すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【ロシアW杯最終予選】イラク戦、1点目の形(速攻)は人工的に作り出せる

2016-10-10 12:41:26 | サッカー日本代表
相手にボールを渡して攻めさせる

 イラク戦で原口が決めた鮮やかなカウンターからの1点目を見て、「あれは見事なカウンター速攻だった。だが相手もあるし、いつもああゆう風には行かない」と思っている人は多いだろう。だが実はあの形は、罠を仕掛けて「人工的に作り出す」ことができるのをご存知だろうか?

 おそらくハリルが日本で実演しようとしているのが、その形なのだ。

 詳しくはこの記事に書いた解説をお読みいただくとして、ここではカンタンに説明しておこう。

 まず縦にロングボールを入れて相手チームにボールを渡し、(敵陣の低い位置から)攻めさせる。で、相手が前がかりになりかけたところで、前からプレスをかけてボールを奪う。すると相手チームは体勢を崩しているため、相手の後方に広がる広大なスペースを使って鋭いショートカウンターをかけられるーー。

 来日以来、ハリルがしている言動を見ればこう想像できる。それに初めて気づいたとき、私は俄然、興味をかき立てられた。

 なぜならそれは守備の文化のない日本人に価値観の転換を迫るものだったからだ。「相手にボールを渡して攻めさせる」というのは、「ゲームを支配している(ポゼッション率が高い)=デキがいい」と考える国の国民の常識を根底から変えるものだ。

 カウンター戦術は「相手の攻めに反応するのだから、リアクションサッカーだ」と考える人は多い。だがその感覚はぶっちゃけ古い。最新型のカウンターはこんなふうに、相手に仕掛けさせる形を「まず自分たちで作る」のだから、むしろアクションサッカーである。

 おもしろい、と思った。

 で、この「革命」はいったい日本でどこまで進むのだろうか? と観察を始めた。だがいかんせん、道は険しい。選手の理解度は低く、思った通り動かない。世間の理解もなかなか進まない。結局のところハリルの考える「革命」は、これからも激しい賛否両論を巻き起こしながら一進一退を続けて行くのだろう。

 ぜひその結末までを興味深く見届けたい。

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