5月9日 おはよう日本
ホンダF1開発責任者の浅木泰昭さん(61)。
手掛けるのは車のエンジンにあたるパワーユニット。
レーシングカーの心臓である。
2015年
ホンダはかつて黄金時代を築いたマクラーレンとコンビを組みF1に復帰した。
しかし厳しい結果が待っていた。
エンジンに関するルールが大幅に変更。
対応するために新たに開発したパワーユニットはパワーで他社より劣っていたぶん故障が続いた。
3年間で1度も表彰台に立てずマクラーレンとのコンビも解消。
そこで一昨年 再建を託されたのが浅木さんだった。
ホンダの黄金期のエンジンの開発
その後 市販車でも数々のヒットを生み出すなど
プロジェクトを成功させる手腕を買われて
数百人もの技術者が携わるパワーユニットの開発を指揮することになった。
(ホンダF1開発責任者 浅木さん)
「トップチームとのギャップが大きい。
その差を突きつけられて
これを今すぐどうっするんだと言われて
みんな思考停止。
どうやって勝つんだっけというところがはっきりしない中で
やみくもに一生懸命やっているふうに見えた。」
開発の方向性を見失っていた若い技術者たちをどう導くか。
浅木さんはプロジェクトを整理して優先順位をつけるというところから始めた。
まず優先したのはレースを走りきれる耐久性の確保。
その次にかつての武器だったパワーアップを目指すという道筋をつけた。
(浅木さん)
「何年か後に追いついていく考え方にして
今をベースに1歩ずつ進んでいく。
地に足をつける
考え方を変えることにした。」
性能が徐々に改善してレースで結果も出始めたことが評価されて
今シーズンからは過去4回総合優勝の強豪レッドブルレーシングと組むことになった。
すると開幕戦のオーストラリアGPでいきなり3位。
ホンダにとっては11年ぶりの表彰台だった。
トップドライバーからも大きな信頼が寄せられている。
(レッドブルレーシング マックス・フェルスタッペン選手)
「ホンダのチームはとても落ち着いている。
その様子に僕は感動しているよ。」
浅木さんはF1の過酷な戦いを通して後輩たちにさらに成長してほしいと願っている。
(浅木さん)
「レースみたいに残酷なぐらい結果がわかりやすいところでないと
責任があいまいなところだと逃げ道がある。
レースという世界は人間を育てるのに適していると思う。」