7月23日 NHK海外ネットワーク
南沙諸島をめぐる問題の解決策を探るASEAN東南アジア諸国連合の地域フォーラムが
インドネシアのバリ島でおこなわれた。
豊富な石油や天然ガスがあることで知られる南沙諸島は、
中国、台湾、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイの6つの国・地域が
領有権を主張して争っている。
なかでも際立っているのが中国で、
巡視船や監視船を増強して実行支配を強めようとしている。
海洋権益を守るためだとして海軍力の増強を続ける中国。
中国海軍の艦隊が宮古島沖を通過する様子をカメラが捉えたことから
日本の南の海域で軍事演習を行なっていたと見られる。
東北部の大連では旧ソビエト製の空母を改修し、
空母を初めて保有することで海洋進出をいっそう活発化するねらいがうかがえる。
渦中の南シナ海では5月下旬中国の監視船がベトナムの石油探査船の調査を妨害し、
調査用のケーブルを切断する事件が発生。
ベトナム政府は強く抗議したが中国側ははねつけた。
中国は
“南沙諸島を最も早く発見・開発し、その主権は中国にある”という立場である。
南シナ海をにらむ中国の拠点となる海南島。
南沙諸島から100キロあまりで、港には南シナ海をパトロールする巡視船が停泊している。
街のなかは、中国が南シナ海の領有権に並々ならぬこだわりを抱いていることを実感する。
南沙諸島にちなんで9年前に名前がつけられた道路“南沙路”。
南シナ海をめぐる中国の主張を住民に浸透させるねらいがある。
民間企業の広告の看板にまで“中国人の南沙”としるされている。
海軍の基地には最新鋭の潜水艦が配備され、潜水艦隊の発進拠点となっている。
南シナ海の領有権や資源開発を専門に研究する政府系のシンクタンクもこの島にある。
そのシンクタンクが製作したPR映像で南シナ海を重視する中国の本音が良くわかる。
「南シナ海は中国が管轄する海洋面積の実に3分の2を占めています。
中国とヨーロッパやアメリカなど世界を結ぶ重要な位置にあります。」
中国は海洋権益の確保に向けて着々と布石を打っている。