日暮しの種 

経済やら芸能やらスポーツやら
お勉強いたします

五輪の名場面に名文句

2018-02-28 07:00:00 | 編集手帳

2月17日 編集手帳

 

 「世界中の青空を、
 全部東京に持ってきてしまったような」。
1964年の東京五輪開会式。
NHKの北出清五郎アナウンサーの実況は今も語り継がれている。

記憶に新しいところではアテネ五輪の体操団体だろう。
冨田洋之選手が金メダルをたぐり寄せる着地を決めようかという瞬間に、
「伸身の新月面が描く放物線は、
 栄光への架け橋だ!」。
NHKの刈屋富士雄さんである。

名場面に名文句はつきものなのだろう。
だが過去の名実況は修辞的な表現ばかりかというと、
そうでもない。
一つに長野五輪スキージャンプがある。

「立て、立て、立て、
 立ってくれ、
 立ったー」。
同じくNHKの工藤三郎さんは、
着地に不安のあった原田雅彦選手が滑空している間、
お茶の間の人々の思いを代弁するかのように声を張りあげた。

きのうは、
どちらかといえば普段はいかめしい顔で座っている人の多いわが職場でも拍手が起こった。
羽生結弦選手がショートの演技を終えたそのときである。
きょうはこの日本でどれほどたくさんの目が平昌の氷上に釘づけになるだろう。
永遠に忘れがたい名文句が生まれることを祈ろう。

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不純物が目立つ五輪

2018-02-27 07:00:00 | 編集手帳

2月15日 編集手帳

 

 読売歌壇にスポーツ選手の実名入りの短歌が載ったことがある。
<我も又重き荷負わせし一人ならむ許したまえよ高梨沙羅よ>(加治勢以)

ソチ冬季五輪でまさかの4位に終わった高梨選手に期待があまりに大きかったせいだろうと詫びている。
まじめさゆえか、
いつもインタビュアーの顔をまっすぐに見て話す17歳(当時)の少女の、
落胆した姿を浮かべる方は多かろう。

そこからはい上がったと思えば、
表彰式の笑顔がよけいにまぶしく映る。
平昌五輪スキージャンプ3位の高梨選手である。
メダルの色は目標の金には届かなかったとはいえ、
力を出し切れたというコメントがうれしい。

五輪に限らず、
選手とそれを観る人はお互いに心を使う。
負けた選手の談話によく「すいません」があるけれど、
先の歌に従えば、
応援する側も例外ではない。
よかった。
悔しい――澄んだ心でそれを共有するからスポーツは栄えるのだろう。

ただ、
この五輪で残念なのは不純物が目立つことである。
きのうはアイスホッケー女子の応援席で領有権を主張する島を明示する朝鮮半島旗が掲げられた。
心の使い方が歪んでいる。

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「服育」のため?

2018-02-26 07:00:00 | 編集手帳

2月14日 編集手帳

 

 子供にとって、
ものを与えられるとはどんなことだろう。
まど・みちおさんに「朝がくると」という題の生活に根ざす詩がある。

<顔をあらうと
 ぼくが作ったのでもない
 洋服を きて
 ぼくが作ったのでもない
 ごはんを むしゃむしゃたべる
 それから ぼくが作ったのでもない
 本やノートを
 ぼくが作ったのでもない
 ランドセルに つめて
 (中略)
 おとなになったなら
 ぼくだって ぼくだって>(『まど・みちお全詩集』理論社)

こんなふうに思ってくれたら、
与えがいもあるだろう。
頼もしい将来が見える気がする。

ただ、
何でもそう思えるわけではあるまい。
詩の「洋服」の部分を「アルマーニ」に替えると、
どうなるか。
その一行をつぶやいてみれば、
よほどただの洋服のほうが大切なものに感じられないか。

東京都中央区立泰明小学校が高級ブランド「アルマーニ」の標準服を採用する。
朝が来て、
顔を洗い、
一式約8万円の服を着ることが子供たちの将来にどう好ましく影響するのだろう。
今や食育は立派な教育用語だが、
発案者の校長先生は「服育のため」と語った。
それって、
なんだ?

