日暮しの種 

経済やら芸能やらスポーツやら
お勉強いたします

何時の日か眼に物見せむ

2015-05-30 18:11:56 | 編集手帳

5月14日 編集手帳

 

「青バット」大下弘さんが東急フライヤーズから西鉄ライオンズに移籍したのは1952年(昭和27年)である。
当時の西鉄はまだ強豪とは言いがたく、
本拠地の福岡は東京から遠い。

心境を歌にして日記につづった。
〈都落ち笑はば笑へ何時の日か眼に物見せむ吾われなればこそ〉。
その意地が西鉄を“野武士軍団”の黄金時代に導いてゆく。

「都落ち」を「戦力外」に置き換えれば、
その人が乗り越えて来た山坂だろう。
中日を戦力外となった巨人の堂上剛裕(どのうえたけひろ)選手(29)が一昨日、
広島戦で値千金の同点二塁打を放ち、
ヒーローになった。

先月には、
やはりオリックスを戦力外となった中日の八木智哉投手(31)が 982日ぶりの白星を挙げている。
泣くための肩を誰かが貸してくれる世界ではない。
野球を続けられるかどうかの崖っぷちで、
夜更けにひとり流した涙もあったはずである。

正の10を10個集めると100になる。
負の10同士を掛けても100になる。
歌人の塚本邦雄さんが語ったことがある。
〈答えは同じでも、
 正を積み重ねた100には陰翳(いんえい)がないのだ〉と。
汗と涙の縞模様にも似た陰翳の、
美しきかな。

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インド 字幕付き番組で楽しく文字学習

2015-05-25 07:30:00 | 報道/ニュース

5月14日 キャッチ!


BRICSの識字率(2005-2010年 ユネスコ出典)
ブラジル   90%
ロシア   100%
インド    63%
中国     94%
南アフリカ 89%
インドは2011年に74%という改定値を発表するが新興国の中では比較的低い数字である。

(学習研究科 コタリさん)
「インド人を団結させるものと言えば
 クリケットとボリーウッド映画です。」
コタリさんは映画には団結力だけでなく人を変える力もあると言う。
ただしそれは彼が字幕を付けた特別な映画である。
字幕は単にカラオケ用のものではない。
文字の読み方を教えるのに効果的なツールになっている。
「私たちがつくったのは自然に文字を読ませる仕組みです。
 観ている人は歌と文字を無意識にマッチさせるのです。」
コタリさんは複数の村を対象に研究をしている。
字幕が読む力に与える影響について15年以上も調査している。
農家のタコルさんは字幕付きの歌番組の効果はてきめんだと言う。
字幕のおかげで新聞に書いてある卸売価格が読めるようになり
もう市場でだまされることはないと言う。
(農家 タコルさん)
「コメの値段は295ルピーか。
 ちゃんと読めるよ。
 綿を売るときは新聞で値段をチェックするようにしているから適正ならうれしい。
 そうじゃなかったら売らないよ。
 情報が手に入るというのは有利だね。」
コタリさんがこの仕組みを思いついたのはアメリカの大学でスペイン語を勉強していた時だった。
(学習研究科 コタリさん)
「アメリカで勉強している時たまたまスペインの映画を観たんです。
 映画には英語の字幕が付いていました。
 その時にひらめいたんです。
 スペイン語の映画にスペイン語の字幕をつければ言葉の勉強に役立つとね。
 だからヒンディー語の音楽映像にヒンディー語の字幕をつければ
 インドの識字率も向上するに違いないと思いついたんです。」
実際に字幕が読む力を向上するか確かめる実験をした。
字幕付き番組を見る子と
字幕なしの子
全く見ない子のグループである。
6か月後 字幕付きグループの読む力が他よりも優れているという結果が出た。
字を読めない人が自信を持って読めるようになるまでには3~5年かかる。
コタリさんのアイデアは注目を集め
インド各地で毎月10本の歌番組が字幕付きで放送されるようになった。
今では視聴者数は2億人である。
(学習研究科 コタリさん)
「インド公共放送もこの効果を認め全国規模の拡大に合意しました。
 私たちは少なくとも毎月50本インドの各言語による字幕付き放送を提案しています。
 ちょっとしたアイデアで10億人が字の読み方を覚えてもらえて満足していますが
 実はもっと大きな夢があります。
 インドで文字が読めるようになるのは10億人ですが
 アフリカやパキスタンやバングラデシュでも同じことが出来ます。
 彼らはみんなインド風の音楽ビデオを見ています。
 それにも字幕をつければいいんです。
 今は10億人ですがあと10年経てばさらに20億人が文字を読めるようになると思います。」



 

