日暮しの種 

経済やら芸能やらスポーツやら
お勉強いたします

天安門事件から30年 世界はどう動いたのか

2019-06-30 07:00:00 | 報道/ニュース

6月3日 国際報道2019


(当時のABCニュース)
「中国政府は天安門広場の学生たちを鎮圧するよう命じました。」
(当時の英BBCニュース)
「何時間も銃撃が続いたあと私は軍の部隊と直面しています。
 群衆は“殺戮をやめろ!政府を倒せ”と叫んでいます。」
流血の惨事に衝撃を受けた国際社会。
当時どのように天安門事件に対処したのか。
外交文書から明らかになってきている。
イギリス国立公文書館。
「こちらが1989年の天安門事件に関する外務省の機密ファイルです。」
北京のイギリス大使館から日々 本国に送られてきていた現地の情報。
そこには政権内部からリークされた情報として
デモ鎮圧に向けた強い意志を示す最高実力者 鄧小平氏の言葉とされるものが記されていた。
200人が死ねば中国は20年の安定を得られるだろう
こうした中国の強硬な姿勢をアメリカのブッシュ大統領をはじめ各国の首脳は一斉に非難した。
(アメリカ 当時 ブッシュ大統領)
「わが国は武力行使を強く非難する。」
ところが事件直後
ブッシュ大統領とイギリスのサッチャー首相(当時)の間で交わされた電話記には
中国との関係悪化を望まない姿勢が透けて見える。
(ブッシュ大統領)
このままアメリカが中国政府との関係を維持できるよう望んでいる
(サッチャー首相)
大統領に同意します
中国当局との外交チャンネルは維持し続ける必要があります
イギリスは中国との対応に苦慮していた国の1つである。
当時 北京の大使館で情報収集にあたっていた 元在中国イギリス大使館二等書記官 ショーン・リオーダン氏。
イギリスは中国との関係悪化を望まない事情を抱えていたという。
それは8年後に控えた香港の返還だった。
(元在中国イギリス大使館 二等書記官 ショーン・リオーダン氏)
「私たちの関心は安定した斬新的な進展であり
 香港に不安定な状況をもたらすような劇的な変化は望んでいなかった。」
本国で対中政策を担っていた元イギリス外務省共闘局長 アンソニー・ウィルミントン氏。
中国政府を刺激しないようバランスをとっていたと証言する。
(餅イギリス外務省 極東局長 アンソニー・ウィルミントン氏)
「サッチャー首相とブッシュ大統領は
 長期的に中国を懲らしめ続けたり
 避難し続けたり
 制裁措置を科すことは生産的だはないと考えていた。」
一方アメリカが重視したのは中国から得られる経済利益だった。
かつての中国大使で
その後国務次官補として対中政策を担ったウィンストン・ロード氏。
中国がとる改革開放路線の維持を望んでいたという。
(元在中国アメリカ大使 ウィンストン・ロード氏)
「すでに各国は中国との経済的な結びつきが大きく
 孤立させない方が良いと考えた。」
各国の思惑が錯綜するなか迎えた事件翌月のサミット 先進国首脳会議。
中国に対し武器の取引禁止などの制裁を科し
厳しい姿勢を示した。
ところが舞台裏では違う動きが起きていたことが
サミットの5日後にブッシュ大統領が鄧小平氏に送っていた書簡に記されていた。
親愛なる友 鄧小平殿
サミットの共同宣言の草案に
中国を過度に非難する文言がありましたが
アメリカと日本が取り除きました
今は厳しい時期かもしれませんが
米中の明るい未来に向け
ともに前進しましょう
その後 驚異的なスピードで発展を遂げた中国。
一方で民主化が進まないままである。
当時の外交官たちは“経済発展が民主化をもたらす”と考えていたという。
(元在中国アメリカ大使 ウィンストン・ロード氏)
「通常 国がある程度 経済的に発展すれば中産階級が生まれ
 彼らが政治的自習を要求し民主主義が導入される。
 私たちも中国がそうなることを期待したのだが・・・。」
(元イギリス外務省 極東局長 アンソニー・ウィルミントン氏)
「中国が最終的にどこへ行くのか
 これから新たなひずみが生まれ政治改革につながるのか
 判断が非常に難しい。」

 



コメント

混迷 南米のいま ④ボリビア 親中国政策に“待った”

2019-06-29 07:00:00 | 報道/ニュース

5月31日 国際報道2019


ボリビアは南米大陸のほぼ中央
アンデス山脈が連なる国である。
中国から遠く離れたボリビアだが
いま南米各国の中で最も中国寄りとされている。
きっかけは2002年に就任した親米派の元サンチェス大統領の政策に国民の不満が高まったためである。
アメリカ育ちのサンチェス大統領は
南米第2位の埋蔵量を誇る天然ガスをアメリカに輸出する計画を発表した。
年間10億ドルの外貨獲得を目指すとしたのである。
ところが貧困層の多い先住民族の人たちは
天然ガスを国内での需要に充てて貧困対策に役立てるべきだと猛反発。
サンチェス政権は崩壊した。
その後2006年に就任したのがモラーレス大統領である。
貧困層を優遇する政策を掲げて
反米姿勢を鮮明にして中国寄りの政策に舵を切った。
国民1人当たりのGDPは右肩上がりで
毎年およそ5%の経済成長を続け
40%近かった貧困率は半分以下になった。
ところがいまモラーレス大統領の中国寄りの政策に対して反発の声が広がり始めている。