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芝の上の「供養」

2018-02-25 07:00:00 | 編集手帳

2月10日 編集手帳

 

 先頃、
スポーツ報知の競馬面で思いがけずホロリとする記事を読んだ。
今週末から短期免許を得て中央競馬に加わるフィリップ・ミナリク騎手(42)が、
急逝した友の鞍(くら)を携えて来日したという。

もとの鞍の持ち主は同じドイツ所属でイタリア出身のダニエレ・ポルク騎手。
1月初め、
がんを公表すると、
ひと月を待たずに34歳の若さで逝った。
両騎手は4年ほど厩舎(きゅうしゃ)で寝食をほぼ共にした時期がある。
互いに苦労を知り、
よきライバルでもあった。

ポルク騎手が一つ思いを遂げたのは昨年11月のジャパンカップの騎乗だった。
着順はふるわなかったものの、
日本を好きになって帰ったらしい。

同じくジャパンカップで騎乗し、
すべてをそばで見ていたミナリク騎手が友の形見を担いできた理由を分からぬ人はあるまい。
その鞍で馬を走らせることは欧州では何と言うのだろう? 
日本ではまさしく「供養」と呼ぶ。

とはいえ今回の来日で、
独トップの騎手が騎乗機会に恵まれたのはその腕前を買われたからにちがいない。
やや色づきを失った冬芝の上に、
競馬ファンは二人の影がかさなる騎乗を見ることになるだろう。


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ネパール 伝統の絵で女性の自立を

2018-02-24 07:00:00 | 報道/ニュース

1月27日 おはよう日本


ネパールの女性たちによって代々受け継がれてきたミティラー画という絵。
インドとネパールの国境をはさんだ「ミティラー地方」と呼ばれる地域で
3千年ほど前から
女性が自宅の土壁にヒンドゥー教の神話をモチーフに描いてきたものがもとになっている。
現代絵画の巨匠 ピカソも高く評価したとも言われている。

ミティラー地方は
ヒンドゥー教やイスラム教 仏教などが入り交じり
古くから独特の文化が栄えてきた。
♪ 神様 私たちを幸せにしてください
祝福の歌を歌いながら絵を描いている女性たち。
土壁に明るい色彩の人や花が描かれている。
まつりごとや結婚式などの祝い事があるたびに描かれ
自然と母から娘へと受け継がれていった。
この壁に描かれているのは
ヒンドゥー教の神様が結婚する際に花輪を交換するという神話の一場面である。
(絵を描いている女性)
「8年くらい前から描いています。
 絵を描いている時はとても幸せな気持ちになります。」
男尊女卑の風潮が根強く残るネパールでも農村部は特に保守的である。
今でも成人前に親から結婚を強制される女性や
結婚後 夫以外の男性と話す自由を与えられない女性が少なくない。
子どもを抱きながら重い水瓶を運ぶ女性。
壁画は
女性たちが苦労が多い日常生活を表現する数少ない場にもなってきた。
この壁画は1930年代にこの地域を訪れたイギリス人によってヨーロッパに広められ
芸術性が高く評価されてきた。
このミティラー画を女性の自立につなげようとしているNGOがある。
運営するのは地元の女性たち。
50人ほどの女性がミティラー画を施した絵画や刺しゅう 陶器などを制作し販売している。
30年ほど前から海外の支援を受けて始められた。
今では多くの観光客がミティラー画を目当てに訪れるようになり
女性たちの貴重な収入源となっている。
(観光客)
「この画家の絵は本当にいいですね。」
(NGO職員)
「ミティラー画はこれまであまり表に出ていませんでした。
 今では女性の経済的な自立に役立ち
 社会にも新たな価値を生みだしたのです。」
ミティラー画によって経済的な自立を実現できたスナイナ・サク―さん(31)。
17歳で結婚したスナイナさん。
家事や畑仕事に忙殺され
外出すらほとんど許されなかったと言う。
(スナイナ・サク―さん)
「私はなかなか外に出ることができませんでした。
 もし外に出ようものなら
 どこに行くのか何をするのかと非難されました。
 自由に学ぶことも出来ず
 私はとても苦しみました。」
自由が全くない生活を変えようとスナイナさんはプロの画家になることを決意。
夫の反対を押し切り
家族が寝静まった夜中に画を描き続けた。
スナイナさんの作品には
井戸からの水汲みや料理 縫い物など
仕事に追われながらも懸命に生きる女性たちの姿が鮮やかな色彩で描かれている。
スナイナさんの絵は今では日本円にして1枚3,000円ほどで売れるようになった。
国際的な賞を受賞したり外国で個展を開いたりするなど
ネパールを代表するミティラー画家の1人として活躍している。
(スナイナさん)
「ミティラー画がなければ今の私はありません。
 私の人生そのものなのです。」
はじめスナイナさんが画家になることを反対していた夫のシャンブーさん(48)。
今では彼女の活動を応援していると言う。
(夫 シャンブーさん)
「妻が賞を取ったことで
 彼女の才能をようやく信じることができました。」
スナイナさんには12歳の娘がいる。
自らの収入で大学まで卒業させるのがスナイナさんの願いである。
スナイナさんは8年前から村の女性たちに画の指導を始めている。
自分と同じように
自立した人生を手に入れてほしいという願いからである。
(生徒)
「ここに来て
 人にお金を借りなくてもやっていけるようになりました。」
(スナイナ・サク―さん)
「教育を受けていない人でも絵を描くことができます。
 私が教えた女性たちが自分の力で稼げるようになることが
 私にとってもっとも大切なことなのです。」
3千年の伝統を持つミティラー画。
その伝統を受け継いだ女性たちは今
男性優位の社会の中で
自立に向けた一歩を踏み出している。