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浮世の川の仕事は“あはれ我がのどにも紐ありき”

2015-05-19 07:30:00 | 編集手帳

5月12日 編集手帳

 

岐阜県立長良川鵜(う)高等学校の校歌にある。
♪鵜の真似(まね)をして水に入る
 うかれカラスを笑いしに
 あはれ我(わ)がのどに紐(ひも)あ りき
 我が長良川高等学校

実在する学校ではない。
鵜飼いの鵜たちが通う高校があれば歌詞はかくもあろうかと、
画家の安野光雅さんが作詞した。
動物学校の架空校歌集『大志の歌』(童話屋)に収められている。

「鵜の真似をするカラス」とは身のほど知らずの人真似を笑うことわざだが、
のどに紐をもつ鵜は鵜で、
気ままに飛び来ては飛び去るカラスの境遇をうらやむときがあるのかも知れない。

岐阜市の長良川できのう、
1300年の伝統をもつ鵜飼いがはじまった。
〈叱 られて又(また)疲れ鵜の入りにけり〉(一茶)。
大型連休の終わりと重なるせいか、
お互いにまた、
浮世の川で仕事だね…と、
勤め人にはどこか身につまされる風物詩ではある。
水と炎の荘厳にして華麗な光景に酔ったあと、
ふっとよぎるかなしみも鵜飼いの妙味だろう。

残念ながら、
この目でまだ見たことがない。
今年こそは時間をつくってと、
篝(かがり)火(び)を瞼(まぶた)に描くのがこの季節の習いだが、
あはれ我がのどにも紐ありき。

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ブラジルで広がる日本の庶民の味

2015-05-18 07:30:00 | 報道/ニュース

5月9日 おはよう日本


寿司やてんぷらといった高級な和食が人気のサンパウロ。
日系人40万人が暮らすこの町には日本食の店が約600店もひしめいている。
いま注目されているのは日本のB級グルメである。
日本でおなじみのクレープの店。
オーナーは日系3世の石川ミリアンさんである。
3年間日本で働いた経験がある。
そのとき出会ったのがクレープだった。
店の名前「HACHI」は渋谷駅前のハチ公像からとった。
(クレープ店オーナー 石川ミリアンさん)
「週末によく渋谷や原宿にクレープを食べに行きました。
 そのとき店を開くアイデアが浮かんだんです。」
メニューの中には
イチゴとあんことモチ、生クリームを入れた“イチゴ大福クレープ”も。
ブラジルにはなかった新しい味がウケて若者の人気を呼んでいる。
(客)
「友達から聞いて来たの。
 とてもおいしい。」
“日本食は高い”というイメージを覆す店も現れた。
その名も“弁当屋”。
メニューはからあげ弁当や焼き魚弁当など
日本食の店で見かける人気のメニューを半額の800円ほどで提供している。
店内でも食べられるスペースを設置。
利用者は日本人や日系人だけでなく
日本への出稼ぎ経験のあるブラジル人にも広がっている。
(客)
「おいしいよ。
 日本食が恋しくなるとここに来るんだ。」
(店主)
「日本にあるメニューをどんどん充実させていきたい。
 ブラジル全土に店を展開させたい。」
ブラジルではまだ知られていない“手打ちうどん”で一旗揚げようという人もいる。
日系3世の水本アンデルソンさん。
ブラジル初の手打ちの店を準備中である。
水本さんは10歳の時に両親と日本に移住。
東京の企業で営業の仕事をしていたが去年ブラジルに戻った。
うどん好きだった水本さん。
独学でうどん作りを学び
試しにサンパウロに暮らす日本人に披露したところ太鼓判を押され
開店を決意した。
目下の課題は麺の改良である。
ブラジルの小麦粉ではコシのあるおいしい麺がつくれず
半年かけてたどり着いたのがアメリカの小麦粉だった。
(水本アンデルソンさん)
「アメリカのもので試しにやってみたらちょうどいい配合が見つかったんです。」
水分や塩加減などをその日の天候などに合わせてどう調整すればいいのか。
毎日のように日本人に意見を聞いて試行錯誤を重ねている。
(水本アンデルソンさん)
「私がきっかけとなって
 うどん専門店もほかのライバルが出てくると思うけれど
 切磋琢磨しながらうどんをブラジル職として慣れ親しんでいただければうれしい。」
日本の庶民の味をブラジルに伝えたい。
日系人の思いがブラジルの和食文化の幅をさらに広げている。


 

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ボブ・マーリーの旋律とリズムにみる「光」

2015-05-16 19:45:40 | 編集手帳

5月11日 編集手帳

 

