8月18日 NHK海外ネットワーク
15日は戦後68年を迎えた終戦の日。
政府主催としては約310万人の戦没者を慰霊する全国戦没者追悼式が東京の日本武道館で行われた。
この日 例年にも増して日本の動きを注視していたのが韓国。
去年の8月 当時のイ・ミョンバク大統領が島根県の竹島に上陸して以来
両国の関係は急速に冷え込んだ。
その後 日韓ともに新しい政権が発足し関係が改善に向かうのではないかという期待もあったが
いまだに首脳会談が開かれるめどすら立っておらず
韓国では日本に対する反発がさらに高まっている。
続々と竹島に上陸する韓国の人々。
夏休み中の子どもたちや家族連れである。
「8月15日を迎えることもあり
こどもにトクト(=竹島)を見せたかった。」
「トクトはわが領土!」
そして韓国のテレビは連日日本を批判する特集番組を放送。
日本の右傾化 相次ぐ暴言 懸念せざるを得ない問題だ
今年は例年以上に日本への批判が激しさを増している。
歴史認識をめぐる日本の対応に不信感を募らせている。
今年4月の安倍総理大臣の発言は
過去の植民地支配と侵略に対し痛切な反省を表明した村山談話に関連して
(安倍首相)
「侵略の定義は学界的にも国際的にも定まっていないと言っていいだろう。」
韓国では日本がこれまでの姿勢を変え軍国主義に傾くのではないかと受け止められ反発が強まった。
パク・クネ大統領は訪問先のアメリカで改めて日本の歴史認識をただした。
(ワシントン 5月 パク・クネ大統領)
「歴史認識をめぐる隔たりが広がっている。
過去に目を向けないものは未来を見ることができない。」
互いの距離が縮まらないまま迎えた今年の8月15日。
安倍総理大臣は靖国神社に参拝せず自民党総裁として私費で玉串料を奉納した。
韓国などとの関係に配慮し対話に積極的な姿勢を示す狙いがあったものとみられる。
しかし韓国での受け止めは
安倍総理は玉ぐしを奉納「代理参拝した
韓国・中国の反発と米国のけん制を意識しつつ靖国に対する気持ちに変わりがないと示した
翌日の新聞では全国戦没者追悼式での安倍総理大臣の式辞を取り上げて
例年盛り込まれてきたアジア諸国に損害と苦痛を与えた責任に言及がなかったことを批判した。
もともと韓国では毎年この時期になると民族意識・反日感情が高まるものだが
今年は特に安倍政権の動きに疑心暗鬼で見る度合いが増している。
たとえば安倍総理大臣が5月に試乗した自衛隊機に731と書かれていたことで
旧日本軍の731部隊が中国で行った生体実験を正当化したなどと
新聞・テレビが一斉に伝えたことがあった。
15日の安倍総理大臣の行動についても靖国神社参拝を見送り韓国との関係改善を目指すとしたのに
戦没者追悼式での式辞はそれに相反する内容だったと受け止められた
と韓国の専門家は指摘している。
(セジョン研究所 日本研究センター長 チン・チャンスさん)
「アジアの人々に対する反背栄の言葉がなかったことは
韓国では非常に大きな意味を持って受け止められている。
安倍総理大臣の本心はどちらなのかという疑問を生んだ。」
しかしこうした高まる反日感情に対し
国民の間には戸惑いやこのままではいけないと思い始めている人がいる。
ソウル市内の私立の女子大学では
日本語を学ぶ約300人の多くが将来は日本と関わる仕事をしたいと勉強に励んでいる。
学生たちは日韓関係が悪化する中で感じたもどかしさを日本人の教員に訴えていた。
「日本が大好きです。
文化も面白い 日本語も好き。
でも日韓関係が悪化しているせいでやりたいことができなくなるのは本当に嫌です。」
「日本から学ぶことも多いのにそれを逃してしまうかもしれない。」
「私たちの世代は日本に悪い感情ばかり持っています。
さらに次の世代がますます反感を強め
日本との関係がどうなってもいいと思うのではないかと心配です。」
日本とどう向き合うべきかと考え始めた人もいる。
ソウル市内に住むオ・ヨンスクさん。
