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会津復活へ

2011-07-22 14:07:56 | 編集手帳



  7月18日付 読売新聞編集手帳


  1868年、
  熾烈(しれつ)を極めた戊辰戦争の会津・鶴ヶ城攻防戦で、
  24歳の女性がいた。
  戦死した弟の服を身に着け、
  髪を切り、
  自ら銃を取って砲煙の中を駆け抜けた。

  <幕末のジャンヌ・ダルク>は、
  維新後、同志社大を創設した新島襄の妻となる。
  2013年のNHK大河ドラマ「八重の桜」の主人公、
  新島八重である。

  地元の会津若松市は、
  これまでも数多くの歴史物の舞台になってきた。
  だが、今回の「大河効果」に寄せる期待はかつてなく大きい。
  震災と原発事故で自慢の観光業が壊滅状態だからだ。

  福島原発から100キロ離れていても「放射能が怖い」と観光客の足は遠のく。
  春の修学旅行客は昨年より9割も減った。
  市内の温泉宿は原発周辺から避難した大勢の被災者を受け入れ、
  通常営業どころではないという。

  鹿児島県や山口県が観光支援に乗り出したというのがいい。
  かつての宿敵、薩摩・長州も会津の窮状を見かねてということだろう。
  どんな苦境でもくじけない。
  あきらめない。
  そして未来を信じる。
  激動の時代を生き抜いた八重の生涯にこそ
  <会津復活>へのヒントが隠されているかもしれない。
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