レゲエの神様ボブ・マーリーの、
今日は命日である。
他界から34年。
今もベスト盤は世界で毎年25万枚売れるという。
「アラブの春」の若者たちの合言葉は
〈勇気を出せ、立て、闘いをあきらめるな〉(『ゲットアップ・スタンドアップ』)だった。

父は白人の英軍人。
母は現地黒人女性。
父に見捨てられ、
スラムに育つ。
母の愛と友に恵まれたが、
ジャマイカの黒人社会は混血の少年を妬みもした。
悩み多い青春だった。

邪悪や差別、
偽善を断じる歌の多くは苦悩の産物 だったろう。
恍惚(こうこつ)を誘う旋律とリズムに「光」を見る人は多い。
長い人気の秘密を、
今年出版した伝記的な写真集で評論家の藤田正さんが説いている。

アメリカのこの人々も「光」を求めているのだろうか。
手荒な警官の銃弾や暴力に命を奪われる黒人たちの話である。
リンカーンの奴隷解放令から150年。
警察署長、司法長官、大統領を黒人が務める時代でも闇は消えないらしい。

オバマ氏は黒人だけの肩を持たない。
世論分断を避けたいのだろう。
だが「史上初」の重みを背負う大統領でこその仕事もある。
〈あきらめるな〉の歌を贈る。

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「ジャパンタウン」町の名に込めた思い

2015-05-15 07:30:00 | 報道/ニュース

5月2日 おはよう日本


ロサンゼルス郊外のソーテルと呼ばれる地区。
スーパー、回転ずし、100円ショップと様々な日本の店が並んでいる。
ソーテル地区は和食や盆栽など日本文化を感じることが出来る
と多くの人が訪れる人気の場所となっている。
「土曜のお昼は家族みんなで日本食を食べると決めていて
 わざわざ来るのよ。」
「日本文化の独特の雰囲気を味わいにテキサスから来たんです。
 とても気に入りました。」
ここで生まれ育った日系3世のランディー・サカモトさん(68)。
「1920年代の初め
 私の祖父たちはここに住んでいました。」
約100年前に日本からの移住が始まったソーテル地区。
サカモトさんの祖父が住んだ頃
日系人はその地区など限られた場所に住むことしか事実上許されなかった。
祖先たちがそんな差別に屈することなく
町を発展させてきた苦労の歴史を何らかの形で残せないか。
サカモトさんは仲間たちと約1年半にわたり署名運動などを行い
ロサンゼルス市にこの地区の名前を「ソーテル・ジャパンタウン」とするよう働きかけた。
(ランディー・サカモトさん)
「ほかの名前では日本人の町としての歴史を連想できない。
 “ソーテル・ジャパンタウン”とすることで歴史を感じてもらいたかった。」
そして今年3月 サカモトさんたち日系人の思いが実現した。
市議会の議決を経て
この地区は正式に「ジャパンタウン」という名前になったのである。
8ランディー・サカモトさん)
「本当に感激している。
 渡井はこの地区で生まれ
 ここはふるさとだ。」
「皆この町の歴史を忘れつつあるから命名には大きな意義がある。
 ここソーテルの歴史をきちんと知ってもらいたい。」
この新しい名前を喜んでいる人はもう1人いる。
ジャック・フジモトさん(86)である。
フジモトさんはソーテル地区で日本語教室の理事長を務めてきた。
日系人が受けてきた差別の中でも最も悲惨だった戦争時の体験を風化させないよう
この地区が「ジャパンタウン」と呼ばれることを望んでいた。
太平洋戦争中 13歳だったフジモトさんは他の日系人とともに強制収容所に送られた。
日系人は「敵性外国人」とされたのである。
アメリカ社会に受け入れられアメリカ人として育ってきたと思っていたフジモトさん。
家族とともにアリゾナ州の砂漠の収容所で過ごした過酷な記憶は決して消えないと言う。
(ジャック・フジモトさん)
「強制収容は間違った行為だ。
 どんな人も人種を理由に収容所に投獄されたり閉じ込められたりするべきではない。」
戦後フジモトさんは収容所から戻り
地元の大学の教員となって日本文化などを教え
日系人として初めてアメリカ本土の大学の学長を務めた。
フジモトさんは「ジャパンタウン」という名前になったことをきっかけに
アメリカ社会で努力を重ね信頼を築いてきた日系人たちの歴史を
子どもたちに引き継いでもらいたいと考えている。
(ジャック・フジモトさん)
「日系人の過去を振り返ればそこはたくさんの差別があった。
 “ジャパンタウン”と言う名前は先人に敬意を示すとともに
 日本そして日系人の歴史をわかってもらう意味で大切だ。」



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サウジアラビアに挑む日本企業の拡販戦略

2015-05-14 07:30:00 | 報道/ニュース

4月28日 キャッチ!