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酒に ばくちに お侍さん 京都太秦 映画村

2018-02-23 07:00:00 | 報道/ニュース

1月27日 おはよう日本


目の前で始まる激しい立ち回り。
酒屋では熱かんが楽しめる。
夜の時代劇の聖地が訪れた人を魅了する。
(訪れた客)
「最高です。」
「タイムスリップした気持ちで楽しませてもらっています。」
京都市右京区の東映太秦映画村。
時代劇を中心にこれまで数々のヒット作を生み出してきた。
しかしいま撮影の利用が減っている。
(東映太秦映画村 山口記弘社長)
「テレビ時代劇がこのところかなり減ってきた。
 撮影が非常に減ってきたのが現状。
 危機感はかなりある。」
映画村をこれまでにない方法で盛り上げられないか。
アイデアを出したのは京都市にある広告代理店である。
こだわったのは「夜」。
幕末の夜の京都の雰囲気を
初めて一般の人に味わってもらおうというものである。
セットを使い当時街にあった店を再現する。
飲食店や美容室など市内の20の店が賛同し
それぞれの店主を務める。
(大手広告代理店 各務亮さん)
「時代劇をもう一度多くの方に楽しんでいただく。
 文化のエンタメパークをつくる。
 そこに来たお客さんにライブ時代劇をご覧いただく。
 その中で時代劇の魅力をもう一度発見できたらと。」
役者たちの準備も余念がない。
身近で演技するとあって練習も普段とは少し違う緊張感である。
イベント当日
店を出す地元の人も当時の姿に。
「私は悪い人の役らしいです。」
「近所の金閣寺の近くで果物店をやっています。
 当時うちの店はなかった。
 そのころを想像して楽しめれば。」
夜のとばりが降り
特別入場が始まった。
2日間限定のイベントには約2,000人が訪れた。
幕末の京都を忠実に再現。
髪結いの店は鏡などしつらえも当時のまま。
ばくちも。
突然 街に現れた浪士。
見学の女性を連れ去ろうとする。
そこへ登場したのは新選組の土方歳三。
客はまるで歴史の証人のように見つめる。
「皆のもの お騒がせした。」
(訪れた客)
「こんなわくわく感はない。
 夢と現実が折り重なってうたかたの一夜が繰り広がる。
 もう最高ですね。」
(土方歳三役 俳優 いわすとおるさん)
「いろんなドラマがある中で
 若い人たちが興味を持ってくれたら
 やっているほうとしてもこんなうれしいことはない。」
地元の人も参加し再現された幕末の京都の夜。
時代劇の新たな楽しみ方が広がっている。


 

