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思い出の着物 ひな人形に

2016-02-29 07:30:00 | 報道/ニュース

2月17日 おはよう日本



子どもの健やかな成長を願って飾るお雛様。
お雛様のあでやかな衣装は成人式で着た着物や帯で作られた。
愛知県碧南市にある創業57年の人形工房。
2代目の足達孝篤さん。
誰にも着てもらえなくなってしまった着物たちにもう一度晴れの場をと
古くなった着物でひな人形の衣装を作っている。
(足達孝篤さん)
「実際どういう形で着てみえたとか使ってみえたとかお聞きしますので
 もう本当に真心込めて
 命を吹き込むような感じで作っています。」
今年 特別な思いでひな人形を注文する女性がいる。
碧南市に住む神ノ川三枝子さん。
亡くなった母親が残した着物をひな人形にしようと考えている。
三枝子さんの母の志げ子さんは去年82歳で亡くなった。
志げ子さんが着ていた着物は
紫の地に枯れ葉をあしらったしぶい柄の訪問着。
三枝子さんにとっては母の思い出につながる懐かしい着物である。
いつも家にいて自分の帰りを待っていてくれた母。
めったにない晴れの日には必ずこの着物を着た母の姿があった。
(神ノ川三枝子さん)
「思い出がある帯と着物ですので
 いつでも飾ってすぐ見られるような状態にしたいなと。」
三枝子さんはこれまで自分のひな人形を持ったことはない。
(神ノ川三枝子さん)
「そんなに裕福じゃなかったので
 欲しかったんですけどあまり欲しいとか親に言いにくい状態で。」
三枝子さんのお母さんの着物が工房に託された。
着物の柄が一番生きる部分を職人が選びかたどりをする。
思い出の着物にハサミが入った。
古い布地が新しい素材へと生まれ変わっていく。
それぞれの工程で職人たちが着物に新たな命を吹き込んでいく。
注文から2週間後 三枝子さんのもとにひな人形が届いた。
(神ノ川三枝子さん)
「こんなに予想よりも素敵な状態になるんだなと思って。
 すごいですね。」
枯れ葉模様の紫の着物は打ち掛けの部分に
帯はお雛様とお内裏様の衣装に
それぞれ生まれ変わった。
三枝子さんはうれしさのあまり父の勇さんを部屋に呼ぶ。
走って持ってきたのは母の志げ子さんの写真である。
ひな人形の隣に飾った。
(神ノ川三枝子さん)
「まさか自分が着ていた着物で
 ひな人形に変わるなんて本人も思っていなかったでしょうし
 すごく喜んでいると思います。」
 すごい喜んでいると思う。
古い着物や帯が思い出させてくれる懐かしい家族の時間。
あでやかな姿に形を変えて受け継がれていく。



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岐路に立つアメリカ経済 

2016-02-29 07:30:00 | 報道/ニュース

2月16日 キャッチ!


世界有数のカジノの街 ラスベガス。
街は好景気に沸いている。
ラスベガスを訪れる人はこの6年で600万人増え
去年は4,200万人を突破。
過去最高を記録した。
カジノの売り上げも6年で12%増え
1兆1,000億円を超えた。
街では今あちこちで巨大な開発プロジェクトが動き出している。
中心部では2万人を収容する巨大アリーナが急ピッチで建設中。
コンサートやスポーツイベントなどを開いてさらに多くの旅行客を呼び込むのが狙いで
投資規模は総額750億円規模にのぼる。
(カジノ運営会社 フェルドマン副社長)
「2009年ごろは生き残るだけで精一杯でした。
 今はイベントを開けば投資は回収できるはずです。」
海外マネーも続々と流れ込み開発に拍車がかかっている。
現在開発中の新しいカジノは中国人観光客を目当てにした計画で今年の夏にオープン予定である。
資金の大半は中国人投資家から集めた。
開発はそれだけではい。
ラスベガスのメインストリートで進んでいるのが
オーストラリアの企業が手掛ける巨大なカジノの開発計画と
マレーシアの企業により進んでいるカジノのホテル計画。
海外マネーで進むこれら3つの巨大カジノプロジェクト。
投資規模は総額5,000億円を超える見込みである。
(カジノ開発責任者 デイビッド・ジャコビー氏)
「これらの開発に街の期待が高まっています。
 国内経済は比較的安定しているのです。」
加速する投資が建設現場やカジノで新たな雇用も生み出している。
5年前 失業率が全米平均をはるかに上回る14%まであったラスベガス。
現在は6,2%まで改善した。
若者にもチャンスが広がっている。
ミンディ・メディーナさん(27)は数か月前にカジノで雇われた。
州立大学を卒業後 2年間ファーストフードチェーンで働き
ようやく正社員になることができた。
(カジノ従業員 ミンディ・メディーナさん)
「以前は生活がきつかったので今は幸せです。
 郵便係から昇進していくつもりです。」
株式市場が荒れるなかでもラスベガスからは先行きへの自信がうかがえる。
(カジノ運営会社 フェルドマン副社長)
「好景気の時 人は安心して娯楽を求めます。
 この街はアメリカ経済の現状を映す鏡なのです。」

世界各国の通貨全体と比較した指数で見れば
ドルはいま歴史的な高値水準である。
それが今アメリカの輸出企業の逆風になっている。
中西部イリノイ州の製鉄メーカー。
取引先の大手の建設機械メーカーの業績が低迷して
いま受注が15%も落ち込んでいる。
ドル高のあおりで中国やブラジル向けの機械の輸出が急減速しているのがその理由である。
製鉄メーカー ビル・ヒッキー社長はドル高の行方に気を揉んでいる。
社長の1日はドルの相場のチェックから始まる。
(製鉄メーカー ビル・ヒッキー社長)
「どれだけドル高が進んだかは一目瞭然です。
 この10年で最高値
 これが直面する現実です。」
ドル高で割安になった中国など海外の鉄鋼製品が
アメリカになだれ込んでいることにも社長は危機感を強めている。
(製鉄メーカー ヒッキー社長)
「割安製品の流入が起こす問題は間違いなく失業です。」
550人の雇用を守るために今出来ることは効率化やコストカット。
しかしそれには限界があるという。
FRBの利上げがドル高をもたらし
経営が厳しくなっていることに憤りを強めている。
(製鉄メーカー ヒッキー社長)
「問題は工場の効率化ではなく為替相場なんです。
 FEBは製造業のことを全く気に留めていません。」
 


