ビール半額ナイター”を5回開催した。
何度も足を運んでもらおうという狙いである。
同じ東京に本拠地を置く巨人に常に集客で遅れをとってきたヤクルト。
これまで神宮球場には空席が目立つことも少なくなかった。
こうした状況をなんとかしたいと球団は5年前
ファンクラブ会員を徹底調査。
平日に訪れた客の7割以上がサラリーマン世代であることがわかり
そこに活路を求めたのである。
サラリーマンが球場に足を運びやすくするため
去年から観客席にも工夫をした。
仕事の都合で遅れてきても座って観戦できるように
半分以上の試合ですべての座席を指定席にした。
(観客)
「指定席だったら
 行く日さえ決めていればいい席で見られるので
 そういう意味では忙しい人にとってはありがたい。」
ターゲットを明確にした集客の戦略。
元プロ野球選手でソフトバンクホークスの経営にも携わった小林至さんは
球団を取り巻く環境の変化が大きく関わっていると分析している。
(江戸川大学社会学部 小林至教授)
「プロ野球はテレビで露出をする“空中戦ビジネス”から“地上戦”に。」
プロ野球人気が高かった90年代
ほとんどの球団は地上波テレビの放映権料や親会社からの補填で経営成り立たせてきた。
ただ景気の悪化や地上波での中継の激減。
危機感を抱いた球団はこれまでにも増して集客に力を入れるようになってきたのである。
(江戸川大学社会学部 小林至教授)
「どぶ板営業をプロ野球がやることを考えてなかった。
 自分の足で立たなければ
 球団がビジネスとして成り立たない。
 目覚めないといかんでしょ ということだった。」
こうしたなか今年から将来を見据え
新たなターゲット戦略を打ち出しているのが西武ライオンズである。
プロジェクト名 “L FRIENDS”。
子どもをターゲットに
世代を超え末永くファンになってもらうことを目指している。
STEP①野球の楽しさを知ってもらう
開幕前の3月 選手が出向いてチームのロゴ入りの帽子を埼玉県内の小学生にプレゼント。
31万個配った。
さまざまなスポーツや娯楽がある中まず野球に興味を持ってもらおうという狙いである。
大型連休中の4月29日には試合を見に来た小学生以下の子どもにグローブを無料配布。
さらにこの日は選手が使っている練習場を開放。
野球の楽しさを実際に体感してもらった。
(小学生)
「帽子をもらってからよく来るようになった。」
(父親)
「野球自体に興味を持つようになったかなと感じます。」
プロジェクトの中心メンバーの1人 後藤広樹さん。
2年前までおもちゃメーカーで働いていた。
後藤さんが考えた次のステップは
STEP②選手を好きになってもらう
かつての経験を生かした取り組みを実行した。
夏休み中の8月18日に配った麻雀風のボードゲーム。
西武版としてアレンジしている。
選手の特徴によって役を設定した。
今季ホームラン数
中村(リーグ8位)・浅村(リーグ4位)・山川(リーグ1位)
この3人をそろえると“和製大砲あがり”という役で高得点が出る。
家族で遊びながら選手を知ることができると好評である。
(母親)
「目で見てわかるので子どもは大好きだと思います。
 文字だけ背番号だけよりも
 顔が入ってる方が好きだと思います」
西部は今シーズンすでに16試合でチケットが完売。
去年を大きく上回るペースで球団も大きく手ごたえを感じている。
(西武ライオンズ 事業部 後藤広樹マネージャー)
「単年度的な活動ではなく
 お子様に対して
 将来のロイヤルカスタマーになる方々でもあるので
 将来 自分のお子さんを連れてくるぐらいまで
 ずっとライオンズを好きになってもらえるよう
 こういった活動は続けていきたい。」