(ボリビア モラーレス大統領)
「ボリビアは世界が認める経済成長を遂げている。
 私は政治でボリビアを再建した。
 貧困をなくし経済を回復したのだ。」
モラーレス大統領の支持者たちが手にするのは7色の旗。
古くから先住民族が象徴として掲げてきたものである。
(支持者)
「小作農や貧困層を助けてくれるのはモラーレス大統領しかいない。」
「地方への支援も手厚い。
 彼自身も地方の貧しい家の出身だから。」
モラーレス大統領の政策を支えてきたのがチャイナマネーである。
モラーレス大統領は中国の力を借りて次々と大規模な公共事業を実施。
ボリビアの主な公共投資の半分近くが中国による支援だと言われている。
たとえば最大都市ラパスの交通網ロープウェー。
標高が高い山岳地帯に欠かせない市民の足となっている。
ロープウェーの購入をはじめ
建設資材や輸入の手配まであらゆる面で中国が支援した。
道路・橋
料金所のシステムまで
自身の政策をたたえるようにモラーレス大統領の写真が。
“外国語と言えば英語ではなく中国語”
そんな認識が定着するようになったのもここ数年のことである。
街中の中国語教室の生徒の数は毎年増え続けているという。
(中国語教室 講師)
「市場では製造業も輸入も中国が入り込み中国語が必須になっています。」
潤沢なチャイナマネーで多くの人が恩恵を受けている。
先住民族のチパーナさん(26)。
自らが経営する豪華なホテルはかつてのスペイン植民地時代をイメージした装飾があしらわれている。
父親が中国企業に幹部として雇われ大成功。
そこで稼いだ資金を元手にホテルを建設した。
資材はすべて中国から取り寄せたもの。
(ホテル経営者 チパーナさん)
「中国人との仕事
 中国からの輸入が我々を支えています。
 中国との関係を築けたおかげでこの国は目覚ましい成長を遂げられました。」
併設するイベント会場ではボリビア名物の民族衣装をまとった女性たちがプロレスで大乱闘。
大勢の観光客をひきつけ
収益も上々である。
(ホテル経営者 チパーナさん)
「週末にこうしたイベントを開けば大金が入りより裕福になれるのです。
 モラーレス大統領になってから多くの購買力のある新興億万長者が誕生しました。」
ところがいまモラーレス大統領を支持してきた人々に変化が生まれ始めている。
「モラーレス政権は支持しないよ。」
「新しい大統領になってほしい。」
大工のワンカさん(40)は
モラーレス大統領の親中政策により中国企業からの仕事は増えたが
休みがほとんどない劣悪な環境のもと低賃金で働かされるなど
暮らしはむしろ悪化しているという。
(ワンカさん)
「中国は侵略者です。
 中国が私たちの資源も仕事もお金も奪ってしまうのです。」
国民の間では
中国からの借金が知らず知らずのうちに膨らんでいるとして不信感が高まっている。
(ワンカさん)
「モラーレス大統領には裏切られました。
 中国との取引がどんなものか知らされず借金ばかりが膨らんでいるのです。」
変化は国会でも。
与党議員が8割を占めモラーレス大統領が思いのまま政策を通してきた国会で最近こんな光景が。
地元メディアで国会議員が公然と政権批判を口にするようになったのである。
(国会議員)
「モラーレス大統領は支持しない。」
国会議員のゴンザレスさんはほかの議員15人とともにアメリカのトランプ大統領に嘆願書を送った。
モラーレス大統領の独断で政策が進められていることに懸念を抱き
アメリカに救済を求めたのである。
“大統領に仲介をお願いしたい。
 モラーレス氏の独裁が広がるのを止めてほしい”。
(国会議員 ゴンザレスさん)
「アメリカとの関係を強化すべきです。
 大きな支援を約束してくれるからです。
 アメリカのような先進国と付き合っていくべきです。」



コメント

被爆2世作家 小説に込めた思い

2019-06-28 07:00:00 | 報道/ニュース

5月30日 世界のトップニュース


4月にニューヨークで開かれた読書イベント。
話しているのは日系アメリカ人の作家ナオミ・ヒラハラさん。
ヒラハラさんは世界中のミステリー作家が目指すエドガー賞を2007年に受賞。
そして今年もノミネートされた。
小説の題名は「ヒロシマ・ボーイ」。
主人公は子どものころ広島で被爆した日系アメリカ人の庭師。
ロサンゼルスに住む主人公が広島に50年ぶりに戻った際
遭遇した殺人事件の謎を追うという筋書きである。
ヒラハラさんは同じ主人公のシリーズ作品を7作発表。
最新作の「ヒロシマ・ボーイ」では初めて広島を舞台に原爆をテーマに据えて小説を書いた。
(作家 ナオミ・ヒラハラさん)
「私はアメリカ生まれのアメリカ人ですが
 広島のことは私に引き継がれているのでとても重要だと考えています。」
ヒラハラさんは両親と祖母が広島で被爆した被爆2世である。
スタンフォード大学を出たあと日系の新聞の記者を経て作家になった。
家族から被爆体験を聞いて育ったヒラハラさん。
特に印象に残っているのが祖母の体験である。
1945年8月6日
原爆が投下されたあと祖母は爆心地近くで行方不明になった祖父を探したが見つからなかった。
馬のものにも見えた骨を遺骨として受け取ったという。
一方父は学徒動員で広島駅にいたときに被爆。
しかし父が被爆体験を語ったのは6年前
亡くなる間際になってからだった。
(作家 ナオミ・ヒラハラさん)
「父が原爆で友だちが死んだことなど話し始めたので大変驚きました。
 抑えていた記憶が死の間際に吹き出したのです。
 私に政治てえ生糸はありませんが
 被爆の話を社会に伝え
 人々に考えてほしいのです。」
被爆体験を長らく語らなかった父。
ヒラハラさんは父のイメージを小説の主人公に重ねた。
父と同様 口数は少なく
被爆体験について語らない。
その主人公は今回の作品の中で
広島で殺人事件の謎を解くうち被爆の記憶を抱える人たちに出会う。
原爆の影響で我が子を亡くした高齢の女性や
差別を受けて結婚できなかった女性。
こうした人たちと出会うなかで主人公にも被爆の記憶がよみがえってくる。
ヒラハラさんは今も原爆が人々に深い傷を残していることを小説に描いた。
アメリカではいまだに過半数の人が“原爆投下は正当だった”と考えている。
広島の原爆に触れることが政治的な論争になりかねないアメリカ社会。
ヒラハラさんは
アメリカ人を主人公にしたミステリー小説という形でなら原爆の被害に関心を持ってもらえると考えたのである。
(作家 ナオミ・ヒラハラさん)
「親戚にも“書かない方がいい”と言われましたが
 私にはコミュニティと深い絆を持っている日系アメリカ人の自負があります。
 意図的に主人公を父のようなアメリカ人被爆者としました。
 そうすればアメリカ人にも受け入れられると思ったのです。」
作品はエドガー賞にノミネートされ一定の評価を得た。
受賞は逃したがヒラハラさんは手ごたえを感じた。
(作家 ナオミ・ヒラハラさん)
「メインストリームの舞台で認められて本当にうれしく誇りに思います。
 広島への原爆投下はアメリカでは論争になるテーマですが
 このように認識されたのはミステリー小説の力だと思います。」
ヒラハラさんのもとには続編を書いてほしいという声も届いている。
それに応えるためにも
今後も広島について書いていきたいという思いを強めている。
(作家 ナオミ・ヒラハラさん)
「核兵器の被害はいつ起きてもおかしくありません。
 小説のレベルを超えて
 ここアメリカでも核兵器問題に真剣に取り組んでほしいです。」