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台湾の女子大生が学ぶ徳島 山間部のおもてなし

2016-02-28 07:30:00 | 報道/ニュース

2月16日 おはよう日本

台湾の大学生張瓊月(ちょうけいげつ)さんと簡佩萱(かんはいけん)さん。
日本語や日本文化を学んできた2人は
大学のインターンシップ制度を利用して去年10月に徳島県に来た。
ホテルや観光施設で働きながら日本の“おもてなし”の文化を学んでいる。
時には茶道の稽古でおてまえも学んでいる。
ふたりが働いているのは徳島県西部 三好市の大歩危・祖谷地区。
自然豊かな景勝地として
このところアジア各地の観光客の人気を集めている。
受け入れ先が用意した寮で生活する2人。
四国の山間部の生活は驚きの連続だったという。
(簡佩萱さん)
「先週 大雪になったときいっぱい積もって40センチくらいに
 出勤も大変。」
日本と言えばテレビで見た東京や大阪などの大都会だというイメージは大きく覆された。
この地区で暮らすうちふたりは人々の温かさや同僚たちの気配りを感じるようになった。
寂しさを感じないよう気さくに接してくれる同僚たち。
昼食のときはふたりのことを知ろうと積極的に話かけてくれる。
(簡佩萱さん)
「周りのみんなは私たちに関心を持ってくれホームシックはない。
 みんなのつながりが深い 
 強いと思う。」
周りの人たちから感じた思いやりを外国から来る観光客にも伝えたい。
最も多くの外国人観光客が訪れる春節の時期を前に
ふたりは台湾と日本の文化に共通する“お年玉”の文化に注目した。
台湾で縁起がいいとされる赤い袋に5円玉を入れてプレゼントしようと考えた。
(簡佩萱さん)
「5円は日本では縁ということ。
 台湾のお年玉袋は赤い。
 台湾と日本のミックスだと思う。」
そして迎えた春節の連休。
ツアー客などが続々と観光施設を訪れた。
ふたりは先頭に立って観光客を案内する。
夕方からは着物に着替えて宿泊客を出迎えた。
シンガポールとマレーシアから来た観光客に心を込めてお年玉袋を手渡す。
稽古を重ねたお茶でももてなした。
(シンガポールの観光客)
「旅行の目的の1つは旅先の文化を知ること。
 こういうもてなしはとてもいいと思う。」
(簡佩萱さん)
「特別な信念。
 絶対いい思い出になると思う。
 帰ったらみんなに伝えて徳島を好きになってもらいたい。」
四国の山間で地域に根付くおもてなしを学ぶ2人。
外国人観光客と日本を結ぶ懸け橋になろうとしている。

 



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愛犬を支える老犬ホーム 

2016-02-27 07:30:00 | 報道/ニュース

2月15日 おはよう日本


足腰が弱り歩けなくなった犬。
白内障で視力を失った老犬。
佐賀県唐津市にあるこの老犬ホームには
高齢の犬を中心に様々な障害のある11匹の犬が暮らしている。
施設の代表 中島達也さん(28)。
中島さんは飼い犬を老衰で亡くして以来
老いた犬たちのために何か出来ないかとずっと考えてきた。
そんな時人間と同じように介護が必要な犬たちがいることを知り
家族でこの老犬ホームを始めた。
(老犬ホーム代表 中島達也さん)
「ご飯をやっても食べなかった子が頑張って食べている姿を見ると
 こちらも頑張らないといけないな
 そういうのは常々なりますね。」
犬たちの介護に休みは無い。
食事やおむつの交換
運動の補助など
全ての作業が終わるころには日付が変わっていることも度々である。
ケアは24時間体制で行う。
特に老犬は急に体調を崩すことが多いため
頻繁に様子を見て回る。
容体は犬によってさまざま。
その犬その犬に応じた細かい気配りと対応が必要である。
1日の終わりには犬たちの様子を教えるブログを更新する。
飼い主と犬たちには離れていてもいつもつながっていてほしい
ブログには中島さんのそんな思いが込められている。
(老犬ホーム 代表 中島達也さん)
「飼い主とワンちゃんの間というか
 自分たちがそういう存在になって
 飼い主とワンちゃんの絆をつながりを大切にできるようにお世話をしていけたら。」
愛犬のティムを預けている松永尚美さん。
歩行の困難やなかなか泣き止まないなどの病状が出始めたティムの世話を
松永さんは1年近くこなしてきた。
しかし自分の生活もあるなかで
障害がある犬のケアを続けることに限界を感じていたという。
悩みぬいた末
松永さんは愛犬を人に託す決断をした。
(松永尚美さん)
「罪悪感というものはものすごくありました。
 捨ててしまうような感じになってしまうのではないかと。
 子どもみたいな感じで育てていたから手放したくはなかった。」
愛着と罪悪感の入り混じる複雑な思いが松永さんを苛む。
この日松永さんは久しぶりにティムに会いに来た。
大切な家族に会えた喜びと胸につかえてきた不安な気持ちを見透かすように
ティムが松永さんに話しかける。
ティムが逆に自分を励ましてくれている
松永さんはこの時そう感じたそうである。
(松永尚美さん)
「寂しい反面ちょっと気持ち的に楽になった。
 預けて安心できたのでよかったと思う。」
高齢化や病気などで飼い主が支えきれなくなった犬たち。
中島さんの献身的な介護で静かな老後を過ごしている。
中島さんは今後
犬の介護で悩んでいる人たちと積極的にかかわって
飼育が放棄される犬の数を出来るだけ少なくしていきたいと話していた。

 

 

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交通各社が競う“外国人を地方路線へ”

