- 松永史談会 -

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2種類の永井潜『医学と哲学』

2015年01月06日 | 教養(Culture)
永井の哲学志向が永井自身をして戦前期における優生思想イデオローグへと駆り立てたのだろ。大正11年に河本俊三時代に洛陽堂から刊行され、関東大震災後は別の出版社から。大著(559+XX 頁)である。むかって左側が洛陽堂刊本。


大阪の古書店:天牛書店で戦前2円80銭で売られていたものらしい。洛陽堂の新本価格(大正11年段階)は7円・・・かなりお高い本だった。もっともこの当時の洛陽堂は割引販売が常態化していたので・・・・・
文化生活研究会刊本(大正14)は装丁がより上等だが、6円50銭と幾分安価だった。ちなみに大正3年に洛陽堂が刊行した柳宗悦の大著「ヰリアム・ブレーク : 彼の生涯と製作及びその思想」は800頁近い大著だが3円だった。当時はそういう時代だったのだろ。



永井は富士川游の影響を受けたのか医学の科学としての側面と道学的側面(=医道)、そして医学と社会とのかかわりを視野に入れた医学者だった。
永井の弟子に『生命神秘論』を著した推理小説家(東北帝大医学部教授、衛生学)小酒井 不木や『科学者としてのゲーテ』の著書がある九州帝大医学部教授小川政修(細菌学)ら中々の教養人が多い。

文化生活研究会刊本




永井の著書は中国語に翻訳されており、中国医学会に対し大きな影響を与えた。
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