世界トップの生産量を誇る原油の輸出に支えられ
プラス成長が続くサウジアラビア。
人口3,000万人のうち30歳以下が3分の2を占めるなか
若い世代が国内消費を支え
小売業は過去3年間毎年10%の成長を続けている。
その中でも注目されるのは
ファッション関係を中心に購買意欲が高まっている女性の存在である。
人前で肌を出すことが禁じられているイスラム教徒の女性が身にまとうアバヤが並べられた展示会場。
その一角でファッション系の専門学校に通う女子生徒たちによる
アバヤのデザイン・コンクールが開催された。
きわめて保守的な国として知られるサウジアラビアでは斬新なデザインが目を引くアバヤ。
すべて日本製の生地が使われている。
生地は福井県の染色加工業者が無償で提供した。
市場の開拓を担当している柄田紀彦さん。
鮮やかな黒を染める技術を持つ柄田さんの会社は
長年アバヤに使われる生地をサウジアラビアに卸してきた。
日本企業の間では半分のシェアを占める柄田さんの会社だが
近年は韓国やインドネシアなどアジア勢のライバルの追い上げもあり
売り上げは伸び悩んでいる。
(染色加工会社 柄田紀彦さん)
「会社はこの40数年間 中東での取引をしてきたが
 売り上げを維持していくために何か手を打たなければならない。」
女性だけのパーティなどに着るアバヤは特に若い世代に注目されていることを知った柄田さんは
新たなデザインをより普及させるため
国内で唯一女性だけが在籍するファッション系専門学校と共同でコンクールを行うことにしたのである。
一般の女性にも自社の生地を使ったアバヤを見てもらい
同じ生地でアバヤを仕立ててほしいというのが狙いである。
(見学者)
「日本製の生地を使った創造的なデザインが気に入りました。
 日本製の生地の輸入がもっと増えればとても購入しやすくなるわ。」
柄田さんはコンクールをきっかけとする業界への波及効果にも期待している。
開設されて8年がたつ専門学校の卒業生は独自のブランドを立ち上げたり
店を構えたりすることが多く
彼女たちの活躍によって業界での生地の評判が広がる可能性があるからである。
コンクールは去年に続き2回目の開催だが思わぬ効果も出てきている。
日本の生地を初めて使った生徒たちからはその肌触りが良いという感想もあり
アバヤだけでなくあらゆる種類の服に使うため
自ら生地を購入したいという要望が相次いだ。
(専門学校講師 オルガ・コズロウスカさん)
「生徒たちは生地がアバヤだけでなくドレスやスカートにも使えるので
 どこで買えるのか聞いてくるんです。」
柄田さんの会社はアバヤの他あらゆる服の生地も手掛ける。
生徒たちの要望に応えようと直接商品を置ける店を探す。
(生地専門店 店長)
「日本製は良質なので売れると思います。
 今はあまり流通していないので
 日本の企業と取引が出来ればビジネスになると思います。」
中東で長く培ってきた経験をもとに販路の拡大を目指す日本企業。
各国との競争は激しくなるなか
成功のカギは女性の市場にどこまで食い込めるかにかかっている。
(染色加工会社 柄田紀彦さん)
「40年間サウジアラビアでやってきたのでここでぶれてはいけないと思う。
 サウジアラビアの女性市場の望むところに必要なものを持っていく。」



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モンゴルの大気汚染改善へ 注目集める日本の中小企業

2015-05-13 07:30:00 | 報道/ニュース

4月28日 おはよう日本


WHO世界保健機関の調査によると
世界最悪濃度の汚染が観測されているのがモンゴルの首都ウランバートルである。
この解決に向けてモンゴルが国を挙げて注目しているのが金沢市の中小企業の技術である。