2016-02-26 07:30:00 | 報道/ニュース

2月12日 おはよう日本


成田空港にあるJRの窓口。
日本に到着した外国人旅行者たちで多い日には3時間待ちの行列ができる。
ここでJRが売り込んでいるのが外国人旅行者専用の格安周遊チケットである。
このチケットは昨年度は140万枚以上販売。
1年で60%近く増えた。
訪日外国人のおよそ10人に1人が買い求めている計算である。
「とても良いチケット。
 うまく使いこなしたい。」
最近外国人旅行者が多く訪れている町がある。
広島県尾道市。
人気の京都や大阪から離れ
広島駅から在来線で1時間20分ほどかかる。
しかし一昨年 尾道を訪れた外国人旅行者は1年で40%増えた。
その数は市の人口に匹敵する約13万人にのぼる。
多くの外国人のお目当ては瀬戸内海の島々。
駅前で自転車を借りて島をめぐる。
外国人たちが手にしているのが格安周遊チケット。
「とても安い。
 どこにでも行けるから便利。
 博多から尾道に来てあしたは宮島に行きます。
 宮島キレイ。」
JRはチケットによって地方路線を利用する外国人旅行者がさらに増えると期待している。
(JR西日本 営業本部 田原仁担当課長)
「チケットは地域の活性化に寄与できるし
 地域の魅力あるスポットを一緒に磨いていくことで
 さらに外国人客の利用を伸ばしていけると思う。」
対する航空会社でもいま路線を維持するため外国人に熱い視線を注いでいる。
この2年間で国内では少なくとも9つの地方路線が廃止された。
新たな新幹線の開通など競争が激化するなか
地方路線の利用者を増やすことは航空会社の最大の経営課題である。
そこで全日空が始めたのが外国人旅行者を地方に誘導する戦略。
その切り札が3年前から販売を始めた外国人専用の格安チケット。
最も高い羽田ー石垣便では普通運賃の6分の1以下。
大幅な格安料金が人気を呼び
販売は毎年倍増している。
さらに全日空が始めたのが
外国人旅行者が地方のどんなところに魅力を感じているか
その嗜好を調査することだった。
本社勤務の外国人社員を増員。
そのヒントを探る。
「北海道の登別温泉に行ったが
 そこで鬼が岩から出てきたという話がすごく魅力的。」
外国人が喜ぶポイントは日本人と必ずしも一致しないことがわかってきた。
(全日空マーケティング計画部 大崎和之部長)
「外国人が見ると面白い普段見ることができない光景がたくさんあると思うので
 これをどう見つけて発掘するかが我々のミッション。」
そこで取り組み始めたのが
実際に地方を訪れた外国人旅行者がどこに行くのか
その行動パターンを把握することである。
例えば格安チケットを利用したタイ人9人のグループ。
東京から向かったのはこの2年で4つの路線が廃止された鳥取県の米子空港だった。
その目的地はマンガ「名探偵コナン」の作者青山剛昌さんの記念館。
タイではいま「コナン」が大人気。
作者の生まれ故郷を訪れたかったという。
「私に取って初めて訪れる日本で
 どこに行きたかったかというと ここ」
そして宿泊先に選んだのは雪上車でしか行けない大山の山の中。
タイでは見たことがない雪景色に大喜びである。
雪上車や雪深い宿泊地など
日本人には一見不便に感じることも楽しんでいることがわかった。
「すばらしかった。
 今まで雪上車は見たことなかった。
 みんなで乗れて興奮した。」
外国人が見つけた地方の魅力。
全日空は日本各地の支店などからこうした情報を集め
世界に発信する取り組みも始めている。
去年11月に開設した外国人専用のホームページ。
秋田県にある“ゴジラに見える岩”など
外国人が好む地方の観光地を選りすぐって紹介している。
さらに外国人の視点で47都道府県の魅力を紹介する映像を製作。
旅客機内や世界80カ国のテレビで放映を始めた。
こうした取り組みを続けていくことで
地方路線の維持にとどまらず
拡大にもつなげていきたい考えである。
(全日空マーケティング計画部 大崎和之部長)
「日本全国の魅力あるものを世界の皆様に発信していきたい。
 それによって1人でも多くの訪日外国人のお客様に地方に立ち寄っていただきたい。
 最終的には我々航空会社としても
 新しい国内線のマーケットを開発できればと思う。」
全国の高速道路各社でも訪日外国人向けの料金が設定されている。
北海道の場合 2日間で3,600円で全域が乗り放題。
しかしこうしたチケットは
残念ながら日本人や日本に住む外国人が購入することができない。
航空会社や高速道路各社は
このチケットだけで採算がとれないということだが
外国人旅行者が将来
地方路線のリピーターになってもらうための先行投資として
販売を続けていきたいとしている。



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ベルギーの移民地区 移民の若者を救う試み

2016-02-25 07:30:00 | 報道/ニュース

2月10日 キャッチ!