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フランスで反響 「TCHIKAN」日本女性の告白

2018-02-22 07:00:00 | 報道/ニュース

1月26日 国際報道2018


フランスである告白本が反響を呼んでいる。
タイトルは「TCHIKAN」。
♪今こそ扉をぶっ壊せ!
 多くの女性が告白したのは我慢の限界だったからだ
フランスの歌手が12月に発表したこの曲。
友人が受けたセクハラへの怒りを歌い 
220万回以上再生されている。
12月25日にパリで開かれたイベント。
“性差別に反対する国民の日”と題され
差別をなくすにはどうしたらよいか
多くの女性たちが意見を発表している。
「社会は被害者の声に耳を傾けず
 女性の言い分を過小評価しているのです。」
10年以上前にあったレイプの被害を去年フランスのメディアに打ち明けた女性。
「被害者はずっと打ち明けられず
 恥ずかしい思いや罪悪感に苦しんでいます。」
“世界の女性たちと団結しよう!”
フランスでも
セクハラなどの被害を受けた人たちが自らの経験を打ち明けようと立ち上がっている。
そのフランスで告白本を出版した日本人女性がいる。
フランスで暮らしている佐々木くみさん。
タイトルは「TCHIKAN」。
日本で12歳から6年にわたって痴漢の被害を受けたと赤裸々に綴っている。
(告白本「TCHIKAN」著者 佐々木くみさん)
「満員電車に乗って
 そのときに痴漢が7分間か8分間ぐらい続いた。
 何で声を上げなかったの
 動かなかったのと言われるが
 恐怖でそれどころではない。」
そして帰宅して母親に打ち明けるとこのように言われたと言う。
「私は心配させないように軽く言った。
 母もあなたもちょっと気をつけなさいと言ういい方をした。
 信頼していた一番身近な大人に相談した結果がそれだった。」
佐々木さんはそのときの気持ちを
同じ日にもう一度被害を受けた気持ちになった。
と記している。
その後 痴漢にあったことは同じ境遇の親友意外には話せなくなった。
記憶の奥に封印してきた痴漢の被害。
多くの人に知ってもらおうと決心したのは
移り住んだフランスで出会った友人が被害に共感してくれたからだった。
(佐々木くみさん)
「私が具体的な被害を言わないかぎり痴漢は軽視され続け
 私が実際に受けた被害が伝わらないと感じた。」
去年10月に出版した本は大きな反響を呼び
フランス最大のテレビ局など約50のメディアやブログで紹介された。
(記者)
「その時どんな気持ちでしたか?」
(佐々木久美さん)
「怖かったです。」
(フランスのテレビ局記者)
「若い女の子が苦しみに耐え
 誰にも助けてもらえず孤立していたのは驚きです。
 痴漢被害を告白するのは途方もなく勇気のいることだったでしょう。」
日本での性差別について研究しているフランスの専門家は
日本では公表しにくい環境があるのではないかと指摘する。
(ボルドー・モンテーニュ大学 クリスティーヌ・レヴィ准教授)
「日本で痴漢被害について書くと
 かえって批判される可能性が高い環境がいまだにある。
 フランスでは被害者に対しての共感が第一の態度としてとらえられるのが主流。」
佐々木さんにとって次のステップは
被害にあった日本で本を出版することだと言う。
(佐々木くみさん)
「ぜひ皆さんにも声を上げてほしい。
 声を上げる人が増えれば増えるほど
 ひとつの動きとなって痴漢撲滅につながる。
 痴漢に関しても#Me Tooが広がってくれればいい。」




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ロシア風サウナで癒しと交流を

2018-02-21 07:00:00 | 報道/ニュース

1月26日 キャッチ!


