日暮しの種 

経済やら芸能やらスポーツやら
お勉強いたします

中国の前に二つの道は無し

2016-07-31 08:45:00 | 編集手帳

7月30日 編集手帳

 

 日本の中学生は、
1年生で『少年の日の思い出』(ヘルマン・ヘッ セ)、
2年生で『走れメロス』(太宰治)に触れる。
国語教科書を発行する5社全てが採用している。

3年生は近代中国の文豪魯迅の『故郷』を読む。
荒廃した
郷里に失望する主人公だが、
再会を約束する子供らの言葉に未来を思う。
希望を道に例え、
〈もともと地上には道はない。
 歩く人が多くなれば、
 それが道になるのだ〉という結びに励まされる生徒も多かろう。

国際法が出来上がるさまも、
道に例えられる。
法律を作る「国会」のない世界で国々の歩みが積み重なり、
やがて、
そこを通ることが正しいと誰もが確信する。
警察もなく、
互いに約束を守ることが生命線である。

南シナ海問題をめぐる仲裁裁判の判決を、
中国は紙切れと呼んで無視している。
「裁判は拘束力を有する」と記した条約に署名したことを忘れたのだろうか。
紛争を「紙切れ」で解決することを目指して国際社会は歩いてきた。

中国の前に二つの道があるわけではない。
各国と肩を並べ、
法が通じる道を踏み固めながら進むか、
前近代の荒野にひとり迷い込むかである。



コメント

男よ、聴くがいい

2016-07-31 07:15:00 | 編集手帳

7月27日 編集手帳

 

 思い出す五行歌がある。
〈百メートル
 九秒台
 一歩(いっぽ)
 三十分
 どちらが凄(すご)い〉
(斉藤淳一、市井社『五行歌秀歌集2』)

1歩を30分かけて歩く人が作者自身かどうかは分からない。
身体の障害であれ、
知的な障害であれ、
健常者には何でもない作業一つにも神経を張りつめ、
全身全霊をこめて取り組む姿が人々の胸を打つのは確かである。

以前、
知的障害をもつお嬢さんが成人式を迎え、
その感慨を語る父親の投書を本紙で読んだ。
言葉は話せず、
泣き声だけを発するという。
「倍の四十年ほどの重さがある歳月を生きてきた娘は、
 親の私たちの誇りであ る」と。
男よ、
聴くがいい。
誇りである、
と。

「障害者なんて、
 いなくなればいいと思った」。
逮捕された26歳はそう供述しているという。
ふざけるな、
ふざ けるな…と、
幾度も同じ言葉を胸につぶやきながら、
この稿を書いている。

生まれてきた長男の両足に障害があると分かったとき、
歌人の島田修二は詠んだ。
〈誰よりも永生きをせん病める子に語らねばならぬこと多く持てば〉。
奪われた命の一つひとつが、
肉親の流す涙で磨かれた宝石であったろう。


コメント

花は咲く

2016-07-30 08:15:00 | 編集手帳

7月26日 編集手帳

 

 プロとアマはどう違うのだろう。
英文学者にして駄洒落(だじゃれ)の名手、
小田島雄(おだしまゆう)志(し)さんの説は味がある。
〈その道に苦労する人が玄人、
 その道を知ろうとする人を素人という〉

一昨日のスポーツ報知でプロ野球・広島の黒田博樹投手(41)が語っていた。
「投げることが楽しいと思ったことは一度もない」と。
日米通算200勝を成し遂げての感懐である。
玄人は苦労人(くろうと)、
小田島説の通りだろう。

この人もそうである。
黒田投手快挙の翌日、
ヤクルトの登録名・由規(よしのり)(佐 藤由規)投手(26)が右肩の手術から復帰し、
5年ぶりの白星を挙げた。

仙台市出身で、
NHKの震災復興支援ソング『花は咲く』の歌唱メンバーとしてご記憶の方もあろう。
ほぼ同じ歳月を、
被災地と苦しみを分かち合うように過ごした。
6年前には日本人投手として当時最速の161キロを投げた剛腕が、
140キロ台の球に全霊をこめての勝利である。

窪田空穂(うつぼ)の歌がある。
〈われ生かす信(しん)はわれには唯一(ゆいつ)なり評する者のあらば我のみ〉。
自分を生かしている信念は一つである。
審判を下すのは誰でもない、
自分自身だ、
と。
流した涙を養分に、
花は咲く。