人口の半分に当たる130万人が暮らすウランバートル。
ここ数年 世界最悪レベルの大気汚染に悩まされている。
「服に煙の臭いが付くし煙で胸が苦しくなることがあるよ。」
汚染の最大の原因は石炭である。
路上では1袋100円程度で売られ簡単に手に入る。
この石炭を最も多く消費しているのがゲルで暮らす人たち。
モンゴルの冬は氷点下20度を下回る日も多く
電気やガスの通っていないゲルで暮らす人たちは
ストーブで部屋を暖めるため石炭を燃やし続ける。
「冬は寒いので石炭がないと大変ですよ。」
経済が成長するにつれウランバートルには
遊牧民をやめ仕事を求めて移住してくる人々が急増。
今では市の人口の4割に達している。
ほとんどが市の郊外にゲルを建てて生活。
このゲルから出る有毒ガスを含んだ石炭の煙が
大気汚染の原因の6割以上を占めているのである。
大気汚染による健康被害は深刻化している。
(医師)
「大気汚染がひどくなるにつれてぜんそくの症状を訴える人たちが増えています。」
石炭の煙をなんとか減らせないか。
その解決策は海を越え
日本の中小企業に託された。
金沢市にあるエコ技術の開発メーカー 明和工業。
社員50人を束ねる 北野滋社長。
この会社は
水分を多く含む生ごみや汚泥を有毒ガスがほとんど出ない燃料の炭に変える
国内でも数少ないリサイクル技術を持っている。
パイナップルを装置にかけると
みずみずしいパイナップルも中まで炭になっている。
一昨年この技術を知ったモンゴル政府から
煙の出ない石炭を開発してほしいと相談を受けた。
そこで北野さんは加熱する温度や時間を変えて20回以上試験を繰り返し
新たな技術を開発した。
その仕組みは
500度に熱した酸素のない装置の中に石炭を入れる。
そして煙を出す原因となる水分を蒸発させる。
さらに石炭の中に含まれていたガスも取り除く。
これは燃料として再利用する。
こうして不純物を取り除いて完成である。
モンゴルの石炭と比べて着火してみると
モンゴルの石炭からは黙々と白い煙が出てくるのに対し
新しくできた石炭からは煙がほとんど出なかった。
(北野滋社長)
「ほぼ完ぺきだと思っています。
 モンゴルの人たちも納得してくれるはず。」
3月 北野さんは新たに開発した石炭を携えウランバートルを訪れた。
新しい石炭の開発に成功したことを報告するため
鉱山を管轄するモンゴルの鉱業省の大臣と面会した。
(北野滋社長)
「次の冬までにはこの装置を導入してウランバートルの大気汚染を減らしたい。」
(モンゴル鉱業省 ジグジド大臣)
「新しい石炭の開発に成功し持ってきてくれて大変ありがたい。
 この石炭を大量に生産し
 大気汚染の問題を抱えるモンゴル全域に供給したい。」
(北野滋社長)
「早く結果を出して解決への道を切り開いていく。
 強い気持で臨んでいく。」
モンゴルの生活には欠かせない石炭。
その煙から人々を救う救世主となれるのか。
企業の挑戦は続く。


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“ファンド”が企業を変える ③組織を見直しお客の声を生かす

2015-05-12 07:30:00 | 経済フロントライン

4月26日 経済フロントライン

 

組織を見直すことで会社を成長させようとしているファンドもある。
キッチン雑貨を扱う“212キッチンストア”。
ファンドから送り込まれた役員 小森一孝さん。
これまで社長がトップダウンでほとんどすべてのことを決めていた会社。
現場で働く若手に権限を移すことで
客の声を生かす経営に変えようと小森さんは考えた。
(ファンド 東京海上キャピタル 小森一孝さん)
「組織の若返りを速やかにやってもらった。
 組織と人事の入れ替え
 これを最初にやるしかないと思った。」
商品開発などを任された関祥枝さん。
店に寄せられる消費者の声をもとにこれまでになかった商品を作った。
ご飯がこびりついて洗うのが面倒だという声にこたえて
内側を特殊加工した弁当箱。
さらにおかずの汁がこぼれないよう4か所でしっかりロック出来る。
発売から1か月半
若い女性を中心にヒット商品になった。
(アスプルンド エリアマネージャー 関祥枝さん)
「自分が必至で計画を立ててスタッフと一緒に頑張ってることで
 それが今 結果にすごく出てきているなと感じている。」
(ファンド 東京海上キャピタル 小森一孝さん)
「この会社の人たちがみなさん生き生きと働いていい店を作って
 その結果として会社が大きくなって
 それが我々の利益に返ってくる。」



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“ファンド”が企業を変える ②新たな発想で成長を後押し 

2015-05-11 07:30:00 | 経済フロントライン

4月26日 経済フロントライン


企業だけでは気づくのが難しい成長のヒント。
去年 高田馬場にオープンした“すたみな太郎”。
焼き肉、寿司、デザートなど130ものメニューが食べ放題。
都心でありそうでなかったバイキングレストランがサラリーマンや若者にウケている。
「値段を気にしなくていいので気持ちよく食べられる。」
この会社は郊外に店舗を展開することで順調に成長を続けてきたが
都心への進出は考えていなかった。
賃料が高く採算が取れないと経営陣は思い込んでいたのである。
都心への進出を後押ししたのはファンド。
(ファンド ポラリス・キャピタル・グループ 木村雄治社長)
「何かのしがらみで潜在力を発揮できない中堅企業はいっぱいある。」
賃料が高い都心は
一方でお酒を飲む客を取り込むことが出来れば売り上げを伸ばすことが出来る。
車で来る客が多くお酒が売れない郊外の店では考え付かなかった戦略である。
(ファンド ポラリス・キャピタル・グループ)
「日本の中堅企業はもてる力はあるが
 具現化 顕在化できていない企業はいっぱいある。
 もてる力を爆発力に変えて
 そこを我々が裏方になって支援したい。」