ブリュッセル中心部の繁華街にほど近いモレンベーク地区。
1960年代から労働力として迎えられたモロッコやトルコなどからの移民が暮らすようになり
今ではここに住む10万人の半数以上を占めている。
この街が注目を集めるようになったきっかけは
去年11月にフランスのパリで起きた同時テロ事件である。
事件の首謀者とされる男や実行犯を含め
3人のモロッコ系の容疑者が暮らしていたのがこのモレンベークだった。
この町からは少なくとも30人の若者たちがシリアなどに渡って
イスラム過激派組織の戦闘員になったことも確認されている。
モレンベークがテロリストを生み出した背景として考えられるのは
この地区の低い進学率や高い失業率である。
移民の若者の失業率は50%を超えている。
(休職中の男性)
「短期の仕事はあっても安定した仕事は見つからない。
 3年も仕事に就いていません。」
安定した職に就きにくい状況の中で
モレンベークの若者たちはイスラム系の移民の出身であることで
差別や偏見を受けているという不満を強めている。
こうした状況に地域の対応が十分ではなかったと
地元の議員は指摘する。
(青少年政策担当議員 サラ・トゥリンさん)
「私たちは長い間
 帰属意識の問題を放置していました。
 差別されていると感じる人に発言の機会を与えることが大切です。」
そうしたなか若い世代を社会に取り込んでいく地域の活動が少しずつ進められている。
モレンベークを拠点とするこのNGOは
ほぼ毎日小学生から高校生までの子どもを集め
学習指導や様々なレクリエーションを通じて社会性を育てる取り組みを行っている。
モレンベークの子どもたちが抱える問題の1つが言葉の問題である。
アラビア語しか話せない子どもが少なくなく
学校の授業について行けず
社会になじめないまま成長し
ついには非行に走るという悪循環が起きているのである。
このためNGOでは
公用語のフランス語やオランダ語でのコミュニケーション
様々なことに興味や関心を引き出すことに重点を置いている。
NGOでボランティアをしている高校生のイリアス・ファティティさん。
モロッコ出身のイリアスさんは
言語や文化の違いから周囲に溶け込めずひきこもりがちだった。
しかしNGOに参加するようになってからは仲間が増え
人と積極的にかかわりたいと考えるようになった。
(イリアスさん)
「ここでは自分も子どもたちと過ごして人との接し方を学んでいます。
 このNGOがなかたら何をしていたかわかりません。
 麻薬を使ったり悪いことをしていた可能性があります。」
誰かのために努力したり
人とかかわることの大切さに気付いたというイリアスさん。
今後も地域の子どもたちにその思いを伝えていきたいと考えている。
(イリアスさん)
「この地区には様々な国籍の人がいますが
 出身が違っても私たちは共に生きていかなければなりません。」
NGOでは若者が自分の殻を破って社会に広がる可能性に挑戦するよう支えていく方針である。
(NGO所長 ロレダーナ・マルキさん)
「私たちのねらいは若者や子どもたちに自信を持たせ
 若者たちには希望を持ち続けるメッセージが必要です。
 社会の中に自分の居場所を見つけられるよう支援していくことです。」

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海底トンネルの安全

2016-02-24 08:00:00 | 報道/ニュース

2月10日 おはよう日本


青函トンネルは全長53,85㎞の世界で最も長い海底トンネルのため
万一の際大事故につながりかねない。
海底トンネルで危険をいち早く察知し的確に対応するため
JR北海道では安全対策の見直しを進めてきた。
そのきっかけとなったのは去年青函トンネルで起きた特急列車のトラブルだった。
床下のモーター付近から火花や白煙が発生。
乗客124人がトンネル内を歩いて非難する事態となった。
「ちょっと怖かった。」
「結構 煙くて。」
トラブルから浮かび上がったトンネル内の安全対策の課題。
それは指令センターとトンネル内の情報のやり取りである。
指令センターは地上で列車の運行管理にあたり
異常時には列車をサポートする役割を担う。
トンネル内に設置されたセンサー。
基準値を超えた熱や煙を感知すると
アラームで指令センターに知らせる仕組みになっている。
ところが去年4月のトラブルでは
(JR北海道の会見)
「検知した温度が火災と認識する温度よりもずっと低かったために
 停止装置が働いていなかった。」
指令センターに情報が伝わらない間
列車では焦げた匂いや火花を確認した車掌が乗客の避難を判断した。
指令センターが異常を把握したのは列車が停車した約20分後だった。
指令センターによる煙の排出は間に合わず
乗客は煙が漂うなか非難を強いられることになった。
乗客への情報伝達にも課題があった。
特急列車に乗っていた奥崎正志さん。
緊急停車の直後 最後尾の車両に移動するよう社内放送があったが
奥崎さんには聞こえなかった。
(奥崎正志さん)
「車掌が電車のなか往復して走って
 『列車から降りてください』となって初めてみんな何かあったのかな。」
非難している最中も地上にどれぐらいの時間で出られるのか
説明を求める声が相次いだという。
(奥崎正志さん)
「何も説明なければ
 当然お客の中でいろいろな人いるから
 その中で大声出す。
 そういう人も何人かいたけど
 『地上とこういう連絡とっているから安心してください』という説明は必要。」
海底トンネルの安全対策で大きな課題となる情報伝達。
世界で2番目に長い海底トンネルでもその対策が進められている。
最高時速300キロ
英仏海峡トンネルを通ってロンドンとパリを結ぶユーロスター。
日本の指令センターにあたるRCC鉄道コントロールセンター。
ここでは専門のスタッフが常駐し
トンネル内に異常を感知すると直ちに乗務員に無線で伝達する体勢になっている。
トンネル内部には様々なセンサーが設置され
熱や煙だけでなく一酸化炭素の変化なども監視している。
(ユーロトンネル社 広報)
「列車との情報のやり取りが最も重要。
 それが我々の存在意義。」
乗客への情報伝達にも力を入れている。
海底トンネルの中でも携帯の電波は通じている。
ツイッターなどを通じて様々な情報を集めることが出来る。
通信環境を整備することで鉄道会社と乗客との情報のやり取りも可能になった。
混乱した状況の中でも乗客の投稿から何が非超過を把握し
地上から対策を講じられるという。
(ユーロトンネス社 広報)
「一方的に情報を与えるのではなく
 双方向のやり取りをすることが大事。
 乗客の状況を理解しリアルタイムで対応することが出来る。」
北海道新幹線の開業を3月に控え
課題の解消に取り組むJR北海道。
新たに設けられる指令センターでは新幹線との間でデジタル無線を配備。
モーターやブレーキなど車両の細かな状況が地上からも逐次わかるようになる。
去年4月トラブルの際にあった情報のやり取りの問題は起きないとしている。
またトンネル内の避難所には携帯電話が通じる場所を設け
乗客が外部と連絡がしやすくすることへも取り組んでいる。
(JR北海道 島田修社長)
「設備はかなりしっかりしたものができ上がっていると認識。
 設備をしっかり生かしていくための訓練がさらに大事。
 安心して乗車してもらえるよう開業を迎えられるよう頑張っていきたい。」