コメント

イチローを育てたバッターボックス

2016-07-30 07:15:00 | 報道/ニュース

7月9日 おはよう日本


かつてイチロー選手が通っていたバッティングセンター。
野球好きがあこがれる場所である。
イチロー選手が生まれ育った愛知県豊山町。
このバッティングセンターには
1番から9番まで
それぞれ球の速さが違うバッターボックスが9つ並んでいる。
中でも人気なのが
イチロー選手が小学3年生から中学3年生まで
毎日のようにバットを振っていたという8番。
その球速は120キロ。
このバッティングセンターで最も早い球速である。
「イチローのすごさがわかりました。」
「1回は行ってみたいと思ってたんで。」
わざわざ台湾から来たという男性は
どうしても8番に立ちたかったという。
憧れのイチロー選手と同じ場所でバットを振る。
「イチローさんは神様のような存在。」
8番バッターボックスが育てたのはイチロー選手だけではない。
谷口克之さん(44)。
中古車販売店で働いている。
谷口さんは週末の仕事帰りにはほぼ欠かさず8番に直行する。
通い始めたのは小学5年生のとき。
野球チームの監督をしていた父親に連れられてきた。
一番速い球が打てるようにと
選んだのが8番だった。
6年前に亡くなった父親にはいつも厳しく言われていたことがあった。
(谷口克之さん)
「1球目から入ったところから
 父親はフルスイングで行けと。
 とにかく厳しくフルスイングと
 すべての球を振っていけと教えられました。」
大学を卒業するまで野球を続けた後
別の道を歩み出した谷口さん。
会社勤めになってからも常に持ち続けてきたのが
“フルスイングの精神”だった。
谷口さんは現在
5店舗の中古車販売店を統括する副社長を務めている。
大学生のときに洗車のアルバイトから始めた。
(谷口克之さん)
「3時間で20代くらいはバカみたいにワックスかけてましたね。」
何事にも全力で取り組む姿勢が評価され
28歳のときには会社の役員に抜擢された。
(谷口克之さん)
「僕は特にいま仕入れをやっているんですけど
 自分が少し楽をした
 少し抜いた
 それは自分にしかわからないですけど
 そういうことをするとやっぱり長期在庫になったり
 初めから売れない車だったり
 自分に跳ね返ってくる。
 全力で手を抜かずにすべてのことをやりなさいというのは
 いま自分の仕事をやっていく上ではひとつの教訓になっていると思います。」
谷口さんはこの日
中学2年生の息子を連れてバッティングセンターを訪れた。
向かったのは自分の父親から教わった8番バッターボックスである。
アドバイスはもちろん
「頑張ってフルスイングで。」
(谷口克之さん)
「僕も自分の父親に野球を通じて教えてもらったことを
 また自分の子どもに伝えられるのは
 すごく本当に父親に感謝してます。」
イチロー選手のように
常に前へ。
全力で生きることを教えてくれた8番バッターボックスである。



コメント

“日中の懸け橋”を育てる 日本人教師

2016-07-29 07:15:00 | 報道/ニュース

7月9日 おはよう日本


経済成長が続く中国湖北省武漢。
ホテルでの仕事や会計などビジネスの実務を教える専門学校。
山田祐也さん(27)は日本の大学院で日本語教育を研究した後
2年前に青年海外協力隊の隊員として中国に赴任した。
将来 日本語を使う仕事に就きたいという10代の若者たちに日本語を教えている。
(山田祐也さん)
「ポジティブなことだけではないニュースが流れているなかで
 日本語を勉強してくれる。
 日本に行きたいと言ってくれる学生がいるのは本当にありがたいこと。」
着任以来
山田さんはこの学校の日本語教育の進め方を一から見直してきた。
当時 文法の基礎も教えないまま
ホテルでの接客に使うフレーズを暗記させようとしていたことに疑問を感じたという。
(山田祐也さん)
「初めて日本語を勉強する学生に
 “こんにちは”
 “チェックインをお願いします”
 “いらっちゃいませ。恐れ入りますがどちら様ですか。”
 いきなりやるのかと正直驚いた。」
山田さんは自ら教材を開発。
自分の声を録音してCDを製作し
生徒が1人でも学習できるようにした。
(山田祐也さん)
「教師が工夫してやっていかないと
 学生たちはしんどいことになる。」
山田さんが中国の若者たちに熱心に日本語を教えるのは自身の経験がある。
武漢に来た当初はほとんど中国語ができなかった山田さん。
「中国にすっかりなじんでいるわね。
 あなたちょっと太ったんじゃない。」
「ここのまんじゅうは本当においしいから。」
住んでいた地域の人たちが練習相手となり
上達を助けてくれた。
(山田祐也さん)
「僕が中国語を全くできない状態で来て
 看板が漢字で全く読めない。
 声に出して注文できなくても絶対嫌な顔しない。」
地元の人たちともすっかり親しくなり
今度は中国の子どもたちにお返しをしたいと思っている。
山田さんの生徒の1人 諸雪螢さん(18)。
日本で医療実習生として働きながらホテルビジネスを学ぶ予定である。
(諸雪螢さん)
「山田さんはまじめで努力家で優しい人です。
 先生の授業で日本語のレベルがすごく上がりました。」
勉強を始めて1年半
自宅でも勉強を続けてきた。
石川県のホテルで働くことになった諸さん。
これから1年の間故郷に戻ることは許されない。
中国の1人っ子政策のもと
大切に育ててきた母親の思いは複雑である。
(諸さんの母親)
「娘に隠れて昨日も泣いていました。
 独り立ちして日本で鍛えられるのもい経験です。」
出発の日
諸さんは両親に付き添われ旅立ちの駅にやって来た。
山田さんも日本に向かう5人の教え子を見送りに来ていた。
この2年間日本語を教え続けてきた生徒たち。
山田さんは激励の言葉に代えて1人1人と固い握手を交わし
送り出した。
日本に飛び立つ教え子たちとともに日中の懸け橋となりたい。
山田さんは思いを強くした。
(山田裕也さん)
「泣きそうでしたね。
 赴任してからずっと見ている子たちなので
 大きくなって帰ってくると思うので
 僕も負けないように頑張ろうと思う。」

諸さんはいま東京都内で
接客マナーやフロント業務など基本的な業務の研修を受けていて
1か月後に石川県のホテルに配属される予定である。
生徒たちを送り出した山田さんは
青年海外協力隊の人気を終えて
日本にいったん帰国した。
山田さんは今年9月から
中国の大学で日本語教師としてふたたび中国の学生に教える予定である。