コメント

混迷 南米のいま ③“ブラジルのトランプ”の波紋

2019-06-27 07:00:00 | 報道/ニュース

5月30日 国際報道2019


今年1月に就任した元軍人のボルソナロ大統領は
その過激な発言の数々から“ブラジルのトランプ”と呼ばれ
長く続いた左派政権の政策を転換して国のあり様を大きく変えようとしている。
サンパウロの中心部の富裕層が暮らす高級マンション。
家賃は日本円で月に30万円以上。
ボルソナロ大統領を支持しているのはこうした富裕層や中間層の人たちである。
貧しい人たちが多く住む“ファベーラ”と呼ばれる貧困地区では
ボルソナロ大統領の政策を批判している。
こうした地区では殺人や強盗といった凶悪犯罪のほか犯罪組織同士の抗争も多発している。
悪化の一途をたどる治安を改善するとして
ボルソナロ大統領はいま過剰ともいえる治安対策に乗り出している。

犯罪が多発するブラジルでは
2018年殺人事件による死者数は7万人を超え
増え続けているとされている。
(ブラジル ボルソナロ大統領)
「国民の正当防衛の権利を保障するため
 大統領としてこの武器を使う。」
ボルソナロ大統領は就任直後
治安対策として銃規制を大幅に緩和する大統領令に署名。
銃で自らの身を守るよう訴えた。
こうしたボルソナロ大統領の発言を受けて自衛のために銃を所持する市民が増加。
店に押し入った強盗が銃で店長を脅して金を奪おうとしたところ
レジの女性が強盗に向って銃を発砲。
さらに店長も銃を取り出して威嚇。
強盗はこのあと逮捕された。
サンパウロの警察では威嚇のために殺傷能力の高い大型の銃を持ち歩くようになった。
現場では銃撃戦で犯罪者を射殺することも珍しくないという。
その一方 市民が警察に誤って射殺される事故が急増している。
5月にリオデジャネイロで行われた警察官の暴力に抗議するデモ。
警察の行動を監視するNGOは
2018年警察官の発砲で5,000人余が亡くなり
多くは罪のない市民だったと主張している。
ボルソナロ大統領の治安対策により犠牲者がさらに増えるのではないかと懸念されている。
(息子を誤射で亡くした女性)
「私の息子は生き返りません。
 ほかの母親には同じ思いをしてほしくありません。」
もう1つボルソナロ大統領が取り組み議論を呼んでいるのが年金改革である。
ブラジルでは労働組合の力が強く
公務員などには手厚地年金がある。
年金給付は国の財政支出の40%以上を占めるまでに拡大。
財政赤字は増え続け
もはや破綻寸前ともいわれている。
ボルソナロ大統領は年金に大なたを振るい
支給開始年齢の引き上げや支給額の減額に踏み切ろうとしている。
(ブラジル ボルソナロ大統領)
「年金改革は国の財政が破綻しないよう健全化するための基盤だ。」
しかし減額の対象となる公務員などは年金改革に強く反発。
5月サンパウロの中心部に20万人以上が集まり年金改革反対を訴えた。
(デモ参加者)
「彼の考えはブラジルの未来のためにならない。」
「年金改革は労働者層から搾取し
 銀行や企業の利益を増やすためのものだ。」
2年前まで公立の幼稚園で働いていたフェレイラさん(52)。
公務員は25年以上働き50歳になったら満額が支給される。
フェレイラさんは50歳になった誕生日に幼稚園を退職した。
現在は退職時の月給と同じおよそ40万円を毎月年金として受け取っている。
いま公務員の間では
年金の開始が55歳へ引き上げられる前に早期に退職する人が相次いでいるという。
(元公務員 フェレイラさん)
「大統領の改革案で多くの教師たちが早期退職の手続きを急ぎました。
 ボルソナロ大統領の改革案には反対です。」

ボルソナロ大統領は
手厚い公務員の年金など多くの国民がずるいと感じている問題にズバッと切り込むことで高い人気を得ている。
最新の世論調査によると支持率は60%程度を維持している。
経済が停滞し閉塞感が漂うなか
変化を望んでいた国民の前に現れたのがボルソナロ大統領だったのである。
一方大統領の過激な言動には弱者やマイノリティーを軽視する姿勢も見え隠れしている。
こうした姿勢は地球規模の問題にも影響を及ぼそうとしている。

4月首都ブラジリアに数千人の先住民が集結し大規模なデモを行った。
求めたのはボルソナロ大統領が打ち出した先住民保護区の開発の中止である。
(参加者)
「先住民族の母なる自然を破壊する鉱業や農業のビジネス
 水力発電所に反対する。」
多くの先住民が暮らすのは世界最大の熱帯雨林アマゾン地域。
その面積は550万平方km。
先住民保護区はその2割以上を占めている。
先住民保護区は開発が禁止されてきたため
残された熱帯雨林が二酸化炭素を吸収し地球温暖化の抑制にも大きな役割を果たしている。
ところがボルソナロ大統領はアメリカのトランプ大統領と同じように温暖化対策に後ろ向きな姿勢である。
就任後 環境保護当局の予算を大幅にカット。
先住民保護政策の担当機関も格下げした。
そして経済活性化のために森林を伐採し
鉱物資源の採掘や発電所の建設などを認める方針を打ち出したのである。
(ブラジル ボルソナロ大統領)
「鉱業や農業などアマゾンで採れるものはたくさんある。」
いま先住民たちは窮地に立たされている。
アマゾナス州ワイキル。
この集落には17家族108人が暮らしている。
彼らの暮らしは今もほとんどが自給自足。
毎日のように森に入り食糧などを調達する。
「これはクンナンの木です。
 皮をお茶にしたり水に入れて飲む。
 体が痛い時にとても効く。」
森の恵みを糧に伝統的な生活を続ける先住民たち。
熱帯雨林が破壊されれば暮らしていけなくなると考えている。
(サテレ・マウェ族 長老)
「森がなければ生きていけない。
 大統領が私たちの代わりに決める権力はない。」
さらに先住民たちはいま差別や偏見にも不安を募らせている。
ボルソナロ政権の発足以降
先住民保護区を守る事務所への襲撃や嫌がらせが相次いでいる。
先住民たちは開発を進めようとする政府から森を守らなければならないという。
(サテレ・マウェ族 長老)
「私たちの先祖は森を守るために戦って死んでいった。
 今は私たちが戦い続ける時だ。」
さらに地球環境への影響も懸念されている。
専門家は
ボルソナロ大統領が先住民保護区の開発を許可し熱帯雨林の伐採が進んだ場合
地球全体の温暖化が加速し生態系に取り返しのつかない影響を与えかねないと警告する。
(国立アマゾン研究所)
「今の政権は破壊的なシナリオを書いている。
 森林が破壊され続ければ先住民保護区は危機にさらされる。
 アマゾンの森林破壊が30%に達したら世界に大きな影響を与えるだろう。」