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“ファンド”が企業を変える ①宝を見つけて企業を再生 

2015-05-08 07:57:43 | 経済フロントライン

4月16日 経済フロントライン


おしゃれな女性シロガネーゼが住む町 東京白金台に
ファンドの支援を受けるメガネスーパーが新たな店をオープンした。
これまで幅広い年齢層に販売してきたメガネチェーン。
ターゲットを40台以上にしぼった。
老眼に悩み始める世代のためにていねいに相談に乗る。
さらに専用の検査室を設置し最新鋭の機器を導入した。
「いろんな面でケアしてくれる。
 親切」そう。」
「ちょっと違いますよね。
 いつもの眼鏡屋と。」
創業42年のこのメガネチェーンは安売りを武器に500店舗を展開していた。
しかし新たに参入するライバルとの価格競争に巻き込まれ赤字に転落。
苦境に立たされた。
3年前 経営の立て直しに取り組み始めたのが“ファンド”。
ファンドから会社の経営陣として送り込まれた塚原俊哉さん。
塚原さんが目をつけたのが
かつてこの店で眼鏡を買った顧客のリストだった。
リストには20年前に眼鏡を買った若者たちのリストなど連絡先が残されていた。
いま老眼に悩み始めたこの世代にダイレクトメールを送り
店に呼び込む戦略を考えたのである。
(ファンド アドバンテージパートナーズ 束原俊哉さん)
「実数では全体として600万くらいあった。
 マーケティングという観点で見たときに必ずしも生かし切れてなかった。」
会社に眠っていた顧客リストという宝物を見つけたファンド。
その戦略が効果を見せ始めている。
(ファンド アドバンテージパートナーズ 束原俊哉さん)
「こういった資産がすごく価値を持ちうるのにもったいないことをしている。
 外からの目線
 他のところを見てきた目線が意味を持つ。」

 




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“若旦那”で温泉街ににぎわいを

2015-05-06 07:30:00 | 報道/ニュース

5月3日 おはよう日本


福島市の郊外
山間に旅館が立ち並ぶ土湯温泉。
いまこの町で話題になっているのが“若旦那”。
去年8月には若旦那図鑑も発行。
温泉を訪れる女性を中心に人気を集めている。
(観光客)
「温泉はあまり来なかったけれど興味持って来ようかと思った。
 イケメンだから。」
(土湯温泉の人)
「愛想もいいし可愛いんだ。」
みんなの人気者になった若旦那たち。
そんな彼らが表舞台に立つきっかけとなったのが4年前の原発事故だった。
事故の影響を受け観光客は激減。
3割の旅館が廃業に追い込まれた。
苦境を真乃蒼有にした若旦那たちは
自分たちに何ができるかを考えるようになった。
(若旦那 渡邊利生さん)
「低迷して街に対しての思いが強くなった。
 町に対して何かやりたいというエネルギーがつらいものを経験したことによってあった。」
そんな若旦那の存在に可能性を見出した人がいる。
福島大学院 情報ビジネス科 講師 木村信綱さんである。
若い男性が温泉街の魅力をPRすれば女性客の獲得につながると考えたのである。
(福島大学院 情報ビジネス科 講師 木村信綱さん)
「いい温泉 おいしい食べ物は当たり前
 目新しさがない。
 ここにしかない
 ここで頑張っている若旦那に会ってみたい 
 応援したいというニーズを作り出したい。」
(渡邊利生さん)
「え~って思いましたね。
 僕たちが出ても冊子を手に取ってくれる人は誰もいないだろうな。」
これまで裏方に徹してきた若旦那たち。
戸惑いながら作り上げたのが若旦那図鑑だった。
すると全国から問い合わせが殺到。
会いにくるお客まで現れた。
(渡邊利生さん)
「原発事故に見舞われた環境だからこそ
 なんかやればみんなの目を引く。
 みんな注目してくれるというチャンスが福島にはあると思います。」
若旦那たちはいま自分たちの人気を積極的に活用しようとしている。
地元のアイスクリーム店と一緒に土湯オリジナルのアイスクリームを作ろうと居のである。
その味は若旦那1人1人の個性をイメージしたもの。
土湯温泉の新たな名物となった若旦那。
原発事故というピンチをチャンスに変えて
元気な姿を発信し続けている。
(渡邊利生さん)
「自分たちも面白おかしく楽しみながら
 いろんな人とかかわっていく中で
 大きなことも徐々に出来てくるんじゃないか。
 そうすることでさあに面白いことが出来るんじゃないかと期待を込めてやっている。」