コメント

“ゆったり靴”にご用心 最新!靴の選び方

2016-07-28 07:15:00 | 報道/ニュース

7月8日 首都圏ネットワーク


だいだい合っているだろうと選んだ靴が
ぴったり合っていないため
体に変調をきたすことがある。
東京新宿に予約は2か月待ちという靴店がある。
実はここは靴を売るのではなく
靴が合っているかどうかを診断する“靴のコンサルタント”。
この日やって来た女性は
足に痛みを感じているという。
「足の皮がむけたり
 赤いものができたりした。
 1歳になる子どもがいるが抱っこするのに怖い。」
ふだんよく履いている9足の靴を見てもらうことにした。
店主の西村泰治さん。
靴のサイズが合っているかどうか細かくチェックする。
パンプスの前の部分のわずかなゆるみを指摘した。
さらにかかとの部分も幅が広いため
足が固定されず浮いてしまっていた。
サイズが合っていると思っていたスニーカーも
中敷きを取り出して調べると
足よりも靴の幅が広いことがわかった。
持ってきた9足すべて「幅が広い」と言われた女性。
実は店を訪れる客の多くが
適正なサイズより幅の広いものを履いていると西村さんは言う。
(来店した女性)
「きつくすると足がむくむイメージがあって
 ゆるい方が履きやすい感覚があった。」
(靴コンサルタント 西村泰治さん)
「幅の広い靴は足にやさしいと思われている。
 もっと思い切り幅を狭くしなければならない。」
幅の広い靴を履き続けるとどのような影響があるのか。
30年以上足を専門に治療してきた整形外科医 内田俊彦さん。
幅の広い靴の中では足が動いてしまい
余分な筋肉を使う。
それが体のバランスを悪くすると指摘している。
その結果
膝が外側を向きO脚になったり
骨盤がずれ体の軸が歪んでしまったケースもあるという。
(整形外科医 内田俊彦さん)
「影響は5年10年20年と長丁場でだんだん出てくる。
 しわ寄せが足に来れば足が痛くなる。
 ひざにくれば膝が悪くなる。」
内田さんは
靴の中にできた余分な隙間を無くすことで症状が改善できる
という。
重視しているのはそれぞれの患者に応じた中敷きを作ること。
細かく素材を張って
靴の中の隙間を埋める。
こうすることで正しい姿勢で歩けるようにし
体のゆがみを強制する。
(患者)
「こんなに変わるものなの?
 これならずっと歩ける。」
消費者に正しいサイズの靴を履いてもらおうという新たな取り組みも始まっている。
去年国の支援を受けて靴の業界団体が設立した研究施設 パンプスメソッド研究所。
ここでは誰でも自分にぴったり合う靴のサイズを無料で測ってもらうことが出来る。
使うのは最新の3Dスキャナー。
足の長さや幅
それに甲の高さを10分の1ミリ単位で計測する。
このデータをもとに最も合う靴を探す。
用意されている靴のサイズは約300種類。
長さは19,5cm~27cm。
幅や高さも数ミリ刻みで対応している。
こうして選ばれた靴を履いてみると
「全然楽です。
 歩きやすいです。」
この施設では
自分に適した靴のサイズを知ってもらうことで
足や体の健康を保ってほしいと考えている。
(パンプスメソッド研究所 元田真悟さん)
「“ぴったり”とはこういうこと
 “ゆるい”とはこういうことだと知ってほしい。
 健康のためだけでなく
 美しさのためにもサイズが合うものを履きましょう。」

コメント

動物や植物に学ぶ最先端技術

2016-07-27 07:15:00 | 報道/ニュース

7月8日 キャッチ!


生物模倣技術(バイオ・メティクス)
生き物の景観や機能をヒントに
物づくりや技術開発に応用することを指し
いま世界的に注目されている。
例えば
服や医療用の固定ベルトなど様々な用途で使われている面ファスナーは
「くっつきムシ」とも言われる植物オナモミの実からヒントを得たものである。
新幹線500系は
トンネルに入る際の空気抵抗で発生する騒音を防ぐため
カワセミのくちばしに似せている。
カワセミは水に入るときに水しぶきをほとんどあげないことから考えられた。