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障害者と企業 共にビジネスを

2016-02-24 07:30:00 | 報道/ニュース

2月10日 おはよう日本

奈良土産のロングセラー 
ビニール製のシカのおもちゃ。
それをモチーフに新たに開発されたのが「鹿コロコロ」。
紙を張り合わせて色付けした張り子の土産物である。
作っているのは奈良市にある障害者支援施設 たんぽぽの家。
知的障害のある人たちの芸術的な感性を生かし
企業と協力して様々な商品を開発してきた。
知的障害のある人が描いたイラストが使われた食器。
色鮮やかなレインブーツは障害者のデザインが採用され
ネット販売で人気を集めている。
新商品「鹿コロコロ」のデザインを担当した中村真由美さん。
得意なのはカラフルで愛嬌のあるイラスト。
描きためた数多くの案から5色が採用された。
特に神の使いとされる白い鹿は紫と緑を使った斬新な色合い。
プロのデザイナーにも絶賛された。
(たんぽぽの家 職員 藤井克英さん)
「商品にデザインが使用され
 彼女の表現が社会に発信されたり
 それが彼女の収入になって将来の自立生活につながることが目標。」
「鹿コロコロ」の開発を持ちかけたのは奈良市内にある雑貨を扱う会社である。
全国各地にある工芸品をおしゃれにアレンジして商品化している。
「鹿コロコロ」はかつて奈良で作られていた張り子の工芸品がモデルである。
「おおもとを紐解くと江戸時代ごろに“練鹿”というものが記録として残っている。」
作り手をと探していた会社と
障害者の仕事の場をさらに広げたかった施設。
お互いの意向がマッチして共同開発がスタートした。
制作を担当する人たちは細かな手仕事は得意だが
完成度の高いものにしたいという注文に応えられるかどうか
新たな挑戦だった。
1人でも多くの障害者が製作に携われるよう様々な工夫をした。
張り子は型に紙を8層重ねて作る。
最初は白い紙の上に白い紙を重ねていたので何層まで張ったのかわからなくなり
出来上がりの大きさが不揃いになってしまった。
そこで白い紙を新聞紙を交互に張ることで数えやすくした。
色の違う紙を隠すように重ねていくことでムラがなくなり
大きさも揃うようになった。
絵付けは特に精密さが求められるが
筆が上手く使えない人もいる。
このため模様を付けるスタンプを作った。
そうすれば誰もが同じように作業できる。
(たんぽぽの家 所属作家 中川雅人さん)
「大丈夫です。」
(たんぽぽの家 所属作家 十亀史子さん)
「どんどん売れて忙しくなってほしいです。」
発売を前に会社の担当者が立ち会って最終確認が行われた。
(たんぽぽの家 職員 藤井克英さん)
「作業はほぼみんな技術を覚えてやっていけそうだなっていう状況。
 40分から45分くらいで早い人は1体完成する。」
(中川政七商店 吉岡聖貴さん)
「物はほんとに職人顔負けのクオリティー。
 たんぽぽの家と組んで奈良の新名物になるよう育てていく。」
(たんぽぽの家 職員 藤井克英さん)
「障害のある人のできないことに注目するのではなくて
 どうすればできるか考え
 集中できる環境づくりが大事。」
障害のある人たちと企業が取り組む新しいビジネスの形。
できることに注目して工夫すれば
力を発揮できる場はまだまだある。


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マレー半島横断 タイ運河計画

2016-02-23 07:30:00 | 報道/ニュース

2月9日 キャッチ!


マレー半島を横断するタイの運河計画。
タイのバンコクや日本など東アジアからインド洋に向けて海上輸送する際には
これまでシンガポールを経由してマラッカ海峡を通ってきたが
マレー半島の括れた部分に運河を建設して
最短距離でタンカーなどが航行できるようにするものである。
実現すれば従来のルートに比べて航行時間や燃料費に大幅な削減につながると
地元では期待の声が高まっている。

タイ南部のマレー半島。
東側がタイ湾に
西側がインド洋に面し
その距離は短いところでわずか50キロしかない。
タイ南部のこの地域は平坦な土地が多く
古くから運河がたくさん作られ農業用水などに利用されてきた。
20年前に整備された運河は新たに計画されている運河のモデルになるとされている。
この地域には運河が大小合わせて100以上ある。
運河の建設御推進しているオーパス教授は
かつて上院議員を務めた際に運河の開発を政府に進言。
2005年に開発計画をまとめた。
計画図では候補となる運河のルートは合わせて11。
中でも大きな山がなく工事がしやすい全長120キロのルートを教授は有望と考えている。
総工費はタイの国家予算の3分の1に相当する約2兆9,000億円。
それでも運河の整備によって新たに300万人の雇用が生まれる。
(運河建設を推進するオーパス教授)
「重要なのはこの運河が日本と中国に石油を運ぶための近道になるということだ。
 推計ではにとびとの所得月3万3,000円を
 少なくとも5倍に増やせるだろう。」
10年以上前の計画にいま脚光が当たり始めた理由は
AIIBアジアインフラ投資銀行が発足したためである。
アジアの旺盛なインフラ需要をその莫大な資金で掘り起こそうとしている。
(中国 習近平国家主席)
「AIIBが発足してアジアへのインフラ投資を有効に増やせる。」
こうした中国の国家戦略を追い風に
教授たちは運河の建設を進めたいと考えている。
現に教授のもとには
これまで数回にわたり中国の団体や企業から問い合わせがあった。
(運河建設を推進するオーパス教授)
「中国は我々の計画に注目している。
 中国が投資する可能性は高い。
 この計画は彼らの利益になるからだ。」
中国から投資の可能性が浮上したことに地元では期待が高まっている。
魚の養殖に使うエサなどを生産する会社。
工場が半島の東側にあるため
これまで輸出先は中国など東アジアに限られていた。
運河が建設されれば
インドやミャンマーなどにも輸出ができるようになると期待している。
(魚飼料製造会社 ルチャティット社長)
「運河で輸送費削減と輸出拡大ができる。
 将来はきっとよくなるはずだ。」
オーパス教授によると
この運河を通った場合
従来のマラッカ海峡を通るルートに比べ
3日間の航行日数の短縮になるということである。
また深刻化するマラッカ海峡の渋滞解消にもつながるという。
建設予定地にある地元の自治体も運河建設に期待している。
運河周辺に企業の進出が加速し
経済の活性化につながると考えている。
(地元自治体 ソンチャイ市長)
「運河は地元経済に多大な利益をもたらす。
 タイ政府の予算は限られており
 技術的にも他国の協力が欠かせない。」
しかしこの計画は周辺国に波紋を呼んでいる。
特にマラッカ海峡に面するシンガポールでは危機感を強めている。
マラッカ海峡を通るタンカーの多くは荷物の積み替えなどのためシンガポールの港を利用する。
シンガポールのGDPの7%を海運産業が稼いでおり
国の経済を支える一大産業である。
もしタイに運河が建設されればこうした利益を脅かされかねない
専門家はシンガポールの懸念をこう説明している。
(民間調査機関 G・オンシェブ研究員)
「運河建設によるシンガポール経済への影響を懸念している。
 現在マラッカ海峡を通る海上交通大部分が運河を使うようになる。
 ビジネスはシンガポールからタイに移行し
 そのタイが新たな海上交通の中心となるだろう。」