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中東の人々に「はだしのゲン」を

2015-05-06 07:30:00 | 報道/ニュース

4月25日 おはよう日本


「はだしのゲン」。
広島で被爆し
家族を失った悲しみや後遺症と戦いながらたくましく生きる少年の姿を描いた中沢啓治さんの漫画である。
これまで英語やロシア語、ペルシャ語など20以上の言語で翻訳され
世界各国で読まれている。
戦後70年になる今年
新しく出版されたのがアラビア語である。

今年1月 アラビア語に翻訳された第1巻がエジプトで出版された。
翻訳を手がけたのはカイロ大学で日本語や日本文化を教えているマーヘル・シリビーニ教授である。
(カイロ大学 マーヘル・シリビーニ教授)
「この本を通じて平和への新しい考えをアラブ人に紹介したい。」
5年間広島大学に留学していたシリビーニ教授。
広島の人々と交流する中で
被爆の体験を後世に伝える活動に自分も関わりたいと強く思うようになった。
中東で紛争やテロが頻発する今こそ
この作品を通じて
アラブの人々に核兵器や平和について考えてほしいと翻訳する決意をした。
(マーヘル・シリビーニ教授)
「今 アラブでは戦争があったり殺し合いをしたり大変嫌な時だ。
 それが平和になるように呼びかけたい。」
シリビーニ教授は今年から大学の講義で「はだしのゲン」を使い始めた。
絵が持つ力強さとアラビア語に訳されたセリフを通して
学生たちに核兵器の悲惨さを理解してもらうのが狙いである。
(学生)
「原爆投下はとてもひどいことだとわかった。」
「日本が当時経験した悲惨な状況が伝わってきた。」
授業を受けている学生の1人 アヤ・リズクさん。
アヤさんが最も心を揺り動かされたのが
倒壊した家の下敷きとなった家族を必死で救おうとする場面。
ゲンの姿が
同じように家を破壊され家族を失った中東の人たちと重なると言う。
終わりの見えない紛争が続く中東地域。
人々は紛争やテロと隣り合わせの生活を強いられている。
アヤさんの大学のすぐ近くでも何度も爆弾テロが起きた。
(アヤ・リズクさん)
「ゲンの弟が燃えさかる家の下敷きになり助けを求めて叫ぶ場面は切ない。
 シリアやガザの子どもたちも厳しい状況から助けてくれと叫んでいると思う。」
{はだしのゲン」をきっかけに戦争について深く考えるようになったアヤさん。
原爆を経験した日本人が戦後どんな思いを抱いてきたのか。
友人たちと調べる中である被爆者の姿勢に大きな感銘を受けた。
“報復するのではなく互いに許しあうことが大切だ”という言葉だった。
(学生)
「あなたが被爆者だったら戦争で敵だった国の人を許せる?」
(アヤ・リズクさん)
「許せないかもしれない。
 日本人は正しい道を選んだと思う。」
「戦後 日本人は報復ではなく許すことを選んだ。
 なぜそのような選択ができたのか
 深く知りたくなった。」
学生たちの声にこたえるためシリビーニ教授は広島とテレビ電話をつなぎ
被爆者に直接話を聞く特別授業を開いた。
アヤさんたちの疑問に答えられるのは被爆者しかいないと考えたのである。
アヤさんは中学生の時に被爆した男性に疑問をぶつけた。
「復讐しようとは思わなかったのですか?」
(男性)
「日本には昔から“”日の敵は今日の友”という言葉がある。
 核兵器をなくすということは人類全体の課題。
 実現の道は遠いかもしれないがあきらめてはだめなのだ。」
アヤさんたちが教えられたのは
憎しみの連鎖を断ち切る大切さだった。
(アヤ・リズクさん)
「敵を許すということは起きた悲劇に立ち向かうことだとわかった。
 命の大切さをもっと感じるべきだ。」
シリビーニ教授は中途の若者にこそ「はだしのゲン」のメッセージを心に刻んでほしいと思っている。
(マーヘル・シリビーニ教授)
「1度目は広島
 2度目は長崎
 3度目が無いようみんなで考える課題かと思う。
 よく考えないといけない。
 平和が無ければ何もできない。」
被爆の惨状と戦争の愚かさを訴え続けてきた「はだしのゲン」。
平和を願う被爆者のメッセージが国境や世代を超え
紛争苦しむ中東の人々の心にも響き始めている。

