当地平塚は、関東でももっとも温暖なエリアの一つです。他に、三浦半島、房総・伊豆・小田原あたりが最も緯度が低いのですが、半島部分などは山が急峻であったり、入り組んだ地形であったりするので、植物栽培もすべての環境が満たされているとも言えません。
そこに行くと、平塚は平野部が続きなだらかな海岸線、穏やかな一級河川相模川などのおかげで、過去にも大災害が無く、温暖で過ごしやすい地域なのです。大きな被害を生じた河川氾濫、台風直撃、竜巻、津波被害などの記録もほとんどありません。こういう土地柄だと、少しぼーっとした住民が増えるのも致し方ありません。
さて、柑橘であります。ほとんどの柑橘は温暖な環境を好み、瀬戸内海沿岸、紀伊半島、静岡あたりがその名産地です。南向きで、日照が多く・強い風に当たらない、気温が高くほとんど凍結しない、という条件を好みます。それがあって、当果樹園(非営利)でも柑橘が全体の半分を占めております。
柑橘を果樹に選ぶ理由は、素人にも育てやすいことが挙げられます。病気は少なく、害虫はアゲハとハモグリガ程度です。何より自家受粉するのがありがたく受粉率も高いことですね。もう一つは、ワタシの家内の嗜好にもあります。いくらかアレルギー体質もあって、果物好きでも熱帯性果実の多くが食べられないのです。そこで、アレルギーの心配がない柑橘を中心に栽培することにしております。
最初に植えたのがゆずであります。菜園の外れご近所との境の塀際(なぜかゆずは隣家との境が多い)でした。年々大きくなり、今年もたくさん収穫できました。次にレモンとデコポンをそのそばに並べて植えたのですが、これが失敗でありました。たい肥・腐葉土をたっぷり漉き込んで大きな穴を掘って植えたのです。レモンは2年で実を付けましたが、その後どんどん樹勢が衰え、花も咲かなくなりました。一方のデコポンも、ちっとも太らず弱弱しいままで、数個小さな実をならせるだけです。おととし植えたデコポン2号が10個以上の大実をつけているので、その違いは一目瞭然です。
その後のワタシの観察・研究では、初期の虫害にあるとの結論です。思えば園芸を初めて数年、コガネムシの幼虫が大量に発生していることに気づき、駆除のために薬剤をまくようになりました。その時すでに時遅し、有機肥料を好むコガネムシが苗の根をかじり致命的なダメージを与えたのだと考えています。
ブドウにせよ柑橘にせよ果樹類は根を傷めるのを嫌います。根切りしたり、移植するのも基本的にNGです。園芸家ならだれでも知っているのですが、そのころ全く無知であったので、水やりと液体肥料をやるくらいしか思いつきませんでした。成長段階で幼苗が根を食害されて、以後ずっと生育不良になっていました。こうなると、枯れないだけで樹勢は回復しません。処分するしかないと理解するのに数年かかりました。
以降、果樹などを植え付けするときには、大量の殺虫剤(ダイアジノン)を土に混ぜ込みます。1,2年はどうせ実がならないので、樹木の生長のみを考え農薬を使います。万一多少残留しても、当分はワタシが食べるだけのこと(笑)、どおってことはありません。収穫後も然りで、年に2,3度は念のため駆除剤を撒きます。あいつら(コガネムシ)「たち」が悪いのです。
その甲斐あってか、去年あたりから柑橘類が沢山獲れるようになりました。
まず、こちらがニューフェイス「はるか」ちゃん。
青みがかった外皮だけでなく、果肉も薄緑色なんです。見た目と甘さのギャップがあって、ここ数年で急に出てきた新品種です。
これは、まん丸のレモン。たぶん「マイヤーレモン」ではないかと思われます。
こちらは、予想以上に実がついた「不知火」。カラス・ヒヨドリ除けにネットを被せております。甘味が強ければ「デコポン」と呼べます。
ヒヨドリとメジロの襲来対策で、ネットと袋掛けをしました。「セトカちゃん、メジロは体が小さいので粗いネットをすり抜けて穴をあけて果実を啄みます。すでに二つ突かれて、ワタシの試食用になりました。
こちらが清見オレンジ、例年実が付き過ぎて小粒でしたが、今年は裏成り年なのか数が少ない分大実となりました。期待度マックスです。
去年までは、鳥に食べられる前に収穫しようと、未成熟の柑橘ばかりになり大失敗しました。今年こそ万全の鳥対策で樹上完熟を目指します。なにしろ。柑橘好きのワイフ、その味にもうるさく、品質評価のハードルが高いのです。