泥水をかけてもまっさらなシャツ。
シャツが液体をはじいた。
ハスの葉とまさに同じである。
競泳用の水着はサメの皮膚から。
車の衝突回避しシステムは
決してぶつかり合うことのない魚の群れが発想のもととなっている。
電気を使わない照明はクラゲからヒントを得た。
多くの企業が動物や植物が持つ驚くべきメカニズムを取り入れている。
ドイツのボンに住むウィルヘルム・バースロット教授は
40年にわたり撥水性のあるハスの葉を研究している。
水が葉っぱの上に残らない「ロータス(ハス)効果」と呼ばれるものである。
(ボン大学 生物学研究 ウィルヘルム・バースロット教授)
「葉っぱの表面はなめらかではなく
 山や谷が連なっているような形態をしている。
 水滴は葉っぱの表面全体には接触せずに
 わずかに先端部にとどまるだけ。」
この特別な形態を応用して撥水性のある液体が開発され
実際 工事現場などで使われている。
その液体で加工されている靴。
ハンカチやワイシャツにも使われている。
教授はこの撥水性を新たな分野に活用しようとしている。
(ウィルヘルム・バースロット教授)
「船の先端にこの特性を持たせることができれば
 水の抵抗が3分の1に減少して
 燃費の大きな節約につながる。」
ブラザさんも燃費の節約で環境を守りたいと考えている。
ブラザさんは新世代の飛行機の翼を研究している。
開発にあたって熱心に観察したのは鳥の翼である。
(トゥールーズ流体学研究所 マリアナ・ブラザ研究員)
「猛禽類の鳥はさまざまな大きさの羽から成る複雑な翼を持っている。
 彼らはその翼を賢く使って効率の良い飛行をしている。」
ワシの翼の先についた羽は音を一切立てない。
獲物に向かって急降下して行くときに役立つ。
ブラザさんの研究チームは
猛禽類の翼の動きを参考に
飛行機の翼の新たなシステムを考案した。
(学生 グルヴァン・ジョダンさん)
「後ろの部分は鳥が筋肉を使って翼の形を変えるのと同じようになっている。
 そして先端の部分は鳥の羽と同様に上下にふるえる。」
離陸と着陸の際の騒音を軽減するだけでなく
燃料も現行より1%節約できるという。
エアバスは2020年にこの翼で初の飛行試験をする予定である。
生物模倣技術の可能性は無限である。
例えば
なぜクモがあれほど丈夫な巣を作れるのか。
科学者がその糸の秘密をつきとめた。
クモの糸は縮むときにねじると
粘り気のある水滴のようなものを形跡する。
糸を丈夫にしているこの機能を再現できれば
壊れないロボットや
筋肉の繊維としても使えるかもしれない。
生物模倣の分野に乗り出している企業は少なくない。
古い兵舎は10ヘクタールもの広さを持つ研究センターに生まれ変わる。
数年後には世界中の企業関係者や研究者が集うことになる。
生物模倣には輝かしい未来がある。
多くの先端技術がすでに私たちの目の前にある。 


コメント

フランス料理を応用 食事で生きる力を

2016-07-26 07:15:00 | 報道/ニュース

7月7日 首都圏ネットワーク


6月29日 さいたま市で開かれた料理の講習会。
料理のレシピは
“サトイモのみそ田楽 フランス風”
“シャケのムース ショウガソース添え”
すべて
固いものを食べなかったりのみ込む力が弱い人たちの料理である。
これまではこうした料理は味や色が単調なものが一般的だった。
このレシピでは食材ごとに盛り付け
味・香り・彩りを生かすのが特徴である。
料理を教えているのは元フランス料理のシェフだった多田鐸介さん。
「フランス料理は
 トロッと溶けるとかまろやかって表現が非常に多いです。」
フランス料理を応用した“高齢者や病人向けの食事”の普及に取り組んでいる。
講習会には病院や介護施設で働く調理師や栄養士など
毎回大勢の人が参加している。
(介護施設 調理師)
「いつもドロドロに混ぜてしまうが
 食材が個別だったりタレを下にしたり
 工夫されていてすごい。」
(医療施設 職員)
「いろいろと聞いて
 こういうこともできるのかな
 こういうやり方もあるのかな。」
講習会で全国を飛び回る多田さん。
食べやすくておいしいレシピに取り組んだのは20年前のある経験がきっかけだった。
18歳で料理の道に入った多田さん。
パリや国内のフランス料理店などで順調にキャリアを積み上げてきたが
やりがいを見出せず
26歳のときシェフを辞めた。
調理器具メーカーに転職した多田さん。
営業で訪れた病院で
多田さんの経歴を知った末期がんの患者に料理を作ってほしいと頼まれた。
(多田鐸介さん)
「桃をどうしても食べたいと・・・。
 でも食べられる状況じゃない。
 管も入り医療機器もつながれている状況で
 でも食べたいって筆談されて。」
即席で作った桃のゼリー。
口にした患者の姿に心を動かされた。
(多田鐸介さん)
「始めて自分の料理で喜んでくれた。
 度肝を抜かれる体験はなかった。
 自分が今まで習った技術をこういう部分で生かしたいと思った。」
多田さんはその出来事がきっかけで
病気の人や高齢者においしく食べられるレシピ開発に取り組んだ。
コンサルタントとして作ったレシピは1,000以上にのぼる。
その中の1つ
肉をかみ切れない人のために作ったローストチキン。
低温でゆっくり加熱するフランス料理の調理法で鶏肉を柔らかく仕上げた。
多田さんがいま力を入れているのが病院食である。
東京板橋区の病院では
患者が食べる楽しみを感じることで生きる力を見つけてほしいと
去年から多田さんにアドバイスを依頼している。
(多田鐸介さん)
「焼き肉風をやってみましょうか。
 実際に焼かないんですけど
 1回ゆでたものを柔らかく焼き肉風に。」
(竹川病院 栄養課主任 河原井彩乃さん)
「食事は治療の一環を担うのでとても大切なことだと思う。」
塩分制限がある患者のためのメニューに取り組み始めた。
フランス料理で使う調理器具で新しいレシピを試した。
袋に食材と調味料を入れ
中を真空状態にする機械である。
「沸騰することで圧力が高まっている。
 酒と昆布とショウガの味が中に入る。」
少ない調味料でも味がよく染み込むため
薄味でもおいしい料理を作ることが出来る。
心臓病で半年以上入院している97歳の女性は塩分が厳しく制限されている。
この日は新しいメニューを楽しみに待っていた。
多田さんはできたての料理を病室に届けた。
「新しい試作メニューを作ったので意見をいただければ。」
「わたし幸せ。
 作ってきてくれたみたいで。
 おいしい。
 血圧とか体のために塩気が少なく油も少ないなど
 すごく吟味していると思う。
 私の体に合うような料理が出てきて
 感謝しながら食べてます。」
生きる元気を与えるおいしい食事。
多田さんはこれからも多くの人に喜ばれるレシピを作っていきたいと思っている。
(多田鐸介さん)
「病院で入院されている方は食事が一番の楽しみ。
 楽しめるような献立にしたい。
 ここのおかずがおいしいと言われるようにしたい。」