コメント

「ロボコン」 ベトナム 強さの秘密

2018-09-19 07:00:00 | 報道/ニュース

8月27日 国際報道2018


ベトナムで開かれた ABUロボットコンテスト。
今年は17の国と地域から18の大学が参加した。
五穀豊穣を願うベトナムの伝統行事をモチーフにした今年の競技。
布製のボールを空中に設けられた3つの輪にそれぞれ通し
最後にボールを指定されたテーブルに先に乗せることができれば勝利となる。
ひときわ大きな声援を受ける地元ベトナム代表のラクホン大学のチーム。
ベトナム南部ドンナイ省にあるラクホン大学。
設立して20年ほどの新しい大学だが
ロボコンを通じて学生たちの高い技術力が評価され
就職市場でも知名度が上がっている。
実はベトナムはロボコンの強豪国。
過去16回の大会中6回の優勝を誇っていて
その数は日本や中国を抑えて最多である。
なかでもラクホン大学は2010年以降ほぼ毎年ベトナム代表として出場し優勝も経験している。
強さの秘密は大学をあげてロボコンに取り組む姿勢にある。
毎年8月 次の大会のルールが発表されるとすぐに参加チームを募集。
2週間に1回は学内でコンテストを行い
互いに競わせながら出場チームを決めていく。
さらに実際の会場を再現した専用の練習場を設置。
指導に当たるのはロボコンに出場した経験を持つ大学のOBたちである。
トラブルがつきもののロボコンで勝ち上がるためには
学生たちの自主性が何よりも重要だという。
(出場チームを指導するOB)
「私は指導者として先輩としてすべての知識と経験を伝えています。」
(出場チームメンバー)
「先生は我々に自らの力でやるように言い
 自分の考えを押しつけることがありません。
 常にメンバーの考えを尊重してくれます。」
地元開催のため2チームが出場したラクホン大学。
1チームは準々決勝で敗れたものの
もう1チームは勝ち残り決勝に進出した。
決勝の相手は予選でトップのタイムをたたき出した中国である。
プレッシャーがかかるなかミスなくボールを輪の中に通し
わずかの差で中国を上回った。
(ベトナムチームメンバー)
「優勝できてとてもうれしです。」
(ベトナムチームを指導するOB)
「今日の優勝はこれまでの経験のおかげです。
 私たちのロボコン熱はどんどん強くなると思います。」



コメント

中国 “化学強国” その実態は

2018-09-18 07:00:00 | 報道/ニュース

8月27日 国際報道2018


国別に見た論文数のランキング(科学技術指標2018)
2014~2016
1位 アメリカ
2位 中国
3位 ドイツ
4位 日本
5位 イギリス
論文の品用数(科学技術指標2018)
2004~2006
1位 アメリカ
2位 イギリス
3位 ドイツ
4位 日本
5位 中国
2014~2016
1位 アメリカ
2位 中国
3位 イギリス
9位 日本