きっかけはまだ小学2年生の息子の言葉だった。
「周りの子は日本が嫌いと言っていたよ。
僕たちの国を攻撃したから。」
きちんと学ぶ前から日本に否定的な先入観を持つのは良くないと思った。
(オ・ヨンスクさん)
「子どもたちは日本をよく知らずに良くない感情だけ抱いていました。
なにがなんだかわからないまま嫌っていました。」
そこでもっと日本について理解するべきだと考え
日本の文化を紹介する日本大使館のイベントに参加することにした。
金魚すくいや折り紙など日本の子どもが楽しむ遊びを体験した。
オさんはこうした体験を重ねることで
日本人と聞いただけで偏見を持つことの無いように育ってほしいと考えている。
(オ・ヨンスクさん)
「日本の子どもたちはこんなふうに遊び楽しんでいると学んだようです。
一方的に日本への反感を植え付けず様々な文化を体験させ
こういう触れ合いもあることを教えたいです。」
韓国としても日本との関係改善が可能と判断できるのであれば進めたいと考え始めている。
パク・クネ大統領は8月15日の行なった演説で
日本の政治家に歴史認識問題で前向きな対応を求めながらも
日韓両国の国民同士の交流は進んでいると指摘するなど比較的日本への批判を抑制した。
その背景にはいつまでも対立を続ければ
アメリカをはじめ国際社会の韓国に対する視線が厳しくなりかねないという懸念がある。
そしてアジアの安定に向けて
韓国が指導的な役割を果たしているという実績を作りたいと考えていることがある。
ただ同時に朴大統領は日本との関係改善に極めて慎重でもある。
日本に妥協したと批判されかねないリスクをおかして本格的に関係改善に乗り出したとしても
日本との間で歴史認識をめぐる問題がさらに起きれば
大統領に向けられる国民の反発は相当に厳しくなると警戒している。
韓国政府は日韓の首脳会談は時期尚早と見ている。
まずは9月にロシアで開かれるG20で
立ち話程度が可能かどうか慎重に見極めようとするものとみられる。
15日は戦後68年を迎えた終戦の日。
政府主催としては約310万人の戦没者を慰霊する全国戦没者追悼式が東京の日本武道館で行われた。
この日 例年にも増して日本の動きを注視していたのが韓国。
去年の8月 当時のイ・ミョンバク大統領が島根県の竹島に上陸して以来
両国の関係は急速に冷え込んだ。
その後 日韓ともに新しい政権が発足し関係が改善に向かうのではないかという期待もあったが
いまだに首脳会談が開かれるめどすら立っておらず
韓国では日本に対する反発がさらに高まっている。
続々と竹島に上陸する韓国の人々。
夏休み中の子どもたちや家族連れである。
「8月15日を迎えることもあり
こどもにトクト(=竹島)を見せたかった。」
「トクトはわが領土!」
そして韓国のテレビは連日日本を批判する特集番組を放送。
日本の右傾化 相次ぐ暴言 懸念せざるを得ない問題だ
今年は例年以上に日本への批判が激しさを増している。
歴史認識をめぐる日本の対応に不信感を募らせている。
今年4月の安倍総理大臣の発言は
過去の植民地支配と侵略に対し痛切な反省を表明した村山談話に関連して
(安倍首相)
「侵略の定義は学界的にも国際的にも定まっていないと言っていいだろう。」
韓国では日本がこれまでの姿勢を変え軍国主義に傾くのではないかと受け止められ反発が強まった。
パク・クネ大統領は訪問先のアメリカで改めて日本の歴史認識をただした。
(ワシントン 5月 パク・クネ大統領)
「歴史認識をめぐる隔たりが広がっている。
過去に目を向けないものは未来を見ることができない。」
互いの距離が縮まらないまま迎えた今年の8月15日。
安倍総理大臣は靖国神社に参拝せず自民党総裁として私費で玉串料を奉納した。
韓国などとの関係に配慮し対話に積極的な姿勢を示す狙いがあったものとみられる。
しかし韓国での受け止めは
安倍総理は玉ぐしを奉納「代理参拝した
