7月23日 海外ネットワーク
南シナ海で海洋権益の拡大を狙う中国の動きに対し、関係国は神経をとがらせている。
南沙諸島の島のひとつに降りたったフィリピンの下院議員は、
領有権を主張し中国をけん制した。
フィリピンはたびたび中国側から妨害行為を受けているといている。
今年2月、南沙諸島にある浅瀬の近くで漁船が中国の海軍から威嚇射撃を受けたということだ。
フィリピン政府
「歴史的にフィリピン人が発見し済み始めた場所でフィリピンの領海だ。」
中国艦艇
「ここは中国の領海だ。直ちに立ち去れ。」
3月、石油探査船が中国の艦隊から妨害され、
5月には中国の艦艇が建設資材を確認された。
海底に豊富な天然資源が眠っているとみられるこの一帯。
フィリピン政府は中国のねらいの一つがこの資源と見て警戒を強めている。
フィリピン政府も一切譲歩せず強気の姿勢を貫いている。
先月下旬、一帯にある油田やガス伝の一部を開発する権利を国際入札にかけると発表した。
フィリピンの主権を国際社会に強く印象付けるねらいである。
また、先月、海の名称を南シナ海から西フィリピン海に温めると発表した。
さらに、中国の軍事力に対抗するため同盟国アメリカとの結びつきをを強めている。
先月から今月にかけて南沙諸島に近い島でアメリカと合同軍事演習を行なった。
インドネシアのバリ島で行なわれていたASEAN関連の外相会議では、
南シナ海の開発を協力して進めるという今後の枠組みを規定した指針で
中国とASEANが合意した。
これまで慎重な姿勢をとり続けてきた中国が歩み寄った形である。
しかし法的な拘束力を持つ合同規範の策定まで踏み込むことは出来ず、
多国間で取り組むべきだとするASEANと、
二国間の問題だとする中国との溝は埋まらなかった。
アメリカのクリントン国務長官は、
南シナ海における各国の主張は複雑に重なり合っているとした上で、
全ての当事国が協調して解決に当たることを望むと述べ、
あらためて多国間で話し合うべきだと主張した。
これに対し中国は二国間の話し合いで解決できるとの姿勢を崩さず、
議論は平行線をたどった。
南シナ海の安全のためには法的拘束力を伴った実効性のあるルール作りが不可欠だが、
中国の姿勢からは今後、作業が具体化するのは簡単ではなさそうだ。
加盟国が連携を強めることで大国中国とわたり合っていく必要があるが、
対中国でASEANがまとまって一枚岩になるのが難しいのが現状。
中国から経済的な恩恵を受け、摩擦を避けたがる国は少なくない。
中国はそうしたASEAN側の事情を見透かしたかのように強気の姿勢を維持している。
ASEANが南シナ海を巡る問題で今後もまとまって対処していくことが出来るのか、
東シナ海で中国と問題を抱える日本にとっても決して他人事ではない。