上海から車で2時間の江蘇省のビル。
ビルの中にあるのはスーパーコンピューター 神威 太湖之光である。
国と大学が共同で開発したこのスーパーコンピューター。
計算速度に関する世界ランキングで
今年6月まで2年間 世界1位の座を保ってきた。
この装置を使って地球の気候変動の予測などに役立てる。
いまやスーパーコンピューターの開発において中国は世界をけん引している。
国をあげて科学の強化に力を入れる中国。
(中国 習近平国家主席)
「科学技術強国を目指す。」
大学と企業などが投じた研究開発費は右肩上がり。
年間45兆円に達し
1位のアメリカに迫る勢いである。
こうした豊富な研究資金をもとに世界をリードする分野も出てきている。
中国科学技術大学の潘建偉教授。
量子通信の世界的権威で
去年 イギリスの科学誌・ネイチャーが選ぶ「今年の科学者10人」にも選出された。
量子通信は
「光子」と呼ばれる光の粒に情報を乗せて送る新たな通信技術である。
第3者が情報を解読しようとすると
光の粒の性質が変わり探知できるため
ハッキングに強いのが特徴である。
サイバーテロなどに備える“次世代の通信技術”として世界で開発競争が続いている。
潘教授のグループは人工衛星を介した量子通信の実験のため
一昨年 開発費100億円ともいわれる人工衛星を打ち上げた。
そして世界で初めて
人工衛星と地上との間 約1,200キロの距離で量子通信に成功したのである。
世界をリードする研究成果は国の支援が欠かせなかったと言う。
(量子通信の世界的権威 潘建偉教授)
「中国政府は数十年にわたって基礎科学の研究を支援してくれています。
 中国の研究チームのレゲルが上がり
 われわれも目標を達成することができました。」
数年以内にも次の人工衛星を打ち上げる計画で
装置の開発を進めている。
(量子通信の世界的権威 潘建偉教授)
「われわれの次世代の衛星は
 一部の量子通信を可能にします。
 量子通信の分野でわれわれは世界のけん引役であり続けたいです。」
中国の科学の躍進を支えているのが海外で実績を積んだ中国人研究者たちである。
上海科技大学で免疫機能と癌の研究を行っている 王教授。
3年前までアメリカで研究生活をおくっていたが
海外の研究者を好待遇で中国の呼び寄せる政府のプログラムに応募し
中国に戻ってきた。
「千人計画」と呼ばれるこの制度。
政府は多くの研究者に移住資金として1,000万円以上を支給し
それまで以上の給与も約束。
この10年間に7,000人以上の研究者を集めたと言われてる。
アメリカの「サイエンス」などの一流紙に論文を発表してきた王教授。
アメリカと比べてみても中国の研究環境には満足していると言う。
(上海科技大学 王教授)
「アメリカはたしかに進んでいますが
 そのトレンドは変わりつつあります。
 中国の研究グループは多くの分野で急速に力をつけています。」
恵まれた研究環境に惹かれる外国人も増えている。
中国の名門 復旦大学の服部素之教授(36)。
日本でたんぱく質の構造などを研究してきた服部さんが
「千人計画」に応募し中国に来たのは3年前。
30代前半だったが
大学からは教授職と5年間で1億円以上の研究費を提供された。
個人では手が出ない高額な実験装置も
大学側が国内の研究者向けの共同機器として購入。
その分の研究費を学生の経済支援などに充てることができ
日本では考えられない好条件だと言う。
(復旦大学 服部素之教授)
「日本だと私の前の研究室の同僚で私よりも研究実績がある人でも
 研究室をまだ持てないという状況の人がたくさんいるので
 日本だとほぼ不可能な環境なので
 その点はすごく感謝してます。」
国が旗振り役となった大学の研究開発はばく大な富をも生み出そうとしている。
ロボットに使われている音声認識機能。
精度は98%と世界トップクラスである。
開発したのは大学で音声認識技術を研究していた学生らが起ち上げた大手ベンチャー企業である。
設立から約20年で売り上げは800億円を超えている。
中国ではこうした“大学発”の企業を増やす仕組みが作られている。
“中国のMIT”と呼ばれる理系のトップ大学 清華大学。
大学をあげてベンチャー企業の育成に取り組んでいる。
起業を目指す学生や研究者には投資会社を紹介するほか
格安のオフィスも提供。
これまでに入居した企業は5,000社を超える。
清華大学の支援を受けて設立された企業である。
植物の生育を管理するシステムを商品化し年々売り上げを伸ばしている。
アプリを通して簡単に植物の健康状態を把握できるのが特徴である。
(ネイフューチャー 石俊峰CEO)
「大学側の資金面でのサポートのおかげでアイデアを商品化できました。」
清華大学傘下の企業の総資産額は日本円で3兆円を超えるまでになった。
企業が得た資金は大学側の研究費にも還元されている。
科学政策の立案にかかわる専門家は
中国が科学に力を入れる方針は今後も変わらないと言う。
(中国科学院 教授)
「経済成長に科学技術は不可欠です。
 成長の原動力である科学技術に今後も投資を増やしていきます。」

 

 