韓国・中国の反発と米国のけん制を意識しつつ靖国に対する気持ちに変わりがないと示した
翌日の新聞では全国戦没者追悼式での安倍総理大臣の式辞を取り上げて
例年盛り込まれてきたアジア諸国に損害と苦痛を与えた責任に言及がなかったことを批判した。
もともと韓国では毎年この時期になると民族意識・反日感情が高まるものだが
今年は特に安倍政権の動きに疑心暗鬼で見る度合いが増している。
たとえば安倍総理大臣が5月に試乗した自衛隊機に731と書かれていたことで
旧日本軍の731部隊が中国で行った生体実験を正当化したなどと
新聞・テレビが一斉に伝えたことがあった。
15日の安倍総理大臣の行動についても靖国神社参拝を見送り韓国との関係改善を目指すとしたのに
戦没者追悼式での式辞はそれに相反する内容だったと受け止められた
と韓国の専門家は指摘している。
(セジョン研究所 日本研究センター長 チン・チャンスさん)
「アジアの人々に対する反背栄の言葉がなかったことは
韓国では非常に大きな意味を持って受け止められている。
安倍総理大臣の本心はどちらなのかという疑問を生んだ。」
しかしこうした高まる反日感情に対し
国民の間には戸惑いやこのままではいけないと思い始めている人がいる。
ソウル市内の私立の女子大学では
日本語を学ぶ約300人の多くが将来は日本と関わる仕事をしたいと勉強に励んでいる。
学生たちは日韓関係が悪化する中で感じたもどかしさを日本人の教員に訴えていた。
「日本が大好きです。
文化も面白い 日本語も好き。
でも日韓関係が悪化しているせいでやりたいことができなくなるのは本当に嫌です。」
「日本から学ぶことも多いのにそれを逃してしまうかもしれない。」
「私たちの世代は日本に悪い感情ばかり持っています。
さらに次の世代がますます反感を強め
日本との関係がどうなってもいいと思うのではないかと心配です。」
日本とどう向き合うべきかと考え始めた人もいる。
ソウル市内に住むオ・ヨンスクさん。
きっかけはまだ小学2年生の息子の言葉だった。
「周りの子は日本が嫌いと言っていたよ。
僕たちの国を攻撃したから。」
きちんと学ぶ前から日本に否定的な先入観を持つのは良くないと思った。
(オ・ヨンスクさん)
「子どもたちは日本をよく知らずに良くない感情だけ抱いていました。
なにがなんだかわからないまま嫌っていました。」
そこでもっと日本について理解するべきだと考え
日本の文化を紹介する日本大使館のイベントに参加することにした。
金魚すくいや折り紙など日本の子どもが楽しむ遊びを体験した。
オさんはこうした体験を重ねることで
日本人と聞いただけで偏見を持つことの無いように育ってほしいと考えている。
(オ・ヨンスクさん)
「日本の子どもたちはこんなふうに遊び楽しんでいると学んだようです。
一方的に日本への反感を植え付けず様々な文化を体験させ
こういう触れ合いもあることを教えたいです。」
韓国としても日本との関係改善が可能と判断できるのであれば進めたいと考え始めている。
パク・クネ大統領は8月15日の行なった演説で
日本の政治家に歴史認識問題で前向きな対応を求めながらも
日韓両国の国民同士の交流は進んでいると指摘するなど比較的日本への批判を抑制した。
その背景にはいつまでも対立を続ければ
アメリカをはじめ国際社会の韓国に対する視線が厳しくなりかねないという懸念がある。
そしてアジアの安定に向けて
韓国が指導的な役割を果たしているという実績を作りたいと考えていることがある。
ただ同時に朴大統領は日本との関係改善に極めて慎重でもある。
日本に妥協したと批判されかねないリスクをおかして本格的に関係改善に乗り出したとしても
日本との間で歴史認識をめぐる問題がさらに起きれば
大統領に向けられる国民の反発は相当に厳しくなると警戒している。
韓国政府は日韓の首脳会談は時期尚早と見ている。
まずは9月にロシアで開かれるG20で
立ち話程度が可能かどうか慎重に見極めようとするものとみられる。