 

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あはれむごきかな かはゆき吾子

2015-05-05 07:30:00 | 編集手帳

5月2日 編集手帳

 

悲しみに打ちひしがれた人に出会うたび、
「時」が心の傷を早く癒やしてくれればいい、
と思う。
間違っているのかも知れない。

シベリアに抑留された次男(茂二郎)が飢えと病気で死亡したとの知らせを受けて、
歌人の窪田空穂(うつぼ)は一首を詠んでいる。
〈親といへば我ひとりなり茂二郎 
 生きをるわれを悲しませ居よ〉。
いつまでも悲しませつづけてくれ。
悲しむという行為のほかには、
もはやおまえに愛情を注ぐすべはないのだから、と。

本紙の全段6ページにわたってぎっしり並ぶ人名の一人ひとりが、
空穂にとっての茂二郎であったのだろう。

先 の大戦後、
旧ソ連の設置した収容所などで死亡した日本人抑留者の名簿を厚生労働省が新たに公表した。
のべ1万723人、
それぞれの遺族が肉親のつらい最期に想像をめぐらせ、
胸を痛めてきただろう歳月を思う。

〈家畜にも劣るさまもて 殺されて死にゆけるなり…〉。
空穂に『捕虜の死』と題する長歌がある。
歌は結ばれている。
〈むごきかな あはれむごきかな かはゆき吾子(わがこ)〉。
いのちが詰まっているせいだろう。
読み終えた朝刊が、
きょうはやけに手に重い。

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健康・医療で市場開拓 腕時計型端末 米最新事情

2015-05-04 07:30:00 | 報道/ニュース

4月25日 おはよう日本


アメリカのアップルの腕時計型の情報端末アップルウォッチの販売が4月24日から世界で始まった。
各社が開発でしのぎを削る腕時計型の情報端末。
アップルはこの情報端末を健康や医療で役立ててもらうことで
おひざ元アメリカの市場を開拓しようとしている。

肥満大国を言われるアメリカ。
成人の3人に1人が肥満とされている。
糖尿病など生活習慣病にもつながり国家的な課題となっている。
腕時計型の情報端末は走った距離や心拍数を確認することが出来る。
ニューヨークでは腕時計型の情報端末の普及でランニングをする人が増えている。
今やアメリカ人の10人に1人がこうした端末を持っているという調査結果もある。
アップルウォッチの投入は人々の健康意識をさらに高めると見られている。
(ランナー)
「絶対にほしいです。
 私の端末は心拍数を測れないの。
 アップルウォッチに興味があります。」
医療機関も期待している。
端末の普及は病気の予防だけでなく治療にも役立つと考えているためである。
アップルと共同で喘息にも役立つというアプリを開発した病院。
ダウンロードした患者には毎日症状をたずねる質問が届く。
たとえば喘息の薬を飲んだかどうかをたずねている質問。
その解答や患者の1日のデータが病院に送られる。
天気や気温の変化などどういう環境で症状が出やすいかなどを把握でき
予防に役立つ仕組みで
患者はデータを提供する見返りにアプリを無料で活用できる。
喘息の症状が出た原因を1週間ごとに分けたグラフ。
春になり暖かくなるにつれて暑さが原因となる割合が増えている。
アプリの提供を開始してわずか1か月でダウンロード数は4万回を超えた。
人種や年齢別での分析はもちろん
生活パターンと病気の関連などを解明し
よりよい治療法が見つけられると病院側も期待している。
(アイカーン医科大学 エリック・ジャッド博士)
「このアプリを使うことで患者も症状を観察し軽減につなげられます。
 アップルウォッチなどの端末によって個人データを大量に集められることにワクワクしています。」
ただ棟梁のデータの往来で
個人情報管理のリスクも増えると指摘する専門家もいる。
アップルはデータを見ることは一切ないとしているが
消費者は一定のリスクを認識したうえで情報を提供すべきだとしている。
(ニューヨーク大学 ジャスティン・カポス准教授)
「心拍数がわかれば私生活の行動も把握でき大きくプライバシーが侵害されます。
 本当に大丈夫だと判断するには時間がかかります。」
アップルが医療機関と開発したアプリはほかにも糖尿病や心臓病に関するものがあり
今後も増える予定だということである。
リスクを抑えながら腕時計型の端末の健康関連の機能の活用を増やしていけるのか
アップルウォッチの発売を機に注目が集まっている。

 

 

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