モスクワ中心部にある国内最大のバーニャ施設。
帝政ロシア時代の19世紀に建てられ内装は当時のまま。
一度に約400人が利用できるこの施設には年間数十万人が訪れる。
高温から頭を守るフェルトの帽子をかぶって建物の中を進むと
バーニャに入るドアが見えてくる。
バーニャの特徴はその異常なまでの体感温度。
室温の60度は日本の一般的なサウナの80度と比べて低めだが
湿度はサウナの15%よりかなり高い50%なのでかなり熱く感じ
やけどをするかのような体感である。
そのため激しく汗をかき
新陳代謝がより促されるという。
約千年前に書かれたロシアの文献にも登場するバーニャ。
“ロシア風サウナ”として人々に親しまれてきた。
設備の整ったバーニャ施設で見かけるのは“バーニャ係”と呼ばれる職人である。
バーニャ係となって11年 シュミロフ・アントンさん(37)。
バーニャの温度や湿度を理想的な状態に保つほか
マッサージなどのサービスや緊急の場合の応急手当てを行っている。
その伝統と技法は職人の間で受け継がれたもので
技を競うバーニャコンテストが毎年ロシア各地で開催されている。
1人前のバーニャ係になるには約5年の修業が必要だという。
シュミロフさんが手に持っているのは巨大な“うちわ”。
「火のそばに立っているようなすごい熱がやってきます。」
そしてバーニャで欠かせないもう1つのアイテムが
「ヴェニク」と呼ばれるカシの葉などで出来た束である。
上の方にたまった熱い空気を引き寄せ
体をたたいてマッサージをする。
伝統的なヴェニクの使い方は約10種類あり
激しくたたいたりなどして血行を促進する。
マッサージが終わると冷水をかぶり汗を洗い流す。
(バーニャ係 シュミロフ・アントンさん)
「お客は休息をとり魂も安らぎます。
 その手助けをできることが私の誇りです。」
こういった公共のバーニャでは日本円で約5,000円で2時間楽しむことができる。
バーニャは一般家庭でも気軽に楽しまれている。
モスクワ郊外に別荘を持つハイロフさん一家。
週に1度は一家そろってこの別荘に来て
備え付けのバーニャを楽しんでいる。
父親のマラーとさんは親に教えてもらった技法でヴェニクを使って子どもたちにマッサージを施す。
十分汗をかいたら体を冷やすためみんなで外に出て雪遊び。
(マルク・ハイロフ君)
「バーニャは好きだよ。
 みんなで楽しく話すことができるから。」
(マラート・ハイロフさん)
「みんなで楽しい時間を過ごし
 バーニャで家族はより仲良くなります。」
郊外にある貸し切りのバーニャ施設。
この日訪れたのは音楽を通じて知り合った4人の男性。
月1回はここを訪れ
裸になりお互いの絆を確かめ合うという。
(利用客)
「裸ですから
 当然ウソはつけません。
 私たちはすべてをさらけ出しますよ。」
裸の付き合いから生まれる強い信頼と結束力。
密閉した空間であるバーニャは
ソビエト時代から
政治や商談の重要な交渉が行われる場としても使われてきた。
(バーニャ施設経営者)
「昔から“バーニャに将軍はいない”と言われ
 中に入れば平等です。
 ロシアでは欠かせない交流の場なのです。」
寒さが厳しいからこそ心も体も温まるバーニャ。
ロシアの人たちにとって人と人との絆を育む大切な場にもなっている。



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韓国の無秩序さ

2018-02-20 07:00:00 | 編集手帳

2月8日 編集手帳

 

 熱いお湯を入れたコップを机に置く。
中身はどんどん冷えていく。
コップに触れていると、
熱は失われたように思うが、
そうではなく、
無秩序に空気に紛れて漂う。
そのようなエネルギーの特性を物理学で「エントロピー」と呼ぶ。
ある入門書に例えがあった。
<机の上を片づけるには多大なエネルギーが必要だが、
 散らかすには何のエネルギーも要らない。
 これがエントロピーである>

ともすればエネルギーは無秩序に向かうらしく、
元の秩序に戻すのはたやすくはない。
散らかした机にならないだろうか。
平昌五輪を控えた韓国政府の北朝鮮への対応である。

アイスホッケー女子の合同チームにも驚かされたが、
今度は「万景峰号」がその威容を韓国の港に現した。
ミサイル関連部品の密輸や不正送金で、
名をとどろかす貨客船である。
長く入港を禁じながら、
芸術団の宿泊施設に使うなどとして例外を認めたという。

五輪成功のためとはいえ、
なぜ選手でもない芸術団がそれほど大事なのだろう? 
数々の暴挙で国際社会から制裁を受ける国への姿勢が、
とり散らかってきたかに見える。
先の物理用語に似る。


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東北の被災地で見たイラク復興への手がかり

2018-02-19 07:00:00 | 報道/ニュース

1月25日 国際報道2018


イラクでは過激派組織との戦闘などで荒廃した街をどう再建するかが大きな課題となっている。
12月
その手がかりを見つけるためイラクの若手職員が東日本大震災の被災地岩手県を訪れた。