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89歳 日系人女性 紅茶復活にかける

2016-02-22 07:30:00 | 報道/ニュース

2月6日 おはよう日本


89歳の誕生日に多くの子どもたちや孫たちに囲まれているのは
日系2世のブラジル人 シマダ・ウメさん。
ブラジル最大の都市サンパウロの南西200キロにあるレジストロ市。
ウメさんはこの地域のお茶農家で生まれ育った。
ブラジルの紅茶づくりは
1930年代に1人の日系人がこの地域にお茶の種を持ち込んだことから本格的に始まった。
最盛期の1980年代には本場イギリスにも輸出するなど発展。
ブラジル最大の生産地として“紅茶の都”と呼ばれていた。
しかし20年ほど前からブラジルの通貨が高騰。
輸出が中心だった紅茶産業は衰退していった。
紅茶農家は次々と姿を消し
ウメさんの実家の茶畑でも生産を止めた。
移民の1世たちが苦労して開墾し
若いころ夫や子どもたちと丹精込めて育て上げた思い出の茶畑。
その茶畑が荒れ果てていく現実を
ウメさんは受け入れることが出来なかった。
(紅茶農家 シマダ・ウメさん)
「お茶の山はみるみる草の山になった。
 泣きましたよ。
 お茶の株を抱いて。
 なんとかしてお茶を助けなければとといつも思っていました。」
そこで一昨年 一念発起して紅茶づくりを再開させた。
ウメさんが紅茶づくりにかかわるのは実に40年ぶりのことだった。
最初の半年は4人の従業員と畑の雑草を抜く毎日が続いた。
休みなく働くウメさんの姿に心動かされ
地元の人たちが次々と支援を申し出てきた。
お茶づくりに欠かせないお茶の葉を揉む機械は
同じ町に住む人が部品をかき集めて作ってくれた。
長い間 実家を離れて居た長女のエイコさんも戻り
ウメさんを手伝うようになった。
有機栽培にこだわったウメさんの紅茶。
ブランド名を「おばあ“茶”ん」と名付け
売り出した。
ウメさんの紅茶は地元で評判になり
サンパウロでもその名が知られるようになっている。
ウメさんの情熱はさらに多くの人を動かした。
愛知県のお茶生産者 後藤潤史さんは
去年 日本で開かれた紅茶フェスティバルでウメさんの紅茶と出会った。
おいしいと感じたウメさんの紅茶づくりを
一目見ようとブラジルを訪れた。
そこで後藤さんは紅茶にかけるウメさんの思いに応えたいと
日本のお茶づくりの技術を伝えることにした。
(お茶生産者 後藤潤史さん)
「情熱も含めお茶に対して
 どうしてもいいものを作りたい、と
 よくなるんだったらどんどん勉強したい
 という熱意はすごいと思います。」
ウメさんに伝えているのは“手もみ”と呼ばれる作業。
お茶の葉は機械で揉むと葉が傷つき
苦味などが強くなってしまう。
手で柔らかく揉みだすことで
まろやかでうま味のあるお茶に仕上がる。
ウメさんはいま厳選した葉を使い
手もみの技法で作る新しい商品の開発を目指している。
美しい茶畑が広がる故郷の姿をもう一度見たい。
ウメさんの夢は膨らむばかり。
(紅茶農家 シマダ・ウメさん)
「どっさり買ってくれる人が出てくれたらいいと思っています。
 50キロね!
 一生懸命やらないとね
 頑張らないといけないよ。
 だから頑張らないといけないから頑張っています。」



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“寒くても頑張ります”真冬の動物園

2016-02-21 07:30:00 | 報道/ニュース

2月6日 おはよう日本

2月の平均気温が0,5度という秋田市。
秋田市にある大森山動物園。
以前は冬の間は営業っをやめていたが
雪の上で過ごす動物たちに姿を楽しんでもらおうと
10年前から週末と祝日に開園している。
身を寄せあうワオキツネザル。
アフリカゾウは氷の上を恐る恐る歩く。
本来 雪国にいない動物たちの珍しい姿である。
年々来場者が増え
今では秋田市の冬の人気スポットになっている。
(客)
「冬じゃないと見られない動物の動きもあるので
 それはすごく面白いと思います。」
しかし寒い外で過ごす動物たちの負担が大きく
細やかな体調管理が欠かせない。
「そろそろフラミンゴさんおうちに帰りますね。」
この日は開園直後からフラミンゴが寒さにふるえていた。
3時間後 限界と判断。
お客さんがいても温かい室内へと移動させる。
飼育員の斎藤勇さんはその日の気温を見ながら外にいる時間を調整する。
室内の温度は20度。
扉を開けると南国のサルたちはいっせいに中へ移動する。
(斎藤勇さん)
「お客さんに見せないといけないから見えるようにしているんだけど
 いくら見せたいといっても寒すぎるところに出し過ぎるわけにもいかないから。」
開園当初から動物園にいるチンパンジーのボンタ。
知能が高いチンパンジーの中でも経験豊富なボンタは
そもそも外に出ようとしない。
営業しない平日も掃除のために外へ出なければならないが
寒いと判断すると動かなくなると言う。
(斎藤勇さん)
「出ないと決めたらとことんでない。
 チンパンジーは考えて出ていくからね。
 きょうは自分が出ていくとちょっとつらい目に合うのかなって。」
仲間のチンパンジーが外に出たあと
じっと何かを見つめるボンタ。
飼育員のために設置された安全管理用のモニターである。
そこに映るのは外の様子。
仲間の行動を見て曽於の寒さを判断している。
(斎藤勇さん)
「動物たちがどんなことをしているのか
 どこかで変なことになっていないかということを監視するためのモニターなんですけどね。
 最近はボンタ君がお外を見るためのモニターになってしまいましたけどね。」
動物園開園の土曜日。
朝から晴れ間が広がった。
モニターで陽ざしを確認したのか
ボンタはご機嫌な様子。
もう一度モニターを確認。
勢いよく飛び出した。
楽しそうに遊ぶボンタ。
ところがやはり寒かったようである。
中に入れてくれと扉をたたく。
室内のお客さんに向かって荒っぽい態度をとる。
ボンタはちょっと悔しそうだった。
しかし集まってきたお客さんへのサービスは忘れない。
(客)
「来てくれてありがとうって興奮してる。」
(斎藤勇さん)「ボンタ君も寒いことは寒いんですよ。
 雪のあるところに住んでる動物じゃないんでね。
 寒いのに頑張ってるなってところを見せてあげたいかなってところですね。」
寒さに耐える動物たちとしっかり体調を管理する飼育員たち。
それぞれの頑張りが支える冬の動物園である。



