すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【ロシアW杯最終予選】「香川、本田と心中します」 〜オーストラリア1-1日本

2016-10-12 00:16:18 | サッカー日本代表
アウェイらしく辛い試合運び

「香川、本田と心中します」とハリルが宣言したに等しい試合だった。

 日本は前半5分に原口のゴールで先制して以降、相手ボールになったら自陣にブロックを作って貝になった。アウェイらしい守備意識の高い試合運びだった。カウンターから何度かチャンスを作ったが、2点目を取れなかったのがすべて。PKから失点しドローに終わった。

 最終ラインからビルドアップしてくるオーストラリアは怖さがまったくなく、あれならロングボールを放り込まれたほうがよほど脅威に感じた。アウェイゆえ守備的にやる日本のゲームプランは理解できたが、ただしあの相手であればちょっとリスペクトしすぎたかもしれない。相手の良さを徹底して消そうとするハリルの鉄板メンタリティがはっきり垣間見えて非常に興味深かった。

 好調の原口は相変わらずいい働きをしたが、やらなくてもいいPKを献上したのは反省点。良くも悪くも独り舞台だった。気持ちが逸るのはアグレッシブな彼の長所だが、ときにはクールに試合運びを計算する老獪さも身につけてほしい。またワントップで起用された本田は案外ポストプレーがサマになっていてウケた。

 それにしてもハリルがまだ香川に固執しているのがわかり愕然。清武起用でつかんだ「勝負の流れ」をみすみす手放す結果になった。「守備をやらせるなら清武より香川」という判断なのかもしれないが、もし清武より(今の)香川を評価しているなら、この監督は早めに切ったほうがいいかもしれない。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【豪州戦展望】豪のポゼッションをカウンターで打ち砕け

2016-10-11 07:33:36 | サッカー日本代表
相手が体勢を崩しているうちに素早く攻め切れ

 天王山となった痺れるオーストラリア戦。相手は従来のハイボールを多用するスタイルと違い、パスを繋ぎ、ポゼッション率を高める戦い方でくる。望むところだ。ハリル監督就任以降、日本が試行錯誤してきたカウンターサッカーがやっと生きる展開になる。

 カギはボールを奪ってからの展開だ。ムダな手数をかけず、ダイレクトプレーを使って縦に速いカウンター速攻をかけたい。

 逆にそこでバックパスしたり、意味もなく横に繋ぐと、相手が自陣に戻る時間的猶予を与えてしまう。相手が前がかりになり、バランスを崩しているうちに素早く攻め切りたい。

 ただし試合運びと時間の使い方は重要になる。例えばカウンターで点を取ってリードしたら、そこから先は縦に急がず適宜ポゼッションして時間を使うなど「大人の試合運び」が求められる。

 いずれにしろ日本が積み上げてきたカウンターの集大成になることはまちがいない。今までやってきたことに自信をもち、自分を信じてぶつかってほしい。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【ロシアW杯最終予選】イラク戦、1点目の形(速攻)は人工的に作り出せる

2016-10-10 12:41:26 | サッカー日本代表
相手にボールを渡して攻めさせる

 イラク戦で原口が決めた鮮やかなカウンターからの1点目を見て、「あれは見事なカウンター速攻だった。だが相手もあるし、いつもああゆう風には行かない」と思っている人は多いだろう。だが実はあの形は、罠を仕掛けて「人工的に作り出す」ことができるのをご存知だろうか?

 おそらくハリルが日本で実演しようとしているのが、その形なのだ。

 詳しくはこの記事に書いた解説をお読みいただくとして、ここではカンタンに説明しておこう。

 まず縦にロングボールを入れて相手チームにボールを渡し、(敵陣の低い位置から)攻めさせる。で、相手が前がかりになりかけたところで、前からプレスをかけてボールを奪う。すると相手チームは体勢を崩しているため、相手の後方に広がる広大なスペースを使って鋭いショートカウンターをかけられるーー。

 来日以来、ハリルがしている言動を見ればこう想像できる。それに初めて気づいたとき、私は俄然、興味をかき立てられた。

 なぜならそれは守備の文化のない日本人に価値観の転換を迫るものだったからだ。「相手にボールを渡して攻めさせる」というのは、「ゲームを支配している(ポゼッション率が高い)=デキがいい」と考える国の国民の常識を根底から変えるものだ。

 カウンター戦術は「相手の攻めに反応するのだから、リアクションサッカーだ」と考える人は多い。だがその感覚はぶっちゃけ古い。最新型のカウンターはこんなふうに、相手に仕掛けさせる形を「まず自分たちで作る」のだから、むしろアクションサッカーである。

 おもしろい、と思った。

 で、この「革命」はいったい日本でどこまで進むのだろうか? と観察を始めた。だがいかんせん、道は険しい。選手の理解度は低く、思った通り動かない。世間の理解もなかなか進まない。結局のところハリルの考える「革命」は、これからも激しい賛否両論を巻き起こしながら一進一退を続けて行くのだろう。

 ぜひその結末までを興味深く見届けたい。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【ロシアW杯最終予選】イラク戦に見る日本人のポゼッション信仰

2016-10-09 08:30:11 | サッカー日本代表
「支配されている」は悪か?