コメント

混迷 南米のいま ②コロンビアの和平は

2019-06-26 07:00:00 | 報道/ニュース

5月29日 国際報道2019


2年半前 長年続いてきた内戦に終止符をうったコロンビア。
反政府ゲリラ組織と歴史的な和平合意を実現したサントス前大統領はノーベル平和賞を受賞した。
しかし去年
右派政党を率いるドゥケ大統領が就任したことで状況は一変。
(コロンビア ドゥケ大統領)
「和平合意には修正が必要だ。
 被害者が和平プロセスの中心になるための習性だ。」
世界が祝福したコロンビアの和平合意だが国内ではそれを見直そうという機運が高まっている。
コロンビア政府が和平を結んだ相手は反政府ゲリラ組織 FARC=コロンビア革命軍である。
このFARCは麻薬の売買や誘拐による身代金を資金に
50年にもわたって政府と戦闘を続けた。
長い内戦で22万人の一般市民が犠牲になったと言われている。
2016年コロンビア政府はFARCとの和平合意にこぎつける。
武装解除を条件に政治への参加を認めたほか
罪を認めた元メンバーは罪を軽くすることを約束した。
ところが去年6月
この和平合意の修正を主張するドゥケ大統領が就任。
ドゥケ大統領は
「FARCに罪の代償を払わせるべきだ」とかなり厳しい態度で臨もうとしている。

去年就任したドゥケ大統領。
FARCは内戦中に犯した殺人などの代償を払うべきだと繰り返し訴えてきた。
(ドゥケ大統領)
「我々はテロ 社会に圧力をかけるための暴力を許さない。」
与党の幹部もFARCに対し厳しい処罰を求めて行くと強調した。
(与党 民主中道党 マルティネス幹事長)
「FARCは内戦で人道に反する罪を犯したがその罪を償っていない。
 平和には許し
 そして償いが必要だ。
 我々は和平合意を修正していく。」
ドゥケ大統領の強硬な姿勢はFARCの被害者たちから強く支持されている。
被害者の会のオジョス会長。
1994年ジャーナリストとしてラジオでFARCを批判したところ
FARCのメンバーに誘拐され17日間監禁された。
オジョス会長は
凶悪な犯罪を繰り返したFARCが和平の名のもとに罰を免れるのはおかしいと訴えている。
(FARC被害者の会 オジョス会長)
「前大統領の和平合意は間違いだった。
 国民はこの国が左翼の手に落ちないようにドゥケ大統領を選んだ。」
こうした状況によってFARCの元メンバーによる武装闘争が再燃しかねないという懸念が高まっている。
首都ボゴタから車で4時間。
武装した軍が警備する敷地に300人ほどが住む小さな集落がある。
これまで生活していたジャングルに近い人里離れた地域に施設がある。
暮らしているのは元メンバーとその家族たちである。
共同生活を送り
和平合意の柱の1つとなった社会復帰のためのプログラムに沿って職業訓練を行っている。
政府が補助金を出しているこうした施設は国内に24か所ある。
FARCの元指揮官 カニョンさんは14歳から35年にわたって武装闘争に参加していた。
和平合意がなし崩し的に崩壊する事態になれば
再び仲間たちと武装蜂起することも辞さない構えである。
(FARCの元指揮官 カニョンさん)
「仲間の多くが再び武器を持ちゲリラに戻った。
 ドゥケ大統領は信用できない。
 和平合意を葬ろうとしているからだ。」
FARCの社会復帰を支援する地元の大学教授は今後に不安を感じている。
(ハラミージョ教授)
「補助金が打ち切られる可能性がある。
 前の政府の時には信頼があったが
 新政府になり
 どうなるか心配している。」
和平合意をめぐって分断が深まるコロンビア。
専門家は危機的な状況に陥っていると警鐘を鳴らす。 
(ロサリオ大学 コーシン教授)
「政府はFARCのためのコロンビア社会の改革ができていない。
 このままでは内戦状態に戻ってしまう。」





コメント

パラ競技にも実業団を

2019-06-25 07:00:00 | 報道/ニュース

5月29日 おはよう日本


競技用の車いすでトラックをかける選手たち。
日本初のパラ陸上専門実業団チーム GROP SINCERITE WORLD-ACである。
東京パラリンピックを目指す選手3人が所属。
佐藤友祈選手は車いすの4種目で世界記録を持つ金メダル候補である。
チームを運営するのは岡山市にある従業員約50人の人材派遣関連会社。
選手たちは平日は午後2時半まで会社で事務などの仕事を行う。
安定した収入を得ながら競技を続けている。
「仕事もしつつ応援してもらえるのでいいと思う。」
実業団の立ち上げを担った選手権監督の松永仁志さん(46)。
そのきっかけは自らの経験だった。
パラリンピックに3大会連続で出場した松永さん。
20代のころ練習は当時勤めていた会社の仕事が終わった夜中。
睡眠時間も十分に取れなかった。
GROP SINCERITE WORLD-AC 松永仁志選手権監督)
「いち競技者としては遠回りしたという思いがある。
 実業団は就業時間内にトレーニングができ
 活動費も会社から提供される。
 これ以上の環境はない。」
東京パラリンピックの開催決定後 パラスポーツを取り巻く環境は一変した。
去年の国際大会
パラ陸上の日本代表選手を雇用していた企業は30社以上。
8年前の約3倍に増え
企業の関心は一気に高まった。
しかし松永さんは東京パラリンピックの後もこのブームが続くのか懸念している。
GROP SINCERITE WORLD-AC 松永仁志選手権監督)
「アスリート雇用がどこまで続くか。
 これをやってこれだけ活躍したからこそ次のステージも活躍できる。
 そのための準備は競技をしながらやらないといけない。」
松永さんはいま実業団チームを継続させるカギは地元の支援だと考えている。
この日選手たちと訪れたのは地元の自動車販売会社。
立ち上げから3年でスポンサーになった地元企業は14社。
GROP SINCERITE WORLD-AC 松永仁志選手権監督)
「地域の企業が求める実業団のあり方を教えていただきたい。」
(岡山トヨタ 社長)
「企業チームだけれど地域のいろいろな人が支える形になると地域のチームという形になってくる。
 ここをどう広げていくかはこれから実業団がより発展するかどうかの境目。」
1人でも多くの選手がパラスポーツを続けてほしい。
松永さんは地元に密着した実業団チームの姿を示すことが
2020年の後も競技環境を維持することにつながると考えている。
GROP SINCERITE WORLD-AC 松永仁志選手権監督)
「このブームというかバブルはただはじけるものではなく
 チャンスとしてとらえるべきだと思う。
 2020年 5年後10年後を見据えたシステム作りを今やっておくことが大事。」



コメント

「じぞちゃん」 描き続けて

2019-06-24 07:00:00 | 報道/ニュース

5月30日 おはよう日本


4月 下関市で開かれた個展。
頑張らないで
今できること
1つ1つ
メッセージを添えた地蔵菩薩の絵が展示されている。
地蔵菩薩の名前はじぞちゃん
(来場者)
「この絵を見て帰ったあと自然に笑顔が出てくる。」
「見ているみんなに訴えかけているような感じがして。」
じぞちゃんを描いているのは下関市に住む上田理美さん(52)。
上田さんは首の筋肉が自分の意志と関係なく収縮してしまうジストニアという病と闘っている。
その治療法は今のところ見つかっていない。
食べられるのはゼリーやおかゆなどやわらかいものだけ。
体全体のバランスが取れず知人の助けがなければ外に出かけることができない。
36歳のとき夫を亡くした上田さん。
福祉施設で働きながら3人の娘を育ててきた。
しかし47歳のとき突然ジストニアを発症。
仕事が出来なくなり将来に絶望したという。
(上田理美さん)
「毎日泣きよった。
 病気になったころは。
 こんな変な病気嫌だって
 治らんの嫌嫌ってずっと毎日泣いてた。」
上田さんの描くじぞちゃんにはもとになったものがある。
子どものころ祖母に連れられてお参りしていたという地蔵菩薩である。
(上田理美さん)
「小さい頃おばあちゃんが
 困ったときはお地蔵様が守ってくれるというお話をしてくれて
 何か困ったことがあるとこのお地蔵様のお顔を思い出します。」
上田さんがじぞちゃんを描き始めたのはジストニアになって1年半が経った頃。
お見舞いに来てくれた人たちにお礼の気持ちを伝えるためだった。
描いているうちに生きていることに感謝する気持ちを絵や言葉に込めるようになったという上田さん。
あるとき友人に勧められフェイスブックに投稿。
すると全国各地から“元気をもらった”などという反響が寄せられた。
さらに最近では地元のコンサートホールなどでじぞちゃんを描いたはがきやカレンダーなどを販売できるようになった。
じぞちゃんは人とのつながりを次々に作りだしている。
(コンサートホールの館長)
「手書きならではの良さがある。
 素朴な感じでひとつずつ違う。
 お客さんは実際に手に取られてどれにしようか悩んで買っていかれる。」
(上田理美さん)
「ご縁をいろいろな人といただいてありがたいなと思います。
 病気で引きこもってたらとてもそんなご縁はなかったと思います。
 生きる糧になっています。」
じぞちゃんを描き始めて4年。
病気は進行し筆を持つ腕のしびれが増しているという。
それでも上田さんは生きる力をくれるじぞちゃんに希望を見出している。
(上田理美さん)
「病気の不安と頑張ろうという気持ちがものすごく闘うんですよ 自分の中で。
 じぞちゃんが頑張ろうという気持ちにエネルギーをくれる。
 しぞちゃんは描き続けます ずっと。」



コメント

最後のバスを降りるまで

2019-06-23 07:00:00 | 報道/ニュース

 

5月29日 読売新聞 編集手帳

 

 子供のころはなぜか、
時の流れを遅く感じる。詩人の高橋順子さんはその感覚を「雨つぶ」に例えている。

<わたしたちの時間は
 空の中に生まれた喜ばしい雨つぶ
 のように始まるのではないか…
 新品のまんまるの雨つぶはまだ
 きみの空に浮かんでいて落っこちそうもない>(「子どもの時間」)。
幼い子には退屈なほど悠長な時の流れでも、
親には愛情を注いでも注ぎきれないほど早く過ぎる時間かもしれない。

そんな大切な時を凶刃が切り裂いた。
川崎市でスクールバスを待つ児童らを刃物を持つ男が襲った殺傷容疑事件である。

悲報に胸がつぶれる。
私立小6年栗林華子さん(11)と、
子供を送りに来ていた外務省職員小山智史さん(39)が亡くなった。
子と親がどれほど幸せな時間に生きているか、
つゆほども知らない人間の犯行に違いない。

先の詩に次の一節がある。
<(雨つぶが)ゆらゆらしだすのは
 きみが最後のスクールバスから
 降りるころだろう>。
思春期の始まる頃合いと思われる。
栗林さんは最後のバスにもう乗れない。
小山さんもわが子の成長を見守ることができなくなった。
無念だろう。

 

コメント

混迷 南米のいま ①ベネズエラ 揺れる石油産業

2019-06-22 07:00:00 | 報道/ニュース

5月28日 国際報道2019


南米の経済的な側面を見ると
広大な南米大陸には石油をはじめとする豊富な地下資源と
総人口4億2,000万人の市場がある。
成長が大きく期待されていたが
実際にはいま南米の国々で急激な変化が起きていて混乱が生じている。

ベネズエラでは外貨収入の90%を占める石油産業が危機に瀕している。
石油の埋蔵量は世界一。
年間300万バレルの生産能力があるとされているが
前大統領のチャベス政権が国営の石油会社に深く関与した結果 腐敗が横行した。
人材の流出や生産施設の老朽化が進み
最新の統計では生産量が80万バレルにまで下がっている。
2013年にチャベス大統領の後を継いで去年再選されたマドゥーロ大統領の下で
経済はハイパーインフレに陥った。
さらに今年1月
グアイド国会議長が暫定大統領への就任を宣言し混乱は深刻になっている。
グアイドしを支持するアメリカは
マドゥーロ政権の資金を絶つためにベネズエラからの石油の輸入を止めて
ベネズエラの石油産業は窮地に追い込まれた。

ベネズエラ第2の都市マラカイボ。
名前の由来となっているマラカイボ湖には国営の石油会社ペドベサが原油の生産拠点を構えている。
1975年に設立されたペドベサは外貨の獲得に欠かせない原油の生産と輸出を行っていた。
マラカイボは南米の中で富裕層が集まる豊かな街として知られていたが
現在は中心部でも廃墟のような状態である。
町の中心部を走っている通りは5キロ以上にわたってほぼすべての店が閉まっている状態である。
今年に入って続く電力不足で店や高級ブランドが入る大型ショッピングセンターも閉まっている。
(商工会議所 副会長)
「商業は6割
 産業は8割以上がマヒしている。
 この国は実質的に機能停止状態だ。」
町ではガソリンスタンドの3分の2が閉店した。
ガソリンに精製するための原料をアメリカから輸入できなくなっているためである。
そのため営業を続けるガソリンスタンドでは車の列が5キロ以上続き
給油には20時間以上も並ばなければならない。
(市民)
「6時間待ってるけど全くダメ。
 これまでで最悪の政府。」
「これでは死を待つだけだ。
 我々は政府に殺される。」
国営企業のペドベサではかつて10万人以上の従業員が働いていた。
しかし経営不振などで半数近くが解雇された。
勤務していた男性の月給は日本円で3万円以上あったが去年の初めに突然解雇を通告された。
(国営石油会社に勤務していた男性)
「辞めないと投獄するぞと脅かされた。
 全く身に覚えがない脅しだった。」
退職後 男性は所有していた船を使い漁で生計を立てていたが現在は漁に出られない日が続いている。
原因は湖の汚染である。
ペドベサの老朽化した施設から油が流出したのである。
(国営石油会社に勤務していた男性)
「あの石油施設は動いていない。
 漁師の仕事を取り戻したい。
 食べ物が何もないから。」
男性は妻と子ども4人の6人家族である。
現在は妻が地元の会社で事務の仕事をしているが月収はわずか900円程度である。
食費を切り詰めても5~17歳までの育ち盛りの子どもたちに1日に1度の食事を食べさせるのがやっとだという。
(男性の妻)
「水だけ・・・。
 もうおなかがペコペコで・・・。
 この国はひどいです。
 これがベネズエラの生活の現実です。」
国営石油企業ペドベサの衰退は実はおよそ20年前から始まっていた。
ベネズエラから3,600キロ余 アメリカ南部のテキサス州。
州都ヒューストンから車で30分の所にある約5,000人のベネズエラ人が住んでいるという町ケイティ。
町にはいたるところにベネズエラ料理の看板が見える。
地元のスーパーではベネズエラから輸入した食品が売られている。
「カチャパ パタコン パステリート アレパ。
 ここにあるのはすべてベネズエラ料理です。」
5か月前にベネズエラから移り住んだ女性。
「早く状況が改善して帰国できることを願っています。」
この地域にベネズエラの人が集まるのはテキサス州がアメリカの石油産業の中心であることが理由の1つである。
サンチェス・ネゴさんは15年前にベネズエラを出てテキサス州に来た。
油田の地盤の力学を専門とし現地の技術者たちに教えている。
サンチェス・ネゴさんは同じ分野の技術者である夫とアメリカで会社を起ち上げた。
もともとはペドベサの社員としてベネズエラの石油産業を支える1人だった。
(サンチェス・ネゴさん)
「ペドベサは世界的にも素晴らしい企業でした。
 とても誇りに思っていました。」
状況が一変したのは1999年にチャベス政権が誕生してからの事である。
チャベス政権はペドベサの経営に介入を強め
原油で得た利益を施設や人材ではなく票集めのためのいわゆる“バラマキ”に利用したのである。
石油という基幹産業を政権が都合よく利用した結果
人材の流出が起きることになる。
2002年から各地でデモが起こるなかサンチェス・ネゴさんたちは政策を批判しゼネストを敢行した。
「チャベス大統領が引き起こした惨状を終わらせるために闘おう。」
しかし激怒したチャベス大統領はストに参加した社員を全員解雇。
長く混乱が続くことになる。
再就職を阻まれ祖国を離れる決心をしたサンチェス・ネゴさん。
しかし状況が改善すれば再びベネズエラの石油産業に力を尽くしたいと考えている。
(サンチェス・ネゴさん)
「多くの優秀な人たちが国の復興のために努力しています。
 できるだけ早く祖国を取り戻したい。」



コメント

東京オリンピック新種目 3人制バスケ3×3

2019-06-21 07:00:00 | 報道/ニュース

5月28日 おはよう日本


東京オリンピックの新種目の1つとして行われる3人制バスケットボールの3×3。
東京オリンピックを目指す小寺裕介選手(34)。
持ち味はロングシュート。
今年2月 日本代表の合宿に初めて選ばれ代表候補となった。
20代の選手が大部分を占めるなか
小寺選手は34歳のベテランである。
(小寺裕介選手)
「年齢は言い訳にしたくないので
 オリンピック選手になれるようにそこだけを目標に頑張ってます。」
もともとは5人制でプレーしていた小寺選手。
かつてののBJリーグの金沢武士団に所属していた。
しかし右ひざのじん帯を痛め
一昨年 競技を引退。
それでもバスケットボールへの情熱を失うことはなかった。
(小寺裕介選手)
「引退してもまだまだやれる実感はありました。
 僕自身がバスケットを続けることを望んでいたことが最大の理由。」
右ひざの痛みは完全になくなったわけではない。
それでも競技に復帰できたのは理由がある。
5人制ではチームプレーが求められ全体練習が中心となる。
しかし3×3は個人のテクニックが重要視されるため
ひざの状態を確かめながら自分のペースで練習に取り組むことができる。
小寺選手は毎日やおよそ1時間半 自主練習を行う。
重点的に取り組んでいるのは得意なロングシュート。
5人制の3ポイントシュートと同じ位置から打ち
決まれば2点と通常の倍の得点である。
自らの長所に磨きをかける。
この日放ったシュートは300本以上。
自分が作った練習メニューをこなした。
(小寺裕介選手)
「毎日毎日同じことを繰り返すことが近道になると思う。
 同じことを当たり前のように毎日やる。」
34歳の小寺選手にとってけがをしない体づくりも欠かせない。
いま力を入れているのは体幹トレーニングである。
(小寺裕介選手)
「体幹トレーニングは相当きつくて
 ずっとプロの生活では逃げてきたので
 これをやらないとこれ以上の改善はないと気づいた。」
5人制時代に重要視しなかったトレーニングと向き合っている。
(小寺裕介選手)
「予防も兼ねて長くプレーし続けるためにもこういうトレーニングは必要不可欠。」
練習と仕事を両立させる小寺選手。
競技への理解があるスポーツ用品店で週に4日働き生計を立てている。
自宅で家族と過ごす時間は心の支えとなっている。
(小寺裕介選手)
「帰ってきてご飯があることが当たり前になっている。
 家族の存在は改めて考えるとありがたい。」
4歳の娘に日本代表として活躍する姿を見せることが今の目標である。
(小寺裕介選手)
「いま日本代表のチャンスにチャレンジしているので
 “パパ日本代表だったんだよ”というのを見せられるチャンスをつかむことに対しては
 すごくモチベーションが高いです。」
新種目3×3で新たな道を切り開く小寺選手。
めぐってきたチャンスをつかもうと
壁を超える挑戦は続く。
(小寺裕介選手)
「日の丸を背負ってプレーすることは人生に1回くらいしかないチャンス。
 このラストチャンスに向けてしっかり準備できるように
 日々大切にやっていきたい。」
 



コメント

“日本一ドローンが飛ぶ町”へ 徳島 那賀町の挑戦

2019-06-20 07:00:00 | 報道/ニュース

5月28日 おはよう日本


徳島県那賀町の森の中に設けられたドローンのレース場。
速いものでは時速100キロ超にもなるというドローン。
ドローンからの映像を見ながら巧みな操作でいくつものゲートをくぐり抜ける。
(ドローンの愛好家)
「やっぱり自由に思いどおりに飛ばしたら
 ごっつい快感がある。
 自由に操るというのが最大の魅力かな。」
東京23区よりも面積が広いものの人口が8,000人余の那賀町。
高齢化率は50%に迫り過疎化も進んでいる。
県内外からドローンの愛好家を呼び込もうと
3年前 全国に先駆けてドローン推進室を設置した。
ドローンを使って何か面白いことができないか。
地域おこし協力隊の隊員が町に提案した。
しかし町民からは「危なくないか」という心配の声が上がった。
そこで町は町民向けの講習会を開催しドローンの楽しさを知ってもらう機会を設けた。
(元地域おこし協力隊の男性)
「ニュースだけだとどうしてもネガティブなイメージだけなんですけど
 実際に自分で触って体験してもらうと
 考え方って変わるもんだなって。」
次の取り組んだのがドローンを飛ばす際のルールづくりである。
あらかじめ土地の所有者や近隣住民の了解を得て
自由にドローンを飛ばすことのできる35か所のコースを設定した。
コースには桜並木や滝の名所などを盛り込み
町の豊かな自然を楽しめるよう工夫した。
こうした取り組みの結果
今では東京や大阪など全国各地から毎年100人ほどのドローンの愛好家が訪れるようになった。
(那賀町 ドローン推進室)
「当初の予想はすごく上回っていると思います。
 当初はこれほど那賀町の名前が知れ渡るとは思っていませんでした。
 非常にありがたいことだなと思います。」
町ではいま災害対策にもドローンを役立てようという取り組みが始まっている。
那賀町は県内でも有数の豪雨地帯。
去年7月の西日本豪雨の際は山間部で土砂崩れが起き5世帯が孤立した。
こうした孤立世帯にドローンで救援物資を届けられないか検討を進めている。
ドローンでの物資輸送に役立つと期待されているのが
阿南市の建設コンサルト会社が作成した3Dマップである。
特殊なスキャナーを搭載したドローンで
木や電線の高さ
斜面の傾斜などを計測し
立体的な地図を作った。
(建設コンサルト会社)
「2次元的な写真であったり地図であったりすると
 空中に浮いている障害物など把握できなかった。
 3次元で把握することで地形の把握
 それから空中の障害物
 そういったものの把握ができるようになりました。」
この3Dマップを利用した飛行ルートをドローンにインプットすれば
木や電線などの障害物を避けながら自動で飛行させることも可能である。
(那賀町 ドローン推進室)
「山間部ですので災害が起こりやすい地域なので災害時にもドローンを使用していきたい。
 安心安全なドローンの利活用で
 日本一ドローンが飛ぶ町を目指し頑張りたい。」


コメント

よみがえる青春 “制服リカちゃん”

2019-06-19 07:00:00 | 報道/ニュース

5月24日 おはよう日本


青春時代の思い出が詰まった制服。
日本全国の学生服を忠実に再現した人形がいま人気を集めている。
この人形は姫路市の会社が大手玩具メーカーと組んで企画販売している。
世代を超えて人気のあるリカちゃん人形に
本物と同じデザインの制服を着せている。
人形は主にPTAなど学校関係者からの注文で作られる。
これまで30校から注文を受けおよそ7万体が販売された。
購入者のほとんどが卒業生である。
(企画した会社 社長)
「青春時代の象徴である制服っていうものを形で残しておきたいという方がほとんどです。
 当時の思い出を懐かしむことができるというような声をたくさんいただいています。」
姫路市にある中高一貫の女子高。
この春入学した新1年生から
68年続いた制服のデザインを変更した。
PTAが卒業生絵に人形制作の注文を募ったところ3,000人から要望が集まった。
人形を購入した石田さん(57)。
40年前に卒業した。
石田さんには誰よりも早く人形を見せたい人がいた。
5年前に肺を患い82歳で亡くなった石田さんの父親である。
学生時代 病気がちだった娘を毎朝学校へ送ってくれていた。
(石田さんの妹)
「パパからしてもいい時間だったんだろうね。」
(石田さん)
「割と車の中でしゃべったりとかすることもあったし
 いい時間だね。
 いい時間を過ごせたと思う。
 感謝しかないよね。
 でも感謝を伝えられずに亡くなっているから。」
「私の高校時代とか中学時代のことを思い出して
 “朝早くから学校行ってたなあ”とか
 そういう感じで
 いろんなこと思い出してくれてるんじゃないかなと思います。
 人形を天国からじっくり眺めてもらって
 またゆっくりと感謝を伝えていきたい。」
自分への励みにしたいと人形を購入する人もいる。
5年前の卒業生 有希さん(24)である。
有希さんは去年大学を卒業し信用金庫で働いている。
お金を動かす責任の重さにプレッシャーを感じることが多いという。
(有希さん)
「お金を扱う仕事なのでミスは許されないし
 常に気を張り詰めていないといけない。
 ミスをしてはいけないって思うからこそ気持ち的にしんどくなるのかな。」
高校時代 陸上部で長距離選手だった有希さん。
つらい練習にもくじけず走り続けた経験が彼女の誇りである。
(有希さん)
「気持ちの面で鍛えられたっていうのは部活が一番大きかったかなっていうふうに思うので
 あの時頑張れたし
 この子が思い出すきっかけになると思います。
 気持ちの面で余裕ができるんじゃないかな。」
人形に重ねるかつての自分。
制服とともに過ごした大切な日々は
今につながっていく。
 