コメント

イスラム教大巡礼 最新テクノロジーで課題解決を

2018-09-17 07:00:00 | 報道/ニュース

8月26日 おはよう日本


イスラム教徒が一生に一度は行うべきとされる大巡礼「ハッジ」。
何百年も前から巡礼のかたちは変わっていない。
メッカとその周辺の巡礼地を5日間ほどかけてまわる。
予言者ムハンマドが最後の説教を行なったとされる山では
40度を超える炎天下
巡礼者たちが半日にわたって神に祈りを捧げていた。
(エジプト人巡礼者)
「この場所に来る日を何年も待ち続けていました。」
(パキスタン人巡礼者)
「なんと言ったらいいのでしょう。
 本当に光栄です。」
期間中 国の内外から200万人もの巡礼者を受け入れる一大イベント。
聖地での雑踏警備や夏の熱中症対策
それに感染症対策から言葉の問題まで
課題は多岐にわたる。
巡礼希望者が増え続けるなか
サウジアラビアは安全な受け入れ対策を迫られてきた。
そこで政府は8月初め
スマートフォンのアプリなどを開発するコンテストを開いた。
3日間で課題の解決につながるシステムを競う。
世界中から招いたのは
技術者や
社会問題に取り組むグループなど約3,000人。
旅費や宿泊費はサウジアラビア側が全額負担した。
日本からも20人以上が参加。
大学1年生Hさんは国際的なプロジェクトを手掛けるサークル仲間とともに応募した。
Hさんたちが注目したのは
初めてのサウジアラビアで体験した猛烈な暑さ。
そこで思いついたのが
巡礼者に水分補給を促すアプリである。
巡礼者が歩いたルートや距離
気象条件などに基づき
身長や大樹に応じて水分補給の最適なタイミングを通知する。
「誰もができる水を飲むという小さな行動から変えられると注目しました。」
水分補給をしてボタンを押すと
木が成長し
体の状態が把握できる仕組みを作った。
主催者側に感想を求めると
「おもしろいね。」
しかし思わぬ指摘を受けた。
「使いたいと思ってもらわないとね。
 ハッジの最中はそこが難しいんだよ。」
どうしたら巡礼者にアプリの必要性を理解してもらえるか。
審査ぎりぎりまで議論する。
「どんな感情を利用者に受け取ってほしいのか
 考えたらいいと言われて。」
「健康にいいと言われて幸せみたいな。」
「宗教的な自分の目的に集中して
 アプリが健康的な心配を除いてくれるような存在になったら
 巡礼に集中できるよね。」
いよいよ審査。
(Hさん)
「健康無しに巡礼はやり遂げられません。」
結果は
「優勝は“通訳”チームの皆さん!」
優勝したのはサウジアラビアの女性チームである。
アラビア語を理解しない巡礼者が困らないように
道案内の看板などを翻訳できるアプリを開発。
賞金の3,000万円は実用化に向けた開発資金に充てられる。
Hさんたちは惜しくも入賞を逃した。
(Hさん)
「サウジアラビアは若い創造力を持つ方々に力を注いでいる印象を強く受けました。
 もっとトライアウトできたらなというモチベーションに変わりました。」
千年以上も前から続くイスラム教の大巡礼。
その伝統に
若者たちの発想と先端技術が生かされようとしている。
 


コメント

ロシアによる併合から4年半 ” クリミアでいま何が

2018-09-16 07:00:00 | 報道/ニュース

8月24日 国際報道2018


4年前 ロシアへの併合に沸いたクリミアの人々。
(ロシア プーチン大統領)
「クリミアは戦略的に重要な土地で
 強く安定した統治が必要だ。
 それが出来るのはロシアだけだ。」
今年 ロシアと直結する橋が完成。
開通式ではプーチン大統領自らダンプカーのハンドルを握り一体感をアピールした。