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剣術のやくにもたゝぬ御代ぞめでたき

2016-02-20 07:30:00 | 編集手帳

2月11日 編集手帳

 

 日本の【天気】には「空模様」のほかに「晴天」の意味がある。
英和辞典で【ウェザー】を引くと「荒天」と載っている。
国際情勢の天気を占うにも、
どうやら楽観が禁物らしい。

「戦争の放棄」をうたった憲法9条は限りなく尊いが、
それだけで悲惨な戦禍が避けられる保証はない。
日本が戦争を放棄しても、
戦争が日本を放棄してくれるとは限らないからである。

日本を放棄してもらうには三つの案があるだろう。
A案「ナキネイリ」作戦。
他国に何をされてもほうっておく。
領土が侵されても、
これなら喧嘩(けんか)にならない。
B案「コワモテ」作戦。
軍備を競う。
手を出せまい、と。

C案「ナカマ」作戦。
日本に悪さをしたら俺たちが黙っていないぞ、
という仲間と心を通わせる。
安倍内閣が整えた安保法制はこの路線だろう。
不満の人は独自のD案を世に問えばいい。

国の姿かたちに思いを致す日である。
〈あせ水をながしてならふ剣術のやくにもたゝぬ御代(みよ)ぞめでたき〉(江戸の狂歌)。
平和のおかげで現在の繁栄を築き、
「めでたき」心が骨の髄まで徹した国だからこそ、
胸を張って汗水を流すことができる。

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アルバニア「トーチカ」 “負の記憶”と共に暮らす

2016-02-19 07:30:00 | 報道/ニュース

2月4日 キャッチ!


トーチかはかつて世界各地の戦場で
兵士が身を隠し
空いた隙間から機関銃で敵の歩兵を撃つために作られた。

アルバニアの国土は日本の四国の1、5倍。
約300万人が暮らしている。
今もアルバニアの各地で見られるトーチカ。
人々の暮らしの中に
存在感とともに暗い過去の記憶を今に残している。
現在はEUヨーロッパ連合の加盟を目指すなど
国際社会との関係強化を進めるアルバニアだが
1990年ごろまではいわば鎖国状態となっていた。
第二次世界大戦後 独自の共産主義体制を築いたアルバニア。
当初はソビエトや中国などと外交関係があったが
両国との政治的対立で
70年代には国際社会から孤立してしまう。
外国からの侵攻を恐れるあまり当時のヱンベル・ホッジャ政権は
すべての国民を守るという名目で
70万個と言われるトーチカを国内各地に建設。
その一部が今に残っている。
暗い過去の記憶を残すトーチカに市民からは批判的な声も聞かれる。
(市民)
「戦争を思い起こさせるので
 子どものころトーチカは怖かったです。」
「当初の目的が良いものではないし
 今となっても何の役にも立ちません。」
そんな負の遺産であるはずのトーチカにアルバニアの独自性を見出している人がいる。
旅行会社を営むエルトン・チヤウシさん。
去年からはアルバニアのトーチカをめぐる観光ツアーを始めた。
チヤウシさんは
トーチカこそが他のヨーロッパの国々とは大きく違うアルバニアの歴史を物語る重要な証拠だと考えている。
(旅行会社経営 エルトン・チヤウシさん)
「大変だった時代のことを伝える必要があると思います。
 トーチカこそがアルバニアの“困難の歴史”のシンボルなんです。」
東ショーロッパの民主化から25年。
経済的に遅れていたアルバニアも
今では新しい建物の建設が進むなど
社会は大きく変化しようとしている。
各地に残るトーチカや住民らの避難施設であったシェルターが
ユニークなアイデアで活用され始めている。
地元の食材にこだわり外国からも多くの客が訪れる人気のレストラン。
レストランにある子どもたちの遊び場で目に飛び込んでくるのがトーチカ。
子どもたちにも親しみやすいようテントウムシやカメにペイントされている。
またそれだけではない。
料理にも貢献している。
かつてシェルターだった場所で約600個ものチーズが熟成されている。
気温や湿度が一定に保たれるためチーズ作りに適しているという。
(レストランオーナー)
「冬は外より暖かく
 夏は涼しくて気持ちが良いんです。」
海沿いにはトーチカの上に建てられたホテルもある。
夏場に砂浜で使うパラソルなどを使う倉庫としてトーチカを利用している。
また地元産業にも貢献している。
街の土産物屋を曽族と覗くと
ペン立てや灰皿などトーチカをかたどった様々な商品が並んでいる。
トーチカの観光ツアーを手掛けるチヤウシさんは
アルバニア各地のシェルターを使ったユニークな場所を紹介している。
ワイン作りのために使われているシェルターや
家畜を育てる農家のシェルターなど
その珍しさに観光客からの評判は上々で手ごたえを感じている。
さらにチヤウシさんはトーチカ観光の今後に大きな夢を抱いている。
(旅行会社経営 エルトン・チヤウシさん)
「海沿いのトーチカは西側を向いています。
 夕日の見える“トーチカ・ホテル”なんてどうでしょう?
 すばらしいでしょ?
 ぜひ実現したいです。」
アルバニアの歴史を今に伝えるトーチカ。
チヤウシさんは負の遺産と向き合いながら新しい時代を生きている。


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フィンランド 建設進む核燃料の最終処分場

2016-02-18 07:30:00 | 報道/ニュース

2月3日 キャッチ!