 

コメント

日傘男子

2019-06-18 07:00:00 | 編集手帳

 

5月24日 編集手帳

 

 那覇市に「沖縄日傘愛好会」という団体がある。
日傘と聞くと女性の夏の装いをまず浮かべるが、
こんな題目の運動方針を掲げている。
<「男性の日傘」実行11か条>

いくつかを引く。
<熱中症予防のため日傘を差し紫外線をカットしましょう>
<肥満防止のため日傘を差して歩きましょう>
<夫婦一緒に日傘を差して散策し、夫婦の絆を強めましょう>

地元の会社社長らが役員となり「男性諸君へ」との呼びかけとともに2006年に設立された。
近ごろ耳にする「日傘男子」の先輩であるばかりか、
国の役所も後を追うことになった。

環境省が熱中症対策に男性も日傘をと呼びかけるキャンペーンをはじめた。
広く日射が遮られるため汗の量が帽子より17%減るとのデータも示している。
日傘は女性のものとする固定観念を変えられるかどうかだが、
沖縄の先輩方が言うように適度な運動による生活習慣病の予防、
夫婦の散歩の楽しみ…
副次的な恵みは多くありそうである。

<鈴の音のかすかにひびく日傘かな>(飯田蛇笏)。
この傘の中にいる人は男女によらず、
「ああ、涼しい」とつぶやいているような。



コメント

元代表 高原直泰 沖縄で新たなクラブづくり

2019-06-17 12:50:44 | 報道/ニュース

5月24日 おはよう日本


サッカー元日本代表 高原直泰さん。
沖縄で選手を続けながら
サッカークラブの監督
そして経営まで挑戦している。
ユニフォームにそでを通した高原さんの足元は長靴。
向かったのは畑。
選手たちとコーヒーの苗を植えているのである。
(沖縄ŞⅤ 高原直泰さん)
「自分たちのクラブが沖縄にあることで何か少しでも沖縄の人たちのためになることをやっていく。」
39歳になった高原さんがプレーする沖縄SV。
4年前自らが中心になって起ち上げた。
プロ選手は5人だけでほとんどが仕事を掛け持ちのアマチュア選手である。
いまチームが戦うのは1部リーグJ1から数えて5部にあたる九州リーグ。
ここからJ1を目指す。
(沖縄SV 高原直泰さん)
「1年ごとに上がれば2年後J3まで行ける状況なので
 やはり最短でそこを目指してやっていく。」
将来Jリーグを目指すうえで高原さんにはチームに求める姿がある。
20代のころサッカー大国ドイツでプレーした高原さん。
驚かされたのは勝敗にかかわらずスタジアムを埋め尽くす熱心なファンの存在だった。
(沖縄SV 高原直泰さん)
「なぜドイツであれだけ毎試合みんなが試合を見行くのかいえば
 単に強いからとかそういうわけじゃないと思う。
 何人かで選手がファンの元へ行ってコミュニケーションをとるとか
 そういう活動がすごく盛ん。
 そうすることでチームに対する愛情とかが出てくるんじゃないかと。」
いま試合の観客は多い時で1,000人ほど。
昨シーズン(2018)のJ3の平均入場者数約2,500人と比べて大きな差がある。
地元の人たちに常に応援してもらうには何が必要なのか。
その答えの1つが農業だった。
沖縄で人手が不足している農業に一緒にかかわり
一緒に作業をすることで地元の人との距離を縮めようと考えたのである。
(農業を営む 玉城さん)
「僕らも普段関わらないジャンルの人たちだから
 一緒に畑作業するというのは刺激になる。
 選手がどんな人か知っているので
 知らない人応援するよりも力の入り方が違う。」
コーヒー栽培は将来クラブの収入源にしたいと考えている。
高原さんはゆくゆくはサッカーや農業を地域おこしにつなげていきたいと思い描いている。
(沖縄SV 高原直泰さん)
「このクラブが沖縄の一部になっていく。
 あらゆるところでつながっている。
 それはスポーツだけじゃなくて農業だったりとか
 1つの大きなグループじゃないけれどそういうものを作っていきたい。」


コメント

米 ハンバーガー大国に異変!

2019-06-16 06:00:00 | 報道/ニュース

5月23日 おはよう日本


野菜などを使った代替肉がアメリカで急速に普及している。
あそこにも
ここにも・・・。
今年に入って
ファーストフード店などが一斉に代替肉を使ったハンバーガーを売り出した。
大手チェーンのバーガーキングも4月から一部店舗で代替肉バーガーを販売。
大豆やジャガイモのたんぱく質などから作られ
脂身はココナッツオイルなどすべて植物性の素材でできている。
価格は約660円。
普通のハンバーガーより100円ほど高めだが
販売が伸び
年内には全米7、200のすべての店舗に販売を拡大する。
代替肉は大手スーパーでも売られている。
1パック約760円。
エンドウ豆のたんぱく質などを中心に作られていて
色は「ビート」と呼ばれる赤い根菜の抽出液でつけている。
ロサンゼルスで開かれた代替肉を使った食のイベントには多くの人が訪れた。
代替肉を選ぶ理由は人によってさまざまである。
「健康のためよ。」
「環境のためよ。
 牛などが出す温室効果ガスはとても多いわ。」
「動物愛護のためよ。
 普通の肉を食べるのは罪悪感がある。」
なかにはこんな理由も。
「普通の肉より代替肉の方がおいしい。」
こうしたなかマクドナルドも動いた。
5月からドイツで代替肉バーガーの販売を開始。
消費者の反応を探る。
人気が広がる代替肉。
5月2日には開発メーカーの1つビヨンドし・ミートが新興市場ナスダックに上場。
将来の成長が期待できるとして
開発メーカーには多額の投資資金が流れ込んでいる。
会社は約260億円を調達し生産設備を拡張する計画である。
(ビヨンド・ミート イーサン・ブラウンCEO)
「これからは健康志向の消費者も大好きな肉の味を楽しむことができる。」



コメント