コメント

パキスタン イードの定番料理

2016-07-25 07:15:00 | 報道/ニュース

7月7日 キャッチ!

イスラム諸国でラマダン断食月の終わりを祝う祭りは“イード”と呼ばれている。
パキスタンの首都イスラマバード近郊のラワルピンディ。
イスラマバードのベッドタウンのこの街はいつも活気にあふれている。
その一角の忙しそうにしている食品工場。
日本のソーメンのようなものが所狭しと吊るされている。
これはパキスタンで“セヴィヤン”と呼ばれる小麦粉を使った麺。
ラマダンが終わりに近づくと特に需要が高まる。
イスラム諸国では日中の飲食を絶つ断食月ラマダンが終わり
1年で最もにぎやかな“イード”を迎える。
パキスタンでイードに祝い料理として欠かせないのがセヴィヤン。
砂糖を溶かした牛乳で麺を煮たものである。
ほどよい甘さでチーズケーキのようななめらかな舌触り。
セヴィヤン工場の経営者 エサヌラさん。
まだ20代の若さながら
祖父の代から続く工場を切り盛りしている。
(エサヌラさん)
「ラマダンの時期は生産が2倍になる。
 毎日2トンぐらい作っているよ。」
セヴィヤン作りはまず小麦粉を練ることから始まる。
生地を機械で細く押し出し形を整えていく。
次に竹竿に吊るして陰干し。
ここでしっかり乾燥させるのがポイントである。
仕上げは焼きである。
窯に炭火を起こしじわじわと温度を上げていく。
温度計は使わない。
窯が十分に熱くなっているか自分の感が頼りである。
この窯にセヴィヤンを入れ
1日かけて焼き上げる。
真夏は50度近くなるパキスタンでは焼きはとても過酷な作業である。
(エサヌラさん)
「品質が大事だから暑いなんて言ってられないよ。」
エサヌラさんが丹精込めたセヴィヤン。
店先は出来上がりを待つ常連さんでいっぱいである。
(来店客)
「この店のセヴィヤンはとてもおいしいよ。
 この辺では1番のお店さ。」
「ドバイやカナダにいる親戚にもこの店のセヴィヤンを送っているんだ。」
慌ただしかったラマダンが終わり
エサヌラさんの家族もイードを迎えた。
パキスタンのイードは“スイート・イード”とも呼ばれ
家族で甘い料理を味わうのがならわしになっている。
エサヌラさんの食卓でも主役は甘いセヴィヤン。
ココナッツと干しブドウを添えて出来上がりである。
テーブルに置いた3種類のセヴィヤンを食べながら
ラマダンを終えたことを祝う。
(エサヌラさん)
「ラマダン中は忙しくて家族との時間はほとんどなかったよ。
 きょうは家族そろって食事をして楽しく過ごすんだ。」
イスラム教徒に取って大切なイード。
パキスタンの家庭では
今年もセヴィヤンを味わいながらおだやかなひとときを過ごしている。

このセヴィヤンは
16世紀~19世紀にかけて栄えたインド史上最大のイスラム王朝 
ムガル帝国によって現地にもたらされたと言われている。
イードの朝はまずモスクで礼拝をして
帰宅後に家族と最初にセヴィヤンを食べ
昼食や夕食には肉料理などのごちそうを楽しみ
そしてまたセヴィヤンをデザートとして味わう。




コメント

インドネシア路上生活の子どもたちを救う工房

2016-07-24 16:45:00 | 報道/ニュース

7月6日 キャッチ!