東日本大震災から7年が経とうとしている被災地 岩手県。
日本政府の招きでイラクの政府職員6人が視察に訪れた。
全員が30代で
インフラ整備や避難民の支援などを担当している。
一行がまず訪れたのは特に被害が大きかった釜石市の沿岸部。
土地のかさ上げなど
インフラの整備が大規模に進められている地域である。
この復興工事に特に関心を寄せていたのが
土木技術者のムハンマド・カーシム・二メルさん(34)である。
二メルさんのふるさとはイラク西部のファルージャ。
一時 過激派組織ISイスラミック・ステートに支配され壊滅的な被害を受けた。
自ら建設に携わった学校も破壊されてしまった。
(二メルさん)
「ISに占拠された3年間は人生から消してしまいたい。
 故郷の町と家族から引き離され
 戻った時にはひどく破壊されていました。」
釜石市で進められている“災害に強いまちづくり”は
地震の多いイラクでも大いに参考になると二メルさんは感じた。
二メルさんの目にとまったのが建設中のラグビー場である。
“津波の被害を受けた町でワールドカップを開催することで復興に向かう姿を示そうとしている”と
説明を受けた。
(二メルさん)
「日本はくじけずに災害に立ち向かっていることをることを世界に伝えようとしています。
 それはいいことだと思います。」
イラクから来た6人の心に最も深く残ったのが町の復興に関わる市民の姿だった。
この日訪れたのは大槌町のNPO。
震災後に閉じこもりがちになった高齢者の見守りや
子育て中の家庭の支援など
行政の手が届かない部分を市民たちが担っている。
(NPO法人「つどい」事務局長 元持幸子さん)
「お金も何もなくなっちゃったけど
 ただ泣いているだけではなく
 動き出せる力をこの町の人たちは持っていました。」
イラクでは400万人以上の人がいまだに避難生活を強いられていると言われている。
政府の支援はなかなか行き届かない。
市民の力を復興にどう生かしていくのか。
NPOのメンバーと語り合った。
「集まって議論することで良い方向に進めようとしているのですね。
 町の復興には必要な活動だと思います。」
「行政より住民主導の方が早いですね。」
2週間にわたる視察の最終日。
それぞれが
被災地から学び
イラクで取り入れたいことを発表した。
二メルさんは
復興に市民の力を生かす仕組み作りが重要だと語った。
(二メルさん)
「日本と同じようにイラクでも
 苦しい状況を乗り越えるために力を合わせる必要があります。」
「日本とイラクは違う部分もあるのですべて取り入れることは難しいですが
 被災地を復興させるという強い心を日本から学びました。」
帰国した職員たちは
東北の被災地で得た手がかりを胸に
イラク復興の長く険しい道のりを歩み始めている。



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インド「アクト・イースト」で中国戦略に対抗

2018-02-18 07:00:00 | 報道/ニュース

1月25日 国際報道2018


(インド モディ首相)
「インドにおいて戦略的パートナーシップの重要性が増しています。」
ASEAN首脳会議では
インド洋から太平洋にかけての海上の安全保障や経済関係の強化について議論を交わした。
首脳会議に先立ちASEAN各国の投資家やビジネスマンを招いて交流を図った。
(インド モディ首相)
「インドとASEAN諸国は
 陸上・空路・航路など各分野での物理的なつながりを強化し
 その関係を着実に発展させます。」
物流から観光にいたるまで経済的な連携を強める狙いである。
(ミャンマーのビジネスマン)
「インドの経済成長は著しいのでぜひその恩恵を受けたいです。」
(インドのビジネスマン)
「インドにはとても魅力的な構想があるので
 近隣諸国との貿易緩和を進めるべきです。」
一方インドは軍事面で中国への警戒を強めている。
「一帯一路」の要衝
隣国スリランカのコロンボ。
中国企業が日本円で1600億円を投資し巨大な港湾都市の建設を進めている。
港では数年前から中国の潜水艦が目撃されるようになった。
中国はスリランカやパキスタンに巨額の経済支援をする一方
潜水艦を相次いで寄港させている。
インド政府は中国が港の軍事利用を既成事実化しようとしているとみている。
そうした動きに対してインド軍は不信感をあらわにしている。
中国とどう向き合うのか。
12月に開かれたフォーラムには
軍の幹部や外交官など100人余が参加し議論した。
(インド海軍 ライ准将)
「中国は海賊対策を口実にインド洋に来たが
 目的は潜水艦の配備なのか
 海賊対策なのか。
 通常はどの国も海賊対策には潜水艦ではなく船を使う。
 中国は南シナ海と同じような戦略をインド洋で展開する可能性がある。」
インド政府の諮問委員会に参加する専門家 チョプラ氏は
「中国は世界を主導する立場を目指していて
 インド洋での動きはその一環だ」と分析している。
(インド政府諮問委員 チョプラ氏)
「地球上の70%は海だ。
 世界を制するには海軍が必要だ。
 もし強大な力が欲しければ海洋における存在感が重要だ。
 中国が短期間で海軍を作り上げたことは誰も否定の使用がない。」
これに対してモディ首相は海軍力を大幅に強化する方針である。
12月にはモディ首相も立ち会って国内で初めて建造された潜水艦がお披露目された。
(インド モディ首相)
「インドに対する圧力が依然とは変わってきている。
 その変化に対する防衛力を最大限に準備していく。」
潜水艦の最大の任務は中国の艦船に対する警戒の強化である。
さらにインド政府は内陸の山岳地帯でも中国軍の動きを警戒している。
去年6月
中国とブータンの係争地で中国が道路建設を進め
インド軍は隣接するシッキム州に部隊を展開。
中国軍とインド軍の両軍は2か月間にわたってにらみ合った。
国境地帯をどうやって守るのか。
インドの軍需産業は山岳での戦闘を想定した武器や装備品の開発を急いでいる。
(インド軍 ラワト参謀長)
「中国からの脅威に対応しなければならに。
 これまでは西のパキスタンを警戒していたが
 北の中国の国境にシフトする時がきた。
 準備を急がなければならない。」
安全保障を担当した元首相顧問は
中国への警戒を怠ってはならないとしている。
(メノン前国家安全保障顧問)
「中国は通常の国の概念にあてはならない。
 今後の政策を過去の政策からは予測できない。」