フィンランドの首都ヘルシンキから北西に240キロの町ユーラヨキ。
ここに原子力発電所から出る使用済み核燃料の処分施設「オンカロ」がある。
極めて高い放射線量を持つ核燃料の
世界で唯一の最終処分場である。
オンカロとはフィンランド語で穴蔵を意味する。
建設途中の現場は
大型車が入れるトンネルが地下深くまで続いている。
地下400mの岩盤に
アリ塚のように無数のトンネルが張り巡らされ
そこに放射性物質を固めて完全密閉した容器を埋めていく。
完成すればトンネルの総延長は70キロに達し
合わせて9,000トンの使用済み核燃料が運び込まれる予定である。
計画では数年内に燃料の運び込みが始まり
その作業が終わるのは2120年ごろ。
その後は完全に入り口を埋めてしまい
誰も近づけないようにする。
こうして放射性物質が環境に影響を与えなくなるまで
半永久的に閉じ込める。
その期間は10万年という長期にわたる。
使用済み核燃料の最終処分場は世界中で検討されているが
住民の反発が強く
建設許可が下りたのはここだけである。
(運営会社広報部長 パシ・トゥオヒマー氏)
「事前に十分打ち合わせをして
 何か起きたらすぐに情報を出します。
 何か起きたらすぐ知らせれば信頼を築くことにつながります。」
会社の情報開示の一端として
広報担当者に案内されたのは
オンカロ近くにある放射線量の低い廃棄物の処分場。
40mほどの地下に設けられ
規模こそ小さいものの構造はオンカロと基本的に同じということである。
施設は約19億年前に形成された花こう岩の岩盤を掘って作られていた。
極めて強固な岩盤である。
ただ問題があるという。
地下水である。
水が放射性物質と混ざり
周辺に漏れる恐れがある。
施設の中でも地下水の漏れ出ている場所は算定された。
広報担当者は
水が廃棄物に接触しないよう容器に措置を施したうえで
排水処理で水を取り除いていると説明した。
視察に来た地元の中学生に遭遇した。
こうした視察はオンカロの安全性に理解を示してもらうために頻繁に行われている。
(中学校の教師)
「この施設が公開されているのはとてもいいことだと思います。
 原発反対の子もいますが
 このような施設が必要だということを学ぶようです。」
オンカロがあるのは人口6千人ほどの小さな町である。
この地域では花こう岩のせり出している光景がいたる所で見られ
町全体が固い岩盤の上にあることがわかる。
しかしオンカロの建設には長い議論を要した。
1994年にフィンランド政府がオンカロの設置を決めて
この町を建設候補地の1つとすると
住民の多くは反対した。
(地元住民)
「処分場で事故が起こる可能性もあるので
 私には安全かどうかはわかりません。」
町全体での議論は6年に及んだ。
そして2000年
議論の末 町議会は20対7でオンカロの建設を承認したのである。
町長は
運営会社が情報開示に向けて積極的な姿勢を示したことが住民の信頼を得ることにつながり
それは今も続いていると話した。
(ユーラヨキ ヒーティオ町長)
「原発で何が起きているか
 それが良い情報でも悪い情報でも
 運営会社はすぐ我々に情報を知らせてくれています。」
町長が案内したのは庁舎内の地下にあるシェルター。
思い扉の向こうには体に付いた放射性物質を洗い流すシャワーが設置されていた。
もともと東西冷戦時代の核戦争に備えて作られた施設だが
今は放射能事故に備えて使われているという。
何重もの扉の先には
仮にオンカロで事故が起きた際に
町役場の職員が避難して作業を続ける部屋があった。
こうした地下シェルターは規模の大きな建物には設置されており
住民の避難場所としても使われるということである。
オンカロの建設が可能になった背景には
運営会社の情報開示に加えて
万一に備えた自治体の備えもあったのである。
(ユーラヨキ ヒーティオ町長)
「もちろん万が一の事故に備え訓練も続けています。
 それが我々の務めです。」


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大人気! 金色の猿

2016-02-17 07:30:00 | 報道/ニュース

2月2日 おはよう日本


兵庫毛佐用町
野生の猿が生息した山を整備した船越山モンキーパークで
ひときわ注目を集める金色の猿。
金のように光り輝くことから「ひかり(メス)」と呼ばれている。
金色のニホンザルは全国でもこの1匹だけとされている。
申年の今年 
毛並みが神々しく縁起が良いひかりを一目見ようと
例年の3倍以上の人が訪れている。
「商売繁盛。」
「ことしも家族健康でありますように。」
「家族全員お猿さんのように飛び回って
 ことし1年過ごせますように。」
ひかりの人気の理由はその外見だけではなくその境遇にもある。
14年前 ひかりは突然変異で毛の色がうすい状態で生まれた。
群れのトップの子として生まれたひかりは
他の猿たちから一目をおかれていた。
しかしやがて父親がトップの座を追われ
その子どもであるひかりの地位も低くなった。
いつも他の猿から威嚇され
十分にエサが食べられない。
冬は食べ物が少ないうえ
シカが猿の縄張りを荒らすため
さらに厳しい季節である。
しかしその困難をひかりはある工夫で乗り越えている。
朝8時 ひかりは一番乗りで山から降りてきた。
飼育員の足もとに自ら駆け寄りエサをねだる。
人になれているひかりならではの作戦で
やっと満足にエサにありつけた。
遅れること30分 群れが到着。
ひかりは一足先にその場を離れ
他の猿と争わずに済んだ。
賢く
たくましく生きる姿は訪れる人たちを元気づけている。
「猿も大変やと思うんで
 僕も社会で振り落とされないよう頑張ろうと思う。」
厳しい環境の中でも自ら道を切り開く金色の猿。
その知恵と努力は私たちにも通じるものがある。

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