インドネシアの首都ジャカルタ。
経済成長とともにジャカルタの道路は車やバイクであふれている。
しかし脇に目を向けると
今も多くのストリートチルドレンが暮らしている。
親が貧しかったり親から見捨てられたりして
路上で生活を送る子どもたち。
物乞いや歌を披露して得られるわずかな金で生活している。
その多くは学校に通えず教育を受けられないことから
大人になっても就職は難しいという。
こうした子どもたちの自立を支援する活動が進められている。
地元のNPOは街をまわり
施設での生活を希望する子供を保護している。
今施設で生活している子どもは約60人。
食事を無料で提供し
子どもたちに勉強も教えている。
2人の姉妹と一緒に施設で生活している エルサマ・ルマレシルさん(16)。
両親は収入が少なく
12歳から3年間路上で暮らしていた。
(エルサマ・ルマレシルさん)
「路上生活をしていたとき将来を考えたら嫌になったので
 今の生活に決めました。」
ルマレシルさんは施設の一角にある工房で
今年5月から職業訓練を受けている。
4年前にできたこの工房では
中学を卒業する年ごろの子どもたちに1年半にわたって物づくりのノウハウを教えている。
子どもたちが向かたのはゴミの集積場。
拾ってきた空きビンやペットボトルのふたなどを再利用する。
ペットボトルのふたを溶かして固めたものを文字盤にして時計を作る。
指導を受けながら機械の使い方や手順を学んでいる。
ペットボトルのふたを利用した時計。
空きビンを活用した楊枝入れ。
漁業用のランプを使った花びん。
製品はジャカルタの他オーストラリアやホースとラリアやヨーロッパにも輸出され
売り上げはこの2年で3倍以上に増加した。
売り上げは施設の運営費の他
子どもたちの将来の夢を実現するための蓄えにも充てられる。
(工房の責任者)
「子どもたちはみな可能性を秘めています。
 ここで学び
 仕事に責任を持てるようになってほしいのです。」
ルマレシルさんも工房でのものづくりを通して夢を持った。
それはカメラマンになること。
(エルサマ・ルマレシルさん)
「お金を貯めてカメラを買いたいです。
 自分の写真の才能を伸ばしたいです。」
ジャカルタにある高級ホテルのレストラン。
工房の製品を購入してきた。
17歳の少年は工房での経験がかわれ
このレストランのパン職人として採用された。
(工房出身のパン職人)
「パン作りは工房で経験したことと似ています。
 ガラスやプラスチックで物を作った経験が生きているのです。」
過酷な環境に生まれながらも未来を切り開く努力を続ける子どもたち。
夢の実現に向けて今日も工房に向かう。

コメント

世界で広がる民泊

2016-07-23 07:15:00 | 経済フロントライン

7月3日 経済フロントライン


民泊を世界中に広める原動力となってきたのが
アメリカのベンチャー企業 Airbnb(エアビーアンドビー)。
Airbnbの民泊仲介サイト。
使っていない部屋や
家を貸したい家主が情報を登録。
旅行者は希望の宿を予約できる。
191の国と地域で延べ8,000万人以上が利用していた。
(Airbnbの創設者の1人 ネイサン・プレチャージクさん)
「私たちが目指すのは旅行の民主化です。
 宿泊業に参入できるの大企業だけでした。
 でもいまは一般市民も同じことが出来るんです。」
Airbnbは8年前に設立された。
仲介サイトを通して予約が成立すると
家主と宿泊客 双方から手数料をとるビジネスモデルである。
宿泊客の埋もれていたニーズと空いている部屋をITで結びつけることで急成長してきた。
サンフランシスコに住むクレイチさん夫婦。
使っていない部屋を有効活用しようと3年前に仲介サイトに登録した。
ゲストのために作られたキッチンには
すぐにでも生活が始められるようにグラスや果物まで置いてある。
1泊150ドル。
宿泊料金の高いサンフランシスコでは手頃で
長期滞在するビジネスマンにも人気である。
クレイチさんは去年 民泊で2万5000ドル(約250万円)を得た。
(クレイチさん夫婦)
「すごく家計が助かっているわ。」
「子どもの進学資金も必要だし
 いいことばかりだよ。」
しかしAirbnbが事業を始めた当初は
“他人の家に泊まりたい旅行者がどれだけいるのか”と
投資家からは相手にされなかったという。
そこでひとつの工夫を凝らした。
家主と宿泊者が互いの評価をする仕組みを導入。
安心して貸し借りできるとして人気に火がついた。
(Airbnbn共同創設者 ネイサン・プレチャージクさん)
「8年前 我々の事業は奇抜なアイデアで大きな市場ではないと考えられていました。
 私たちはその考えが誤りだと世界中で証明してきたのです。」
このサービスは日本でも広がり始めている。
長野県佐久穂町。
岩下大悟さんは趣味で山小屋を作り
県の許可を経て宿泊施設としてオープンさせた。
一昨年 Airbnbに情報を掲載したところ
予約が殺到した。
現在稼働率は8割以上。
半数が外国人客である。
(岩下大悟さん)
「世界のいろんなところから
 有名じゃない田舎に来てくれて本当にうれしいですね。」
この日は長く東京で暮らしているオーストラリア人の家族が宿泊していた。
(宿泊者)
「観光で来ないようなところに来られるのがすごくいい。」
新たなニーズを掘り起こし新たなビジネスにつなげたAirbnb。
プレチャージクさんは日本で民泊はさらに普及していくと考えている。
(Airbnbn共同創設者 ネイサン・プレチャージクさん)
「わが社が掲載する宿の76%は観光地以外にあります。
 訪れてみたいけどホテルがない場所です。
 私たちはそのニーズに応えているのです。
 日本は旅行先として急成長しています。
 利用できる部屋も増えていくでしょう。」
 