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火葬から水葬へ 米で注目!ペットの“葬り方”

2018-02-17 07:00:00 | 報道/ニュース

1月24日 国際報道2018


愛するペットが死んだときにどうお別れするか。
アメリカではいま
火葬でも土葬でもないまったく新しいスタイルの弔い方が飼い主たちの心をとらえている。
葬儀会社が訪れた住宅。
ここで飼われていたネコが死んだのである。
(飼い主)
「かわいい子でした。
 ガンだったんです。」
「迎えに来てくれてうれしいわ。」
(葬儀会社)
「では何かあれば連絡してください。」
(飼い主
「私は悲しいけれど
 ネコはとても安らかな最期でした。」
ネコの死骸が運ばれたのはアメリカで注目を集めるペットの葬儀会社である。
行われているのは火葬でも土葬でもなく水葬である。
1年ほど前にジョスリン・ロスさんが店をオープンした。
(“水葬”会社経営 ジョスリン・ロスさん)
「科学を活用して地域のために何か始めようと思っていました。
 水葬に使うエネルギーは火葬より95%も少なく
 環境に配慮した葬り方なんです。」
水葬が行われる部屋。
死んで間もない犬の体を専用の機械に横たえる。
そして水と溶液を流し込む。
95℃の温度で待つこと20時間。
皮膚や肉は完全に溶け骨だけが残る。
自然環境で行われる腐敗のプロセスを溶液や熱によって短い時間で再現しているのである。
その骨を約3日間乾燥させて
飼い主に渡される。
市内に住むウイリアムスさんは去年6月に愛犬が死に初めて水葬サービスを利用した。
(ウイリアムスさん)
「死に対する考え方が美しいと思いました。
 水で分解し自然に戻すという考えが好きです。」 
ペットを土葬する場合
アメリカでは多くの地域で専用の霊園に埋葬しなくてはならず
ロサンゼルス郊外では小さな動物でも8万円かかる。
また水葬は
主流である火葬よりも二酸化炭素を排出せず環境にやさしいことから
新しい弔い方として人気を集めている。
(ウイリアムスさん)
「土葬などより良い選択肢ね。」
開業してから仕事の依頼数は倍以上に。
雑誌社の取材などが毎日のように訪れている。
(雑誌記者)
「生きものの体は多くが水で出来ていて
 水から始まり水で終わる。
 そんなサイクルだという考えが好き。
 流行間違いなしよ。」
(“水葬”会社経営 ロスさん)
「水葬は火葬のように一般的になると思います。
 火葬に抵抗がある人が多いのでいずれ水葬が上回ると思います。」
環境に配慮した新しいエコ葬儀。
アメリカで流行の兆しが出始めている。



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子どもの足を守れ!広がる“靴教育”

