5月17日 編集手帳
『西遊記』に、
匂いを嗅ぐだけで360年も長生きできる「 人参果(にんじんか) 」という果物が出てくる。
三蔵法師一行は万寿山の仙人を訪ねた折に振る舞われている。
その実は希少なことこの上なく、
花が咲き、
実が成って熟するまでに1万年かかるという。
「こどもの日」から「母の日」「父の日」につづく季節になると、
いつもその一節を思い出す。
わが子を亡くしたつらい経験をもつ親御さんにとって逝きし子は、
この先何万年待とうとも再びはめぐり合えぬ唯一無二の命だろう。
希少で掛け替えのないことは、
人参果の比ではない。
韓国の旅客船「セウォル号」の沈没事故からひと月がたった。
修学旅行の生徒を含む284人が犠牲となり、
行方不明者はなお20人を数える。
その海外ニュースが心のどこかに影を落とすなかで「こどもの日」や「母の日」を過ごした方も多かろう。
『西遊記』の作者も霊妙で希少な人参果を創案するとき、
あるいはわが子のことがちらりと頭をかすめたかも知れないと、
そう思うときがある。
実のかたちは「生まれて3日もたたない人間の赤んぼうそっくりであった」と、
物語にある。
『西遊記』に、
匂いを嗅ぐだけで360年も長生きできる「 人参果(にんじんか) 」という果物が出てくる。
三蔵法師一行は万寿山の仙人を訪ねた折に振る舞われている。
その実は希少なことこの上なく、
花が咲き、
実が成って熟するまでに1万年かかるという。
「こどもの日」から「母の日」「父の日」につづく季節になると、
いつもその一節を思い出す。
わが子を亡くしたつらい経験をもつ親御さんにとって逝きし子は、
この先何万年待とうとも再びはめぐり合えぬ唯一無二の命だろう。
希少で掛け替えのないことは、
人参果の比ではない。
韓国の旅客船「セウォル号」の沈没事故からひと月がたった。
修学旅行の生徒を含む284人が犠牲となり、
行方不明者はなお20人を数える。
その海外ニュースが心のどこかに影を落とすなかで「こどもの日」や「母の日」を過ごした方も多かろう。
『西遊記』の作者も霊妙で希少な人参果を創案するとき、
あるいはわが子のことがちらりと頭をかすめたかも知れないと、
そう思うときがある。
実のかたちは「生まれて3日もたたない人間の赤んぼうそっくりであった」と、
物語にある。