コメント

日本食ブームで魚の消費アップ

2016-07-22 07:15:00 | 経済フロントライン

7月3日 経済フロントライン


日本食ブームが続くドイツの首都ベルリン。
「寿司が大好きで多い時には週に2~3回食べに行っていたわ。」
「ドイツ料理よりヘルシーなので日本料理の方が断然好きです。」
すしネタの3割を日本から直輸入している店。
この店ではサーモンやマグロ以外の魚も人気が出てきている。
その1つがブリ。
すしが定着するにつれドイツの人たちは本場の味を求めている。
「とてもおいしいです。
 甘みがあって舌の上でとろけます。」
しかし店には大きな悩みがあるという。
(日本食レストラン 一心 デトワング・ウォンマー社長補佐)
「ブリの入荷状況は季節によって変動します。
 ブリが安定して手に入ればもっと人気が出るんですが。」
高まる海外のニーズに対応しようと
鹿児島県長島町では水産業の常識を打ち破る仕組みが作られている。
長島町では養殖業者同士が協力して出荷時期を調整する“リレー出荷”を行っている。
通常ブリの出荷は12月に集中する。
値が上がる年末商戦に向けて出荷したいためである。
しかしそれでは夏場は品薄になってしまう。
そこで1年を通じて安定して供給できるようリレー出荷を始めた。
いわば魚の旬を無くしたというわけである。
(東町漁協 中薗康彦部長)
「季節感は海外にはない。
 いちばんいい例がサーモン。
 1年中あるのでそれと同じ感覚。
 安定感を持つというのもブランド。」
さらに独自のエサを開発。
誰が育てても同じ品質のブリを出荷できるようにした。
ほかにも
それぞれの養殖業者が水温や酸素の量を細かく記録するなど
品質管理を徹底している。
その結果輸出先は欧米だけでなく中国やロシアなど
この5年で3倍に拡大した。
(東町漁協 中薗康彦部長)
「輸出は日本の食べ物をどれだけ世界の人に広げていけるか
 なんとか倍以上の40~50万美を目指して
 金額も50億円レベルを目標にしている。」


コメント

とりたての魚を食卓に! 

2016-07-21 07:15:00 | 経済フロントライン

7月3日 経済フロントライン


東京田園調布にあるスーパー。
午後3時 
運ばれてきた魚介類は朝 各地で獲れたもの。
なぜこんなに早く届いたのか。
秘密は羽田空港にある。
羽田空港の滑走路近くにある建物は去年9月にできた鮮魚センター。
魚は築地などの市場に預けられ小売店に送られるのが常識である。
ここでは全国から飛行機で運ばれてきた魚が仕分けられ
そのまま小売店に発送されていく。
マイクに向かって魚の名前を言えば
ラベルに瞬時に重さや産地が記される。
徹底的なスピードアップにこだわっている。
(鮮魚センターを経営 CSN地方創生ネットワーク 野本良平社長)
「仕分けをしたり加工したりするのに
 空港内でできればこれ以上の場所はない。
 今まで絶対にありえなかったこと
 かなりの流通革命だと思っている。」
魚が羽田に送られてくるまでの時間も早い。
宮崎県延岡市の沖合。
午前3時
定置網の引き揚げが始まった。
この日の一番の大物は「メイチダイ」。
「このメイチダイは高級魚。
 非常に珍しくておいしい魚。」
羽田の鮮魚流通の会社がすべて買いあげる契約を結んでいるため
競りにかけられることなく運ばれていく。
水揚げから7時間後
メイチダイは羽田空港に到着した。
すぐに仕分けを完了し納入先のスーパーを目指す。
水揚げから12時間後
メイチダイは刺身になって売り場に並んだ。
「とれたてってことで臭みが全く無い。」
8切れ 1280円。
完売した。
(鮮魚センターを経営 CSN地方創生ネットワーク 野本良平社長)
「大都市圏に1分1秒でも早く鮮度のいいものを届ける。
 鮮度のいいものに日本人は敏感。
 そこが絶対にお金になる。
 新しい流通を作って付加価値を上げていく。」
一方 都内にあるIT企業。
社員がのぞいているのは魚の画像。
「きょうはこれは始めて見ました。
 スミヤキ。」
この会社は
知名度が低かったり数が揃わなかったりして通常の流通のルートに乗りにくい魚の売買を
専門のサイトで仲介している。
例えばアオハタという魚。
水揚げされたのは長崎県西海市である。
タコツボに身を隠す習性があるためタコと一緒に獲れることがあるアオハタ。
数が少ないためこれまでは漁業者が持ち帰って食べるのがほとんどだった。
でも1匹から売買できるこのサイトに掲載したところ
買い手がつくようになったのである。
(大瀬戸町漁協 堤裕亮参事)
「手間をかけることである程度の値がついて
 漁業者の収入がちょっと増える。」
“アオハタのカルパッチョ”
今では東京のレストランのおすすめメニューになっている。
「コリコリしていておいしい。」
「ここまで身が締まっている魚は経験がない。」
ニッチな市場に応えるこの仕組み。
登録している飲食店は4,000軒を超えている。
(仲介サイトを運営 フーディソン 山本徹CEO)
「我々がITをこの業界に取り入れることで
 実は伝わっていなかった情報を伝え
 出荷される流れにもっていける。
 すごくポテンシャルがある。」 


 

コメント

ラグビー強国ニュージーランドで学ぶ

2016-07-20 07:15:00 | 報道/ニュース

7月2日 おはよう日本


南半球にあるニュージーランドは
ラグビー・ワールドカップで連覇を果たした強豪。
ラグビーが国技でもある。
その強さの秘密を学ぼうと世界から多くの留学生が訪れている。