2018-02-16 14:00:00 | 報道/ニュース

1月24日 おはよう日本


子どもの靴について研究している吉村真由美さん。
保育所などで“正しい靴の選び方”などを指導する靴教育に取り組んでいる。
“子どもはすぐ大きくなるから”と大きめの靴を選んでしまったり
最近ではインターネットで試し履きをしないままサイズの合わない靴を購入するケースも目立つと言う。
靴の状態を細かく確認すると・・・
「疲れた」とよく言う子どもの靴。
中からたくさんの砂が出てきた。
足に合わない靴で指に負担がかかっているとみられる。
(早稲田大学 招聘研究員 吉村真由美さん)
「足の形の特徴がほぼ出現するのは6歳から7歳ぐらいといわれているので
 その時期までを特に強化し
 伝えて回っている。」
吉村さんは靴教育の担い手を増やす取り組みにも力を入れている。
この日は千葉市の公立保育所で働く人たちに研修をおこなった。
まずは大人自身に正しいサイズを履く重要性を実感してもらう。
いつもは25,5cmの靴を履いている男性は正確に測定すると24cmだった。
そして正しいサイズと合わせて強調しているのが正しい履き方である。
ポイントはかかとと靴をしっかり密着させることである。
このため足を入れたらまずかかとをトントン。
そしてベルトやひもでしっかり固定する。
こうすることで足先に余計な負担をかけることなく動きやすくなるということである。
研修を受けこの3か月間靴の指導に取り組んできた保育所。
これまではベルトを止めたまま靴に足を入れていた子どもたち。
今は正しい履き方が身に付いてきたと手ごたえを感じている。
(早稲田大学 招聘研究員 吉村真由美さん)
「“健康を守り安全を確保するための靴”という視点で靴教育を行っているので
 靴を見直し
 教育として覚えていただきたい。」
東京中野区の保育園では吉村さんの研修を受けた看護師が新しい取り組みを始めている。
“靴カルテ”づくりである。
足の長さや幅などを正確に測り
実際に履いている靴との差がわかるように記録し
保護者に手渡している。
正しい靴選びをすることで高齢者の転倒防止にもつながるということである。

 

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「お客様は神様です」の明るい響き

2018-02-15 06:00:00 | 編集手帳

2月6日 編集手帳

 

 「お客様は神様です」と聞くと、
着物姿でにっこりする在りし日の三波春夫さんが浮かぶ。
ところがこのせりふ、
言い出したのは三波さんではなかったらしい。

永六輔さんがご本人の感想を著書に書き留めている。
<妙なものですねェ、
 私は「お客様は神様です」といったことはありません、
 あれはレツゴー三匹の皆さんが、
 三波のいいそうな言葉だというのでおっしゃったそうで>
(『アイドルその世界』文芸春秋、1983年刊)

漫才トリオ「レツゴー三匹」といえば、
登場時に“お約束”があった。
「じゅんでーす、
 長作でーす、
 三波春夫でございます」

面長にアゴひげがトレードマークだった長作さんが、
病気のため74歳で亡くなった。
じゅんさんも4年前に他界し、
スポーツ報知によれば、
三波さんのものまねをした正児さんは認知症で療養中という。

学生の昔、
下宿のあった商店街に「お客様は…」のノボリがそよいでいたのを思い出す。
上司が言えば説教だが、
昭和のひととき、
明るく弾むような響きがあったことは確かだろう。
先の三波さんの言葉は<(三匹に)感謝しております>と結ばれる。



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上の空

2018-02-14 07:00:00 | 編集手帳

1月30日 編集手帳

 

 『源氏物語』に解釈を間違えやすい和歌がある。
<はかなくてうはの空にぞ消えぬべき風にただよふ春のあは雪>

新婚ほやほやの女三の宮があまり顔を見せない夫・光源氏に返した歌だが、
ここでいう<うはの空(上の空)>は、
単に「空の上、中空」を意味する。
心細いからといって、
ぼんやりしているさまを詠んだ歌ではないらしい。

ただ、
あす31日の夜は古語も現代語も、
両方ありかもしれない。
皆既月食である。
空の高みで演じられるおごそかな天体ショーに、
世間の憂さや騒動を忘れてぼんやりするのもよろしかろう。

と、
読者の皆様には申し上げるものの、
コラムを書く身には引きずる事件がある。
仮想通貨の取引会社がハッカーに侵入され、
顧客の資産を流出させたという。
いったい何が失われたのか? 
取引会社は資産を盗まれたにもかかわらず、
顧客に相応の返済ができると主張している。

分かる人が分かる一方で、
ちんぷんかんぷんの人も多かろう。
後者の小欄には経営者がぼんやりして、
上の空だったことはかろうじて分かった。
不正アクセスへの当たり前の防御を甚だしく怠っていたとか。



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