ウクライナの南に位置するクリミア半島。
かつてはロシア帝国の領土だったが
ソビエト時代の1954年 ウクライナへと帰属が変更され
ソビエト崩壊後もウクライナ領となる。
クリミア半島の人口は現在約190万人。
ロシア系住民が6割を超えるほか
黒海沿岸のセバストポリにはロシア海軍が駐留してきた。
2014年
ロシア軍が事実上掌握しているクリミア自治共和国政府が
ロシアへの編入を求める住民投票を行い
97%の人が賛成したと発表された。
プーチン大統領はロシアへの編入を表明し実効支配を開始した。
しかし国際社会は
“違法な住民投票だ”
“力による国境線の変更”と非難している。

クリミア半島の最も東にある都市 ケルチ。
ロシアの対岸からはわずか20kmのところに位置する。
ここで最近目立つのはロシア本土からの観光客である。
海峡を望む公園などをまわる観光コースが人気を呼んでいる。
(ロシアからの観光客)
「すごくきれいで気に入りました。」
観光客が増えた理由は
今年5月 ロシア本土とクリミアが巨大な橋で結ばれたことにある。
橋は全長19㎞の自動車専用道路で
プーチン政権が4,000億円余を投じて建設を進めた。
(ロシア プーチン大統領)
「クリミアはより力強くなり
 われわれの結束は一段と強まる。」
橋の完成後3か月で200万台以上の車が行き来したという。
橋の近くにあるカフェでは
客の増加に加えてメニューも増やすことができたと喜んでいる。
物流が改善され
ロシアから牛肉などの食材を仕入れることができるようになったからである。
(カフェの経営者)
「私たちは橋などのインフラをテレビではなく目の当たりにしています。
 これまで見たことがない大規模な開発に驚いています。」
併合後 ウクライナから送電が止められ
たびたび見舞われていた大規模停電にも対策を講じた。
ロシア政府がロシア南部から送電線を引くことで
電力をロシアだけでまかなえるようにしたのである。
しかし医療や教育の改善が遅れていることや
地域経済が振るわないなどとして
ロシア政府への不満の声も出始めている。
4年前の住民投票ではロシアへの編入について100%近い人が賛成したと発表された。
しかし去年の世論調査では
住民投票が今行われれば賛成すると答えた人は79%にとどまっている。
(市民)
「国家プロジェクトで橋は作りましたが
 地元では何もできていません。」
「併合されてよくなるはずが実際の暮らしは悪化しました。」
地域経済が落ち込んでいる原因の1つが主要産業である農業の不振である。
これまでクリミアでは農業用水のほとんどを
ウクライナから続く全長400kmほどの水路から得てきた。
クリミアがロシアに併合された直後
ウクライナ政府は
上流にあるダムの水門を閉じ水の流れを完全にストップさせた。
(ウクライナ グリムチャク副大臣)
「国際法では
 占領した国がその地域の社会情勢に対応する必要があります。
 クリミアをウクライナに戻すために
 ロシアに今より厳しい制裁を課す考えです。」
農業法人の技師を務める ワレリー・ファジェーエフさん。
30年以上にわたってこの地で小麦や米などを栽培してきた。
この夏クリミアでは35度にもなる猛暑が続き
3週間以上も雨が降らず
農業はさらに厳しい状況に追い込まれている。
(農業法人 技師 ワレリー・ファジェーエフさん)
「今年の収穫はほぼゼロでしょう。
 水路に水がなく雨も降らないという2つのマイナス要因があるからです。」
ロシア側は
水の供給が止められたことでクリミアに農地の9割が使えなくなったと主張。
責任は水の供給を止めたウクライナ側にあるとしている。
(クリミア行政府農業省 セルゲイ・グリーギン局長)
「将来的には隣の兄妹国(ウクライナ)の世界観や政治方針が変わってほしいが
 問題はすぐには解決しないでしょう。
 ウクライナの政策で
 今後クリミアの住民が猛反発する恐れがあります。」
ロシアによるクリミア併合から4年半。
産業や住民生活にじわじわと影響が広がり始めている。

 

コメント