ニュージーランド クライストチャーチにあるバーンサイド高校。
3年前からラグビー留学生のためのプログラムを運営している。
この春参加した21人のうち
日本人は最も多い17人。
リオデジャネイロオリンピックで正式種目となる女子ラグビーの人気もあり
6人の女子選手も参加している。
プログラムの特徴は
5か月にわたって選手を1日中ラグビー漬けにすることである。
午前中はグラウンドでみっちりと技術練習。
それが終わると専任トレーナーが付き添い
ラグビーに必要な基礎体力の向上を図る。
週に7時間ある英語の授業。
教室で学ぶのもラグビーで使う用語である。
(ラグビー留学プログラム担当 マーク・イーリーさん)
「ここはプロを目指す選手のラグビーアカデミーです。
 みんな自信をつけて巣立っていきます。
 5か月のプログラムで2年分に相当する内容です。」
最年少でプログラムに参加している島根県出身の笹田美海さん。
中学3年生である。
中学に入学してからラグビーを始めた笹田さん。
抜群のスピードで全国で知られる存在である。
(当時中学1年 笹田美海さん)
「ラグビーで東京オリンピックに出たいです。」
より高いレベルで自分を試したい。
笹田さんは女子ラグビーで世界トップレベルのニュージーランドへの留学を決めた。
(笹田美海さん)
「日本は1日の中でタックルやったりパスしたりするけど
 外国では1日パス練習とか
 1日タックル練習とかなので
 すごく頭に入っていい練習が出来ました。」
女子ラグビーが盛んなニュージーランド。
笹田さんは高校での練習が終わった後
大学生が主体の地元のクラブチームの練習にも参加させてもらっている。
チームのキャプテンはニュージーランド代表のスター選手
ケンドラ・コックセッジさん。
憧れの選手との練習で
笹田さんのモチベーションも上がる。
(ケンドラ・コックセッジさん)
「留学生たちはラグビー王国ニュージーランドでいろいろ吸収していると思います。
 若くて意欲的なので将来が楽しみです。」
しかし日本では同世代のトップクラスの笹田さんもニュージーランドでは思うようにプレーができない。
5月に行われた練習試合。
笹田さんはパワーがある相手チームのタックルをなかなかかわすことができない。
試合中に左足のじん帯を痛めてしまった。
(笹田美海さん)
「全然ダメだった。
 いつもどおりの動きが全然できずチームに迷惑をかけてしまった。」
日本では経験したことのない激しい当たりに
世界の壁を見せつけられた。
自信を失いかけていた笹田さん。
ラグビー部のコーチは練習に復帰した笹田さんに思いがけない提案をした。
「きょうは違うポジションも試してみます。」
これまで経験したことのない
攻撃の起点となるスクラムハーフのポジションに挑戦することで
ラグビーを違った角度から見てほしいと言われる。
(ラグビー留学プログラム担当コーチ キム・ブラウンさん)
「ニュージーランドでは小さなときからラグビーを始めるので
 みんなラグビーを体で理解しています。
 日本人もここでいろんな経験を積み
 ラグビーの本質をつかんでほしい。」
6月中旬の練習試合。
笹田さんは初めてスクラムハーフとして試合に出場した。
仲間にパスを出すタイミングを計り攻撃のリズムを作る。
状況を見きわめ
自らもボールをもって走る。
ニュージーランドのラグビーに触れたことで笹田さんはこれまでに無かった手ごたえを感じている。
(笹田美海さん)
「前を向いて頑張った。
 気持ちがまだ日本の代表選手と違うと思うので
 メンタルからしっかりと鍛えていきたい。」
ラグビー大国ニュージーランド。
本場でこそ知ることのできた世界のレベル。
笹田さんはさらなる飛躍を目指す。



コメント

“ファッション” シニアがリード?

2016-07-19 07:15:00 | 報道/ニュース

7月1日 首都圏ネットワーク


東京 巣鴨。
「私 こういう派手なのが好きなの。
 チンドン屋みたいに色多すぎませんか?」
70歳と75歳の姉妹はお揃いのファッション。
「夏だから涼しそうな顔・・・じゃないよ
 格好をすればね。
  リュックも一緒。
 カバンもお揃い みんなそう。」
「これですね 棒タイね、
 服の生地に合わせ赤ならいいなと。
 服が赤い時は棒タイはブルーとかそういうのをやる。
 ポイントを付けると。」
「自然にある色に合わせてるだけ。
 だからきょう帽子は黄色。
 お金がないので出来るのはオシャレぐらい。」
オシャレなシニア向けのファッションショーも行われている。
巣鴨コレクション“ガモコレ”である。
出演した細谷由紀子さん(70)。
洋裁教室に15年通っている。
作った洋服はスーツやコート、ドレスまで100着を超える。
(細谷由紀子さん)
「やっぱり出来上がると楽しい。
 思い通りにできるとすごく楽しい。」
洋裁の取り組むなかで自らファッションショーに出演したいと思うようになったという。
今年も自分の作った服で出演するつもりである。
「今度着るのはこちらがフォーマルで
 こちらがカジュアル。」
1枚のレースの生地で作ったドレス。
完成までに2か月かかった。
「出られる限り出たいと思う。
 何歳と決めないで。
 人間70でも80でも元気なら何でもできるところを見てもらいたい。」
シニアのファンションへのこだわりに
新たに可能性を感じている人たちもいる。
お年寄りにも人気のある雑誌の編集部。
読者のニーズの変化に合わせ
4月から内容をリニューアルした。
(雑誌「毎日が発見」編集長 鷹取祐子さん)
「私たちの媒体ではシニアという言葉を使わない。
 自分らしさ
 どう生きていくか追求する方がますます増えていくと感じている。」
これまでの若い世代に代わり流行の主役になるという。
「なんといっても目利き。
 いいもの・良質なものをわかっている方。
 これからもそういう方たちが文化を発信していくことは大いにある。」

 



 

コメント