 イラク戦に関するいろんな戦評を読んでいると、日本人というのはやっぱりポゼッション信仰が根強いんだなと感じさせられる。「イラク戦で日本はボールを支配できなかった。見る影もない」みたいな論評が多い。

 確かにゲーム内容はよくなかった。だがそんな中にも見るべきポイントはあった。それはカウンターの成功率だ。

 イラクは前へ出る意識が高かったため、イラクのボールになり彼らが前がかりになった瞬間にプレスをかけてボールを奪えばけっこうな確率でショートカウンターが成立した。日本の1点目などは典型だ。そういうたぐいの分析がまったくない。

 相手にボールを持たせ、前がかりで来てくれればカウンターの好機だと私なんかは思うのだが、どうも日本人は「相手に支配されている」とネガティヴに感じるらしい。

 もっとも待ち構える戦い方をするには日本の守備はお粗末すぎてリスキーなのは確か。ゆえに日本は攻撃よりむしろ組織的なディフェンスのほうをまず整備すべきだろう。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【ロシアW杯最終予選】前へ出てくる相手にコレクティブ・カウンターが炸裂 〜日本2-1イラク

2016-10-07 11:10:57 | サッカー日本代表
清武の超絶テクニックに花束を

 日本が地獄の底からはい上がった。清武のテクニックと原口のダイナミズムが呼んだ劇的なサヨナラ勝ち。戦術うんぬんじゃなく、個人個人の魂と激闘でもぎ取った勝利だった。これで4位の日本から1位オーストラリアまではわずか勝ち点「1」差のダンゴ状態。あとは11日のオーストラリア戦に勝てば日本は完全浮上できる。

 日本は試合開始3分、いきなりイラクのコーナーキックから絶対的なピンチを迎える。だがイラクのきわどいヘディングシュートがわずかに外れるのを見て、今日の日本は「持っているな」と確信した。

 現に立ち上がりから日本はいつも通りフリーランニングが少なく、エース本田のコンディションも悪かった。前が詰まって遅攻になれば、チームとして局面を打開できないのも相変わらずだ。試合内容は決してよくなかった。

 だがイラクはマイボールになるとかなり前がかりになるため後ろにスペースができ、日本の1点目のように速攻カウンターの形にさえなれば日本は十分なスペースを持って攻め切ることができた。原口のあの1点目は、ハリルが常々標榜するコレクティブ・カウンターの見本のような得点だった。

 これまで日本は引いて守るアジア勢に苦しめられてきたが、ここにきて速いカウンターを重視する日本のスタイルが前に出てくる相手(イラク)と初めて噛み合ったわけだ。

原口、魂のプレスバックでチームを鼓舞

 選手個々のがんばりも光った。香川を押しのけトップ下に入った清武は、超絶的なテクニックで見せ場を作った。原口の1点目は、清武の縦へのドリブルからパス出しのあとのオーバーラップ、そして原口へラブレターを贈るような最後のセンタリングと、清武が1人3役をこなした。半分は清武の得点だった。

 また絶好調の原口はダイナミックなドリブルから魂のプレスバックまで、攻守に冴え渡った。彼のように強いメンタルで激しく敵と競り合うプレーがチームを奮い立たせ、最後にはサッカーの神様を納得させて「ツキ」を呼び込むのだ。

やっと頑固なハリルが「香川外し」を決断した

 これまで本ブログでは、不調の香川をスタメンから外せと何度もくりかえし提言してきた。やっとそれが実った形だ。メンタルの弱い香川の自信なさげなプレーがチームから覇気を奪い、やがて運にも見放されていく。だが逆にこの日の清武や原口のような強いメンタルで敵をねじ伏せる劇闘はチームを鼓舞し、ツキを呼び込む。勝負とはそういうものだ。

 控えに甘んじていた選手を使ってやれば、「よし、やるぞ!」と奮闘する。その必死の働きがチームを活性化させ、幸運を引っ張り込む。選手起用でどう「運気」を味方にするか? は死命を制する。

 ゆえに香川と本田をアンタッチャブルな存在にしているハリルの選手起用は、まったくナンセンスだ。一方の本田にしろ、この日もどう見てもコンディションがいいようには見えなかった。今後は本田に関しても結果が出なければ適宜スタメンから外し、武藤や小林のような新しい風を送り込むべきだ。

 ここからだ、ニッポン。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【ロシアW杯最終予選】このチームに戦術練習はムダなのか?

2016-10-03 10:31:07 | サッカー日本代表
9つの戦術トレーニングをしたあげく惨敗したUAE戦

 今回発表された代表メンバーが所属チームで控えの海外組ばかりで論議を呼んでいる。だがハリルの「お気に入り」偏重は今に始まったわけじゃないから、ちっとも驚かなかった。

 現にこのブログでは過去に何度も、相手チームと力の差があるアジア2次予選では積極的に若手を使い、新戦力の底上げを図るべきだと書いた。だが香川と宇佐美あたりは今までどんなにデキが悪かろうが絶対に外されなかった。ゆえに今回の海外組・完全固定もむべなるかな、である。

 むしろ驚いたのは、ハリルが会見で「UAE戦前には9つの戦術テーマのトレーニングをした」と語っていたことだ。

 UAE戦といえば、中央突破にこだわる「自分たちのサッカー」で選手が真ん中に密集し、ことごとく攻めを弾き返され醜態をさらしたあのゲームである。お世辞にも「戦術的な内容だった」なんていえない。

 事前に9つの戦術トレーニングを繰り返したあげく、あのザマだったのか?

 ガクゼンとすると同時に、このチームの行く末が本気で心配になってきた。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする